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栄花物語
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【この小説が収録されている参考書籍】
栄花物語の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.23pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全22件 21~22 2/2ページ
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素晴らしい作品でした。山本周五郎を読み始めてまだ数ヶ月だけど、次々に恐るべき作品に出くわしてびっくりしてしまう。書評ではこの栄花物語、賄賂政治家として悪名高い田沼意次親子を革新路線の政治家という視点で再評価し、保守の親玉松平定信らとの戦いを描く、とこうなっている。名作「樅の木は残った」の約1年前に完結したものらしく、本来悪玉とされた人物を別の視点から掘り起こす、という点では共通点も多い。もっとも現代ではむしろ1.定信の「寛政の改革」が結局うまくいかず、むしろ反動的正確で幕府経済の衰退を早めたこと、2.幕末まで経済破綻を招かなかった諸藩のとった改革は意次的経済政策/産業振興策であった事、などから田沼意次という人は充分再評価されていると思う。その因を!なすのが本作かどうか著かではないのだが.....しかし周五郎作品の凄さは「史観を転換させるおもしろい歴史物」をはるかにしのぎ、むしろ、そういった歴史解釈はひとつの設定でしかなく、主題は社会が破綻しつつある中、いかに生きていくかという群像劇だ。意次も登場人物の一人でしかなく、旗本を捨てて戯作家としての道を模索する信三郎、婿養子・勤め人の立場で運命に翻弄される保之介、犠牲者としての庶民代表といえる田舎小僧新吉などが過酷な運命の中でいかに生きいかに破滅していくか、終わりはかなり悲惨であり、周五郎作品中でも最も冷徹な視線が感じられるものだ。どこかに村上龍「コインロッカーベイビーズ」を思い出させる。その中で信三郎の愛人であり保之介の妻であるその子の存在感はどうであ!ろう。感覚と欲望にゆだねて決して悪びれない、現代でも悪女として描かれてもしかるべき人物を周五郎は40年以上前に一つの「天使」理想像として描いている。この感覚はただ者ではない。周五郎は時代小説の古典でありながら最高の現代作家である、ワタクシがそう言いきりたい所以がここにある。 | ||||
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素晴らしい作品でした。山本周五郎を読み始めてまだ数ヶ月だけど、次々に恐るべき作品に出くわしてびっくりしてしまう。 書評ではこの栄花物語、賄賂政治家として悪名高い田沼意次親子を革新路線の政治家という視点で再評価し、保守の親玉松平定信らとの戦いを描く、とこうなっている。名作「樅の木は残った」の約1年前に完結したものらしく、本来悪玉とされた人物を別の視点から掘り起こす、という点では共通点も多い。もっとも現代ではむしろ1.定信の「寛政の改革」が結局うまくいかず、むしろ反動的正確で幕府経済の衰退を早めたこと、2.幕末まで経済破綻を招かなかった諸藩のとった改革は意次的経済政策/産業振興策であった事、などから田沼意次という人は充分再評価されていると思う。その因を!なすのが本作かどうか著かではないのだが..... しかし周五郎作品の凄さは「史観を転換させるおもしろい歴史物」をはるかにしのぎ、むしろ、そういった歴史解釈はひとつの設定でしかなく、主題は社会が破綻しつつある中、いかに生きていくかという群像劇だ。意次も登場人物の一人でしかなく、旗本を捨てて戯作家としての道を模索する信三郎、婿養子・勤め人の立場で運命に翻弄される保之介、犠牲者としての庶民代表といえる田舎小僧新吉などが過酷な運命の中でいかに生きいかに破滅していくか、終わりはかなり悲惨であり、周五郎作品中でも最も冷徹な視線が感じられるものだ。どこかに村上龍「コインロッカーベイビーズ」を思い出させる。 その中で信三郎の愛人であり保之介の妻であるその子の存在感はどうであ!ろう。感覚と欲望にゆだねて決して悪びれない、現代でも悪女として描かれてもしかるべき人物を周五郎は40年以上前に一つの「天使」理想像として描いている。この感覚はただ者ではない。周五郎は時代小説の古典でありながら最高の現代作家である、ワタクシがそう言いきりたい所以がここにある。 | ||||
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