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昼は雲の柱



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【この小説が収録されている参考書籍】
昼は雲の柱

昼は雲の柱の評価: 3.67/5点 レビュー 15件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.67pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全3件 1~3 1/1ページ
No.3:
(2pt)

ありがちで誤った神話解釈。

前作『震災列島』に続き、主題が散漫な小説。タイトルや惹句は天変地異を主軸としているし、従って当然、読む側も「もし富士山が噴火したならば、どのような事態が起こり、そしてどのように対処すべきか」がここに描かれているという前提で臨むはずである。ところが肝心の異変は物語が半分まで進んでようやく始まる上に、その描写もいたって簡素、まるで役所の報告書のような無味乾燥な文体で、読み手を遙か後方に置き去りつつ勝手に進んでしまう。被災者の視点で描けないのは第一作『死都日本』からの作者の欠点であるのだが、それは一向に改善されないままである。
 おそらく石黒は、この作品において「新たな日本神話解釈」を披露したかったのだろう。物語前半は殆どその「イザナミ=火山神」という仮説の議論で占められているし、その論の検討は富士の噴火が始まった後半以降においても止むことがないからである。しかしではその神話解釈に説得力はあるのかと言えば、残念ながら否定的な評価を下さざるを得ない。神話は「自然の出来事の擬人化」である、という見解は古くから存在するありふれた解釈であり、しかもそれはマックス・ミュラーの「言語疾病説」の系列に連なるものである以上納得できるわけがない。つまり「神話は知的に劣っていた古代人が、何とか自然の驚異を表現しようと擬人化した結果生じた物語である」という前提に立つものだ、ということだ。現代の物語にも様々な自然現象や動物を擬人化した物語はある。それらも「知的に劣っていた」結果生じたものなのか? そうではないなら、なぜ神話だけがそうであるのか? この疑問に石黒は答えられるのだろうか? かつまた、仮に火山が神の属性を決定する材料になったとしても、それは神話の部分でしかない。長い長い物語のある部分が自然現象に対応していたとして、その部分が読み解ければ神話を理解したことになるのだろうか? 石黒もまた、神話解釈において自然科学者の陥りがちな陥穽に陥っていることは明らかだ。そうした意味で「無駄な」議論を長々と講釈されるのは正直苦痛である。物語中にレヴィ=ストロースの名前を出すのならば(おそらくは出典は『構造・神話・労働』だろうが、タイトルにもある通り、神話をいかに解釈するかについてもその書の中で述べられていたはず、ならばなおのこと、石黒の神話へのスタンスに疑問が生じる)、構造分析による神話解釈の手法ぐらいは踏まえておいて欲しい。
昼は雲の柱Amazon書評・レビュー:昼は雲の柱より
4062137054
No.2:
(2pt)

余分な話しに時間が費やされて・・・がっかり

著者の本は「震災列島」が初めてで、この本よりデビュー作の「死都日本」の方が数倍おもしろいという評判から、それも読み、そして今作です。
おそらく「死都日本」から読んでいるファンのほとんどの望みは、クライシス・衝撃・希望だと思うのです。
本書は、残念ながらクライシス・衝撃が訪れるのは、ほぼ終わりの方のみ。
それまでは並の青春小説になってしまいました。
神話と火山の話しは、個人的に好きなので私はよかったですけど。
「死都日本」があまりにいい出来だったので(2回読みました)、今回こそ!と、かなり期待したのでがっかりしました。
「死都日本」を越える作品を、次回こそは書いてくれ〜!
昼は雲の柱Amazon書評・レビュー:昼は雲の柱より
4062137054
No.1:
(2pt)

リサーチ不足…

御殿場で生まれ育った自分にとっては、
非常に興味深いテーマであると共に、
自分の街がどのように描かれるかも興味を惹かれ、読んでみた。
作者の得意とする火山災害に関する記述は、
一連の作品同様、それなりに読ませるものである。
しかし、自治体の対応の想定があまりに稚拙であることと、
作者が得意とする分野以外の記述も、もっと緻密にすべきではないだろうか。
物語としては、正直、つまらないといわざるを得ない。
昼は雲の柱Amazon書評・レビュー:昼は雲の柱より
4062137054

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