裏庭
評判
裏庭の評価:
4.03/5点 レビュー 68件。 B ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全138件 61〜80 4/7ページ
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裏庭の評価:
4.03/5点 レビュー 68件。 B ランク
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主人公は三世代分の傷を無自覚に背負っており、だからこそ恐らくはあの旅をする資格を得た。多くの人々がたどり着けなかった、あの終わりの場所に彼女が到達したのは、それらの三世代分の痛みと傷を引き受けて自己を構築することに成功した結果なのだろうと思います。
そこへついにたどり着けなかった多くの死者たちが居て、痛みに蓋をして魂の死者のように生きてきた大人たちが居て、
けれどそれらはひとつも無駄にならなかった。
そこへたどり着けなかった死者達の残したものを手繰って、彼女はすべてを終らせる場所へと辿りついた。その果てへついにたどり着けなかった多くの人々が居て、しかしその多くの人々の残したものは、確実に彼女の足許を照らす明かりになっていた。
だから結局この物語のなかでは、
無駄に終った旅はないし、意味のない命もなかった。
意味のない想いもまたなかった。
実際にわたしたちは、多くの言えなかった言葉や果たせなかった抱擁、届かなかった手、流すことのなかった涙を無数の傷のように絶えず葬りながら生きている。それらは決してゆくべくところに届くことなく、二度と開くことのない墓場に永遠に埋葬されてそして無となる。
わたしたちはそのようにして生きているのだけれど、この物語のなかでは、それら無数の果たせなかった物語が、根の国でひそかな水脈となり、すべてが行き着くべきとことへと行き着いた。こんなことは本当はありえないのだけれど、わたしはそれが本当に嬉しかったのです。
主人公を導き最後の場所へと辿りつかせたのは、他でもない、そこへ辿りつくことの出来なかった人々だった。三世代分の傷は三世代分の力であり手がかりであって、その傷ゆえに「テルミィ」は世界を蘇らせる最後の場所へ辿りつくことができた。
だから彼女の旅の終わりは、周囲の大人たち、分けても彼女の両親のひとつの旅の終わりとなったのだと思います。
この物語のために作者はとても優しい嘘をついた。このうえなく巧妙に、やさしい嘘をついた。出来ればこれが嘘だと気づけない年頃のうちに、つまりは小中学生の間に、出会ってほしい本ではあります。
他者への想いは決して無駄にならない、言えなかった言葉もいつか届く、それは確かに嘘なのですが、この嘘をまづ信じることも、これから生きてゆくなかで身を切るほどの哀しみを怒りを悔恨をやまほど経験するだろう、年若いひとには必要だと思うのです。