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万能鑑定士Qの事件簿 II
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万能鑑定士Qの事件簿 IIの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.26pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全58件 41~58 3/3ページ
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なるほど。の一言ですね。 決着までに至る道にかなりハラハラする場面があります。 その一方で決着自体は、とても落ち着いています。 そのギャップも面白いですね。 1巻で張った伏線(私では伏線と気づかなかったものもあります)が見事に収束しています。 | ||||
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アニメ、漫画が好きな私は、小説とは無縁の世界でこの作品と 巡り会ったのもアニメ好きがこうじてのものでした。 アニメキャラが好きな私は“凜田莉子”のイラスト可愛くて、 中身も読まず思わず表紙買いしてしまいました。 すると表紙に載っていたその人は知性、知恵に溢れ、冷静沈着且つ端麗な容姿で イラスト以上に魅力的な女性でした。 小説の中では莉子の発言に皆が注目、驚嘆する場面が多くみられ 私も莉子の発言に期待を隠せませんでした。 引き続き莉子の活躍を見たく、3巻も即注文しました。 勿論、莉子以外のキャラクターも個性、感受性に富み人間味ある人物ばかりで 共感が持てる部分が多かったです。 テンポ良く進む話に心踊り、踊らされ一気に読み終えてしまいました。 活字初心者にもお勧めです。 | ||||
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ビブリア古書堂をチェックしてると、 本書をamazonがオススメしてくれたので購入してみました。 著者さんについては「催眠・千里眼」シリーズのみ読破しています。 ファンというほどではありません。 まず購入動機は表紙を飾る女性のイラストに他なりません。 とっつぁんくさい引用で申し訳ないんですが かの「エイトマン」でおなじみ桑田次郎先生が描く 女性の絵にテイストが似ていたもので心惹かれました。 クールビューティ、ミステリアス。とてもいいイラストだと思います。 で、本書の内容ですが、なかなかに面白いです。 最初は都市伝説的な事件(?)の調査に始まり、それから詐欺事件、偽札事件と どんどんと話が大きくなっていきます。 事件の謎に挑むヒロインは特殊な能力の持ち主ではありますが、 本当にただそれだけが取り柄の23歳の田舎娘です。 ざっくり書けば、故郷の沖縄でのんびりと天真爛漫に育った女の子が 上京して自分の生活力の無さに挫折しかかるも 人生の起点となる人物と出会い、見事に成長し、 その生きる術を与えてくれた恩師に恩返しをする、というお話です。 カンタンにまとめ過ぎたかもしれませんが 実際そういう話だと思います。 事件の発生、解決まで、すべてが繋がっていて 圧巻のラストを迎えるのですが、 クライマックス直前に、ヒロインがすべてに気づく瞬間があります。 気の早い読者はヒロインと同時かそれ以前に事件の主犯に気づくかもしれません。 それでも、いいようのない感動といいましょうか いいものを見つけたよ!という気持ちにさせてくれました。 引き続き、続巻を読んでいきたいと思えるものです。 他人の善意や、昔懐かしい人づきあい・気持ちに餓えている人にもお勧めです。 文句なしの★5です。 (※'T&'U2冊でひとつのエピソードになっています) | ||||
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一巻の続編です。 相撲シールや偽札の謎が解けます。 衝撃のラストです。 | ||||
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面白いんだけど、いろいろとご都合主義過ぎる 以下ネタバレ含む 「犯人」が意外な人物、これはいい しかし、その人が事件の起こる前から「探偵」と知り合いで、「探偵」になるきっかけを与えた人物である これはアンフェア(ホームズが探偵になるきっかけをモリアーティが与えるようなもの) もっともミステリーではない読み物と考えれば納得もいく それと、精巧な偽札が大量に出回ってもハイパーインフレにはならない 紙幣の価値が下がったとしても、庶民は物々交換もできるし、金貨や金塊・有価証券を利用した決済もできる。 土地・建物その他固定資産の絶対的価値が下がったわけじゃない しかもそのインフレを起こそうとした動機ってのが小さすぎ それであんなに大きな騒ぎになるのか また、イラストレーターの兄弟があまりにもスゴ過ぎ あんな腕があるのなら、莉子のように上京しようと思わなかったのだろうか わざわざ辺鄙なところに引っ越していたし(糸満から西表) そして日本政府や日銀、警察はこんなにも無能なのか 警察だけで対応できない事態なら、自衛隊に治安出動命令は出さないのか 国家は有事の際どのように動くか想定している(といってもあの地震以降よく分からなくなってきているが) 近未来のドタバタをシリアス・コメディ両方に描いた小松左京なら、もっと違う展開になったと思う 面白いのは間違いない、2巻は一気読みした | ||||
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偽札によるハイパーインフレで社会が大きく乱れていく。急激な物価高、鑑定士の凛田以外も視点が変わり、物語は進行していく。登場人物の人間としての葛藤、想いも魅力的で次へ次へと読み進めていました。偽札もある種、人間の業から生み出されたものかもしれません。 | ||||
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【あらすじ】 精巧な偽札の流出により、ハイパーインフレを起こした日本。 雑誌記者の小笠原も、これまで月八万三千円だった家賃が四十万六千円に跳ね上がると聞き、 目の前が真っ暗になる。世間がどうであれ、給料は従来通りなのだ。 国民は日々の生活を守ることに躍起になり、治安は悪化の一途を辿る。営業している店も 減り、何処も彼処も廃墟のようだ。 一方、万能鑑定士・凜田莉子は、犯人の手掛かりが沖縄にあるのではないかという糸口を見つけ、 沖縄へと向かっていた。 果たして、犯人の手掛かりを見つけることが出来るのか―― 【感想】 一巻の続きです。一巻で小出しにされていたハイパーインフレの経緯が、この巻で明らかになります。 専門的なことが多く出てきますが、とても分かりやすく描かれているので、混乱することなく読み 進めることが出来ました。 どんでん返しの連続で、息をつかせる間もない構成は本当に見事だと思います。 また、好みが分かれるかと思いますが、様々な人の目線で描く本書の描写スタイルにより、人物や世界観 に深みが加わって良かったです。 最後も犯人の視点で描かれている為、悲壮感に拍車がかかり思わず涙が出ました。 事件の収拾の付け方がとても良かったです。 一巻と二巻で前編・後編になっていますので、同時購入をお勧めします。 | ||||
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世はハイパーインフレーションに陥った現代日本。政治や経済は崩壊し、国民 は元より、海外からも見放される日本。そんな中、莉子や小笠原、氷室はバラ バラながら、独自にハイパーインフレの真相に迫っていく。 相当意外な結末であった。推理しながら読まなかったので尚更。私は意外性を 感じることができたので、その点では楽しめた。クライマックスでは食い入る ように文面を追い、想像力をフル稼働させてしまいましたね。良い意味で騙さ れたので、ミステリのストーリーに関しては満足したというのが感想となるで しょう。 捜査が上手くいかない展開にも好感が持てましたね。すんなり解決してしまっ ては興ざめですから。今作では結構各キャラクター迷走している。途中で「こ れ解決するの?」と思ったほど。その反動として、結末は結構な急転直下を迎 えるように見える。しかし、実際はそんなこともなく、伏線や材料は1巻から 既に散りばめられていたりもする。迷走しているように見えて実は真実に向か っていたんですね。この構成力には参りました。 不満な点を挙げるとすると、1.クライマックスをもっと厚く書いて欲しかっ たこと、2.各キャラクターの内面をもっと掘り下げて欲しかったこと、3. 犯人の計画の詳細をより明らかにして欲しかったこと、の3点。これらをマイ ナスに評価したので☆1つ減。まあでも、これは好みの問題かなとも思う、特 に2なんかは。 相変わらず面白かったというのが、読み終わってみての率直な感想。ミステリ 好きなら手を伸ばしてみてもいいのでは。私としては、松岡先生の他の著作に も手を伸ばしてみようと考えている。期待を裏切られることはほぼないと思う ので。 | ||||
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面白いことは面白いんですが、 博識な著者が、なぜかマネタリーベースとマネーサプライ、信用創造の関係を知らないみたいで、 贋金の流通料の算出ロジックがどう見ても違うところで、ちょっと引きました。 ただ、ハイパーインフレ後の社会の混乱みたいなものはありえるような感じなので、 それはそれで面白いですね。 | ||||
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1巻からの続き・・上下巻のようになっています。 まさにパーフェクトですね!人が死なないミステリーでありながら壮大なお話になっています。完全にやられました。脱帽です。剥げている人はかつらをとるで しょう・・・。 あと気になるのが普通、苦情や商標登録などあるので小説では、みのもん太とかダモリとか当人を意識させながら登場させるのですが、この小説はストレートに まっすぐに、みのもんたとかタモリとか書くですよ!ある意味そこも斬新かと・・・・。(ガンダムエースには笑いがあります!) | ||||
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筆のエンターテイナー、松岡圭祐の新シリーズ第二弾。 大量のニセ札が出回ったことで、日本は未曾有のハイパーインフレーに襲われる。物価が異常に高くなり、誰もが毎日の生活すら送ることができず、いまや日本は混乱を極めた状態にあった。そんな中、ニセ札の正体を探っていた万能鑑定・凛田莉子は、ついにその犯人の正体をつきとめ……。 一読、これはすごいなぁと思いました。 元々、松岡さんは「あり得ないような状態」を提示しておいて、ぼんっと魔法のように一発でそれを解決してしまう、という話を得意にしています。(千里眼シリーズはまさにそれが醍醐味でもありました) この作品では、その前半の「あり得ないような状況」が見事なまでに素晴らしいのです。 インフレのために混乱に陥る日本の姿。そして、全員が守銭奴のようになってしまう状況。荒廃する都市。 現代日本を舞台にして、こんな状況を描けるのは松岡さんならではといった感じでしょう。 ただ、あまりにもその設定が凄まじすぎるため、解決の部分がちょっと弱くなっていました。 なるほど、とは思わせてくれるのですが、だからといって、その状況が一発で解決、とまではなっていません。 今後、日本は徐々にインフレから立ち直っていくだろう。という、あまり松岡さんらしくないラストは、小説にリアリティをもたせるためにはしょうがなかったんだと思います。でも、そこを大逆転の図にして欲しかったです。 これ、シリーズモノとして続くらしいので、はたして、次回作はどうなるのか。楽しみに見守りたいと思います。 ※ほか、いろいろ。 ・1巻の時にも書きましたが、これって1、2巻合わせてひとつのお話になっています。くれぐれもご注意を。 ・表紙の絵はやはり気に入りません。 ・これはこれでいいのですが、千里眼シリーズはどうなってしまったんでしょうか…。 ・好きな作家の作品なので星はあてになりません。 | ||||
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偽札の謎が気になって気になって、、、 ページをめくるのももどかしく読み進みました。 途中、沖縄での大失敗もストーリー上とてもよかったと思います。 ヒロインが完全無欠では面白くないですし、沖縄の葬儀文化を知ったことも私には収穫でした。 ラストが、そう来るか。。。って感じで ちょっと悲しかったです。 敵は、「メフィストコンサルティング」なみの冷血集団でいて欲しかったです。 これからシリーズ化されると思いますが、 人が死なない、でもスピード感があって読んでお得な情報がちりばめてある、この路線で行ってほしいと思います。 | ||||
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お試しに1巻を購入し、 雨が降る中、走って2巻を買いに行きました。 1巻と併せてご購入ください(笑)。 ↑1巻のレビューに書いとけって感じですね。 力士シールから、いきなり偽札氾濫により、 インフレの話になり… ここで登場するエピソードなどは無駄がなく、 本当に面白かったです。 ネタばらしは最終章に凝縮されていました。 小さなエピに無駄がないなら、かなりのページ数を割いたとあるエピは活かされるのか?とか、 思いながら読みました。 誰も死なない、そしてある理由から偽札を作り始め…そして… 布石はふんだんにありました。 そして誰もが「常識的に」疑うことで、どんどん騙されていく… 学校の勉強ができない莉子が万能鑑定士になるまでのプロセスは面白かった。 私も、それほど、学校の勉強ができたほうではないけれど、 大人になって、あの時勉強しとけばよかったと、後悔する時がある。 学生時代、自分の人生経験がないから、 なぜ学校での勉強が必要かなんて考えたことすらなかった。 学校での勉強がすべて…ではないけれど、 同じ勉強するにしても、莉子のように、歴史もその当時の人の気持ちになって勉強したら、 さぞかしおもしろかったんだろう、と。 逆に学校の勉強ができても、正しい方向に活かせないと、 これまた意味がありませんね。 | ||||
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円が機能しなくなった日本が描かれています。 今の時期に読むとドキドキハラハラで、震災後の日本によく似てて ある意味落ち着かないです。 計画停電が始まるという会見が催されたり、物価が異常に高騰したり。 震災でも日本人は冷静ってのがやっぱり経済が機能してるからこそで あると書いてあったのにはハッとさせられました。お金が使えなくなったら それこそ無法地帯ですもんね。 政府発表のミスも今の日本政府見てると無いとは言い切れないし 慌てて現金を放出させる国民の動きも、水やらトイレットペーパーや単一電池 買い占めたご時世を見てると納得いきそうで怖いです。 ミステリとしてはどんでん返しが利いていて巧いなと思いました。 余韻のあるラストだったと思います。 | ||||
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都内の地下鉄の広告を見て知りました。 皆さんの評価を拝見して、試しに購入して読んでみましたが、普段読書をしない私でも、一気に読んでしまいました。 ミステリー的内容が含まれるので、あまり詳細は触れられませんが、主人公(凜田莉子、表紙)が凄く魅力的で、物語を良質なものにしている。 高校卒業までは、担任が心配して家にかけつける程の劣等生であるが、あることをきっかけにして、知性と観察力に優れた鑑定家へと成長していく姿が描かれている。 決して完全で非の打ち所のない人物ではなく、凡人同様の失敗もし、考えることも我々と何ら変わりない。 違うのは、情報を正確に把握し、自分なりに解釈して記憶し、必要なときに引き出すことができるという点である。 (莉子ほどではないにせよ、)そういう人は現実にも沢山いて、話をして楽しいと感じることはよくあるだろう。莉子もその一人である。なので、はやく次の章が読みたいという気持ちに駆られ、いつのまにか読み終えてしまった。 2011年1月現在、7巻まで出版されている。他人に是非進めたい作品である。知識だけではなく、知恵も身につけられる作品である。 | ||||
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という話は、さっそくブラッディ・マンディにセリフ内でマネされてました。インパクトがある斬新な話だったからでしょう。トリックを推理できる化学要素は隠されずに前に明かしてあるんですが、うまく散らしてあるのでうまいこと引っかかりました。あれをファットマンキャラとして、ニコちゃんマークの反対の狙いで宣伝利用するという理屈は説得力があって、一瞬本当かと思いました。 | ||||
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「千里眼」シリーズの松岡圭祐氏による新たなミステリーの幕開けです。 今回の主人公は、鑑定士凛田莉子。万能鑑定士を名乗り、その卓越した知識と観察眼でどんなものでも鑑定してしまう若干23歳のスーパーヒロインです。 松岡圭祐氏の描くスーパーヒロインには、千里眼シリーズのスーパー・クール・ビューティ岬美由紀がいますが、彼女が文武両道のカリスマ的な突出した存在であるのに対し、本シリーズの莉子は博学ながらも素朴でおとなしいキャラクターという設定になっており、岬よりも少し人間的というか親近感がわきます。 とはいえ、その知識と観察力は驚愕に値するものであり、やはりスーパーウーマンであることには変わりないわけで、「ありえねぇ」シーンが多発するのは松岡シリーズの鉄板でもあります。 莉子がその類い希なる才能を備置するようになったのは、人間の記憶に関するメカニズムを教わったからなのですが、その内容自体は実にリアルなもので、松岡氏らしい蘊蓄が随所に見られます。情動が記憶のメカニズムに深い関係を有することは脳科学の分野では証明されていますが、それを高い感受性を有する莉子が実践していく件はなかなかに興味深いものがありました。 さて、本書のあらすじですが、都内を浸食していくシールの謎に始まり、国家規模の偽札事件、ハイパーインフレによる日本経済の終焉、という非常に野趣溢れる内容です。松岡ワールドここにあり、といった感じですね。細切れの章立てと小気味よいリーダビリティでどんどんページが進んでいきます。 残念ながら最後に辿り着いた「動機」に肩を落とすことになりましたが、エンターテインメントとしては面白く仕上がっていると思います。 なお、本書は角川文庫でT、Uの2冊で1つのストーリーが完結しますので、購入の際には2冊セットでのご購入をお忘れ無く。 V、Wも既に発売されているので、引き続き読み進めたいと思います。 | ||||
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1巻の続きです。この2巻で一つの話が解決し完結しますが、2巻から読み始めると 意味がわかりません。 1巻で匂わされたハイパーインフレの謎、コンビニの弁当が数万円、少年ジャンプが六千円 という物価高騰の謎がまず冒頭で明らかにされます。できればオビにでかでかと、あんな風に 書かないでほしかった。読んでから驚きたかったですね。 でもそれはあくまでこの本の発端。そこからは莉子や小笠原の、1巻に引き続きユーモラスで 人間味溢れるコミカルな活躍が始まります。 なんといっても、情報の処理の巧さは特筆に値します。経済の混乱を判りにくくせず、庶民の 目線で描写していく過程で必要な事を漏らさず伝えていくのは大変なものと言わざるをえません。 紙幣をその手で描ける工芸官というキーマンを追う過程、パニックの中を沖縄に向かい、まさか これでばったり犯人と会っちゃ安易だよなと思わせる読者の気分を逆手にとる展開、莉子の推理 が当たったり外れたりで本人と一緒に一喜一憂してみたり(その主人公らしからぬドジっぽさも 新鮮です)、とにかく起伏にぐいぐい引っ張られっぱなしです。 特に西表島、船浮集落から東京にとんぼ返りする辺りの展開は面白くて、これか?いやだめか、と 人の死んでいないのにハラハラさせられます。 手掛かりはちゃんと物語の中で提示されていて、解決篇としての最終章で会話のなかで少しずつ 事実が浮き彫りになるところの情報処理も、本当に優れてます。莉子は非常に魅力的なヒロインで、 読後も印象に残るキャラです。 たぶん松岡氏の作品としては、これまでで最も純然たるミステリ、推理物としての体裁の整った 作品でしょう。殺人事件がなくてもこんなに面白くできるんだ、というのは「催眠」が初めて 世に出た時と同じ。トリックだけじゃなくロジックもきちんと成立してて読ませます。 千里眼シリ−ズがあまりに奇想天外、荒唐無稽が売りになりすぎて松岡氏から離れていたという読者 に、オススメの作品と思います。千里眼が好きだった人には、贅肉をそぎ落として面白さを残した 作品と受け取られ、やっぱり楽しめると思います(機械のうんちくが延々書いてあるのが好きな人 だけには向かないでしょう)。公式サイトには集大成的作品とありましたが、さにあらず。 まったく新しい挑戦だと感じました。 内容には満足ですけど、 惜しいのはやっぱ、2巻に分ける戦略ですよ角川さん。これはいっぺんに読まないと。1巻だけじゃまだ 事件起きてないじゃないですか。同時発売の単行本はなぜか2巻併せた価格より高いし。 ダヴィンチコード3巻に分けるのもどうかと思いますが、分けるかどうかは内容で決めてくれませんかね。 このクオリティが維持されることを願い、来月の3巻を期待し待ちます。今度は音楽プロデューサーの詐欺師登場! 小室さん?(笑) | ||||
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