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水上のパッサカリア
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水上のパッサカリアの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点2.67pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全7件 1~7 1/1ページ
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読む前は、 この厚さの単行本なら2時間くらいで読み終えるかなーと思っていました。 主人公についての情報が最初の方ではあまり出されておらず、 読み進むにれて小出しに出てくる為、先へ先へと読み進めたくなりました。 しかし、内容が重い訳ではないのにモ〜ッタリしていて 途中で何度か休憩を入れたくなり、 結局読み終えるのに半日かかりました。 前半は、主人公のあまりの冷ややかな視点に 不吉な予感を抱えながら読み進めましたが、 最後まで読み終えて……菜津とこの主人公のふたりをそうっと抱きしめたくなりました。 読後感は穏やかで爽やか。 読んで良かったなーと思える、印象に残る一冊でした。 | ||||
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第10回日本ミステリー文学大賞 新人賞受賞作 の 作品 多分日本のミステリー文学のレベルが高いのか,相対的にこの本の 評価が低いものの,あまりミステリーを読みなれていない私には かなり楽しめました. 帯に書かれている「精緻に書き上げた男と女の物語」というのは 微妙な立場にある冴子にはあてはまらないし,「傑作ハードボイルド」なのは 主人公の生活慣習だけで,全体には粗が目立つ気がします. しかし,主人公の菜津に対する感情と,謎の死因,そして巻き込まれていく 問題など,展開の面白さにとても惹かれました. 所々に息切れして雑さが感じられ,多分に一発屋で終わりそうな著者の デビュー作ですが,酷評するほど悪い作品では無いと考えます. | ||||
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やたら長い文章、かなり無理な設定(サバイバルキャンプに遺棄って何だ?)、今一歩感情移入しにくい脇役達(冴子ってどーしてそーなるの)、都合のいい展開(相撃ちってそんなの…)等々確かに穴が目立つ作品でしょう。 でもでも、(著者はどーゆうつもりかわかりませんが)本作品はミステリーあるいはハードボイルドに名を借りた素敵な「恋愛小説」なのです。 「蛙みたいな顔の、チビでせっぽちのダサい女」だけど「暖かい心」の持ち主「奈津」が余命いくばくもない病にかかる。はっきり言って、ありふれた使い古された陳腐な設定です。でも、そんな奈津との思い出が、一人称 「主人公 勉」の語りの中で、訥々と語られていく。「語り」の中の奈津は、生き生きと健気で、そして限りなく切ない。ハードボイルドな設定は、そんな奈津の切なさを際立たせるだけのスパイスに過ぎないのかもしれません。そして主人公「勉」の数奇で過酷な人生設定すらも…。 そう、これは「恋愛小説」ですらない「奈津」の限りなく切ない人生に対する鎮魂の物語なのだ。というのはちょっと無理があるかなぁ…。 | ||||
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海野碧、ただ者ではない。 ミステリー文学賞新人賞?調べたら57歳のおばさんとのこと。これまでにも小説を書いたことはあったらしいけど、気晴らしに書いて、新人賞とは、信じられない。一体何者なのだ。 前半は菜津という哀れな恋人との絡みの描写、この主人公は一体何者?スパイ?、CIA?元刑事?、巧みな筆裁きに、小説にどんどん引き込まれていく。最初の背景の設定自体で、読者の心をつかんでしまっている。ただ後半の昔の仲間が現れた辺りから、少々物語をふくらませすぎたのか、ストーリーの展開が急で、筆が荒くなったように思う。特に最後の部分は二転三転して、ストーリーに無理がある。後半のストーリーをもっとシンプルにして、菜津との思い出、主人公の経歴に重点を置いて欲しかった。でもミステリーとしては、上出来の部類に入る。ゴールデンウイークに読んだ本の3冊目。満足行く小説であった。 | ||||
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うーん、よく書けている(ってエラそうだが)ハードボイルド風の作品であることは認めるが、いかんせん薄い読書感であった。本書の新聞広告に、『ロング・グッドバイ』と並行して読んでいたけれど本書の方により引き込まれた、といった怪しげな読者感想が載せられていたが、これ、なんとなくわかる。重厚に書き込まれ各場面各言葉にそれぞれ何度でも読み返す価値のある「ひっかかり」があるがゆえに、読むのに少し精神力が必要とされる古典より、本作のようなテンポのよいストーリー展開と平明なユーモアと屈託のない感傷と何も残らない爽快感の方が、現代のマジョリティには受けるのだろう。私も全体としては楽しく読んだ。 けれど根本的な問題として、はたしてこの主人公は魅力的なのか、という疑念を強く抱く。心技体ともに鍛えられており狡猾な頭脳をもち、常にかっこよく立ち回りやたらと人に好かれるのだが、なんだかやり手のエリート・サラリーマンみたいであまり共感できなかった。前半の愛した女性との嬉しく哀しい物語+謎めいた過去の小出しの連続、という部分はけっこう魅了されたのだが、彼の正体がだんだん明らかになり嬉々として本領発揮し始めてからが非常につまらなかった。世渡り上手な「私」はちょっとなあ、と。 たとえば桐野夏生の創作したミロとかね、不器用に傷つき傷つけられながら、表向きにはかっこ悪かったりみっともなかったりするのだけれど小説世界で輝く強さ、みたいのが好きな読者としては、本書の主人公のあからさまなヒーローぶりは正直しんどい。 | ||||
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ハードボイルドは苦手という人にも是非勧めたい。私自身ハードボイルドは苦手だが、文句なくよかった。主人公の大道寺勉は表向きは自動車整備工だが、どうやら裏の顔があるらしく、それがなんなのかは中盤になるまでわからない。そこに至るまではラブストーリーかと思うほどに切なく美しい。 奈津という女と湖畔の家に越してきて3年。大道寺の回想の中で語られる奈津はもうこの世にいない。彼女のいじらしさ、はかなさ、けなげさに何度か涙が出た。「女はどこかで踏んだり蹴飛ばしたりする石ころのようなもの、かわいらしくて素直な石ころなら拾って撫でまわし、磨きもしてしばらくは懐で温めもするだろうが、しょせんは石ころだから飽きたら捨てればいい」。女に対してその程度の認識しかなかった彼が、亡くなった奈津の遺灰をいつまでも手元に置いている切なさ。 中盤から様相は一変しハードボイルド色が濃くなってくる。グイグイ引き込まれる。彼のもうひとつの裏の顔と仕事。誰が利用されて誰が生き残るのかわからないサバイバルゲーム。最後までどんでん返しが続く。 たった一人で過酷な過去を乗り越えて生きてきた男と、その人生に飛び込んできた幸薄い奈津という女。その女の忘れ形見のような犬、ケイト。これらが渾然一体となってハードボイルドなのに柔らかな小説になっている。女性にもお勧めだと思う。 | ||||
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謎のありそうな主人公とその恋人の死から物語は始まる。彼は一体どんな秘密を持っているのか、彼女への愛はなんだったのかと、一気に読み進められる筆力。ただ、その過去がやや説得力に乏しい感じを受けるのが残念。 | ||||
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