国境の南、太陽の西

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国境の南、太陽の西の評価:

4.22/5点 レビュー 233件。 B ランク

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全466件 381〜400 20/24ページ
No.86
(4pt)

過去への郷愁

この小説は、恋愛、結婚、育児、仕事を一通り経験した30代以上になって読むと心の琴線に触れる何かがある。
まだ人生経験が浅かった思春期の頃は刺激的で、感覚的に時間が長く感じた恋愛も
一通り人生経験を積み年齢を重ねると、慣れのせいか当初覚えた心の躍動、感動を覚えなくなってしまう。
もちろん、自分も変わるし、周りも変わっていく。
その変化は、現在の生活を築く上で必要だったかもしれないが、逆に失ってしまったものもある。
過去を共有した人と再会した時に、その変化をどう感じるのか?
過去は過去とわりきれるのか、
それとも逆に現在の生活への空虚感、喪失感を抱くのか?
主人公は、過去を共有した人と再会することにより、現在の生活から別の世界に踏み込んでいく。
その世界は、単なる過去の再生ではなく、「国境の南、太陽の西」にあるもの。
そこで感じる幻想感、浮遊感は、現実の世界にある空虚感を埋めるものであり、
奥行きのある会話とともに、変わらない、変えようがない過去への郷愁を誘う。
「しばらくっていうのは、待っているほうにとっては長さが計れない言葉なんだ」
「でもたぶん、そういう言葉が必要な状況というのがあるのよ」
「そしてたぶんというのは重さの計れない言葉だ」
「そこは(国境の南、太陽の西)はたぶんの多い国なの」
国境の南、太陽の西 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西 (講談社文庫)より
4062630869
No.85
(5pt)

傑作揃いの春樹作品の中でも、ひときわ輝きを放つ秀作。

不倫と正直に、公正に向き合いながらも
描写にこれだけの清潔さを維持させる物語構造、
美しい感情移入のさせ方は大変見事なもの。
線引きの難しい卑屈と謙遜の境界を上手いこと渡りながら
真摯な自嘲を決して忘れない。
そしてやはり村上春樹の恋愛小説の根底にあるのは
高度資本主義の構造=システムの矛盾を内側から掘り崩す
攻めの姿勢ですね。一見ヤワに見える文体だが
その裏に見え隠れするのは、確固としたシステムへの闘争心です。
妻の父に「たまには浮気もいい、そんな息抜きがあったほうが
かえって夫婦生活は上手くいくものだ」というようなことを言われる
シーンがとても印象に残っています。このような、何気ない言葉から
資本主義を軒下から支える恋愛観や結婚制度、性欲の洗練化といった
システムと、人間にもとより備わっていた心象のカオスとの弁証法が
心地良い密度で持って僕らの価値観を刺激してくれるのです。
主人公が、大好きだった曲『スタークロスト・ラヴァーズ』を
聴きながら零す終盤の台詞がたまらない。
国境の南、太陽の西 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西 (講談社文庫)より
4062630869
No.84
(5pt)

私を丸裸にする隣のお兄さん

村上春樹を読んでいると、感情のヒダを、逆なでしているのか、癒しているのかわからなくなる。
結局、感想としては、イタキモチイイ、のではあるけれど、それは崇高な感覚ではない。
三島由紀夫が芸能人なら、村上春樹は隣のお兄さん感覚で、私の内面をさらけ出そうとするのだ。
だからこそ、リアルで卑猥で、ひたすらザワツキ、現実を眼前に突きつけられるのだ。
そう、私も同じです、と。
だからこそ、この作品も、とても愛しく感じられると共に、村上春樹の才能に、ただひれ伏すのみである。
この本を読み進めながら、うんうんと頷きながらも読者として感じていたことは、オトシドコロはどうするのか?ということであった。
しかし、本作品はほぼ完璧であったと思う。
唯一、「ハテナ」と感じたのは、妻の存在だ。
願望として、いてほしい、こうあってほしい、と私自身心から憧れるけれど、現実的ではないような気がした。
しかし、現実的であることの意味はどうでもいいほど、最後の最後まで、この作品は良くできていた。
最後の一行まで、私には、この結論以外には考え付かないほど、お見事であったといえる。
きっと多くの人が思うだろう。
「僕」は僕です、「僕」は私です。
と。
それほどに、この作品は、臨場感あふれる作品だったと思う。
ちなみに、私も9年ぶりの再読組です。
国境の南、太陽の西 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西 (講談社文庫)より
4062630869
No.83
(4pt)

おりかえし

村上春樹は有名すぎて、「自分の感想に自信がもてない・・・」という妙な感覚が
あるのですが、この作品は心を通るものでした。多くのことをおきざりにしながら、
手に入れてきた現実・・・そこから時折、逃げたり飛び越えたりしたくなる・・
自分がそんな年齢だから、響くことが多かったです。
国境の南、太陽の西 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西 (講談社文庫)より
4062630869
No.82
(5pt)

人生の長さを感じる

物語の筋だけをいえば、
主人公が恋をして、恋をしながら学生が終わり、社会人になり、年をとり・・・
その間には、住む場所が変わったり、仕事が変わったり、
お金や車も、昔とは全然違っていく。
でも、10年たっても、20年たっても、40年たっても、
最初の恋を忘れない。
何度読んでも不思議な本で、人生の長さを、
そしてやはり、「人生は短い」と感じさせてくれる本。
だって1つの恋も忘れないうちに、どんどん年ばかりとっていってしまうんですから。
国境の南、太陽の西 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西 (講談社文庫)より
4062630869
No.81
(4pt)

村上春樹氏の作品、初読

瑞々しい文章を書かれる作家さんと聞いて、店頭で何気なく購入してみました。
その際ページをパラパラと捲って中身を軽く覗いてみたのですが、一行あたりの文章量が多く、「読むのに疲れそうだな」と思いました。
ですが、読了後の感想としましては「買って良かった」の一言です。
購入前気になっていた文章ですが実際のところ、一文一文はさっぱりとしていて余計な付属品がなく、単純に読み進めているだけで面白味がありました。他の方の言うとおり、確かに登場人物たちの会話はどこか冷静すぎて、一つの問いかけに関してまるで一週間ほど家で考えてきたような印象を受けます。が、私としては逆にそこが良かったですね。
物語については……購入される前にあれこれ言ってしまうのはどうかと思うので、少しだけ。
少なくとも二十一歳男性の私でも共感、感心するものが随所にあり、決して年齢を選ぶような作品ではないと思えます。そのあたりで購入を検討されている方にはお勧めしたい作品です。
国境の南、太陽の西 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西 (講談社文庫)より
4062630869
No.80
(5pt)

自己増殖していくシステム

 読んでみて、この本での一番の重要人物は有紀子の父なのではないか、という気がしました。そして、彼に教わった「自己増殖していくシステム」との「僕」の闘いが描かれているように思われます。その過程で「僕」は多くの人を傷つけてしまう。そういう風に、というより、そういう風にしか「僕」は生きていけない、という点が重要なのではないか、と思いました。
 『国境の南』を聴きたくなりました。
国境の南、太陽の西 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西 (講談社文庫)より
4062630869
No.79
(5pt)

「大人であること」をポジティブに書いた良作

 春樹作品の中で、最も認めている作品のひとつです。いつもと同じように内向的で欠如を抱えた主人公が、これまで出会った重要な女性達(=初恋の人、初体験の人、妻)を愛したり傷つけたりしながら、大人になってしまった自分の社会生活や家庭と向き合っていくストーリです。
 自分ひとりで煩悶し、妻に問いかけることが全くなかった主人公が、妻にそのことを指摘されてからのポジティブな感じが、他の春樹作品には余りない読み心地を生んでいます。
 「少年が大人になること」をいつも書いている作者が、一人の男が「大人であろうとすること」に焦点を当てて書いたこの作品の持つ、「救いようの無さ」と「救いの感じ」の両面性が好きです。
国境の南、太陽の西 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西 (講談社文庫)より
4062630869
No.78
(5pt)

実は素直な小説。桜庭一樹『私の男』と並べて読む。

桜庭一樹『私の男』(文藝春秋2007年)を読んでいて、本書の存在を
思い出した。
ずっと以前、出たばかりのときに読んだときは何だか当惑させられた。文
章そのものは、いつもの村上テイストだからどんどん読めるけど、セック
ス描写がとても多くて、辟易してしまったのだ。セックスだけが持つある
種の力が、小説の主題なのだから、描写が多いのは当然なのですが。
今回、『私の男』と並べて読んで、小説のつくりとテーマが、初読のとき
より遥かによくわかった。『私の男』は、同じ一つの部屋で、ひたすら深
く濃い関係を持つ設定で、性の深さをさぐっていく小説である(時系列を
ひっくり返すなどの仕掛けはあります)。それに対し、こちら『国境の南、
太陽の西』は、主人公の僕と島本さんの関係は、決して縦に深まっていく
わけではない。むしろ、セックスを軸に主人公のいる場所は横にどんどん
動いていく。最後の最後に、深く濃いところへ入っていこうとするのだけ
れど、それはほとんど死と隣り合うような場所である。
こうまとめてしまうと、つまらない感じですが、実作はもちろんもっと余
白に満ちていて、もちろんこんな拙い要約からは漏れてしまう広がりを
持っています。
本書は、きっと作者の村上さんの実体験・実感が小説的に変奏されている
のだと感じられました。この通りの経験が生のものとしてあったというの
ではありません(小説家という人種はそんな風には素直でない。まして村
上春樹なのだから)。言いたいのは、100%想像力で書かれたファンタ
ジーではなく、実感の裏打ちのある小説だという意味です。
だから素直な小説というのが、再読の感想です。1949年生まれの春樹
氏は、本書出版時で42歳。そのぐらいの年齢以上の人が読むと面白い小
説だと思います。
国境の南、太陽の西 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西 (講談社文庫)より
4062630869
No.77
(5pt)

読み返しをお勧めします。

10年以上前に大学生だった僕は、世間の評判と同様、まったく面白さを感じることができなかった。
先日、再度読み返してみると、この作品の面白さ、すごさを感じることができた。
この主人公と全く境遇も異なるし、不倫なんてできっこないのではあるけれど、日々の生活の空虚感や島本さんの「吸引性」など、共感するところ多く、考えさせられた。
渋谷や青山の細かい描写も学生時代と比較して、今はよく知った土地・地域となっているのも過去読んだ時と異なり、現実味が出てきている。
過去、駄作と評し全く読み返していない方へ是非お勧めします。
国境の南、太陽の西 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西 (講談社文庫)より
4062630869
No.76
(5pt)

大切な局面での人生の綱渡りの在り方

 私は、この「国境の南、太陽の西」が村上春樹作品の中で一番好きだ。10代の学生の頃によみ、20代、30代と思いだしたようにページを開く。10代の時には分からない主人公の心情が分かるようになってくる。
 本書主人公「はじめ」は経営者として成功をし、妻子もあり幸せな部類に属す生活をしている。しかしある日突然、小学校の頃に好きだった女性が現れ、今ある全てを捨てる覚悟を一度する。どのようの転んでもおかしくない精神状態の中で主人公は人生の選択をしなければいけなくなった。結末は本書に譲るが、大切な局面での人生の綱渡りの在り方を考える。
 この物語を読んでいると、なぜか自分の人生にあてはめて考えこむ。とても良い小説です。
国境の南、太陽の西 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西 (講談社文庫)より
4062630869
No.75
(5pt)

他の作品とは好きの質が違いました。

20代の頃から(現在45才)作品を読んできましたが、この作品は若い時に読んでも、たぶん読めなったでしょう。
私は主人公の男性の感覚に共感する部分が非常に多く、島本さんに対する主人公の感情に移入してしまい切なくなりました。
人生も40才に近くなると、生活の安定と引き換えに背負うものも多くなり、時には辛く逃げ出したりなくなる瞬間があります。そんな時、自分について考え過去に関わりあった人を通じて自分を再確認したくなる瞬間があります。実行に移すかどうかは別として。そんな時、封印されていた記憶が抜け出してきて、今の自分を試します。過去の恋人やもっと早く出会うべきであった人と出会った時に。
そんな感覚を持ってしまった世代なら、この小説は特別なものとなるでしょう。
特に村上体質の人には。
けれど女性の立場として、島本さんは、男性の「妄想の対象としての理想の女性」という感が拭えませんが。そういう女性に魅かれる男性がまたいいんですけどね。
国境の南、太陽の西 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西 (講談社文庫)より
4062630869
No.74
(4pt)

繰り返す事で癒されていくもの

この本のテーマはノルウェイの森、ダンス・ダンス・ダンスに共通のものがある。成熟しきれない主人公は自分でそれに気付いているが、どうしたらいいのかはわからない。しかし最終的には自分の責任で自分の世界を創ることに希望を見い出していく。人生が物語のようなものと考えると、この繰り返されるテーマは作家自身が自分を癒すために書いたものなのだと解釈できる。人間は同じ話を何度もすることによって悩みや苦しみから開放されていくものだからだ。しかし、村上作品の良いところは、そうであっても決して「自分には同情しない」ことである。このクールに、しかし誠実に自分を見つめた結果、それは現代の我々と共通のもの、あるいは人間の普遍性を教えてくれるのだ。だから同じテーマを読んでも私はそこに常に新しい発見をする。村上作品が癒しになっているのはそういう理由なのだろう。
国境の南、太陽の西 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西 (講談社文庫)より
4062630869
No.73
(5pt)

中年男のありがちな妄想を見事に具現化

男というものは中年になっても、若い頃につきあった女性の事がいつまでも忘れられず、
今頃は不幸な人生を送ってるんじゃないかなどと勝手にクヨクヨ考えている生き物である。
本書はそんな中年男の妄想を実に見事に具現化していると思う。
普通の作家がこういう小説を書いたら、おそらく陳腐なメロドラマになってしまうのだろうが、村上氏お得意の解釈に悩むキーワードやフレーズが巧みに仕掛けられ、秀逸な芸術作品として仕上げられている。
途中で映画「カサブランカ」みたいで、ちょっと陳腐かなーと思っていたら、最後の方でピアニストが「カサブランカみてえだよ」といって、それ以来主人公の顔を見ると時々冗談で「アズ・タイム・ゴーズ・バイ」を弾くところなどは結構笑えた。
国境の南、太陽の西 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西 (講談社文庫)より
4062630869
No.72
(5pt)

本気の浮気

相思相愛の初恋が
紆余曲折を経て
ぎりぎりの妥協点で
実を結ぶお話です。
恋愛というのは
さわやかであり
もどかしくもあり
分別があり
いやったらしくもあり
情熱的でもあり
そういうのを総称して恋愛と呼ぶと思いますが
そんな感情が極限にまで描写されています。
浮気と呼ばれるものの手本みたいな感じで
やるんならここまで
パーフェクトにやらないと
誰も許してはくれないでしょうね。
気持ちも行動も含め。
国境の南、太陽の西 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西 (講談社文庫)より
4062630869
No.71
(3pt)

文学作品、創作として読むのが良いです。

 この作品の主題は「はじめ(主人公)の身勝手さの在り方」だと思います。
 主人公と似た経験がある人は感情移入できると思います。
しかし、あんまり感情移入しないで、距離を保って読むほうがいいかな?と思います。
 やっぱり、結婚するなら他の女性を好きになることをあきらめるべきです。
それができなくて、歳を重ねても恋をしていたいなら、ずっと独身であるべきです。
 この小説は、結婚はその二者択一を迫られているものだという概念が無く、
一般的な倫理観を破壊しかねません。
 だから、感情移入して読み終わって、気持ちよくなっても、
次の日には「小説でフィクションだな・・・」とふりかえったほうがいい・・・
自分の周りに不幸な人を増やさないために。
国境の南、太陽の西 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西 (講談社文庫)より
4062630869
No.70
(5pt)

A Broken Dream

幾分不協和音的で、不思議な統一感を持ったこの小説の主題は、「夢を追いたい男、夢は嫌いな女」といったところだ。日本で屈指のストーリーテラーで、プロットの巧みさでは英米小説の優れた作家の域にある著者の隠れた傑作である。男は、少年時代の夢を大人になっても持ち続けている。女は、少女時代に見た同じ夢を現実に昇華しなければ、その夢は価値が無いと考えている。純粋な恋愛の葉っぱの裏側に浮き出ている葉脈を読み取らなければ、この小説を読みきったことにはならないだろう。エピローグは、ドラマチックな結末を期待する読者に肩透かしを喰らわせるかもしれないが、当然の帰結といってもよい幕引きだ。セックスと夢と死は連鎖しているが、男にとっては、sex-DREAM-deathだが、女にとってはSEX-(dream)-DEATHなのだ。恋愛を生きることに関して、女の方がずっと厳しい。女は、現実から逃れて夢を見続けるといった曖昧な糸の切れた凧みたいな感覚が大嫌いなのだ。一方、男の長く続く夢は、いつか壊れてしまうことを知りながら、眼が覚めるまで見続けたいと思うイマジネーションの産物。女のリアリズムに男のナイーヴな夢が敗北を喫するThe Same Old Story…。男が夢の破片を掃き掃除しなければならない惨めなステージだ。ニール・ヤングの“僕は夢見る男。あなたはただの夢だから、他の女に代わっても同じこと”という強がりはこの局面では通用しないのである。
国境の南、太陽の西 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西 (講談社文庫)より
4062630869
No.69
(4pt)

みんなで切ない

この小説を読んでいたら「浮気」ってしても良いんではないか?というオイシイ感情が浮かんでしまう、何だかドラマチックに書かれているために勘違いしてしまう自分が恐い。
でもやはり人を好きになるって事は本能であって結婚とか浮気っていう概念は後着けで作られた物のため、タイミングが合わなかった凄く好きな人が急に目の前に現れたらやはりなるようになってしまう、というほうが自然な事のような気もする。そのへん複雑ですが読んでいてドキドキする作品でした。
「店には落ちつくべき次期と、変化する次期がある、それは人間と同じなのだ。」と主人公が言っておりましたが、この言葉が作中一番心に残りました。
 
国境の南、太陽の西 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西 (講談社文庫)より
4062630869
No.68
(5pt)

本格的で素直な恋愛小説

村上作品では、
本格的で恋愛小説。
「ノルウェーの森」に次いで、
正面きって恋をテーマにしてます。
喪失感や他人との関係性の欠落といった村上作品のテーマは、
本作でもしっかり描かれていますが、
本作はしっかりと恋の始まりと終わりを描ききった点で、
シンプルな作品だと思います。
主人公はもてない男のはずなのだけど、
ストーリーの中では、
しっかり女性からもてていて、
村上作品に共通するお約束はしっかり生きています。
「ぼくは女にもてるって」いつか書いてもらいたいものです。
国境の南、太陽の西 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西 (講談社文庫)より
4062630869
No.67
(5pt)

マイ・ベスト・村上

村上作品のすべてを読んでいる訳ではありません。 これまで読んだ中で、最も面白かったのはカフカで、何回も読みたくなるくらい理屈抜きで好きなのが、この作品。最高傑作との呼び声高い「ねじ鳥」は途中で挫折したので、偉そうなことは言えません。「ダンスダンスダンス」「世界の終りと〜」も途中挫折(笑)。独特のシュールな舞台設定についていけないようです。ですが、羊三部作、「ノルウェイの森」は中学時代に読み、カフカと「スプートニクの恋人」は30代になってから大変楽しんで読めました。ですから、もし「世界の終り〜」や「ねじ鳥」で「村上は合わない」と挫折された方も、この本から手に取られてはいかがでしょうか?島本さんという初恋の女性は、「もしかしたらこうなっていたかも」という過去への幻想を具現化した存在なんでしょうね。今はこういう人生を送っているけれども、本当は○○していたかも知れない、という幻想を絶ち切る=島本さんと決別し家庭に戻る、なのかな、と。それだけではないでしょうけれど、今の自分(30代)に一番呼応するのがそこの部分。私自身が、「もしかしたら〜になっていたかも知れない自分」という心地よい甘い幻想と決別出来るのはいつのことでしょうか?
国境の南、太陽の西 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西 (講談社文庫)より
4062630869