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果断: 隠蔽捜査2
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果断: 隠蔽捜査2の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.57pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全112件 81~100 5/6ページ
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面白いので一晩で読めた。 警察小説としては、非常に良くできていると思う。 しかし人物造形、特に主人公の竜崎警視長が、家庭の中では妻がいなければ料理はおろか風呂を沸かすことも何も出来ない赤子同然、という設定は、余りに類型的に過ぎると感じた。 熱心に受験勉強を続けて東大法学部を経て上級公務員試験に合格し、警察官僚となったエリートである竜崎警視長は、アニメなど子どもの見るものだと思い込んでいて、『風の谷のナウシカ』のタイトルすら知らない。 作者は、函館ラ・サール高校から上智大学文学部という学歴のようだが、高校時代の同級生で東大を出て官僚になった人たちは、みんな竜崎警視長のように無趣味で勉強しかしない人たちだったのだろうか? 私は竜崎警視長と同年代。中学校の同級生には、実際に東大法学部を経て警察官僚となり、警備・公安畑のエリート街道をずっと歩んでいる男もいる。 彼は同級生の中でダントツに賢かったが、一方で小学生の頃からヘルベルト・フォン・カラヤンの大ファンであり、独身時代には、給料のすべてをクラシックのコンサート通いやCD購入に費やすような生活をしていた。(結婚した後も、余り変わらなかったらしい) 高校の同級生で、入学後最初のホームルームで「趣味は数学の難問を解くことです」と自己紹介し、実際に京大工学部に現役合格して勉学を続け、現在は大学教授の男は、一方でスペースオペラのようなベタなSF小説が大好きで、「宇宙英雄ローダン」シリーズを全巻読んでいるほどだ。 同じく京都大学工学部から大学院を経てアメリカへ留学し博士号取得、帰国後は某大企業の中央研究所に勤務し年収数千万円を誇る知人は、高校時代からずっとアマチュアバンド活動を続けている。 ドラムセットの両側に譜面台を置き、一方に楽譜、一方に参考書・問題集を置いて楽器練習と受験勉強を同時にこなして公立高校から京大工学部へ一発合格し、その後も研究と音楽を両立させてきた。 このように私の周囲の東大・京大出身者を頭に順次思い浮かべても、竜崎警視長のようなガリ勉タイプなど、1人もいないのだ。 竜崎警視長や私の年代なら、小学生で『太陽の王子 ホルスの大冒険』や『どうぶつ宝島』を観て宮崎駿の名前を覚え、高校時代には受験勉強のかたわら『未来少年コナン』や『ルパンIII世』、ファーストガンダムなどは欠かさず見ていたものだ。 それでも、勉強の出来る者は東大・京大に一発合格した。数学教師とケンカして高校二年の途中から数学の勉強をやめた私ですら、大阪大学の文学部なら一発合格できた。 そして『風の谷のナウシカ』は、劇場公開封切初日の朝一番の上映を待つ列に並んで観た。 今でもヱヴァンゲリヲンだけは見ている。だからと言ってアニヲタでも何でも無い。 東大出のエリート官僚だからガリ勉で、ナウシカも攻殻機動隊も何も知らないという設定には、作者の偏見が入っているのではなかろうか? この点だけは疑問を覚える。 | ||||
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ともて面白かったです。物語の展開が実にスムーズで、登場人物のキャラもしっかりしており、それでいて「えっ!」と思わせてくれる。言うことなしです。特に、展開を進めるための複線が絶妙で、楽しく読めました。 | ||||
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久しぶりに今野敏の作品を読んだ。非常に面白かった。日本には、探偵小説というものは成り立たず、これにあたるのが結局警察小説になる。その警察小説も、単に事件をつくだけではなく、このところ目につくのは、その警察を構成する人、もっと言えば、キャリア・ノンキャリアの役人小説とも言うべき側面だろう。 これはいろいろな捉え方があり、基本はキャリアのあまりの役人臭さ、官僚臭さを突くものだと言える。新宿鮫シリーズもその一面を強く持っている。 本件は、その中でもまた異質な色合いを持っている。キャリア・ノンキャリアがともに仕事をせざるを得ず、圧倒的多数で実際の仕事を支え動かすノンキャリアを、キャリア族がどう扱い、どう接しているのか。そして、少数派ながら圧倒的な力を持つキャリアが同時分を律しているのか。人間としての官僚を非常にきちんと捉えている。 ともすると余談、下手をすると回り道や余分になってしまう、家族問題を実にさりげなく、しかし重要な柱として配しているのは、小説としての厚みを増し、単なる謎解き、あるいは一般受けするアクション派の主人公モノとは一線を画している。 人の役割、なすべき事柄をきちんと見据え、下らぬ風習や見栄を退け、しかもちゃんと弱さをかいま見せる主人公に拍手を送りたい。 | ||||
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TVドラマから見たせいか始終陣内孝則の顔が頭の中を駆け巡った。 主人公である竜崎のキャラクターにはとても共感でき、仕事と家族両方を主題とした傑作である 前作の続編に恥じない作品となっている。 またタイトルが示す通り今作は、現場のリーダーとしての決断が大きくクローズアップされており 組織人として、また長の立場として見た場合、大変多くの教訓が散りばめられている。 さらに秀逸な謎解き要素まで加えられてる事を考えても、日本の警察小説を代表する名作といえる。 未読の方はぜひ第一作から読んで戴きたい。 | ||||
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この本を読みたいが為に、先に前作の「隠蔽捜査」を読んだのだが、期待以上に 面白く、大いに興奮した。 そして今度は期待を胸に「果断」を読んだのだが、期待に違わない出来で、これは シリーズ物の2作目としてはお手本ともいえる良作だ。 どんな状況でもブレない竜崎のキャラは、降格となった警察署長という立場で 更に鮮明となり、ヤリトリの一つ一つが痛快極まりない。 また、今回は警察人事の妙味だけでなく、謎解きの要素も加わっているので、 小説全体の仕上がりは前作以上だ。 小気味良いテンポは前作同様で、次回作も読みたいという欲求に駆られる一冊だ。 | ||||
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まず、本書がどのような賞を受賞しようと、これはミステリーではありません。 前作が警察官僚小説であったのに対し、本作は警察小説、と言う事が出来ると思います。 ****の賞を取ったから、とか、帯を見て、購入されて「期待はずれだ!」等というのは お門違いなのでまず述べておきたいと思います。 さて、多くの警察小説が捜査員の視点で書かれているのに対し、 (善作同様)主人公が降格人事を食らった警察官僚であるので、視点もそこにあります。 ですので、警察小説好きな方が欲する(と思われる)捜査のディテール、と言う点では ある意味不満を持つ方もいらっしゃるかも知れません。 ですので、そう言う物がお好みの方もあるいは避けられた方がいいのかも知れませんね。 と、2点予防線を張らせていただいた上で言いますが、 「面白い!!!」 前作に全く劣らない面白さだと感じました。 相変わらず人物像がしっかりしていて、立っている、 決してどんでん返し、と言うわけではなく、これも一つの王道であり、 初期の段階から読者は事件の本質に気づく事が出来る、またそうさせている書き口が何ともイイ。 筋書きは取り立ててユニークと言う事はないと思いますが、 事件とその周辺、担当捜査員を中心に描く多くの警察小説とは違い、 事件と人物、人物同士を描く部分が多い本作は、そう言う点ではなかなかユニークな作品といえると思います。 前作同様に人物描写にしびれる一作だと感じました。 | ||||
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脳みそまで四角いんじゃないかと思わせといて、たまに戸惑う姿を見せられると、 そこにやたらと人間くささと親しみを感じてしまうのだよなあ。 | ||||
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竜崎が良い方向に向かっていく作品ですね。 クオリティも非常に高いものを感じました。 個性的で魅力的な主人公や、周りにいる同僚達との 絡みも読み応えがあります。 そのうえミステリとしての面白さも十分堪能できました。 | ||||
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い、やー!来ましたね!読み終わるのが残念になるスゴ本!最高。当たり前のことを当たり前としている主人公。揺るがないと思われる本人はそれを、揺らいでいるからこそ、原則に立ち返るだけだと言う。それも、「なんでそんなことを言われるんだ?」とでも言いたげに、とてもとまどいながら。主人公は途中、息子の見せてくれるアニメで我にかえるけれど、あたしはこの作品で少し、自分に戻る。嘘はいけませんとか家族を大切にとか仲間を信じようとか。いろいろたいへんなことはあるけど、実はシンプルなことをきちんと積み上げれば安定するのは、人も積み木も同じようなもんかもね。おーし元気出たぞ!がんばろう! | ||||
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前作の文庫本解説で北上次郎氏がこの小説を「正論の人(主人公)を、警察組織の中に置いたらどうなるか、を描いたのが本書なのである。」と記している。もちろん、本作においてもそれにかわりはないのだが、おもしろさは本作が上だと思う。前作で、著者から「正論の人」としてキャラクター設定され、活躍の舞台を与えられた主人公竜崎が、本作によって独り立ちしているからだ。もしかしたら、著者の思惑以上にキャラ立ちしたのかもしれない。だからといって、前作を読む必要がないわけではない。前作には竜崎の性格や思想が丁寧に描かれているからだ。一人の主人公を描いたシリーズ物を読む醍醐味を味わうことができた一冊だった。 | ||||
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前作よりも数段面白くなっていて、一気に最後まで読み進めました。 主人公のぶれない考えは、警察官のあり方のみならず、教育論でも 正道ど真ん中を行きます。息子とも真摯に向き合う姿勢も参考になり 社会人として、親として、男としての理想像と思えます。 このような人が官僚、教育者、経営者として日本の確たる位置に 腰を据えてくれたならば、日本は容易に再生するものと思います。 大学受験を先に控える高校生にも読んで欲しいと思います。 | ||||
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ストーリーも人物描写も結末も一級品です。中でも本作の主人公、竜崎伸也のキャラは個人的に大好きです。前作では竜崎の真意が分からず探りながら読んでいたのですが、本作では出世を諦めて開き直っているせいか、彼の達観振りを心置きなく堪能する事ができました。 警察官僚を描く際、常に責任回避を第一に考え、上の顔色ばかり気にするステレオタイプが多く見受けられます。しかし竜崎は優秀です。自分が正しいと思う事にまったく妥協しません。しかし自分が間違っていた事に気がつくと柔軟に修正も行います。自分に厳しい分、他人にも厳しいので何かと角の立つ発言が多いのですが、これが正論で自ら日々実践しているので、言われた方は反論できません。 竜崎のような人間が警察官僚であれば、喜んで税金を払う気になります。しかし実際は居たとしても、権力闘争に負けて地方に飛ばされたり、出る杭として疎んじられ孤立してしまうのでしょうね。 | ||||
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シリーズ2作目の本作品も前作に同様とても面白かった。 元キャリア官僚の竜崎署長(前作で息子の不祥事により所轄に左遷された)は、着任早々立て篭もり事件に巻き込まれる。 マスコミの無責任な報道が流される中、警察組織内での責任のなすりつけあいや部下との関係の悪化、加えて妻の入院が重なり、通常でも多忙な署長職(大半が印鑑の押印であるが…)がさらに多忙になる。 しかし、竜崎の持つ「原則に従って合理的に物事を解決する」信条が奏功し事件は解決に。 本書で特に感動したのは、竜崎を支える妻の存在。 転勤が多く、不規則な勤務時間、多忙な夫を支える芯の強さに感動した。 警察小説でありながら、意外な事に本書を読んで妻をはじめ自分を支えてくれる人達にも感謝の念が湧きあがってきた。 どんな人間でも周囲の支えがなければ立派な仕事ができない、という教訓を思い出させてくれた気がした。 | ||||
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待ちに待った「隠蔽捜査(2)・果断」の文庫化です。前作を読んでいて、この2作目が数々の賞を取っていたので、期待して読みました。 読み始めると、あっという間に事件が起こり、あっという間に事件は解決します。 なんだ・・・これは、この後は官僚の間での責任云々だけのストーリーなのか・・・。と思ったら、それだけではありませんでした。 意外と思われる事実がどんどん判明していきます。 読み終わると、その前半のストーリーの中に実は伏線が張られていたことが後から分かってきます。 ただ星を一つだけ減らしたのは、あまりにも予定調和的に終わった点と前半に竜崎とPTAとのやり取りなどがいまいちしっくり来なかった点です。 ただし、それを省いてもあっという間に読めますし、筆者の警察内などの造詣の深さに感心しました。 | ||||
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この作品は先にテレビドラマで見て、大体のあらすじはわかっていたのであるが、 最後まで一気に読ませてもらった。 今野敏は、作品の出来不出来が激しいが、この作品は、 山本周五郎賞の名に恥じない作品。 隠蔽捜査シリーズで今野敏のファンになった方は、 名前買いせずに、レビュー等で評判を確かめてから読むことをおすすめする。 | ||||
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この作品は、「隠蔽走査」の続編です。 前作で主人公の竜崎は、警察庁のエリートキャリア官僚でしたが、息子の不祥事のために、大森署署長へと飛ばされてしまいます。 やはり相変わらずの朴念仁ぶりを発揮して、何事も正論で、合理性を追求するやり方は、方面部長とのいさかいに発展したりと、少なからずトラブルも起こします。 そんななか、立てこもり事件で、弾切れだった立てこもり犯が、SATの突入により射殺されたことから、世間の批判を浴び、現場の指揮を執っていた竜崎は厳しい立場へと追い込まれます。 この事態をどう打開するのか。 最終的にはやや都合のよい落ちで、その点は残念でしたが、これまでにない警察官僚という立場から事件を描いているという新鮮さがあるのと、非常に魅力的な竜崎というキャラクタで、楽しんで読むことができました。 おすすめできると思います。 | ||||
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本書は’05年の話題作『隠蔽捜査』の続編にあたり、’07年、「このミステリーがすごい!」国内編で第4位、「週刊文春ミステリーベスト10」国内部門では第9位にランクインしている。『隠蔽捜査』が’06年の「第27回吉川英治文学新人賞」を受賞したのに続いて、本書は’08年、「第21回山本周五郎賞」と「第61回日本推理作家協会賞(長篇および連作短篇部門)」をダブル受賞している。 警察庁キャリアだった竜崎伸也警視長は、前作で警察上層部と息子の不祥事の両方で、隠蔽の誘惑にかられる事態に直面し、共に明るみに出すこと選び、警察官僚の地位をはずされ、所轄署である大森警察署の署長に左遷されてしまう。そこで彼は、部下や地域の人々から変人扱いされながら署長決済の膨大な判子押し作業に追われていた。 そんなおり、消費者金融強盗の犯人のひとりが、管内の小料理屋に銃を持って人質をとり、立てこもるという事件が発生する。竜崎は慣例を無視して現場に駆けつける。 現場での警視庁捜査1課特殊班SITと警備部に所属する突入部隊SATとの主導権争い。説得に応じない犯人。やがて銃声を耳にした彼はSATの突入を下命、犯人は射殺される。ところが、マスコミの思わぬ報道で、突入をめぐる責任問題が巻き起こり、さらには家庭を任せきりにしてきて自分では何もできない妻の緊急入院という難題が重なり、竜崎は公私共に窮地に立たされる。 複雑な縦割り社会である警察機構の圧力や、所轄の署長として従来の慣習に従わせようとする副署長以下の部下たちの態度にも“どこ吹く風”とばかりにあくまで“原理原則”を遵守するおのれの信条を曲げない竜崎の言動は爽快・痛快で、潔ささえ感じる。 さらに、本書ではいったんは解決したかに見えた事件が新展開をみせるという、前作では希薄だったミステリー的な要素も色濃くなっている点も見逃せない。 本書は、竜崎というキャリア警察官の特徴的な個性を軸に据えながら、組織内の主導権争い、捜査現場の緊迫感、意外性のあるプロットが用意された、背骨の通った硬派の警察小説である。 | ||||
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隠蔽捜査の第二弾。2007年度の各種ミステリランキングにもランクインした作品。 前作で警察庁の長官官房の総務課長だった竜崎は、家族の不祥事による降格人事で大森署の署長に就任した。幼なじみの同期のキャリアの伊丹とは地位が逆転してしまったが、前回の事件で恩を売ってあるので、適当に伊丹の地位を利用する竜崎だ。所轄の署長に収まってみると、上意下達と序列重視の警察の組織の無駄を竜崎は痛感する。すべてを合理的に処理していこうとする新署長に、大森署の警察官たちは面食らう。出世コースを外れたことで、ますます自由になってしまった竜崎の言動が面白い。 就任早々、強盗事件が起こり犯人が逃走する。犯人のひとりが銃を持ったまま大森署管内の小料理屋に人質をとってたてこもり、竜崎は対応を迫られる。所轄をまとめ、外部からやってくる警視庁の応援部隊や、捜査一課特殊班(SIT)とSATの間の調整もしなければならない。SITは交渉による解決を目指し、SATは実力行使で解決を図る訓練を受けている。犯人の説得をいつまで続け、どこで強行突入するかは、判断が難しい。交渉が長引いて人質に危害を加えられても、警察が銃撃して負傷者が出ても、世間は警察を非難する。一番楽なのは自分で判断をしないことだ。組織の上部へ判断を任せ何もしないことが組織で上手に生きる術だ。ところが現場にいるのは竜崎だ。彼がそんなことをするわけがない。だからこそ『果断』なわけだが・・・ 竜崎が決断を下して事件が解決したあとに、本当の事件が始まる。 竜崎の家族とのやりとりも楽しい。家庭を守る妻が入院し、竜崎は風呂の沸かし方もわからない。それでも就職活動のあいまに長女がごはんを作ってくれたり、浪人中の長男が進路について相談をしたりするので、家庭を顧みない父親にしては、愛されてる方だと思う。東大を目指している長男が、アニメの道にすすみたいと言い出し、竜崎は思考が停止する。それは子供の見るものだろう、と言った父親に、息子は名作だから見てほしいとDVDを渡す。国民的人気ブランドの某アニメだ・・・そんなもんで感動するなよ、竜崎!素直すぎるよ。現代若者事情もひととおり知っていないと犯罪に対応できないよ?(笑) | ||||
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息子のヘロイン煙草喫煙が原因となり、大森署の署長に異動した竜崎が着任した直後に事件が起こる。高輪署管内で消費者金融への強盗事件が発生し、犯人逃走に対応し緊急配備が敷かれる。その犯人の一人が、大森署管内の小料理屋「磯菊」に立てこもる。 この事件解決を軸にメインストーリーは展開する。 犯人逮捕に臨むSITとSATの2つのグループ。現場の前線本部長になる竜崎と指揮本部長になる伊丹。この2人はキャリアの同期で、小学校の同期でもある。 一警察署組織内での警察人の価値観・組織観と、竜崎の原理原則主義との衝突。従来のやり方を変えていく竜崎の行動。警察組織間の縄張り意識の衝突。キャリアとノンキャリア間の人間関係。新聞報道の実態。作者の眼は、警察機構と新聞報道に潜む問題事象自体を伏流するテーマに据えているようだ。 立てこもり犯の「射殺」で事件が落着したかに見えた。しかし、大森署ベテラン刑事のちょっとした疑問とそれを重視した竜崎の指示から、事件は全く別の様相を表していく。まさに、逆転劇。竜崎と伊丹の絡みは前作に続きやはりおもしろい。 そのプロットの巧みさに引き込まれ、一気に読み終えた。 | ||||
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ミステリーしか本を読まない僕ですが、この作品はかなり楽しめました。前作の隠蔽捜査から読まれることをお勧めします。その方が、主人公のキャラクターが理解でき、そこでの出会いがこの「果断」にも関係していくからです。とにかく主人公のキャラクターが最高で、他の作品では警察キャリアの嫌な奴というサブキャラクターっぽい主人公が、その冷たい感じを極めていることで愛されるキャラになっています。警察小説はあまり読まないのですが、この作品はかなり異質で本当にあっという間に読み切れました。 | ||||
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