グロテスク

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評判

グロテスクの評価:

3.93/5点 レビュー 288件。 B ランク

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平均点3.93pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全225件 121〜140 7/12ページ
No.105
(4pt)

これは確かにすごい小説だわ

上を読んで、下に来た。
ほかの登場人物の日記を紹介する、と言う形で、語り手(わたし)を変え、これまで述べられてきた事柄を別の視点から描き、またこれまで語られてこなかった内容を巧みに補足する。
まずもって、そんな手法で、読者に「えっ?! そうなん?!!」と言う驚きを与える。
この語り手を変えることで、それまでの話を全く違うものにすると言う手法は、スティーブン・キングがうまいが、本作者のやり方は、もっと悪意に満ちている。
なにせ、これでは、うまうま感情移入できないんだから。
何と言うかな、誰を信じていいのか、分からなくなってくる。
この小説は、読み進むにつれて、題名「グロテスク」がいかにも当を得たものであることに納得する。
桐野夏生小説は、このところ、女性の心の奥をこれでもかこれでもかと白日にさらす。
そんなものが多い気がする。男性にとって、その内容は驚きの連続であり、女性にとってはつい頷く(そして、いやあ、私は。。。と、距離を置く)内容。
人がどのように人を見て、人によって自分の人生そのものが影響を受けてしまうのか。
改めて自分のこれまでの人生と、それに関わった、様々な人、特にある時代時代にふと顔を思いうかべるような人達について、いったい彼らは今どうしているのかと、深い思いに浸った。
決してさわやかな読後感とは言えない。
しかし、小説が他人の人生を共有するものとすれば、まだまだ知らない人生があるんだなぁ、と改めて思い知る、深みのある面白い作品でした
グロテスク〈下〉 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: グロテスク〈下〉 (文春文庫)より
4167602105
No.104
(5pt)

名前も無い「わたし」

 語り手(=空前絶後の美貌の持ち主・ユリコの姉)に名前はありません。全てを冷静に見渡しているように取り澄ましている「わたし」の語り口も時々綻びを見せます。この名前の無い「わたし」の自意識の在り方が私立の名門学校という階級社会で加速しながら歪んでしまった様が語られる上巻。
グロテスク〈上〉 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: グロテスク〈上〉 (文春文庫)より
4167602091
No.103
(5pt)

まず上だけで。。引き込まれています

上下巻の本の場合、基本的に、上下ともに読んでしまってからレビューする
ようにしているんだけど、この本はちょっと趣が違う予感がして、ここでまず
上のレビューを書きましょう。
正直言って、この後の展開など知りませんし、ほかの方のレビューも読んで
ないので果たしてこの上だけのレビューがどこまで当たっているか。。。
とは言え、この本は少なくとも上を読み終えたところで、完全にアタリです
もちろんこのあと速攻で下を読むでしょう。
確かに「グロテスク」とはよくも付けたりです。
そのほかに言いようのない人間。人間だけでなく人間関係もまさにグロテスク。
私は男性なので、この女子の一貫校の有り様と言うのは全然知りません。
これも、やはりグロテスク、の一言ですね。
その、社会も、人間関係も、人間もグロテスクな中で展開される人間模様。
それが基本的に一人称で語られる風に展開するストーリーは、引き込まれます。
しかもその語る一人称が変わったとき、それまでの話が別の視点から語られ、
変わってしまっている。
この違い。人生と言うものは、自分だけではなく、多くの人が主役で、みな
それぞれにこの短い邂逅をそれぞれの視線で見て、感じて生きているんだなぁ。
人間の人生とは、かくも多彩で、このようにそれぞれが主人公で生きている。
グロテスクだと思っていたことが、これが人間の人間らしい、生き方なのかと。
そして、人の生活と考え方、見方、をこうして垣間見ることの面白さ。
これからの展開がどうなるか楽しみです。
既にはじめの方で、主要人物の人生の結末は、現在からふり返って語られて
いますから、分かっているようなもんですが、はてそれがどんな手法で展開
するのか、とても楽しみで、下を手に取ることにしましょう。
グロテスク〈上〉 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: グロテスク〈上〉 (文春文庫)より
4167602091
No.102
(5pt)

「見事」の一言に尽きる

桐野夏生氏による東電OL殺人事件をモチーフとしたフィクション。
主な語り手である名も無き姉。
美しき怪物であるその妹ユリコ。
そのユリコ殺人の嫌疑がかかる中国人チャン。
そしてユリコのかつての同級生である和恵。
本作は、2つの事件を、4つの視点で、2つの文体を用いて描かれている。
(正しくは、主な語り手である「姉」が読者に向かって語りかけながら、
日記や手記、上申書を挿入しつつも、ストーリーの主導権を握り続けるといったところか)
ストーリーに鬱屈した雰囲気を一貫して保ちつつ、異なった視点を取り入れ、
背景には一つの事実(事件)が常に揺ぎなく存在している。
ストーリーは至って単純である。
それを一方的でそれぞれ異なった、やや屈折した視点で描いた点が本作最大の魅力だ。
まさに「見事」の一言に尽きる。
グロテスク〈上〉 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: グロテスク〈上〉 (文春文庫)より
4167602091
No.101
(5pt)

現代女性の根本的な問題を描ききる作品

 社会的立場の高い女性には行動の自由が許される。生活に困らない収入もある。その自由が自我の肥大を生み出す。東電OL事件に興味を持って読んだ感想。本当にグロテスクである。
いみじくも作中のQ女子高の木島教師が「僕たちは学校で科学的なことしか教えていなかった。もっと人間性を教えるべきだった」と悔いるように、Q女子高という小さな世界の中に進化論的なパワーゲームの世界が縮約されている。そこで育った4人のグロテスクな女たち。
 この小説は悪意に満ちている。まったく歯に衣を着せないやりとりが読んでいて爽快になるぐらい。そして4人の女性とも孤独である。孤独への恐怖が4人をねじ曲げていく。
作品中、もっともグロテスクなのはやはり和恵である。自己が分裂してしまった彼女は、しだいに社会と自分、という壁を失っておぞましい怪物になっていく。なぜ高校時代の地味な彼女が変貌したのか。それは多分、ユリコの姉が言うように、自分や世間に対して、あまりにも鈍かったから。彼女の変貌を彼女なりの「成功」と呼べるだろうか。私はそれは違うと思う。彼女が摂食障害であるというエピソードはあまり語られていないが、摂食障害というのはまさに「自分」と「世間」の境界を失っていく病気だし、その根本的な原因は和恵が直面した問題と、基本的に同じである。ミツルがカルト教団の幹部になってしまった所や、容疑者チャンの身上書(彼の作り話かもしれないが)は多少演出が大仰だと思うが、チャンの住んでいた中国内陸部の貧困と日本に来てからの底辺の生活は、現代の日本で起きている「過剰と腐敗」の鏡となっている。
 女は年を取るごとに「モノ」ではなく「人」になっていく。だからモノとして扱われる売春の世界では、客も本人も辛くなっていくのである。もっと「人」として輝いていく道などたくさんあったのに。私たちは和恵や「ユリコの姉」に似た部分はあるけれども決して同じにはなれない。
グロテスク〈上〉 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: グロテスク〈上〉 (文春文庫)より
4167602091
No.100
(5pt)

現実の残酷さ

主人公がいくら正義感をふりかざしても、びくともしない現実の残酷さ。その中で、ずっと浮き続けて壊れていく主人公の描き方がスゴイと思った。やっぱり女性の作家だからこそ、女子校の意地悪さとか書けるのかな?事件の真相はともあれ、この本はスゴイし面白いと思った。
グロテスク Amazon書評・レビュー: グロテスクより
4163219501
No.99
(5pt)

血湧き肉踊る

東電OL殺害事件が元になっているので、そちらも一応チェックして読み始めました。
この作品はどうなるかはあまり重要でないのでしょう。あまりに有名な事件がモチーフになっているのですから。上巻と下巻に別れているけど、毛並みがだいぶ違います。
上巻は女子校を舞台とした昼間の世界、とはいえ、鉛色の空が見えてくるよう。物語はテンポよく進み、どんどん読めてしまいます。学校の中ということもあり、事件性は希薄で、そして誰もが経験もしくは触れたことのある、からかいや、かわったクラスメイトが描かれています。上巻の醍醐味は、読み進むにつれ、読者が信頼すべき「私」の語る話に対する信憑性の崩壊。みるみる「あっちの人」に見えてくるグロテスク。
下巻は漆黒の告白です。腰を据えて、「あっちの人達」を見物しましょう。普通の世界ではない、あちら側の視点から語られる告白の数々。その中には、読み返したくなるようなフレーズや情景が満載。ただし、容疑者の告白にはやや冗長な部分もあります。
下巻全体を通して、異様なハイテンションと崩壊の描写は不気味で、見てはいけない物が露見してしまったようでもあり、同時に何も守る物がない捨てた潔さも見え隠れする。和恵の告白だけでも☆5つ。
ラストは期待しない方が良い、この作品への評価はラストによって影響を受ける物ではないはず。
グロテスク〈上〉 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: グロテスク〈上〉 (文春文庫)より
4167602091
No.98
(5pt)

心をえぐられた小説

愕然とした。私の中にも主人公(名前すら与えられていない)、和恵、ミツル、ユリコ、そして女子高の生徒たちの闇の部分が存在する。読み終わり、奥底に隠したその醜い部分を目の前に突きつけられたような気分である。私は奥底の「悪意」を出す勇気がない。なぜなら人の和から外れるのが怖い。彼女たちのような生き方をしていたら社会の和からはじかれてしまう、結局彼女たちは自分を特別とあがめてくれる人を探していた故このような人生を歩むことになったのであろう。
この小説のテーマはどうにもできない「格差」である。
それは容姿であり、富であり、知力である。
その格差を認めまいとして精神的なバランスを崩した和恵、認めているがゆえにそれをネガティブなエネルギーでつつんだ悪意の主人公。知力で他の人から抜き出したつもりが現実を突きつけられ、最悪の選択をしてしまうミツル。
その三人に絡まず、しかし大きな影響を与えるのが完璧な美少女ユリコである。
ユリコはその並外れた美貌ゆえに社会に順応できず、肉体の快楽に走る。その結果娼婦に身をおとし惨殺されるのである。これらの女性たちは、誰もがうらやむ名門高校の出身であり、人々に羨望される人生を歩むことが想像されていた。しかし格差の存在に耐え切れない気持ちが各々の人生を狂わす。
この小説は娼婦となったユリコと、一流企業の総合職でありながら夜は街娼をしていた和恵の死から始まる。
そこで彼女たち、そして犯人と目される中国人が歩んできた不条理ともいえる社会の構造がわかってくる。
和恵の事件は東電のOL事件をモデルとしているのであろうが、彼女の壊れる様はあまりにも悲しい。その事件の被害者も同じような闇を心にかかえていたのだろうか?
ラストがあまりにもお粗末ではある、そして読後感は最悪で、かなり落ち込んでしまったが久々に心をえぐられた小説であった。
グロテスク Amazon書評・レビュー: グロテスクより
4163219501
No.97
(5pt)

ある意味 血湧き肉踊る

東電OL殺害事件が元になっているので、そちらも一応チェックして読み始めました。
この作品はどうなるかはあまり重要でないのでしょう。あまりに有名な事件がモチーフになっているのですから。上巻と下巻に別れているけど、毛並みがだいぶ違います。
上巻は女子校を舞台とした昼間の世界、とはいえ、鉛色の空が見えてくるよう。物語はテンポよく進み、どんどん読めてしまいます。学校の中ということもあり、事件性は希薄で、そして誰もが経験もしくは触れたことのある、からかいや、ちょっとかわったクラスメイトが描かれています。
下巻はもう漆黒の告白です。そして、普通の世界ではない、あちら側の視点から語られる告白。容疑者の告白にはやや冗長な部分もあるものの、下巻全体を通して読み返したくなるようなフレーズや情景が満載。異様なハイテンションと崩壊の描写は不気味で、見てはいけない物が露見してしまったようでもあり、同時に何も守る物がない、捨てた潔さも見え隠れする。
ラストは期待しない方が良い、むしろ、この作品への評価はラストによって影響を受ける物ではないはず。
グロテスク Amazon書評・レビュー: グロテスクより
4163219501
No.96
(4pt)

まさに「グロテスク」

今までにない「凄い」小説でした。
桐野作品の登場人物に「普通の人」はいません。
今作は特に。
「グロテスク」な女性ばかり登場します。
えぐ過ぎて笑えてきます。
女は恐ろしい。
この作品を読んでいて思ったんですが、桐野作品を好きな読者層ってどんな人たちなんだろう?
特にこの小説は好き嫌いが真っ二つに別れるはず。
女性が読んで満足する小説なんだろうか?
聞いてみたい。
後味悪そうで、意外に読後爽快な気分になるんですよ。
もしかしたら桐野作品の中ではN01かもしれない。
そんな泉鏡花賞受賞作でした。
グロテスク〈上〉 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: グロテスク〈上〉 (文春文庫)より
4167602091
No.95
(4pt)

グロテスクな私たち

初めて読んだときはさほど目新しくもない女同士の争いが克明に書かれているだけのように
思った。しかし時間を置いて読み返すとまた別の怖さがある。それは女性のもつ業と言おうか。
男性からは外見で選別されてなおかつ同性同士でも常に比較しあいチェックの目にさらされる女っつう生き物の面倒臭さ、生き難さ。                      これはやはり女に生まれてみなければわかるまい。私は名門ではない女子高出身だがこの作品を読むと思い当たるフシがいっぱい。                    たしかに階級の差みたいなものはあったと今にして気づく。作者は成蹊大学出身だが、そういえばエスカレーター式の学校だな、と余計な邪推をしてみたり。       まだ下巻は読んでいないけれど、ぜひこの女達の結末を見届けたい。
               
グロテスク〈上〉 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: グロテスク〈上〉 (文春文庫)より
4167602091
No.94
(4pt)

凄い小説!! まさにグロテスク。この本のサブタイトルは「悪意」だ。

読者を圧倒する小説、というランキングがあればこの小説はトップを狙える。
面白い小説、あるいは推薦する小説といわれると・・・。この小説を友人に
薦めるのははばかられる。それは決してこの小説がそれに値しないからでは
無い。むしろ逆。だが、「これを読んで、よかった。」と素直に人に認めが
たい、ある種の問題作だと思うから。
この本は、Q大学付属(女子)高校(私学ナンバーワンといわれる医学部を
持つ有名大学系列の学校がモデルと思われる)に在籍していた4人の女性の、
高校〜三十代後半までの生き様とを描く。植えつけられた競争社会の価値観
や劣等感などに無意識に影響を受ける彼女たちは、それぞれの方法で生き抜
こうとするが、集合的な差別、競争の中で歯車が狂って言ってしまう。
特に下巻に詳しく語られる和恵の生き様はまさに”凄惨”の一言。心の闇、
異常心理というものをここまで大胆に描き出す著者の力量にただただ脱帽
するばかり。
さらに特筆すべきは、名前すら与えられていない「わたし」が持つ悪意の
凄まじさだ。和恵が動的だとすれば、「わたし」は静的である。が、
ですます調で淡々と語る「わたし」が内在する悪意、情念ははちきれん
ばかり。和恵は凄惨ではあったが自分の生き方を見つけ、全うした。
しかし「わたし」の情念は小説を通じて膨らんでいくばかりで、昇華
されることが無い。この恐ろしさはまさに圧倒的である。
東野作品に「悪意」という作品がある。が、私はこの作品こそ、
「悪意」というタイトルがふさわしいと思う。
小説の「凄さ」を改めて感じさせる作品だ。
グロテスク〈上〉 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: グロテスク〈上〉 (文春文庫)より
4167602091
No.93
(5pt)

現実逃避したい方はお勧めしません!!

正直この小説を読み終えて現実と言う苦々しさを感じる。
しかし、この小説は実際に起きた東電OL殺害事件をベースに書かれていて、その事件が起きた当時の状況もまざまざと立ち浮かび、様々な社会問題を背景にしながら、読者を最後まで飽きさせない。
本の構成は、書き手の私が主人公の私になったり、友人の和恵が私になったりとした各々の日記や手紙を通した形になっているので、その「私」の思うがままを語っている。それゆえに、人間のシニカルな部分が露呈していて、時として愕然とさせられ嫌悪する。特に印象深いのは、学歴一辺倒で努力すれば何でも実るという神話に踊らされ、またそれに自覚せずに堕ちて行く和恵の姿は本当に読んでいて辛い。でも、そうやって他人を卑下した主人公は、自分の矛盾に気付きながらも、今度は自分が堕ちて行く。
この小説は、人はいつでも堕ちて行く準備が出来ているということを教えてくれる。
グロテスク〈上〉 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: グロテスク〈上〉 (文春文庫)より
4167602091
No.92
(4pt)

不思議でグロテスクな作品

2004年度版このミス10 5位。
2003年文春ミステリーベスト10 3位。
1997年3月8日、円山町でおきた、OL殺人事件。被害者が昼間は一流企業のエリート、夜は娼婦という二面性を持っており、最後にとった客に殺されたという事件である。6年前におきたこの殺人事件を、作者なりの視点で見つめ直したのが本作品である。
作品は、「ユリコのお姉さん」である「私」が、過去を語ることで進む。そして、「ユリコ」「チャン」「和恵」の手記・上申書を交えながら、最終章へと進む。
決して軽い気持ちで明るく読める作品ではなく、読者によって極端に評価の分かれる作品だと思う。しかし、私自身はグロテスクな怪物達に翻弄され、二段組みの500ページを超える長編にもかかわらず、ページをめくる手を止めることができなかった。なんとも重くやるせない気持ちを抱かせる、不思議でグロテスクな作品である。
グロテスク〈下〉 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: グロテスク〈下〉 (文春文庫)より
4167602105
No.91
(4pt)

読者によって極端に評価の分かれる作品

2004年度版このミス10 5位。
2003年文春ミステリーベスト10 3位。
1997年3月8日、円山町でおきた、OL殺人事件。被害者が昼間は一流企業のエリート、夜は娼婦という二面性を持っており、最後にとった客に殺されたという事件である。6年前におきたこの殺人事件を、作者なりの視点で見つめ直したのが本作品である。
作品は、「ユリコのお姉さん」である「私」が、過去を語ることで進む。そして、「ユリコ」「チャン」「和恵」の手記・上申書を交えながら、最終章へと進む。
この世の物とは思えない美しさを持った妹「ユリコ」に対する嫌悪と憧憬から怪物的な悪意をまとっていく「私」。
怪物的な美しさを持ちながらグロテスクな変貌を遂げ殺されていく「ユリコ」。
Q学園高等部での差別に耐え「努力」を信じて大企業に入社したものの「女」という壁を感じ「女」を売ることに自分を見いだそうとして怪物になっていく「和恵」。
このほかにも様々な個性を持った「怪物」達が出現し、作品中に様々な「差別・悪意」をまき散らす。
決して軽い気持ちで明るく読める作品ではなく、読者によって極端に評価の分かれる作品だと思う。しかし、私自身はグロテスクな怪物達に翻弄され、二段組みの500ページを超える長編にもかかわらず、ページをめくる手を止めることができなかった。なんとも重くやるせない気持ちを抱かせる、不思議でグロテスクな作品である。
グロテスク〈上〉 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: グロテスク〈上〉 (文春文庫)より
4167602091
No.90
(5pt)

現実逃避したい方は読まないで下さい。

正直この小説を読み終えて現実と言う苦々しさを感じる。
しかし、この小説は実際に起きた東電OL殺害事件をベースに書かれていて、その事件が起きた当時の状況もまざまざと立ち浮かび、様々な社会問題を背景にしながら、読者を最後まで飽きさせない。
本の構成は、書き手の私が主人公の私になったり、友人の和恵が私になったりとした各々の日記や手紙を通した形になっているので、その「私」の思うがままを語っている。それゆえに、人間のシニカルな部分が露呈していて、時として愕然とさせられ嫌悪する。特に印象深いのは、学歴一辺倒で努力すれば何でも実るという神話に踊らされ、またそれに自覚せずに堕ちて行く和恵の姿は本当に読んでいて辛い。でも、そうやって他人を卑下した主人公は、自分の矛盾に気付きながらも、今度は自分が堕ちて行く。
この小説は、人はいつでも堕ちて行く準備が出来ているということを教えてくれる。
グロテスク〈下〉 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: グロテスク〈下〉 (文春文庫)より
4167602105
No.89
(5pt)

ゾクゾクします。

ゾクゾクするぐらい面白いです。
長編だったため、読むのに二・三日かかりましたが、没頭してしまいました。
美しさに天と地ほどの差がある姉妹、日本における有名私立校の微妙な内側、女同士の美醜・成績・家柄における優劣の関係・・・。
それらが巧みに書かれていて、また、色々な人の視点から、まるでカメラワークを違えているかのように斬新に書かれていて、とても面白かった。
人間のドロドロした残酷なブラックの部分が、リアルに上手く書かれていて、ゾクゾクします。
はっとするほど美しいハーフの妹は、芸能人でいうと誰のようなんだろうと思わず考えてしまいました。
そして、その美しさで青春を謳歌した女性の悲惨な最期。
ちょっとえぐかったですね。
桐野夏生さんの作品全般に言えることですが、難点はラスト。
ラストは何じゃこりゃ!と思いました・・・。
でも、素晴らしい作品です。
一度読まれることをオススメします。
グロテスク Amazon書評・レビュー: グロテスクより
4163219501
No.88
(5pt)

グロテスクでないのは誰か、グロテスクでないものは何かがわからなってしまう

作中に何度か「悪意がほとばしった顔」という言葉が出てくるのだが、この作品を一言で言い表すと「悪意のほとばしった小説」ということになるのだろうか。
著者に名前さえ与えられていない、語り手の“わたし”をはじめ、中心となる4人の女性の手記、手紙、日記、会話、どれもが自己中心的であり、その内容は、「陰口」「つげ口」「悪口」ばかりである。しかも、それが「ですます調」で書かれているので、小説全体が異様な雰囲気となっている。
読むのが止まらない。ではなく、止めるに止めれない。そんな小説である。
著者は、この作品で読者の共感を得たいなど考えてもいないであろう。逆に拒絶されたい、あるいは置き去りにしても構わないと考えながら筆を進めたのでは、と思ってしまうほどである。
人間の心に潜む闇をこれだけ描くことのできる作家は、著者のほかに日本にどのくらい存在するのだろうか。
凄い小説を読んでしまった。そんな感じの読後感だった。
グロテスク〈下〉 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: グロテスク〈下〉 (文春文庫)より
4167602105
No.87
(5pt)

グロテスクでないのは誰か、グロテスクでないものは何かがわからなくなってしまう

作中に何度か「悪意がほとばしった顔」という言葉が出てくるのだが、この作品を一言で言い表すと「悪意のほとばしった小説」ということになるのだろうか。
著者に名前さえ与えられていない、語り手の“わたし”をはじめ、中心となる4人の女性の手記、手紙、日記、会話、どれもが自己中心的であり、その内容は、齋藤美奈子氏が書いているように「陰口」「つげ口」「悪口」ばかりである。しかも、それが「ですます調」で書かれているので、小説全体が異様な雰囲気となっている。
読むのが止まらない。ではなく、止めるに止めれない。そんな小説である。
著者は、この作品で読者の共感を得たいなど考えてもいないであろう。逆に拒絶されたい、あるいは置き去りにしても構わないと考えながら筆を進めたのでは、と思ってしまうほどである。
人間の心に潜む闇をこれだけ描くことのできる作家は、著者のほかに日本にどのくらい存在するのだろうか。
凄い小説を読んでしまった。そんな感じの読後感であった。
グロテスク〈上〉 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: グロテスク〈上〉 (文春文庫)より
4167602091
No.86
(4pt)

ほんとうにグロテスク

前に薦められましたが読む気になれませんでしたが、
ここで購入して「上巻」を読みましたが、
本当に感情がドロドロしていて途中嫌になりました。
というのも私も幼稚園から大学までエスカレーターで
本当に内部と外部との差は確かにあり、
見栄のオンパレードだったかも。。
その描写、感情、家族・・・様々な問題が巧く?
ドロドロ感で埋め尽くされています。
今「下巻」を読み始めました。
多かれ少なかれ女はこういう人と比較していく生き物なのかな。
グロテスク〈上〉 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: グロテスク〈上〉 (文春文庫)より
4167602091