赤朽葉家の伝説

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赤朽葉家の伝説の評価:

3.77/5点 レビュー 107件。 B ランク

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平均点3.77pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全124件 61〜80 4/7ページ
No.64
(4pt)

一冊で3度プラスアルファー楽しめる “今どき”の大河小説

『私の男』で’07年下半期「第138回直木賞」を受賞した桜庭一樹が、その以前に、担当編集者から「“初期の代表作”を書いてください」と言われ’06年年末に発表した作品。見事、’07年上半期「第137回直木賞」の候補作となり(ちなみに受賞作は松井今朝子の『吉原手引草』)、同年、「このミステリーがすごい!」国内編で第2位に、「週刊文春ミステリーベスト10」国内部門で第4位に堂々ランクインして、「第60回日本推理作家協会賞・長編及び連作短編集部門 」を受賞した。
ところは鳥取県西部の地方都市。舞台は製鉄業で財を成した旧家。物語はその女系家族三代に渡る戦後昭和・平成期の年代記である。といってもよくある重厚な大河小説でも複雑なレトロ趣味の一大叙事詩でもない。
もともとはサンカなどと呼ばれる“辺境の人”の捨て子で、玉の輿に乗った<千里眼奥様>の祖母・万葉(まんよう)、そしてレディース暴走族から超売れっ子少女漫画家になった母・毛毬(けまり)。数奇な運命を送った二代の女性の人生を語るのが、「自身には、語るべき新しい物語はなにもない」と卑下する毛毬の娘・瞳子(とうこ)である。この、「今どきの娘」瞳子の語り口は、少女コミックっぽく、なかなかで軽快である。とどこおったり、考えさせられたりすることなく、サクサク読める。それでいてその時代時代の出来事や事件・風潮が女三代の愛憎劇や家族史と密接に絡んでいる。読んでいて、こんなカジュアルな年代記もあるのだなと感心した。また、万葉の最期を看取った瞳子が、祖母の漏らした謎めいた一言に囚われ、50年以上遡る“殺人”事件を追いかけるところは、なかなか読ませる。
本書は、三代の女性の、その時代と共に生きた、生き様の物語を3回楽しめて、さらに一本、三代通してのひとつの謎を解く興趣も味わえる、ジャンルの壁を軽々と飛び越えた、異形の快作である。
赤朽葉家の伝説 Amazon書評・レビュー: 赤朽葉家の伝説より
4488023932
No.63
(4pt)

一冊で3度プラスアルファー楽しめる “今どき”の大河小説

『私の男』で’07年下半期「第138回直木賞」を受賞した桜庭一樹が、その以前に、担当編集者から「“初期の代表作”を書いてください」と言われ’06年年末に発表した作品。見事、’07年上半期「第137回直木賞」の候補作となり(ちなみに受賞作は松井今朝子の『吉原手引草』)、同年、「このミステリーがすごい!」国内編で第2位に、「週刊文春ミステリーベスト10」国内部門で第4位に堂々ランクインして、「第60回日本推理作家協会賞・長編及び連作短編集部門 」を受賞した。
ところは鳥取県西部の地方都市。舞台は製鉄業で財を成した旧家。物語はその女系家族三代に渡る戦後昭和・平成期の年代記である。といってもよくある重厚な大河小説でも複雑なレトロ趣味の一大叙事詩でもない。
もともとはサンカなどと呼ばれる“辺境の人”の捨て子で、玉の輿に乗った<千里眼奥様>の祖母・万葉(まんよう)、そしてレディース暴走族から超売れっ子少女漫画家になった母・毛毬(けまり)。数奇な運命を送った二代の女性の人生を語るのが、「自身には、語るべき新しい物語はなにもない」と卑下する毛毬の娘・瞳子(とうこ)である。この、「今どきの娘」瞳子の語り口は、少女コミックっぽく、なかなかで軽快である。とどこおったり、考えさせられたりすることなく、サクサク読める。それでいてその時代時代の出来事や事件・風潮が女三代の愛憎劇や家族史と密接に絡んでいる。読んでいて、こんなカジュアルな年代記もあるのだなと感心した。また、万葉の最期を看取った瞳子が、祖母の漏らした謎めいた一言に囚われ、50年以上遡る“殺人”事件を追いかけるところは、なかなか読ませる。
本書は、三代の女性の、その時代と共に生きた、生き様の物語を3回楽しめて、さらに一本、三代通してのひとつの謎を解く興趣も味わえる、ジャンルの壁を軽々と飛び越えた、異形の快作である。
赤朽葉家の伝説 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 赤朽葉家の伝説 (創元推理文庫)より
4488472028
No.62
(5pt)

ビューティフルワールドへようこそ

意外に評価が辛いが紛れもない傑作。ただ、無類の海外小説フリークである著者による、過去の名作へのオマージュとしての要素も強いため、単品としての読後感はやや拍子抜けしてしまうのはやむをえないところか。いずれにせよ著者あとがきに言及のある作品は(大きなお世話だが)一読をお勧めしたい。一方、文体や構成には未完成な部分も少なくなく、あくまで「初期の代表作」であろう点には異論はない。
赤朽葉家の伝説 Amazon書評・レビュー: 赤朽葉家の伝説より
4488023932
No.61
(5pt)

ビューティフルワールドへようこそ

意外に評価が辛いが紛れもない傑作。ただ、無類の海外小説フリークである著者による、過去の名作へのオマージュとしての要素も強いため、単品としての読後感はやや拍子抜けしてしまうのはやむをえないところか。いずれにせよ著者あとがきに言及のある作品は(大きなお世話だが)一読をお勧めしたい。一方、文体や構成には未完成な部分も少なくなく、あくまで「初期の代表作」であろう点には異論はない。
赤朽葉家の伝説 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 赤朽葉家の伝説 (創元推理文庫)より
4488472028
No.60
(4pt)

人は時代と共にしか生きられない

この小説のテーマは「人は時代と共にしか生きられない」ということだろうか。
1953年から未来まで赤朽葉家で生きた、3人の女(という紹介が多いが実は4人の女である)の生涯を描く。
赤朽葉タツは,恵比寿様のようと称される赤朽葉製鉄の女主人である。赤朽葉家は朝鮮半島から渡ってきて山陰にたたら製鉄を伝えた渡来の民である。
赤朽葉万葉は、山陰に住む山窩(サンカ)が赤朽葉製鉄のある村に捨てていった山の民の捨て子である。未来を透視する能力がある。今の判断で言えば,
学習障害で,字が読めず書けず,計算もできない。赤朽葉家に嫁にはいる。御船千鶴子を思わせる。
赤朽葉泪は,万葉の長男である。注意欠陥性多動障害で,おそらく性同一性障害である。
赤朽葉毛毬は、万葉の長女で,積極奇異型のアスペルガー障害である。婿をとって赤朽葉製鉄を継ぐ。天才的な少女漫画家である。
赤朽葉瞳子は、本来は赤朽葉自由という名である。この小説の語り手である。
日本には古来山の道というのがあった。平地を通らずとも,本州全土に連絡する道である。木地師,マタギ,山窩,山伏などが使った。
平地から山にわけ行ってゆくと「なぜこんな山の奥の高地に古い集落が」と驚くことがあるが,
下から登っていったと考えると奇異に思えるだけで、上から降りてきたと思えば往来から最も近いところに集落を作っただけのことなのである。
著者の桜庭 一樹(さくらば かずき)さんは、1971年7月26日生まれの女性。時代背景と共に女性の生きた形を描いてゆくが、
ご本人が,リアルタイムで経験している1979年から1998年の第二部が最もつまらないのは何故だろう。
赤朽葉家の伝説 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 赤朽葉家の伝説 (創元推理文庫)より
4488472028
No.59
(4pt)

人は時代と共にしか生きられない

この小説のテーマは「人は時代と共にしか生きられない」ということだろうか。
1953年から未来まで赤朽葉家で生きた、3人の女(という紹介が多いが実は4人の女である)の生涯を描く。
赤朽葉タツは,恵比寿様のようと称される赤朽葉製鉄の女主人である。赤朽葉家は朝鮮半島から渡ってきて山陰にたたら製鉄を伝えた渡来の民である。
赤朽葉万葉は、山陰に住む山窩(サンカ)が赤朽葉製鉄のある村に捨てていった山の民の捨て子である。未来を透視する能力がある。今の判断で言えば,
学習障害で,字が読めず書けず,計算もできない。赤朽葉家に嫁にはいる。御船千鶴子を思わせる。
赤朽葉泪は,万葉の長男である。注意欠陥性多動障害で,おそらく性同一性障害である。
赤朽葉毛毬は、万葉の長女で,積極きがらのアスペルガー障害である。婿をとって赤朽葉製鉄を継ぐ。天才的な少女漫画家である。
赤朽葉瞳子は、本来は赤朽葉自由という名である。この小説の語り手である。
日本には古来山の道というのがあった。平地を通らずとも,本州全土に連絡する道である。木地師,マタギ,山窩,山伏などが使った。
平地から山にわけ行ってゆくと「なぜこんな山の奥の高地に古い集落が」と驚くことがあるが,
下から登っていったと考えると奇異に思えるだけで、上から降りてきたと思えば往来から最も近いところに集落を作っただけのことなのである。
著者の桜庭 一樹(さくらば かずき)さんは、1971年7月26日生まれの女性。時代背景と共に女性の生きた形を描いてゆくが、
ご本人が,リアルタイムで経験している1979年から1998年の第二部が最もつまらないのは何故だろう。
赤朽葉家の伝説 Amazon書評・レビュー: 赤朽葉家の伝説より
4488023932
No.58
(4pt)

舞台、設定は魅力的なのだが…

始まりは神秘的。山陰の山中という舞台を生かした、謎めいたオープニングにはとてもそそられた。…のだが。神秘のベールは、すぐ破れる。その後の展開は何と言うか…、別に漫画家になる話が出てくるからというのは関係なく、少女マンガっぽいと思ったのは私だけだろうか?文章能力自体は水準以上のものがあると思うのに、人物の内面の描写が、文学という媒体じゃないと表現出来ないというものになっていない。徹底して心理描写を排することで、逆に読み手の想像力を掻きたてる手法もあるが、それを狙っている訳ではなさそう。世相やニュースを織り込み、時代の空気感を巧みに再現する筆力を前に、「それでなぜこういう話なのだろう?」と残念に思えてならなかった。恐らく作者が書こうとしたものは、書けていると思う。書こうとするものに、筆力が及ばないのではない。もっと書くに値するものを、書いて欲しい。話自体、読んでて退屈はしないが、一番強く感じたのはそのことだ。
赤朽葉家の伝説 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 赤朽葉家の伝説 (創元推理文庫)より
4488472028
No.57
(4pt)

舞台、設定は魅力的なのだが…

始まりは神秘的。山陰の山中という舞台を生かした、謎めいたオープニングにはとてもそそられた。…のだが。神秘のベールは、すぐ破れる。その後の展開は何と言うか…、別に漫画家になる話が出てくるからというのは関係なく、少女マンガっぽいと思ったのは私だけだろうか?文章能力自体は水準以上のものがあると思うのに、人物の内面の描写が、文学という媒体じゃないと表現出来ないというものになっていない。徹底して心理描写を排することで、逆に読み手の想像力を掻きたてる手法もあるが、それを狙っている訳ではなさそう。世相やニュースを織り込み、時代の空気感を巧みに再現する筆力を前に、「それでなぜこういう話なのだろう?」と残念に思えてならなかった。恐らく作者が書こうとしたものは、書けていると思う。書こうとするものに、筆力が及ばないのではない。もっと書くに値するものを、書いて欲しい。話自体、読んでて退屈はしないが、一番強く感じたのはそのことだ。
赤朽葉家の伝説 Amazon書評・レビュー: 赤朽葉家の伝説より
4488023932
No.56
(5pt)

非常におもしろかったです。

読んでみて、非常におもしかったです。赤朽葉家の三世代に渡る親子(女性三人)のストーリーですが、時代背景の描写といい、主人公の描写といい、非常に上手に描かれています。読んでみるまで作者(桜庭一樹)のことは知らなかったのですが、読んだ後で興味を持ち、ウィキペディアで調べたところ、とても読書をしている方だと分かりました。私の好きな作家として留めておきたいと思います。次なる作品に期待致します。
赤朽葉家の伝説 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 赤朽葉家の伝説 (創元推理文庫)より
4488472028
No.55
(5pt)

非常におもしろかったです。

読んでみて、非常におもしかったです。赤朽葉家の三世代に渡る親子(女性三人)のストーリーですが、時代背景の描写といい、主人公の描写といい、非常に上手に描かれています。読んでみるまで作者(桜庭一樹)のことは知らなかったのですが、読んだ後で興味を持ち、ウィキペディアで調べたところ、とても読書をしている方だと分かりました。私の好きな作家として留めておきたいと思います。次なる作品に期待致します。
赤朽葉家の伝説 Amazon書評・レビュー: 赤朽葉家の伝説より
4488023932
No.54
(5pt)

物語の希薄さ

すごいと思いました。
すごい小説です。
桜庭さんの作品の中では、
間違いなくベストだと思います。
裏ベストは『私の男』です。
すでに物語になってしまった、
時代と、せかいと、人と、
そして物語になりえない、
現在。
だから、
世代が進むにつれて加速しながらも、
希薄になっていく物語の密度は、
計算されたものなのだろうと思います。
祖母、母、二代の物語を共に味わうことで、
鮮烈に現れる”わたし”と私の「現在」。
それを受け入れたとき、
この小説とせかいのかたちが見えてきた気がしました。
赤朽葉家の伝説 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 赤朽葉家の伝説 (創元推理文庫)より
4488472028
No.53
(5pt)

物語の希薄さ

すごいと思いました。
すごい小説です。
桜庭さんの作品の中では、
間違いなくベストだと思います。
裏ベストは『私の男』です。
すでに物語になってしまった、
時代と、せかいと、人と、
そして物語になりえない、
現在。
だから、
世代が進むにつれて加速しながらも、
希薄になっていく物語の密度は、
計算されたものなのだろうと思います。
祖母、母、二代の物語を共に味わうことで、
鮮烈に現れる”わたし”と私の「現在」。
それを受け入れたとき、
この小説とせかいのかたちが見えてきた気がしました。
赤朽葉家の伝説 Amazon書評・レビュー: 赤朽葉家の伝説より
4488023932
No.52
(4pt)

読ませる小説

超能力者の祖母、漫画家の母、現代っ子の自分という3代の女性のお話。
続きが気になって一気に読んでしまった。
おそらく意識的に、年号の記述を少なくしている。
1年2年の違いは問題ではなく、
それぞれの時代を描きたかったということだろうか。
祖母と母の話はいろいろとあり得ない設定になっているが、
現代の瞳子になって急に現実味を帯びている。
その理由は瞳子が平凡であるということに帰着しているのだが、
現代まで現実離れした伝説を読みたかったようにも思う。
赤朽葉家の伝説 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 赤朽葉家の伝説 (創元推理文庫)より
4488472028
No.51
(4pt)

読ませる小説

超能力者の祖母、漫画家の母、現代っ子の自分という3代の女性のお話。
続きが気になって一気に読んでしまった。
おそらく意識的に、年号の記述を少なくしている。
1年2年の違いは問題ではなく、
それぞれの時代を描きたかったということだろうか。
祖母と母の話はいろいろとあり得ない設定になっているが、
現代の瞳子になって急に現実味を帯びている。
その理由は瞳子が平凡であるということに帰着しているのだが、
現代まで現実離れした伝説を読みたかったようにも思う。
赤朽葉家の伝説 Amazon書評・レビュー: 赤朽葉家の伝説より
4488023932
No.50
(4pt)

力作だとおもいます。

ファミリーポートレイトもよいですが、こちらもなかなかの力作。さすが、著者が鳥取出身だけあり、
いろいろな資料を読み解いてかかれているのに好感がもてます。
個人的には、わたしのおとこより数段品がよく好きな作品ですが。
現代の場面(孫の瞳子の時代)になったあたりから、少しまのびした感じ、かったるいかんじは否めません。
まあ、かったるい時代に生きている子たちを描いているからしょうがないでしょうが。推理していく
過程に読み手まで一緒になって、どうなるんだろう?という高揚感が得られませんでした。
赤朽葉家の伝説 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 赤朽葉家の伝説 (創元推理文庫)より
4488472028
No.49
(4pt)

力作だとおもいます。

ファミリーポートレイトもよいですが、こちらもなかなかの力作。さすが、著者が鳥取出身だけあり、
いろいろな資料を読み解いてかかれているのに好感がもてます。
個人的には、わたしのおとこより数段品がよく好きな作品ですが。
現代の場面(孫の瞳子の時代)になったあたりから、少しまのびした感じ、かったるいかんじは否めません。
まあ、かったるい時代に生きている子たちを描いているからしょうがないでしょうが。推理していく
過程に読み手まで一緒になって、どうなるんだろう?という高揚感が得られませんでした。
赤朽葉家の伝説 Amazon書評・レビュー: 赤朽葉家の伝説より
4488023932
No.48
(5pt)

現代の最高のエンターテインメントクロニクル作品

「私の男」を読んで、直木賞受賞作家の桜庭一樹って、こんなもんか、、と思ったのもつかの間、「赤朽葉家の伝説」を読んで、桜庭一樹最高っ!となってしまうほどの作品。佐々木譲の「警官の血」が警官の男三代記なら、こちらは名家の女三代記。現代の最高のエンターテインメントクロニクル作品である。これで直木賞受賞であれば文句もあるまい。あ、ちがうのか。。
第1部、最後の神話の時代。戦争終結後の朝鮮特需による、高度経済成長期に差し掛かる時代の物語である。製鉄所を経営する名家、赤朽葉家の奥方であるタツに見出された万葉。主人公であり、語り手である瞳子の祖母である。赤朽葉家に嫁いだ万葉には「未来視」ができるという不思議な力があり、それゆえ千里眼の奥様と呼ばれることになる。彼女は、泪、毛鞠、鞄、孤独という4人の子供、そして夫の愛人の子供、百夜を育てながら、変わりゆく激動の時代、それでいて幻想的なその「最後の神話の時代」を歩んでいく。第2部、巨と虚の時代。高度経済成長期から、バブル景気の時代の物語である。山陰地方を牛耳るレディース「鋼鉄エンジェル」の頭を占める毛鞠。万葉の長女であり、語り手、瞳子の母である。毛鞠、中高生の時。総中流家庭の時代、巨の時代。彼女はレディースの総長として、カリスマ性を発揮する。高校卒業後、バブル景気にさしかかる時代、虚の時代。彼女は自伝的少女漫画「あいあん天使!」でデビュー、漫画家としてカリスマ性を発揮する。そして、「自由」となるはずだった語り手、瞳子を産むのである。第3部、殺人者。この部のタイトル、殺人者とは、万葉のことである。万葉が死の直前に、殺人をしたと告白。現代の時代を生きる、夢も目的もなく生きる瞳子は、その真相を求め始める。
全体の物語の背景を戦後昭和史〜平成史と重ね合わせ展開、しかし、物語そのものは現実離れした幻想的なものである。そのバランスがすばらしく、なんとも懐かしくおもしろい。なによりもおもしろいのは、過去からはじまり、現代まで戻ったときの、私と同世代である瞳子が主人公になったときの心情である。とても共感してしまうのである。
ようこそ、このどうしようもなく、不安に満ち、未来が見えず、混沌としたこの世界、そして美しいこの世界へ。
赤朽葉家の伝説 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 赤朽葉家の伝説 (創元推理文庫)より
4488472028
No.47
(5pt)

現代の最高のエンターテインメントクロニクル作品

「私の男」を読んで、直木賞受賞作家の桜庭一樹って、こんなもんか、、と思ったのもつかの間、「赤朽葉家の伝説」を読んで、桜庭一樹最高っ!となってしまうほどの作品。佐々木譲の「警官の血」が警官の男三代記なら、こちらは名家の女三代記。現代の最高のエンターテインメントクロニクル作品である。これで直木賞受賞であれば文句もあるまい。あ、ちがうのか。。
第1部、最後の神話の時代。戦争終結後の朝鮮特需による、高度経済成長期に差し掛かる時代の物語である。製鉄所を経営する名家、赤朽葉家の奥方であるタツに見出された万葉。主人公であり、語り手である瞳子の祖母である。赤朽葉家に嫁いだ万葉には「未来視」ができるという不思議な力があり、それゆえ千里眼の奥様と呼ばれることになる。彼女は、泪、毛鞠、鞄、孤独という4人の子供、そして夫の愛人の子供、百夜を育てながら、変わりゆく激動の時代、それでいて幻想的なその「最後の神話の時代」を歩んでいく。第2部、巨と虚の時代。高度経済成長期から、バブル景気の時代の物語である。山陰地方を牛耳るレディース「鋼鉄エンジェル」の頭を占める毛鞠。万葉の長女であり、語り手、瞳子の母である。毛鞠、中高生の時。総中流家庭の時代、巨の時代。彼女はレディースの総長として、カリスマ性を発揮する。高校卒業後、バブル景気にさしかかる時代、虚の時代。彼女は自伝的少女漫画「あいあん天使!」でデビュー、漫画家としてカリスマ性を発揮する。そして、「自由」となるはずだった語り手、瞳子を産むのである。第3部、殺人者。この部のタイトル、殺人者とは、万葉のことである。万葉が死の直前に、殺人をしたと告白。現代の時代を生きる、夢も目的もなく生きる瞳子は、その真相を求め始める。
全体の物語の背景を戦後昭和史〜平成史と重ね合わせ展開、しかし、物語そのものは現実離れした幻想的なものである。そのバランスがすばらしく、なんとも懐かしくおもしろい。なによりもおもしろいのは、過去からはじまり、現代まで戻ったときの、私と同世代である瞳子が主人公になったときの心情である。とても共感してしまうのである。
ようこそ、このどうしようもなく、不安に満ち、未来が見えず、混沌としたこの世界、そして美しいこの世界へ。
赤朽葉家の伝説 Amazon書評・レビュー: 赤朽葉家の伝説より
4488023932
No.46
(5pt)

ミステリー? という批判はやめましょう。

なんだか最近、ミステリーというジャンルが広義なものになっているようで・・・
謎がほとんどないような小説なんかも、ミステリーとして出版されています。しかし「ミステリーじゃないからダメ!」という批判は、個人的にどうかと思います。この作品も推理作家協会賞や「このミス」2位をとってしまったために、「こんなのミステリーじゃない!」という批判を多々目にしました。でも、その批判ってどうよ?小説の価値って、やっぱり「面白さ」でしょ?どんなに素晴らしい文学性や謎解きがあっても、面白いと思えなければ、やっぱりそれは面白くない小説なわけで・・・
作者や出版社がミステリーだと言えば、それはミステリー作品になってしまうのです。早い話が境界線が曖昧なのです。そんな所をつつくよりも、もっと小説としての「面白さ」を評価しましょうよ。そうでしょ? そうじゃないのかなあ。 
赤朽葉家の伝説 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 赤朽葉家の伝説 (創元推理文庫)より
4488472028
No.45
(5pt)

ミステリー? という批判はやめましょう。

なんだか最近、ミステリーというジャンルが広義なものになっているようで・・・
謎がほとんどないような小説なんかも、ミステリーとして出版されています。しかし「ミステリーじゃないからダメ!」という批判は、個人的にどうかと思います。この作品も推理作家協会賞や「このミス」2位をとってしまったために、「こんなのミステリーじゃない!」という批判を多々目にしました。でも、その批判ってどうよ?小説の価値って、やっぱり「面白さ」でしょ?どんなに素晴らしい文学性や謎解きがあっても、面白いと思えなければ、やっぱりそれは面白くない小説なわけで・・・
作者や出版社がミステリーだと言えば、それはミステリー作品になってしまうのです。早い話が境界線が曖昧なのです。そんな所をつつくよりも、もっと小説としての「面白さ」を評価しましょうよ。そうでしょ? そうじゃないのかなあ。 
赤朽葉家の伝説 Amazon書評・レビュー: 赤朽葉家の伝説より
4488023932