■スポンサードリンク
egut さんのレビュー一覧
egutさんのページへレビュー数359件
閲覧する時は、『このレビューを表示する場合はここをクリック』を押してください。
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
ミステリ好きの心をくすぐる『館』『島』と言うシンプルなタイトル。
孤島に建築された六角形の館で起こる事件。 そして嵐の為のクローズド・サークル。 建築家や六角形の館など、 綾辻行人の十角館のオマージュ作品として感じ、 それが良い効果を持っていて好感的な作品です。 また、お決まりのミステリのガジェットは抑えつつ、 そこにテンポ良いユーモアを交えてあるので、 気軽にミステリの楽しい所を感じとれる本だと思いました。 トリックがとても分かりやすく提示されてますが、 それはそれで安心して読めますし、 館の存在理由が物語とちゃんと一体になって意味があるのが良かったです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
表紙のイラストから軽いテイストを感じさせますが、
創元推理から出版で、鮎川哲也賞佳作がうなずける、中々良くできたミステリでした。 実の所、この表紙によって中に登場するキャラクター造形が頭の中で定着してしまい、 この表紙じゃなかったら別の画が浮かぶ気がします。 悪い言い方をしてしまうと文章での表現でキャラの個性が思い浮かび辛くて、 このセリフが誰のものなのか。男なのか女なのかイメージし辛い面がありました。 なので表紙のイメージと昔読んだ何かのマンガの記憶の画が浮かびながら読みました。 気になったのはそのぐらいで、 爽やかな青春小説として楽しめましたし、 トリックや動機についても読了後の気持ちはとても良いものでした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
捻くれ感がとても強く感じてそこが良い意味で個性的に感じられた作品です。
ゾンビ映画の撮影をしようと廃墟に訪れた所、死体が発見されます。 通常ならここから事件発生でドタバタし始める所、この作品では、 騒いで警察来て事情聴取されても面倒だから、気にせず撮影しよう。 と、めんどくさい。他人と関わりたくないオーラ全開の思考展開が面白いです。 生きている価値がないと思う自分自身がゾンビであり、 実際に死んでる死体は注目されることで生を感じて羨ましい。など、 死体を通じて取り巻く、引きこもりの思考や行動が私には斬新で楽しめました。 死体消失の謎や動機にも唸りました。 不思議な面白さがある作品です。 ▼以下、ネタバレ感想 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
多重人格を扱ったサスペンスストーリーとして、
とても面白く読めました。 文庫版の帯には「騙された」と言った、 どんでん返しを期待させるキャッチコピーがあった模様ですが、 それに期待して本書を読むと読みたかった内容との違いに戸惑ってしまうと思います。 話は各登場人物たちが知り合った1人の女性が行方不明になる所から始まります。 それぞれの人たちと接している時の1人の女性の像が異なり、 女性と接した人たちの話を聞いていく中で、 同一人物なのか?もしかして多重人格者だったのか? なぜ多重人格になってしまったんだろう? と言った感じに謎が展開されます。 このストーリーの展開はとてもテンポが良くて判りやすく、 そして1つの殺人事件の謎とも絡まってきて中々面白かったです。 ちょっと残念だったのが、 文庫化するにあたって最終章のモノローグ4を封印します。と言った作者のコメント。 この一言は余計だと思いました。 正直あってもなくても伏線が効いてくる内容でなく、 余談みたいなものなので、 読者にあるなしを選ばせるのではなく、 作者が1つの作品としてどっちかに決めてしまったらよいと思いました。 帯のコピー然り、余計な文章が読者に意図しない印象を与えてしまい、 勿体無いと感じました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
ミステリではなく、SFになると思いますが、
SFとも違う。単純なジャンル分けに収まらない作品だと感じます。 世の評判とあらすじを見てもさっぱり内容が判らず、 どんなものかと手に取り読みましたが、なるほど。。。これは凄くて表現できない。 近未来を舞台とした殺戮の物語。 虐殺を駆り立てる切っ掛けとなる虐殺の文法。言語とは何か?と言う この小説では見えやすい目的を軸に宗教観や生物、言語や思考を リアルなSFの世界感で包んで物語にした上で頭に入れられた感じです。 世界観に圧倒。凄いものを読んだ読了感です。面白かった。 ▼以下、ネタバレ感想 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
作者自ら描いた絵を挿入しミステリに絡ませた独自の作品作りに感銘を受けました。
美術の先生という事もあり図像学による絵画を読み解く話はとても面白いです。 絵の見方・楽しさに触れた気がします。 他の作品を先に読んでからこのデビュー作を読みましたが、 作中に流れる独特の雰囲気や若い女性の印象は作者の持ち味だと感じました。 今作で扱われる題材は複合的で、かつマニアック。 人におすすめし辛い難しさがありますが、 いくつもの仕掛けを独特な美術の世界で包んだ本書はとても贅沢な作品だと思いました。 仕掛けの感想はネタバレで。 ▼以下、ネタバレ感想 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
クローズド・サークルでの推理ゲーム。
舞台としてはとても面白いです。 夏の館、冬の館にそれぞれ7名づつ閉じ込められ、 互いの館で連続殺人が発生する。 館同士はTV電話でコンタクトが可能。 問題は夏の館、冬の館の犯人は誰か? 1度のみの解答に対して、正解側の館の人々は賞金を獲得して生還。 解答を外したり相手が先に答えた場合は死が待っている。 相手の館とのコンタクトでの情報提供の心理戦や 少ない手がかりでの犯人探しは好みもあり面白かったです。 ただ、"極限"と名のつくほど緊迫した雰囲気は無く、 登場する人々の思考が感じられない為、 とても軽いゲーム遊びをしている印象を受けました。 ミステリ読みなれている人にはとても物足りなく感じると思いますが、 この系統が好きな人は楽しめる作品だと思います。 ▼以下、ネタバレ感想 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
表題の「独白する…」はタイトルが一品。
また、語り部が地図と言うとんでもない設定。 このミス1位かつ推理作家賞を受賞をしておりますが、 ミステリとは違う作品だと思いました。 では何であるか?と言うと答え辛い。 乱歩を読んだ時の感覚を思い出した気もしますが、 もう、こう言うジャンル。と言った独特な雰囲気を楽しみました。 短編集に収録されているその他の作品は、 暴力的でグロく、気持ち悪さと痛さを錯覚してしまう文体が健在。 これは著者の持ち味で強烈な印象です。 その土台の上で摩訶不思議な世界を覗き楽しみました。 どれも強烈な印象ですが、とくに 「Ωの聖餐」「怪物のような顔の女と時計のような頭の男」 この2作は設定から結末まで巧く構成されていて、 個人的にインパクト高で唸りました。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
前バカミスの三崎黒鳥を読んでいたので、
ある程度の身構えをしつつ手に取りました。 今回も何かが仕掛けられている事は明らかな文体。 おかしい。不自然すぎる。一体何が仕掛けられているのだ? とヤキモキさせる読書感は健在。 文体以外にも特徴的なのは、 ノベルスの上下2段を活用し、 上段がアメリカ、下段をイギリスを舞台に 物語が同時進行する手法。 これは『本』に価値を持たせている事や、 文庫化して販売経路を増やす事が念頭にない作品づくりには 敬意を表します。 新世界が崩壊する真相が明かされた時は、 バカミスと身構えているにも関わらず失笑と脱力。 また、その後の作者の努力に驚き、 最終章「もう1つの崩壊」で 物語を別世界に構築した様は色々な意味でゾクっとしました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
異文化による価値観の違いが
ミステリと上手く絡んでいると感じました。 世界の景色がうまく描かれていおり、 まるで詩を読んだかのように思い浮かぶ情景がとても綺麗です。 巻頭の「砂漠を走る船の道」より、 砂漠の民が数日間 命がけで砂漠に向かい採取する岩塩。 危険な旅だが、なんと5ドルももらえるからだ。と話すシーンは 本書が扱う異国をより印象付けたと感じました。 また、「叫び」については価値観の違いを巧く扱い、 ダークな雰囲気が引き立つインパクトある作品で 短編ながらもとても重厚でした。 ただ、ラストの「祈り」については、 雰囲気を崩してしまった印象を受けたのが正直な所ですが、 全体的に良い作品でした。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
不倫相手の女性が整形手術をする事をきっかけに、
その女性と主人公の心理模様が楽しめた作品。 奇妙な後味で終わる結末がとても良いと感じました。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
|
||||
|
|
||||
【ネタバレかも!?】
(1件の連絡あり)[?]
ネタバレを表示する
|
||||
---|---|---|---|---|
表紙の雰囲気が素晴らしいですね。
まずそう感じました。 素人探偵みかげの口から 探偵の存在についての力強いメッセージを受け、 ミステリにおける探偵とは何か? 真相とは何か? を考えさせる内容だったと感じました。 実は、本書の結末は1つの解答例なだけで、 夏冬や神様ゲームのように 裏の真実を描ける麻耶雄嵩ならではの別の真相があるんじゃないか? と深読みしてしまう作品でした。 探偵が語る真相が真実ではない。 本書の解答も真実ではない。 読み終わってから自分で真実を探る。 そんな麻耶雄嵩の魅力が本書でも感じました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
死ぬ事、殺す事は最悪の出来事。
馬鹿か貴様は。スパイは孤独だ。自分で判断しろ。 と、何度も繰り返されるスパイの規律。 そのスパイを養成する結城中佐の存在が不気味で圧巻。 読中に出てくる"魔王"の言葉がしっくりきます。 プロットの良さはもちろんの事、 これらを引き立てる硬質な文体がとても良いです。 長編ではなく短編集ですが この緊張感溢れる文章を読むには 短編で一呼吸おけるこの文章量がとても丁度良いと感じました。 短編とはいえ、1つ1つがとても良くできています。 相手の先の先の先までよんで静かなる行動を遂行するスパイ。 常識を超えた者たちの行動や真相に驚かされました。 作品の中では「ロビンソン」が一品。 真相にゾクっと来ました。 |
||||
|
||||
|
|
||||
【ネタバレかも!?】
(2件の連絡あり)[?]
ネタバレを表示する
|
||||
---|---|---|---|---|
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
本を開いた最初のページに『読者への挑戦』があります。
目次や本のタイトルよりもまず『読者への挑戦』がある挑発的な構成に驚きました。 そして、『雪の山荘』の定番要素、 吹雪による、クローズド・サークル。連続殺人、雪の足跡問題、手口の違う殺人 などが豊富に盛り込まれているのも好みです。 新しさは見えないかもしれない。 でもそんな定番とも言えるコテコテな本格が好きな自分は中々楽しめました。 が、探偵の魅力や説明具合からなのか、 納得できて楽しめた真相に魅力が残らず、 ラスト失速してしまった印象でした。 とはいえ、やはり真相は凄いの一言。 ▼以下、ネタバレ感想 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
前作同様、ぐちゃぐちゃのエログロなので、
推理作家協会賞受賞しているとはいえ耐性がある人向け。 子供の無邪気さ残酷さがそのまま大人になってやりたい事をしている感じで、 気持ち悪い所は気持ち悪く、でもユーモアを忘れずそんなに気が重くならない 絶妙な危ないバランスがとても気持ち良い。 富蔵のエールのシーンとかもう、良い意味で変態です。 乱暴な会話文と言い回しのセンスが今作も凄いなと思いました。 ハチャメチャな話なのですが、 最後に一気に物語を収束させたのが圧巻。 前作の髑髏の様な扱いを感じた 本編と外れた美樹夫のナムールの物語がいろんな意味で面白い。 単純に小説の伏線と捉えたり、蟲の気持ち悪さの雰囲気作り、 深読みして人種差別を感じられたりなどなど、、、 エログロのインパクトの裏側に作られている土台がすごい。 とんでもない本だなと思います。 ▼以下、ネタバレ感想 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
蛭(ヒル)女というなんとも陰鬱な雰囲気を感じさせる作中作のタイトル。
蛭女の書の中では孤島に閉じ込められた女子高生たちが殺人事件に巻き込まれていきます。 孤島の雰囲気と日本家屋が舞台の密室殺人。 現場の廊下に残された蛭の徘徊を思わせる濡れた足跡の存在など。 本格物の舞台設定とホラーの妖しさを足した コテコテの舞台がとてもワクワクしました。 とはいえ、 ガチガチのミステリと言うわけではなく、 バカミスと言われても仕方がないニヤリと失笑するトリックが出てきたり、 嫌な気分になる陰鬱な心情を読ませるシーンなど、 色々な要素が絶妙なバランスで構成されている作品と言う印象でした。 作品全体を通して実現した大仕掛けがありますが、 これはこのアンバランスさで 禁じ手を、禁じ手と思わせない世界観を作り、 読者が許容できる不確かさの敷居を下げて実現されたのではないかと感じました。 事情がある本書ではありますが、 そのまま埋もれてしまうには勿体無い仕掛けと 魅力に溢れた作品だと思いました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
||||
|
||||
|