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最後の願い
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最後の願いの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.89pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全4件 1~4 1/1ページ
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探偵役は、自分が理想とする劇団を立ち上げようと奔走している若者2人。 劇団の立ち上げに協力を依頼しようとする人物や、その周辺の人物の身の上に起こった「事件」の話を聞くうちに、隠された真相を「推論」する。 具体的な証拠に基づいた「推理」ではない。 「事件」の語り手の側が、探偵役の側の表情の変化に気付く描写はあるが、探偵役が語り手の表情の変化を読んでいる描写は無い。 また語り手は、話の内容に沿って自分の表情が変化している事までは自覚していないようだ。 こうした書き方は、ミステリとしては微妙にアンフェアなのではないだろうか? 探偵役は、明らかに語り手の表情や口調の変化を読んでいる。しかし、視点人物が語り手の側に固定されているがゆえに、読者は、語り手の表情までは知りえない。 探偵役の語る「真相」もまた、一つの推論に過ぎないから、この微妙にアンフェアな感じは減殺され、読んでいるうちは余り気にならないのだが、後になってみると、単に作者の語り口に乗せられただけ、という気もしてくる。 それにしても、登場人物が皆揃って良い人ばかりだ。 作者の人間観がそうなのだろう。 しかし、それゆえに「いささか出来すぎ」「少し偶然に頼りすぎ」といった感も否めない。 その点でも、微妙な出来だ。 | ||||
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新しい劇団が出来上がっていくまでの物語です。 中心メンバーとなるのは演技力はもちろんのこと頭もキレる2人の男。 彼らは一緒にやって行きたいと思う人たちを訪ねていく。 しかし、その人たちはそれぞれに見過ごしてしまいそうな小さな、 でも「納得のできない不思議」を抱えていて、 2人はその謎を解決しつつ、仲間を増やしていきます。 全体を通して、面白さの元となる謎そのものには ハッとするほどの意外性やわかった時の爽快感はあまりない。 でも、ミステリーを読んだ後に残る強烈な悪意による不快感は感じず、 むしろやわらかいまなざしを受けたような心地でした。 後半に進むにつれて全編がつながっていくのがわかるのだけど、 それと並行して一人づつ劇団のメンバーが集まり、 すべてがスルスルと着実に完成していく過程を味わうのは気持ちの良いものでした。 | ||||
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さだまさしの『もう愛の歌なんて唄えない』の歌詞で始まる本書は、恋愛小説かと思いきや、立派なミステリーである。 光原百合は、北村薫をその嚆矢とすると言われる、倉知淳、加納朋子、若竹七海らと並ぶ“日常の謎”派のミステリー作家である。 本書は、7つの連作短編からなっており、それぞれが完結した物語になっていると共に、あとの物語で、先の物語中に積み残した謎が解明されて、最後の一編ですべての謎が収斂する、典型的な“日常の謎”ミステリーのスタイルをとっている。 ’05年、「このミステリーがすごい!」国内編第10位にランクインしている。 全体のストーリーは、劇団を旗揚げしようとするふたりの青年が、役者やスタッフをスカウトする過程で出会う“日常の謎”を解き明かしてゆく形で進む。 「引きちぎられて、床にばら撒かれていたバラの花」、「ケータイにかかってきた不審な間違い電話」、「盗まれるが、中身は何も盗られずに戻ってきたバッグ」などなど・・・。 同時にこれら“謎”の奥には、日常の生活に潜む人間心理がからんでいて、それらも優しい目で解いてゆく青年たちの姿を瑞々しく描いており、そういう意味では青春ミステリーの色合いも濃い。 そして、旗揚げ公演の劇場に‘居つく者’の「最後の願い」が明かされたとき、この新劇団の創設公演の幕が上がるのだ。 | ||||
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人間は欲張りな生き物である。著者の前作「十八の夏」は第55回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞する秀作であった。そうなると次回作にはそれ以上の期待がかかり、周りはさらなる秀作を待ち望む。ひとつ目のハードルが高ければ高いほど、次のハードルがものすごく高く見えてしまうのだ。以上のことを踏まえた上での星3つの評価である。決して本作品が駄作なわけではない。 いわゆる安楽椅子探偵ものである。本書では、探偵ではなく劇団員がその役目を果たす。例えば、誰かの思い出話や居酒屋で隣り合わせた人の話を聞いただけで、本人も気付かなかったような謎をお節介にも解いてしまうのだ。 その謎は、可憐なお嬢様の隠れた本質や携帯電話にかかってきた不審者の身元、不仲を装った親友関係、小学生の頃の不可思議な出来事、使われていない洋館の本当の理由、劇団の隠された解散理由などである。まるで昔に失ったものがひょっこり出てきた感じで解かれるのだが、その謎にかかわる人たちにとっては黒と思っていたものが、実は白だったというくらいの衝撃である。 何気なく読んだ前作の衝撃から、今作への期待が大きくなってしまうのは仕方のないことだが、「あとからジーンとくる、あの切ない感じ」はそこはかとなく感じられた。読了後は何となく物足りない感じがするのだが、やっぱり読んで良かったと思わせる作品であった。 | ||||
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