ポーツマスの贋作
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ポーツマスの贋作の総合評価:
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全1件 1~1 1/1ページ
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登場人物が多すぎて、僕のキャパを超えてました。 | ||||
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歴史好きにとってはなかなか面白かった。日露戦争ポーツマス講和条約がどのようなものであったかは何となく知っていたがその時どのような出来事があったのか、ポーツマス、パリ、東京、日本とロシアが入り混じり絵画の世界も垣間見れて楽しませてくれた。 | ||||
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「ノンストップ・美術ミステリ!」とうたわれるだけあって、葛飾北斎、モネ、ゴッホ、浮世絵、印象派。究極を夢見る画家の志、諜報、そして国運。絵画に秘められた謎が物語を盛り上げてくれる。 美術のみならず、創作に携わる者が持つべき「心得」も随所に散りばめられている。 ・銃撃v.s.剣撃。カタコンブでの追跡劇には心躍るものがある。そして「……に会いたかった」と心情を吐露する男の辛さよ(p354)。 ・講和会議の全権大使、ウィッテと小村の物語にも注目だ。神経の張りつめる心理戦と、ホテルでの穏やかな邂逅。男の人生の価値が決まる瞬間は、光の放たれるようだ。こういった男たちと酒を酌み交わしたいものだ。 ・キーワードは、塩田龍次郎の「記憶の美術館」だ。「パリ編」の最終段に、その真価が発揮される。 ・「ポーツマス講和会議編」のラスト、シャンパンをらっぱ飲みのシーンが実に良い。涙はなけれど男泣き(p487)。 「ポーツマス編」「パリ編」と物語は続いて、突然の「帝都東京編」は……必要かな? と思ったが、著者の絵画に対する知識や思いやりが十二分に伝わってくるエピソードだった。「志乃の気持に応えるつもりはなく、気持ちだけを抜き出して絵にしている」(P427)や「射しこむ光はどこか湿気を含んでいるような」(p431)の件が気に入った。これが龍次郎つながりとは、見事。 | ||||
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タイトルの『贋作』をはじめ,『美術ミステリ』ではなかったというのが第一印象. 日露戦争とその講和会議を巡り,日米仏の三カ国を股に掛ける諜報戦を描いた展開も, おおよそ三つに分けたそれぞれの繋がりは薄く,もう少し人や出来事が連鎖する構成か, もしくは最もページが割かれていた『パリ編』に絞り込んでも良かったのではと思います. また,交渉や諜報活動にあたる者だけではなく,意図せず巻き込まれてしまった者, さらにはそのことに気付いていない者,三都市,三者三様の戦争への関わりと日々は, 大きな決断に揺れ動く中での別の一コマを切り出し,少し変わった読み味を抱く一方で, いささか本筋とはかけ離れて映ることがあり,焦点を絞りづらくしているように感じます. 三つの事件や騒動から導き出される,あの夏,講和会議の真相というまとめにしても, 振り返りながらの説明と推察のパートが長く,ほとんどここだけで足りてしまっており, 不審死やお見合い相手の噂など,方々へと広げた割には物足りなさが残ってしまいました. | ||||
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日露戦争を終結させるためのポーツマス講和会議が難航した経緯は歴史の教科書で習うわけですが、そのポーツマス講和会議の進捗状況を縦軸にしながら、ポーツマス編、パリ編、帝都東京編、という三つの出来事を横軸に絡めながら、物語を展開した作品でした。井上尚登は、辛亥革命前夜の中国を舞台にした激動のアジアを描いた『T.R.Y.』で横溝正史賞正賞を受賞した作家で、当方もその『T.R.Y.』で繰り広げられた、虚実をないまぜにした複雑な構成とラストの鮮やかさに舌を巻いた記憶があります。本作も20世紀初頭という『T.R.Y.』の設定と時代的に近く、有名なポーツマス講和会議をモティーフにしており、期待感もつのりました。標題には「ポーツマス」、そして美術好きには堪えられない北斎の「贋作」をテーマにしているわけですから。冒頭のペテルブルクでのシーン、続く1950年の東京の「東京記念美術館(目黒の庭園美術館を下敷きにしているようです)」での一連の登場人物の邂逅と絵を取り巻く当時の出来ごとの謎解き、本書のテーマへのアプローチは巧妙に構成されています。パリで寵児となった画家の塩田龍二郎、ボストン大学名誉教授で美術館長の石正広、車椅子の老人の杉内直道、東堂美術館の東堂凪子と銀平、ポーツマス・パリ・帝都東京での主人公とでもいうべき人物が出会うシーンは再読した時にその絡み合う糸の先を理解できたものでした。小説は当然フィクションですが、近代史を下敷きにした登場人物と時代設定を借りることで現実味を帯び、まるで1905年に起こったことかのように繰り広げられる展開と舞台となった3都市の描写が見事です。推理仕立ての本書として最初のレビューですからこれからの読者のことを考慮して内容に入りこむことを避けながら書きこみます。道具立てが多く、歴史上の人物と架空の人物の配置、世界の3つの都市でのエピソードを併行的に描くスケール感と、舞台設計は見事でした。ただ、細かい人物描写とそれぞれの推理仕立てのストーリー展開と3編のからみが上手くつながっているかどうかは判断が分かれます。本書の標題である北斎の「贋作」そのものの持つ意味合いが狂言回し的な役割に終わっているのが残念です。文章力の巧みさや優れた構成力をもつ作家だけに少し辛口になりましたが・・・。 | ||||
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日露戦争を終結させるためのポーツマス講和会議が難航した経緯は歴史の教科書で習うわけですが、そのポーツマス講和会議の進捗状況を縦軸にしながら、ポーツマス編、パリ編、帝都東京編、という三つの出来事を横軸に絡めながら、物語を展開した作品でした。 井上尚登は、辛亥革命前夜の中国を舞台にした激動のアジアを描いた『T.R.Y.』で横溝正史賞正賞を受賞した作家で、当方もその『T.R.Y.』で繰り広げられた、虚実をないまぜにした複雑な構成とラストの鮮やかさに舌を巻いた記憶があります。 本作も20世紀初頭という『T.R.Y.』の設定と時代的に近く、有名なポーツマス講和会議をモティーフにしており、期待感もつのりました。標題には「ポーツマス」、そして美術好きには堪えられない北斎の「贋作」をテーマにしているわけですから。 冒頭のペテルブルクでのシーン、続く1950年の東京の「東京記念美術館(目黒の庭園美術館を下敷きにしているようです)」での一連の登場人物の邂逅と絵を取り巻く当時の出来ごとの謎解き、本書のテーマへのアプローチは巧妙に構成されています。 パリで寵児となった画家の塩田龍二郎、ボストン大学名誉教授で美術館長の石正広、車椅子の老人の杉内直道、東堂美術館の東堂凪子と銀平、ポーツマス・パリ・帝都東京での主人公とでもいうべき人物が出会うシーンは再読した時にその絡み合う糸の先を理解できたものでした。小説は当然フィクションですが、近代史を下敷きにした登場人物と時代設定を借りることで現実味を帯び、まるで1905年に起こったことかのように繰り広げられる展開と舞台となった3都市の描写が見事です。 推理仕立ての本書として最初のレビューですからこれからの読者のことを考慮して内容に入りこむことを避けながら書きこみます。 道具立てが多く、歴史上の人物と架空の人物の配置、世界の3つの都市でのエピソードを併行的に描くスケール感と、舞台設計は見事でした。ただ、細かい人物描写とそれぞれの推理仕立てのストーリー展開と3編のからみが上手くつながっているかどうかは判断が分かれます。本書の標題である北斎の「贋作」そのものの持つ意味合いが狂言回し的な役割に終わっているのが残念です。文章力の巧みさや優れた構成力をもつ作家だけに少し辛口になりましたが・・・。 | ||||
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