写楽 閉じた国の幻

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初版刊行(参考)
種別
長編
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14,643回
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9
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あらすじ

2010年05月31日 写楽 閉じた国の幻

わずか十ヶ月間の活躍、突然の消息不明。写楽を知る同時代の絵師、板元の不可解な沈黙。錯綜する諸説、乱立する矛盾。歴史の点と線をつなぎ浮上する謎の言葉「命須照」、見過ごされてきた「日記」、辿りついた古びた墓石。史実と虚構のモザイクが完成する時、美術史上最大の迷宮事件の「真犯人」が姿を現す。(「BOOK」データベースより)

評判

写楽 閉じた国の幻の評価:

7.33/10点 レビュー 6件。 A ランク

書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点7.33pt

写楽 閉じた国の幻の総合評価:

7.07/10点 レビュー 84件。

感想一覧

サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

全2件 1〜2 1/1ページ
No.2
(7pt)

江戸編の素晴らしさと現代編のちぐはぐさの落差が…

島田荘司氏が今まで数多の研究家や作家がテーマに取り上げた写楽の正体の謎に挑んだ意欲作。構想20年の悲願が結実したのが本書。
本書は島田氏の検証に基づく写楽の正体が述べられており、必ずしもそれが正解だとは云い切れないが、本書の感想は通常のミステリのように推理と物証を重ねて辿り着いた真相という形で断定的に語らせていただく。

物語は現代編と江戸編が交互に語られる。
しかしとにかく本編に行くまでが長い!冒頭の現代編で語られるのは東大卒で某会社の社長令嬢と結婚しながらも美術大学の教授から美術館の学芸員、そして塾の講師へと転落の人生を送っている在野の浮世絵研究家の話が延々と語られる。

その話には一時期社会問題となった回転ドア挟まれ事件のエピソードを絡めた浮世絵研究家の、不幸と云う負の螺旋に絡め取られた人生の構図が描かれている。

六本木ヒルズをモデルにした六本木ガーデンという複合施設の茂木タワーの回転ドアで最愛の一人息子を挟まれ事故で亡くし、それによる家庭の崩壊、延々と語られる日本の回転ドアの危険性などおよそ写楽の謎から程遠い話題に終始する(まあ、これは後の写楽考へのキーワード的役割を果たすのだが)。

更には回転ドアの危険性を研究する団体に所属するモデルのような東大の工学美人教授の登場と、果たしてこの物語の方向はいずこにあるのだろうかと考え込むことしばしばだった。

そんな回り道をしながらモデル美人風の東大工学教授と人生のどん底まで落ち込んだ在野の浮世絵研究家が問答を繰り返し、写楽の謎に迫る。
物語性を重視したのか、写楽の謎の本質に迫るまでの枝葉が長く、ぽつりぽつりと新たな見解が展開される。それは専門家が自らの知識を語っていく中で門外漢が自然に抱く疑問が新たな謎解明への扉を開くという構成になっている。

そして江戸編では現代編の論考を裏付けるような蔦屋重三郎と写楽との邂逅の話が語られる。
これが実に写実的で素晴らしい。江戸っ子のちゃきちゃきの江戸弁で繰り広げられる物語は実に映像的で、また生活臭さえ感じられ、眼前に当時の江戸が浮かび上がるようだ。まさに活写されている。
ここは物語作家島田氏のまさに独壇場。実に面白く、色鮮やかだ。

さて東洲斎写楽の正体というのはイギリスの切り裂きジャックと並んで歴史のミステリとして名高い。それはたった10ヶ月で140点もの作品を残し、一世を風靡して姿を消したこの人気絵師について詳細に語られた記録が遺されていないためだからだ。

私は写楽に纏わる作品は本書以外には泡坂妻夫氏の『写楽百面相』しか読んだことがないので、ほとんど門外漢なのだが、数多ある写楽の正体を探った作品や探究書の中でも本書が特徴的だと思われるのは、なぜこれほどまでに記録が遺されなかったのかに着眼している点だと思う。記録そのものに書かれた文章の行間を読み解くのが専らであるこのような研究に対してまずその背景からアプローチしていったのが斬新だったのではないか。

以前私は本格ミステリの巨匠と称されながらも、新本格ミステリ作者たちが求道的に本格ミステリの可能性を深く掘り下げていくのに対し、島田氏は外に目を向け、本格ミステリの可能性を広げていっていると感想に書いたことがあるが、まさに本書はそれだ。

さてミステリ作家が歴史上の謎に挑む。これには高木彬光氏や松本清張氏といった偉大な先達が試み、しかも日本ミステリ史に残る偉業として今も讃えられている。
つまり島田氏自身もミステリ作家ならば一度は自身の推理力を歴史上の謎に発揮し、一つ世に問う衝撃作として著すべきだと考えていたのだろう。
そこで島田氏が選んだ題材が東洲斎写楽の正体という云わば使い古された謎だ。しかしそんなテーマでありながら島田氏は新たな解釈を打ち出し、この平成の世に響く作品を物にした。

そして島田氏は忠実に偉大なるミステリ作家の先達の道程を辿っている。それは自分が彼らに比肩しようと切磋琢磨していることもあろうが、それよりも後続の作家たちに日本本格ミステリの伝統を継承するための創作活動のように思えてならない。

本書が写楽の正体への決定打となるとは断言できないだろう。
しかし少なくとも島田氏は偉大なる先達と肩を並べたと断言できる。

本書は2011年度版の『このミス』で2位という高評価で迎えられた。
その期待値が高かったのか、私は写楽の正体の謎へ迫る面白さがそれを小説とするための在野の研究家佐藤貞三が写楽の正体を探るまでのサイドストーリーがまだるっこしくて半減してしまった感がある。転落するばかりの人生の男の愚痴が長々と続く件は、本書は本当に『このミス』2位の作品か?と思ったりもした。
写楽の正体が斬新だっただけに勿体ない思いが強い。しかし本書はそれも含めて島田氏の特徴が色濃く表れた作品だろう。
齢60を超えてますます意気盛んな島田氏。今後の活躍が楽しみだ。


▼以下、ネタバレ感想

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Tetchy
WHOKS60S
No.1
(8pt)

ボリュームある本書だが一気読みさせられる歴史ミステリ

写楽の正体を独自解釈で様々な資料から推理していく過程が面白い。
あまり触れた事のない浮世絵の知識も新鮮で楽しめした。

Ariroba78
5M53WTS6

Amazonレビュー

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.78
(1pt)

コレは何の本?

写楽の本との紹介があったから買ってみたが、初めの部分以外120ページぐらいまで自分の身に起きた話が延々と続く。
何故この本で書かなければならなかったのだろう?最後まで読んだらこの疑問は溶けるのだろうか…
でも、読む気にならなくなってしまいました。残念です。
写楽 閉じた国の幻(上) (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 写楽 閉じた国の幻(上) (新潮文庫)より
4101033129
No.77
(5pt)

絶妙なバランスを保った作品かと。

沢山の方から様々な評価を受けている本作ですが、個人的にはとても楽しめました。
そして私自身初めての島田総司作品でした。

確かに冒頭の事故の必要性や表現に違和感は覚えますが、ではお江戸編の力強い粘りや世界観、現代編のテンポを煽らざるおえないノリ(ここは江戸っ子気質をうすくレイヤーさせてるのかな?笑)など、トータル的に壮大な写楽の謎への足掛けとする出だしの代替表現は?となると、絶妙なバランスを保っているのではと感じざるおえませんでした。

残された伏線の曖昧さも写楽という難解テーマへの、ストーリーの余韻としては小気味良い気がしてます。

と言うわけで、個人的には島田総司の考える新説写楽を投影した、荒削りでパンクな全体バランスでとても楽しかったです。
写楽 閉じた国の幻(上) (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 写楽 閉じた国の幻(上) (新潮文庫)より
4101033129
No.76
(5pt)

個人的に、この作品は島田荘司の最高傑作だと思う

島田荘司の全作品コンプリートを推進中。島田荘司の『写楽 閉じた国の幻』を読了した。2010年6月20日リリース。構想20年の作品である。

何と言っても心惹かれるのは、通常は島田荘司が仕掛けてくる『謎』を解くことを楽しみとして読む訳だが、この作品は、『わずか10ヶ月間の間、突如として登場し、突如として消える写楽とは何者か』という歴史的謎を島田荘司自身が、解き明かしていく、という点にある。

当然ながら、すでに多くの人がこの謎に挑戦している。そして、最後発である島田荘司は、それまでのそれら謎解きを深く研究し、いつものように全てを貫く太いロジックで帰結させる。本当に唸ってしまう。

読む出す前は、小説ではなく、ただその謎解きをひたすら書き連ねた一冊かと思っていたのだが、ひとつの小説の形を完全に形成しながら、現在と江戸期を行き来しつつ、詳細にその太いロジックに至る経緯をほぼ全て盛り込んだ上で帰結している。もう、唸るしか無い完成度だ。

『謎を解く』ということは、ここまで詳細に時代背景やそこにいた人々を理解し、残された証跡やそこで主張されている事柄を突き詰めていくことなのだ、と感じさせてくれる。

特に書き出した当初は、寛政六(1794)年に、この謎解きの基礎となる事象があったかどうかの確認が成されていなかったことがあとがきにも書かれていて、それに『必ず命中しているという強い確信』があったというのにも驚かされた。

そして、物語の舞台となっている場所が、ぼくが大学生時代に過ごした場所で、出てくる店や場所の名が聞き覚えがあるところばかりだったのも愉しかった。そうか、あそこはそういった場所だったのか、と知る喜びは大きい。

個人的に、この作品は島田荘司の最高傑作だと思う。類無き謎解きの見事さと構築力に圧倒されました。
写楽 閉じた国の幻 Amazon書評・レビュー: 写楽 閉じた国の幻より
4103252316
No.75
(2pt)

先行研究への敬意がない

写楽の正体を突き止める歴史ミステリ小説だが、フィクションといえども、過去の先行研究や研究者への敬意が微塵も感じられず、仮説の出来以前にこの著者はどんな意図があってこんな本を書いたのか、その見識を疑いたくなってくる。自分の考えの正しさを強調するために既存の研究や専門家の定見を攻撃してみせるのはこうした書籍では常套手段だが、限度が過ぎるのは読んでいて気持ちがよいものではないし、学界や専門家を誹謗することでしか説得力を持たせられないのかと邪推してしまう。
著者は美大卒とのことだが浮世絵の専門家でもなんでもない。もしかして現実とフィクションの区別が著者自身もつかなくなっているのではないか。突飛な珍説が嫌いなわけではないが、先行研究への敬意がないトンデモはただのヘイトである。百田某や明智某、あるいは「教科書が教えない〇〇の真実」のような、書店に大量に並んでいる俗流歴史本と同工異曲のレベル。出版社もよく売れると判断しているからこうした書籍の出版をやめないのだろうが、自分たちがトンデモ歴史の氾濫を助長して、結果的に読者にデタラメな情報を与えているという自覚は持っていただきたいものだ。
作中の説は写楽のデビュー時期と出島商館員の江戸参府が一致するということがほとんど唯一の論拠らしい論拠であり、その他はこの説を成り立つようにこじつけの説明を並べ立てたという程度で、これでは学界ではとても通用しないだろう。しかし、江戸編はさすがに読み物としてよくできていて、これなら現代編がなかった方がずっとよかったのではないだろうか。
写楽 閉じた国の幻 Amazon書評・レビュー: 写楽 閉じた国の幻より
4103252316
No.74
(1pt)

とても読めた代物ではない。アマチュア作家か?

冒頭から子供の描写が信じられないほど下手。

とても名のある作家とは思えない。以下略
写楽 閉じた国の幻(上) (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 写楽 閉じた国の幻(上) (新潮文庫)より
4101033129

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