国境の南、太陽の西

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評判

国境の南、太陽の西の評価:

4.22/5点 レビュー 233件。 B ランク

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平均点4.22pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全466件 421〜440 22/24ページ
No.46
(2pt)

正直、ダメでした、私には

数年前、何かこの作者の作品読んでみようとこの本を手にしました。初めて読むのに適当な厚さ、ジャズファンとしてなじみのあるタイトル。読んでみると、なんだか作者が非常に優しい。いや優しすぎ。「はい。ここは伏線でこう書きますよ」やら「こう書いたらちょっとかっこいいでしょ」なんかが透けて見える何だか読み手を馬鹿にしているような感じだった。私の感覚ではこういうのは正直ダメでした。まあ、その後春樹作品は読んでないんで星ひとつは厳しいかなととりあえず2つにしておきます。
国境の南、太陽の西 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西 (講談社文庫)より
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No.45
(4pt)

私は良かったとおもう

「僕は長いあいだ、彼女に対して僕の心の中の特別な部分をあけていたように思う。まるでレストランの一番奥の静かな席に、そっと予約済の札を立てておくように、僕はその部分だけを彼女のために残しておいたのだ。」これは小説というよりはまるで長いラブレターのようだ。ずっと、たった一人に向けて君が特別なんだと言っているというか。最初の方のいくつかの文章は私のことではないかと思えてただうなづいてしまった。後半よりも前半のほうがきめ細かくかけていると思う。
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No.44
(5pt)

それまでの村上春樹

 の中ではけっこう異色の作品なのではないか。 名前がぽんぽん出てくるし、長い間の話を書いている。 幼い頃の友達への再会。リーダビリティとしては、どれも高いけど、ノルウェイの森並みに読めるので、どうだろう。
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No.43
(4pt)

ある一人っ子の少年の成長

 村上春樹作品としては珍しく、一人の少年が大人になるまでの長い期間を書いている。現在の私の中ではこの作品は著者の作品の中でB級だ。他の長編作品ほどの強い個性のようなものを感じないのは、これが大人の小説だと言うことか?あと十年ぐらいしてから読んでみればこの作品の更なる良さが分かるかもしれない。
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No.42
(5pt)

一人っ子必読!!

たぶん、この小説は、一人っ子の人と、そうではない人が読むのとでは、感じるものが異なると思う(ちなみに、私は一人っ子です)。一人っ子が感じる寂しさ、孤独に対する恐怖、それでいて、孤独であることになれてしまっている現実、それは、兄弟がいる人には理解できないものなのかもしれない。そう感じさせる内容だった。そして、現実がもたらす寂寥を強く感じた。結局のところ、人は死ぬまでの間に、多くの人と出会い、同じ数だけ、別れを体験する。その現実を、痛いまでにわからせてくれる内容だった。最近、著者は現実を凌駕した世界を描き、それによって人々の内面を描き出そうとしているように感じられる。それはそれで、心を打つものがあるが、本書のように、現実のリアリティを追求し、そこに偶然と必然を織り込むことによって、世界の美しさと厳正さを描く小説は、自分の置かれた状況を直視するきっかけを与えてくれるものだと感じた。
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No.41
(5pt)

かなりオススメ★

私が村上作品にはまったのはこの本を読んでからです。日常には、何不自由なく過ごしている主人公の前に昔大好きだった人が現れる…なんてことない、ありがちな恋愛小説の設定です。でもだからこそ、心に響きました。結局時間は流れてしまうけど、もしかして本質的なものを忘れていってないのだろうか…毎日忙しく過ごしてると大切な事とか当たり前になって…とか色々考えさせられました。多分読む時期によって感じ方も違うんでしょうが、村上春樹さんの作品の中では一番現実にありがちな感じで最後の結末もすごく現実的にまとまって、冷たく暗い感じ、毎日の惰性のループからは、なかなか抜け出せないという事がとてもリアルに感じられました。
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No.40
(4pt)

主人公が

プールで泳ぐシーンと娘を車で幼稚園に送っていくシーンと奥さんとの馴れ初めの回想シーンで旅先で雨宿りするシーンが好きだな。あんな絵に描いたような成功者、逆玉になってみたいもんよのぉ~僕は豊橋で怖い顔になってる側の人間だもの。
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No.39
(5pt)

喪失を意識せず生きていく私たちへ

発売当時の90年代、喪失ということに実感値をもてず、理解に苦しんだ覚えがあります。ただ、大好きな村上春樹が年をとって、青山や外車が出てくるほど豊かになったんだな。という印象でした(失礼・・)。自分もそれなりに時を過ごし、再度読み直したとき、共感の高さに自分自身も驚いてしまったのです。時間を経ていくことは、得ることも多く、不幸せではない程度にみんな過ごしていると思います。日々の忙しさの中で、喪失している自身を前向きな現象だと捉え、がんばってる自分をはげまして、生きているでしょう。改めて突きつけられた気がしました。我々は喪失しているのだと。そして喪失しているのは自分だけではない、自分の大切な人たちも自分と関わることによって喪失しているのだと。何を失ったのか、それは得たものより大切なものなのか、得たもののほうが大切なものなのか。問いかけながらも、日々時は流れていくのでした。
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No.38
(5pt)

ラヴ・ストーリー史上最高のラヴ・ストーリー

1991年の初めから、約2年半、氏はスコット・フィッツジェラルドの故郷マサチューセッツ州ケンブリッジ(プリンストン)に住んでいる。この間に氏は2つの重要な長編小説を書き上げる。ひとつが『ねじまき鳥クロニクル』そしてもうひとつがこの『国境の南、太陽の西』である。僕は作家の小説を書き上げた場所というのは、ものすごく重要な小説構築の要素だと考える。スコット・フィッツジェラルドに幾多の天啓を与えたプリンストンの地は、スコット・フィッツジェラルドを敬愛する氏にも驚くべき天啓をもたらした。『ねじまき鳥クロニクル』はシニカルな村上ワールドの、そして『国境の南、太陽の西』は村上ラヴ・ストーリーの最高傑作だからだ。2つは全く別の世界だが、現実世界に深く密接しているという共通点を他の村上作品より強く持っているという共通点も感じられる。もう一度断言するが『国境の南、太陽の西』は村上ラヴ・ストーリーの最高傑作だ。売れまくった『ノルウェーの森』も遙かに及ばない最高傑作である。ジャズの旨味が随所に効き、プリンストンの地の天啓がしみた素晴らしい文体が過去・現在に出会う女性達を見事に描ききる。そして村上氏は主人公に常に自問させる。この人生は確かに順調かもしれない、でも本当に俺の本当の人生なのか、と。いつか、敏腕なディレクターがこの作品の価値に気がつき、映像的なこの小説を映画にしてくれるだろう。それは日本かもしれないし、アメリカなのかもしれない。ナット・キング・コールの『国境の南』の果てのもうひとつの場所と時間で、僕の過去の想い出の中にいる『その後の』彼女ともう一度出逢い、その映画をみたいなと思う。
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No.37
(2pt)

理解しかねる。

意味不明とかではなくて、どうしてこんな作品を村上さんは出したのだろう、と思いました。もう少し考えてみれば、もう少し冷静に考えてみれば、いかに無意味な作品であることが、お分かりいただけるかもしれません。
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4062630869
No.36
(5pt)

何故不評なのか?

~三十四になるが、去年の十月まで村上春樹を読んだことがなかった、元々メジャー嫌いと、写真で見る村上春樹に興味が持てなかったからだ。ある日、本屋で二十五周年記念の文庫「風の歌を聴け」を手に取り、「完璧な文章など存在しない」その一行に惹かれ初めて春樹を買った。それから今年の一月までに講談社のものを中心に十四冊を読んだ。完全に春樹病になっ~~た、いや病になったというより「僕」という存在を確認することが毎日の日課になった。そしていつかこの心打つ日課が終わりをむかえることを恐れるようにまでなった。その中で一冊と言われたらオレはこの本というしかない、主人公と自分の境遇が似ていたという点があったことも確かだが、人生の折り返しを感じる時期に最も得難い感情とは何なのか、本当の至福~~とは何なのか、感じさせる話だった。最後の方は一ページ一ページがとても意味深く、島本さんの「全てを取る」ということの実現理想にもっていかれた。この本は発売当時不評で「5年後か10年後にまた読んで欲しい」と作者はいったらしいがこの時期に読めたオレは幸せ者だ、オレにとっての春樹ナンバーワンだ。春樹の最近の作品も読んでいるが山は越えたようだ~~、そして山を登ることは二度とないだろう、でもそれが刹那という芸術表現だと思う。~
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4062630869
No.35
(3pt)

時期尚早か

 この作品は 村上ファンには概して評判は良くない。「陳腐だ」とか「スノッブすぎる」であるとか言われいると思う。実際に読んでみてどうか。 確かに「独創性」に満ちふれた作品とは言い難いかとは思ってしまう。設定、ストーリーも どこかで聞いた事があるようなデジャヴュを覚えてしまい村上であれば もう少し「ひねり」であるとか「奇妙な味付け」であるとかが出来たような気もするのだ。そう言う意味で 器用さだけが目に付くような作品といえば そう言えるかもしれない。 村上が発売当時どこかのインタビューで不評を認めた上で 「5-10年後にもう一度 この作品を読んでみて欲しい」と発言していた記憶があるが その5-10年後である今日読み返しても まだ 僕には「解らない」としかいいようが無い。まだ時期尚早なのかなあと思う次第である。 最後に念のため付け加えますが 僕は この作品は 結構好きです。
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4062630869
No.34
(5pt)

人生を変える出会い

ある出会いが、その人の人生観や目に見える風景までを、それまでとはまったく違うものに変えてしまうことは本当にある。他者から見れば、その人の生活には何も変わりが無いように見えるだろう。しかし日常生活を変わりなく送りながらも、それまでの日常とは全く違う世界に生きることになる、そんな出会いは現実にある。そんな出会いを経験してしまった主人公の苦しみを、みずみずしい文章でテンポよく描いた傑作。孤独を抱いて生きる少年は大人になり、絵に描いたような幸せな生活を手にする。しかし、ある女性に再会することにより、自分の生活にどうしようもない喪失感を抱くようになる。人間は、自分を引き付ける目に見えない力に逆らうことはできないのである。読者をどんどん物語の中に引き込んでいく手法や心理描写は見事である。しかし、結末は現実的で少しがっかりした。小説の世界であればもっと冒険してもいいのでは・・・
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4062630869
No.33
(1pt)

春樹一の駄作

この小説は、いわゆるひとつのよくあるフィクション的な”不倫小説”でセックスしたいー、みたいなクソでダサダサな本能めいたもの、でも書きたかったのか? およそ”ハルキスト”ならば、別名で書いて欲しい作品である。はっきりいって、”つまらなすぎる”村上春樹の他の作品を知らない人、初読の人は読まない方が賢明です。必ず他の著作から読んでください。”渡る世間は鬼ばかり”的な恋愛小説です。渡る世間的テーマは半面教師としてアンチテーゼとして存在している、こと。を当然理解した上での表現です。”よくある話”をこよなく好む方はよんでも良いのかもしれません。時間の無駄にしかならない、この上ない駄作だ。
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4062630869
No.32
(4pt)

やっぱり、村上さん

「やっぱり、村上さん」と長編を拝読するたび感じます。
「ノルウェーの森」「ダンス・‾」「風の歌を聴け」、そして「国境‾」等。青春期から引きずる言葉にしきれない「心のかす」の整理を、著者はしてくれる。
ハッピーな時に警鐘を鳴らし、落込んだ時に励ましてくれる。それこそが、村上文学の秘密と思います。
簡潔な文体・身近な具材、小説の中で初めて気が付かされるオーソドックス美女。私達に感じさせる物事の裏打ちは、優しさかさなる文章に他ならない。言い換えます。道化を覚悟した著者の在り方なのでしょう。
「国境の南、‾」は格別です。欲張る自らを戒められた作品です。
それにしても村上さん、「妻を愛することは尊いことなですね!」。拝読以来、今日も実践しています…
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4062630869
No.31
(5pt)

私自身が気づかなかったもの

私は12年前の発売時に一度この小説を読んだ。そして今、もう一度読み返し、小説から受ける心象が全く変わっている事に驚いた。そしてそれは私自身の過去が12年間分積み重なったからだと気づいた。人は誰でもこの瞬間に何を喪失しているかに気づかない。そしてその現在が過去になった時、初めてそれは鮮明になる。主人公同様、その時別の選択をしていれば現在は変わっていただろうが、当時はその選択しかできなかった事が、この世の中には沢山ある。一人っ子であったがために「喪失感」にとらわれる主人公。今は幸せだけれど過去に別の選択もできた「僕」は25年前の恋人「島本さん」と再会して、「僕」自身の「喪失感」をより鮮明に自覚する事になる。そしてその体験は「現実」と「空想」の狭間を曖昧なものにしていく。「僕」にとって「国境の南」とは何なのか、「島本さん」にとって「太陽の西」とは何なのか。読者の体験の中に突き刺さりながら新たな世界を提示するといった著者ならではの手法がちりばめられた村上春樹の傑作だと思う。
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4062630869
No.30
(4pt)

両極に揺れるアイデンティティ

過去の女性にどうしょうもなく心奪われていく主人公の話。この物語で語られるところの「国境の南」とは、ユートピア。つまりは主人公の理想的な現在の生活。「太陽の西」とは、主人公の過去、かつて好きだった女性の存在。現在の生活とは違う他の可能性などの暗喩ではないかと思った。幼き頃の寂しい自分とは違う、不満のない人生を手に入れた主人公だが、その日常生活にも次第に飼いならされていき、自分という存在を見失いはじめていたのだろう。そんな中、かつての孤独な自分を知っている女性と再会したときにそこに過去の自分を取り戻したかの様な安心感を受けた、またあるいは、自己の存在意義を見出せたのかもしれない。読後に感じたのは、日常生活の中に潜む影というか、危うさ。私たち人間は何かの拍子に風向きが変われば簡単に揺らいでしまうような、そんなちっぽけな存在なのではないかとさえ思った。またそれとは別に、物語の中で苦悩しながらも、力の及ぶ限り自己探求を続けていく主人公の姿はとても人間くさく、愛らしく、そして共感を覚えた。
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4062630869
No.29
(5pt)

長く効く麻薬みたいな。

この作品はここ四年くらい年に一度通読しているんですが何度読んでも、話がどういう風に展開していって、どういう風に落ち着いていくのかを知っていたとしてもあるいは何度同じエピソードを追っても飽きがきません。もちろん村上春樹さんの文章のポップさやストーリーテリングの巧みさというのはあるんでしょうが読書を楽しむのに適当な長さだということと他の村上さんの作品と比べてストーリー性の展開に乏しい分一場面ごとの主人公の感情が緻密かつ繊細に描かれているので読み返せば読み返すほど、そして本作のモチーフの関係上、年を取れば年をとるほど味が出てくる、するめのごとき魅力をこの小説が持っているのが私が何度も読み返してしまう理由だと思います。これが「ねじまき鳥」や「世界の終わりと・・・」ですとするめが大きすぎるのでその味に飽きがきてしまうし、かたや「羊をめぐる冒険」や「ダンスダンスダンス」ですと展開で読ませるタイプの作品なので「これするめじゃなくてさらみじゃん?」ということになってしまいます。よって繰り返して読む村上作品チャンピオンシップなんてのがあったとしたならば私はこの作品に投票するでしょう。いうなれば長く効く麻薬みたいな。もはや一生モノです。
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4062630869
No.28
(5pt)

孤独に反射した光。

村上春樹氏の作品を初めて読んだ。一気にページをめくらせてしまい、読んでさせてしまうほどの文章力がありました。「僕」は若い頃から自分のなにかが「喪失」した「孤独感」を持っています。それを埋める存在の「島本」さん。僕のせいで「孤独」の虚無感に吸いこまれた「イズミ」。この3人を軸に「僕」の国境の南、太陽の西が描かれています。淡々とした毎日に欠けたものを感じる男性に読んでもらいたい作品です。現代が「自己」を失う「喪失」の時代で、それぞれが空虚を埋めようとしています。それはいろんな方法で。そんな背景に、「僕」の姿が重なりました。たしかに周りの人を簡単に傷つけてしまう「僕」の姿に苛立つこともありましたけど、それ以上に「僕」の姿からはなにか得るものがあったと思います。空虚と怠惰は消えることはないけど、空白の世界で生きていない以上、目の前にあるものをこぼさないように掴んでいくしかない。それを「誰かの手」が、教えてくれました。下手なレビューで、見当違いかもしれず申し訳ない。ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。
国境の南、太陽の西 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西 (講談社文庫)より
4062630869
No.27
(5pt)

邂逅があるから、生きていられる。

村上春樹作品にはどれも言えることだけれど、この本からはフィクションでありながら僕たちの日常が見せる局面に限りなく迫ったリアルさを感じた。果てしなく繰り返される主人公の沈鬱で、それでいてどうしようもなく情熱的な情動の軌跡。それはある面では女々しいと言われたり、卑怯とも思われるような選択と逡巡の連続だ。だが、それは人間誰しもが持つ本能の、ヴァリエーションに富んだ表出の一形態であり、それに抗わざるをえなくさせる理性との鬩ぎ合いに過ぎない。読者がそのどちらに立って読むかでこの作品は駄作にも良作にもなるだろう。だけれども僕には、人生の、一番いいタイミングでこの本に出会えた気がする。自分の中に渦巻く悩み、感傷的だけではない気分、そこに答えとはいえなくても何がしかの道筋を見せてくれる、そんな奇跡は確かにあって、そのお陰で僕は救われた気がする。私の人生には何かが欠けている、誰にも説明は出来ないけれど…。そんな苦悩を一度でも感じたことのある人になら、間違いなく薦めることができる、そんな良書だと思う。
国境の南、太陽の西 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 国境の南、太陽の西 (講談社文庫)より
4062630869