ミノタウロス

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ミノタウロスの評価:

3.86/5点 レビュー 29件。 B ランク

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平均点3.86pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全42件 1〜20 1/3ページ
No.42
(5pt)

問題なし

問題なし
ミノタウロス (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ミノタウロス (講談社文庫)より
4062766515
No.41
(5pt)

問題なし

問題なし
ミノタウロス Amazon書評・レビュー: ミノタウロスより
4062140586
No.40
(5pt)

訳本?と思わせる文体だが

徹底的に神も仏も正義も悪も無い、ただ漠然と生きる事を前提に何もかも失った男が略奪、強姦、虐殺を重ねていく。
必ず二度繰り返して使用される動詞の語彙が広く、辞書片手に読む楽しみがある。他のレビューにもある通り、物語の舞台がロシア南部である必要性は無いのだが、文章が訳本の世界文学全集を思わせる感じなので著者の趣向か。
甘さを排したハードボイルドな世界を昭和的な筆致で描写した力作で、その密度の高さは凄いものがある。
吐き気をもよおす程の残虐非道の小説だが手に取って絶対に損は無い一冊ではないだろうか。
ミノタウロス (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ミノタウロス (講談社文庫)より
4062766515
No.39
(5pt)

訳本?と思わせる文体だが

徹底的に神も仏も正義も悪も無い、ただ漠然と生きる事を前提に何もかも失った男が略奪、強姦、虐殺を重ねていく。
必ず二度繰り返して使用される動詞の語彙が広く、辞書片手に読む楽しみがある。他のレビューにもある通り、物語の舞台がロシア南部である必要性は無いのだが、文章が訳本の世界文学全集を思わせる感じなので著者の趣向か。
甘さを排したハードボイルドな世界を昭和的な筆致で描写した力作で、その密度の高さは凄いものがある。
吐き気をもよおす程の残虐非道の小説だが手に取って絶対に損は無い一冊ではないだろうか。
ミノタウロス Amazon書評・レビュー: ミノタウロスより
4062140586
No.38
(4pt)

気分が悪くなる、でも面白い

第29回吉川英治文学新人賞受賞作。帝政ロシア崩壊直後が舞台のピカレスク小説。

帝政ロシア崩壊直後の混乱の中で、人間が単純な生と単純な快楽を貪り食う存在となってうごめく様を描いている。語り手である主人公はそれを美しいと語っている。確かにそれはまぎれもない「自然」で、この世界の見事な景色や動物たちの営みがもつ美しさと共通するものがある。弱肉強食、それはこの世界のシンプルな真理であり、余計なものを取り去ったシンプルなあり方こそ自然で美しい。
が、現代日本の「真っ当な」道徳観では、そんなものを見ても美しさに陶酔する前にどうしても吐き気を催してしまう(苦笑)。よって面白くて一気に読んだが胸が悪くなってしまった。

主人公含め登場人物全員が屑と悪人。作中で主人公がやたらと屑呼ばわりされているが、まあ屑なのだけれども特別腐っているわけでないような気がする。皆が皆殺しも強姦も略奪も平気でやるので。それでもそんな「のらくらども」にも主人公が屑呼ばわりされるのは「人の心が最初から備わっていない」のと「相手を選ばない」かららしいのだが、私にはよく理解できない。皆惨たらしく人を殺す屑だと思うのだが……。ごろつきにしかわからない線引きがあるのだろうか。
村が崩壊したのも兄が死んだのも主人公に原因がある。が、確かに主人公は女を孕ませたり強姦したりして女の兄や恋人をキレさせたが、この作品世界では何も特別なことではない。主人公の母親にしたって強姦されているわけで、そのおかげで主人公の本当の父親はわからないのだし。兄の死だってギャンブルで全財産擦った自業自得ともいえるし。
まあ、皆五十歩百歩のろくでなしだ。主人公が百歩の方だったとしても。

ただまあこの主人公(と他の悪人も)、本当に人の心がないとも断言できない。終盤の「トリスタンとイゾルデ」の映画上映のシーン、あそこで本人たちにとっても不思議なことだが皆静かに涙を流すのだ。「どうしようもない代物」と評していた映画なのに。
それからつるんでいたウルリヒの女を殺されて主人公も何か思ったようだし、ウルリヒが描く最新型の飛行機を見てこれを作ろうと考えたり。他にも時たま人の心が垣間見える。
余計なものを剥ぎ取って生そのものになった「悪人」の中にも、人として生まれた以上は人の心がこびりつくように残ってしまうものなのだろうか。人間のふりをして立たざるをえないのだろうか。
ミノタウロス (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ミノタウロス (講談社文庫)より
4062766515
No.37
(4pt)

気分が悪くなる、でも面白い

第29回吉川英治文学新人賞受賞作。帝政ロシア崩壊直後が舞台のピカレスク小説。

帝政ロシア崩壊直後の混乱の中で、人間が単純な生と単純な快楽を貪り食う存在となってうごめく様を描いている。語り手である主人公はそれを美しいと語っている。確かにそれはまぎれもない「自然」で、この世界の見事な景色や動物たちの営みがもつ美しさと共通するものがある。弱肉強食、それはこの世界のシンプルな真理であり、余計なものを取り去ったシンプルなあり方こそ自然で美しい。
が、現代日本の「真っ当な」道徳観では、そんなものを見ても美しさに陶酔する前にどうしても吐き気を催してしまう(苦笑)。よって面白くて一気に読んだが胸が悪くなってしまった。

主人公含め登場人物全員が屑と悪人。作中で主人公がやたらと屑呼ばわりされているが、まあ屑なのだけれども特別腐っているわけでないような気がする。皆が皆殺しも強姦も略奪も平気でやるので。それでもそんな「のらくらども」にも主人公が屑呼ばわりされるのは「人の心が最初から備わっていない」のと「相手を選ばない」かららしいのだが、私にはよく理解できない。皆惨たらしく人を殺す屑だと思うのだが……。ごろつきにしかわからない線引きがあるのだろうか。
村が崩壊したのも兄が死んだのも主人公に原因がある。が、確かに主人公は女を孕ませたり強姦したりして女の兄や恋人をキレさせたが、この作品世界では何も特別なことではない。主人公の母親にしたって強姦されているわけで、そのおかげで主人公の本当の父親はわからないのだし。兄の死だってギャンブルで全財産擦った自業自得ともいえるし。
まあ、皆五十歩百歩のろくでなしだ。主人公が百歩の方だったとしても。

ただまあこの主人公(と他の悪人も)、本当に人の心がないとも断言できない。終盤の「トリスタンとイゾルデ」の映画上映のシーン、あそこで本人たちにとっても不思議なことだが皆静かに涙を流すのだ。「どうしようもない代物」と評していた映画なのに。
それからつるんでいたウルリヒの女を殺されて主人公も何か思ったようだし、ウルリヒが描く最新型の飛行機を見てこれを作ろうと考えたり。他にも時たま人の心が垣間見える。
余計なものを剥ぎ取って生そのものになった「悪人」の中にも、人として生まれた以上は人の心がこびりつくように残ってしまうものなのだろうか。人間のふりをして立たざるをえないのだろうか。
ミノタウロス Amazon書評・レビュー: ミノタウロスより
4062140586
No.36
(5pt)

快楽としてのピカレスク小説

小説を読むことが快楽であるということを純粋に教えてくれる一作。
 第一次世界大戦前後のウクライナの地主の息子であるヴァシリ・ペトローヴィチ・オトレーシコフはフランス語とドイツ語とロシア語を操る天才児でありながら、その本質は獣そのものである。「僕はけだものだったし、けだもの以上のものになろうとしたことは一度もない」という本人のセリフが、その単純極まる性質を見事に言い表している。

 二十世紀初頭のウクライナを舞台とした綿密な取材と描写、そしてところどころに挟まれる切れ味溢れる一節は、読む度に読者に快い思いを味あわせてくれる。「学の無い奴は皆シェイクスピアが好きだ」「首を吊るロープに石鹸を塗ることを思いつくのに大学を出る必要はない」など。
 ただ、個人的にはこの小説は根本の部分で少女漫画の構造を持っていると思う。ところどころで、『けだもの』であるところのヴァシリはロマンを解し、激情に身を委ねる。虚栄心に突き動かされる美女マリーナのために眠れぬ夜を過ごし、僚友ウルリヒのの復讐に共鳴し放擲の人生へと身を投じる。『けだもの』の一言では表わせきれない人間性の理不尽さを随所に併せ持つヴァシリは、どこかしらロマンを内に秘めた憎めない人間像を覗かせる。途中、サイレント映画の脚本作成に加わる場面においてはその人間の理不尽さは極地に達する。        .

 彼のもう一人の保護者とも言えるシチェルパートフ、恋人のテチヤーナ、シェイクスピアを愛好する革命志向の小男グラバク、魅力的なキャラクター達が織り成す物語は一切を否定しながら突き進み、終着を迎える。女性作家の鋭い感性が描き出す批判的人間像を愉しみながら、何度と無く読み返したくなる小説である。
ミノタウロス (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ミノタウロス (講談社文庫)より
4062766515
No.35
(5pt)

快楽としてのピカレスク小説

小説を読むことが快楽であるということを純粋に教えてくれる一作。
 第一次世界大戦前後のウクライナの地主の息子であるヴァシリ・ペトローヴィチ・オトレーシコフはフランス語とドイツ語とロシア語を操る天才児でありながら、その本質は獣そのものである。「僕はけだものだったし、けだもの以上のものになろうとしたことは一度もない」という本人のセリフが、その単純極まる性質を見事に言い表している。

 二十世紀初頭のウクライナを舞台とした綿密な取材と描写、そしてところどころに挟まれる切れ味溢れる一節は、読む度に読者に快い思いを味あわせてくれる。「学の無い奴は皆シェイクスピアが好きだ」「首を吊るロープに石鹸を塗ることを思いつくのに大学を出る必要はない」など。
 ただ、個人的にはこの小説は根本の部分で少女漫画の構造を持っていると思う。ところどころで、『けだもの』であるところのヴァシリはロマンを解し、激情に身を委ねる。虚栄心に突き動かされる美女マリーナのために眠れぬ夜を過ごし、僚友ウルリヒのの復讐に共鳴し放擲の人生へと身を投じる。『けだもの』の一言では表わせきれない人間性の理不尽さを随所に併せ持つヴァシリは、どこかしらロマンを内に秘めた憎めない人間像を覗かせる。途中、サイレント映画の脚本作成に加わる場面においてはその人間の理不尽さは極地に達する。        .

 彼のもう一人の保護者とも言えるシチェルパートフ、恋人のテチヤーナ、シェイクスピアを愛好する革命志向の小男グラバク、魅力的なキャラクター達が織り成す物語は一切を否定しながら突き進み、終着を迎える。女性作家の鋭い感性が描き出す批判的人間像を愉しみながら、何度と無く読み返したくなる小説である。
ミノタウロス Amazon書評・レビュー: ミノタウロスより
4062140586
No.34
(5pt)

快楽としてのピカレスク小説

小説を読むことが快楽であるということを純粋に教えてくれる一作。
 第一次世界大戦前後のウクライナの地主の息子であるヴァシリ・ペトローヴィチ・オトレーシコフはフランス語とドイツ語とロシア語を操る天才児でありながら、その本質は獣そのものである。「僕はけだものだったし、けだもの以上のものになろうとしたことは一度もない」という本人のセリフが、その単純極まる性質を見事に言い表している。

 二十世紀初頭のウクライナを舞台とした綿密な取材と描写、そしてところどころに挟まれる切れ味溢れる一節は、読む度に読者に快い思いを味あわせてくれる。「学の無い奴は皆シェイクスピアが好きだ」「首を吊るロープに石鹸を塗ることを思いつくのに大学を出る必要はない」など。
 ただ、個人的にはこの小説は根本の部分で少女漫画の構造を持っていると思う。ところどころで、『けだもの』であるところのヴァシリはロマンを解し、激情に身を委ねる。虚栄心に突き動かされる美女マリーナのために眠れぬ夜を過ごし、僚友ウルリヒのの復讐に共鳴し放擲の人生へと身を投じる。『けだもの』の一言では表わせきれない人間性の理不尽さを随所に併せ持つヴァシリは、どこかしらロマンを内に秘めた憎めない人間像を覗かせる。途中、サイレント映画の脚本作成に加わる場面においてはその人間の理不尽さは極地に達する。        .

 彼のもう一人の保護者とも言えるアナトーリ・ティモフェイヴィチ・シチェルパートフ、恋人のテチヤーナ、シェイクスピアを愛好する革命志向の小男グラバク、魅力的なキャラクター達が織り成す物語は一切を否定しながら突き進み、終着を迎える。女性作家の鋭い感性が描き出す批判的人間像を愉しみながら、何度と無く読み返したくなる小説である。
ミノタウロス (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ミノタウロス (講談社文庫)より
4062766515
No.33
(5pt)

快楽としてのピカレスク小説

小説を読むことが快楽であるということを純粋に教えてくれる一作。
 第一次世界大戦前後のウクライナの地主の息子であるヴァシリ・ペトローヴィチ・オトレーシコフはフランス語とドイツ語とロシア語を操る天才児でありながら、その本質は獣そのものである。「僕はけだものだったし、けだもの以上のものになろうとしたことは一度もない」という本人のセリフが、その単純極まる性質を見事に言い表している。

 二十世紀初頭のウクライナを舞台とした綿密な取材と描写、そしてところどころに挟まれる切れ味溢れる一節は、読む度に読者に快い思いを味あわせてくれる。「学の無い奴は皆シェイクスピアが好きだ」「首を吊るロープに石鹸を塗ることを思いつくのに大学を出る必要はない」など。
 ただ、個人的にはこの小説は根本の部分で少女漫画の構造を持っていると思う。ところどころで、『けだもの』であるところのヴァシリはロマンを解し、激情に身を委ねる。虚栄心に突き動かされる美女マリーナのために眠れぬ夜を過ごし、僚友ウルリヒのの復讐に共鳴し放擲の人生へと身を投じる。『けだもの』の一言では表わせきれない人間性の理不尽さを随所に併せ持つヴァシリは、どこかしらロマンを内に秘めた憎めない人間像を覗かせる。途中、サイレント映画の脚本作成に加わる場面においてはその人間の理不尽さは極地に達する。        .

 彼のもう一人の保護者とも言えるアナトーリ・ティモフェイヴィチ・シチェルパートフ、恋人のテチヤーナ、シェイクスピアを愛好する革命志向の小男グラバク、魅力的なキャラクター達が織り成す物語は一切を否定しながら突き進み、終着を迎える。女性作家の鋭い感性が描き出す批判的人間像を愉しみながら、何度と無く読み返したくなる小説である。
ミノタウロス Amazon書評・レビュー: ミノタウロスより
4062140586
No.32
(4pt)

時計じかけのオレンジ(時代劇版)?

一般的なキャラクターの立ちかたとか、ストーリやオチや
テンポを期待する方にはあまり勧められません。
出来事はいつも唐突、人々はこすい。
ミノタウロス (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ミノタウロス (講談社文庫)より
4062766515
No.31
(4pt)

時計じかけのオレンジ(時代劇版)?

一般的なキャラクターの立ちかたとか、ストーリやオチや
テンポを期待する方にはあまり勧められません。
出来事はいつも唐突、人々はこすい。
ミノタウロス Amazon書評・レビュー: ミノタウロスより
4062140586
No.30
(4pt)

ちょっとだけ残念

非常によく書けているにもかかわらず、読後感の悪さ、達成感のなさに、作者が書こうとしたものが不明になる残念な作品でありました。

 書評家の豊崎さんは、何巻にもなるはずの内容をここまで凝縮していると誉めていましたが、わたしは、この小説は書きすぎてしまったのだと思います。
 筆を置くべき位置は、主人公がシチェルパートフを殺し、グラバクたちの宿舎に火を放って逃げるところではなかったでしょうか。

 主人公の死で終わる古典的な物語形式にこだわらず、最も効果的な位置にピリオドを打ってもらいたかったです。
ミノタウロス Amazon書評・レビュー: ミノタウロスより
4062140586
No.29
(4pt)

ちょっとだけ残念

非常によく書けているにもかかわらず、読後感の悪さ、達成感のなさに、作者が書こうとしたものが不明になる残念な作品でありました。

 書評家の豊崎さんは、何巻にもなるはずの内容をここまで凝縮していると誉めていましたが、わたしは、この小説は書きすぎてしまったのだと思います。
 筆を置くべき位置は、主人公がシチェルパートフを殺し、グラバクたちの宿舎に火を放って逃げるところではなかったでしょうか。

 主人公の死で終わる古典的な物語形式にこだわらず、最も効果的な位置にピリオドを打ってもらいたかったです。
ミノタウロス (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ミノタウロス (講談社文庫)より
4062766515
No.28
(5pt)

やくざものたちの流浪

主人公もたしかに暴君だが、まわりの人間も劣らぬ暴君が多い。
 みんなやくざものである。
 そもそも第一次大戦からソ連が成立するまでの状況というものが、凶暴な人間を跋扈させるのに良い環境、温床となっている。
 バイオレンスが炸裂する状況を描く筆は実に堅牢にして端正。暴力をかように整ったエクリチュールとして差し出すのはさすがだ。
 ただ、もう少し歴史小説としての蘊蓄とかを混ぜ込んでくれればもっと良かったかも。
 終盤の主人公の独白が心に残る。
 「人間を人間の格好にさせておくものが何か、ぼくは時々考えることがあった。それがなくなれば定かな形もなくなり、器に流し込まれるままに流し込まれた形になり、さらにそこから流れ出して別の形になるのを・・・ごろつきどもからさえ唾を吐き掛けられ、最低の奴だと罵られてもへらへら笑って後を付いて行き、殺せと言われれば老人でも子供でも殺し、やれと言われれば衆人環視の前でも平気でやり、重宝がられせせら笑われ忌み嫌われる存在になるのを辛うじて食い止めているのは何か。サヴァが死んだ時、ぼくはその一線を跨ぎ越しながら、それでもまだ辛うじて二本の脚で立っていた。」
ミノタウロス Amazon書評・レビュー: ミノタウロスより
4062140586
No.27
(5pt)

やくざものたちの流浪

主人公もたしかに暴君だが、まわりの人間も劣らぬ暴君が多い。
 みんなやくざものである。
 そもそも第一次大戦からソ連が成立するまでの状況というものが、凶暴な人間を跋扈させるのに良い環境、温床となっている。
 バイオレンスが炸裂する状況を描く筆は実に堅牢にして端正。暴力をかように整ったエクリチュールとして差し出すのはさすがだ。
 ただ、もう少し歴史小説としての蘊蓄とかを混ぜ込んでくれればもっと良かったかも。
 終盤の主人公の独白が心に残る。
 「人間を人間の格好にさせておくものが何か、ぼくは時々考えることがあった。それがなくなれば定かな形もなくなり、器に流し込まれるままに流し込まれた形になり、さらにそこから流れ出して別の形になるのを・・・ごろつきどもからさえ唾を吐き掛けられ、最低の奴だと罵られてもへらへら笑って後を付いて行き、殺せと言われれば老人でも子供でも殺し、やれと言われれば衆人環視の前でも平気でやり、重宝がられせせら笑われ忌み嫌われる存在になるのを辛うじて食い止めているのは何か。サヴァが死んだ時、ぼくはその一線を跨ぎ越しながら、それでもまだ辛うじて二本の脚で立っていた。」
ミノタウロス (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ミノタウロス (講談社文庫)より
4062766515
No.26
(5pt)

小児科医杉原のお薦め

残忍.気分が悪くなりました、というコメントもあると思いますが
戦争を直視する、という意味では良い教科書になりうると思っています.
天才マルクスがいくら立派な理想をとなえても、現場ではしょせんこんなもの.
それは過去だからではなく、第二次世界大戦も日本のみならず、どこでもそうだったろうし
いまだって、中国によるミャンマー、アフリカ諸国の紛争も同じでしょう.
願わくはここから私たちが、何を学ぶか.どんな世界を作りたいのかということにつながれば・・・

殺人を法律で犯罪とする国は多いですが
戦争を犯罪と法で定めたところはありません.
ミノタウロス (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ミノタウロス (講談社文庫)より
4062766515
No.25
(5pt)

小児科医杉原のお薦め

残忍.気分が悪くなりました、というコメントもあると思いますが
戦争を直視する、という意味では良い教科書になりうると思っています.
天才マルクスがいくら立派な理想をとなえても、現場ではしょせんこんなもの.
それは過去だからではなく、第二次世界大戦も日本のみならず、どこでもそうだったろうし
いまだって、中国によるミャンマー、アフリカ諸国の紛争も同じでしょう.
願わくはここから私たちが、何を学ぶか.どんな世界を作りたいのかということにつながれば・・・

殺人を法律で犯罪とする国は多いですが
戦争を犯罪と法で定めたところはありません.
ミノタウロス Amazon書評・レビュー: ミノタウロスより
4062140586
No.24
(5pt)

ピカレスク浪漫

ピカレスクの語源は悪漢小説。この小説の主人公、自由奔放に生きる地主の息子ヴァシリも見事な悪漢です。とにかく密度が濃いです。時代設定も二十世紀初頭ロシアという知る人ぞ知る非常にマニアックな選択。裕福な地主の次男として生を受けたヴァシリは、成り上がりの父を継ぐことを夢見て農業を学ぶも生来女好きな放蕩癖あり、下宿先の叔父の家の女中や故郷の娘とたびたび関係を持っていた。しかしそんなヴァシリの運命はロシアに迫り来る戦火に煽られ風雲急を告げる。強盗・強姦なんでもあり。人倫を踏み外す行為全般に一切ためらいない主人公の破滅的生き様は凄い。殺人や悪事に手を染めても一切心を痛めず自分を貫き生きるさまはいっそ清清しい。良心の所在が人間を定義する必須条件ならヴァシリの生き様はけだものさながら自由で獰猛で野蛮。常識に束縛されず倫理に唾し欲望に正直に生きるヴァシリはやがて脱走兵のイタリア人少年・ウルリヒと出会い意気投合する。このウルリヒがすっごいいいキャラしてるんですよ!ニヒルでいながらユーモアセンスに冴えて、飢えと寒さに苛まれたみじめな逆境でも軽口を忘れない。これにフェディコというびびりの少年をくわえ、やがて三人で盗んだ馬車を駆り、略奪と殺戮とどんちゃん騒ぎをくりひろげつつロシアを縦横無尽に奔走する帰るあてなき旅が始まる。そんなヴァシリたちのやりたい放題の暴走ぶりを「おいおいそのうち因果応報天罰がくだるぞ…」と眉をひそめ読んでいくと案の定後半で…ラストは言わぬが華ですがああ無情なかんじです。天罰というか人誅のほうでしたが。ヴァシリは自業自得だけどなあ…ウルリヒ…。文章の密度もかなり濃い。主人公が初めて人を射殺するシーンは比喩の秀逸さに感動しました。嗚呼美しい、官能的…ため息。 佐藤賢一さんの「傭兵ピエール」や森博嗣さんの「スカイクロラ」なんかが好きな方にもおすすめです。
ミノタウロス Amazon書評・レビュー: ミノタウロスより
4062140586
No.23
(5pt)

ピカレスク浪漫

ピカレスクの語源は悪漢小説。この小説の主人公、自由奔放に生きる地主の息子ヴァシリも見事な悪漢です。とにかく密度が濃いです。時代設定も二十世紀初頭ロシアという知る人ぞ知る非常にマニアックな選択。裕福な地主の次男として生を受けたヴァシリは、成り上がりの父を継ぐことを夢見て農業を学ぶも生来女好きな放蕩癖あり、下宿先の叔父の家の女中や故郷の娘とたびたび関係を持っていた。しかしそんなヴァシリの運命はロシアに迫り来る戦火に煽られ風雲急を告げる。強盗・強姦なんでもあり。人倫を踏み外す行為全般に一切ためらいない主人公の破滅的生き様は凄い。殺人や悪事に手を染めても一切心を痛めず自分を貫き生きるさまはいっそ清清しい。良心の所在が人間を定義する必須条件ならヴァシリの生き様はけだものさながら自由で獰猛で野蛮。常識に束縛されず倫理に唾し欲望に正直に生きるヴァシリはやがて脱走兵のイタリア人少年・ウルリヒと出会い意気投合する。このウルリヒがすっごいいいキャラしてるんですよ!ニヒルでいながらユーモアセンスに冴えて、飢えと寒さに苛まれたみじめな逆境でも軽口を忘れない。これにフェディコというびびりの少年をくわえ、やがて三人で盗んだ馬車を駆り、略奪と殺戮とどんちゃん騒ぎをくりひろげつつロシアを縦横無尽に奔走する帰るあてなき旅が始まる。そんなヴァシリたちのやりたい放題の暴走ぶりを「おいおいそのうち因果応報天罰がくだるぞ…」と眉をひそめ読んでいくと案の定後半で…ラストは言わぬが華ですがああ無情なかんじです。天罰というか人誅のほうでしたが。ヴァシリは自業自得だけどなあ…ウルリヒ…。文章の密度もかなり濃い。主人公が初めて人を射殺するシーンは比喩の秀逸さに感動しました。嗚呼美しい、官能的…ため息。 佐藤賢一さんの「傭兵ピエール」や森博嗣さんの「スカイクロラ」なんかが好きな方にもおすすめです。
ミノタウロス (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ミノタウロス (講談社文庫)より
4062766515