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(短編集)
深追い
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深追いの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.12pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全56件 21~40 2/3ページ
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地方の警察署を舞台にした短編集。大事件ではなく日常的に起こる事件を警察官の心理とその組織を背景に描いていく。 どの作品も唸らせる、うまい。「訳あり」では、エリートキャリアの県警捜査2課長にどうも筋の良くない女がついたとのタレコミ。 それを探る左遷された人事課の警察官。彼が見つけたものは、女装趣味のキャリアであり、一方出世は出来なかったが まっとうな警察官人生を送った警察官が描かれていく。あっと言わせる筋書きと、警察組織に対する批判も混ぜ合わせた 作者の筆力は衰えることを知らない。「仕返し」では病死したホームレスが署内で死んだことをひた隠しにする組織と、警察官の家庭 が描かれる。これも上手いというしかない。 | ||||
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横山秀夫さんの『深追い』は、三ツ鐘警察署を舞台とした連作短編集である。 三ツ鐘警察署は、「五階建て庁舎のすぐ署長と次官の官舎を建て、そのまた裏手に署員用の家族官舎と独身寮を併設」しているため、「下級職員の間では「三ツ鐘村」と揶揄され、できれば赴任したくない所轄の一つに数えられている」同じ職場に務める警察官らが、近接する住居で暮らし、独特のコミュニティを形成しているわけだ。生活空間に縦社会が持ち込まれ、外聞をことのほか気にせざるを得ない、このコミュニティに漂う息苦しさが、本短編集の特徴ということになるだろう。 私が特に良かったのは、「深追い」と「人ごと」。 ■深追い 秋葉巡査部長が、交通事故現場で拾ったポケベルには、死亡した夫への妻からのメッセージが入り続けている。その妻は、秋葉が昔付き合った女 明子だった。ポケベルを返し損ねた秋葉は、ベルが鳴る度に、明子への思いを募らせていくようになる。署長らの制止に耳を貸さず、明子のもとへ通う秋葉。ある日、秋葉は、盗み見た明子の手帳に幾つものKの文字があるのを知り、別な男の影を感じとるのだった。 ・・・ なぜ、明子は死んだ夫にメッセージを送り続けるのか。はたしてKは誰なのか。秋葉が真相にたどり着いたときに、染み入ってくるのは、じわりとしたやるせなさ。懊悩の果の、虚脱感を伴ったような悔悟が、身を切るような作品。 ■人ごと 会計課 西脇課長は一般職員で、「草花博士」異名を持っている。西脇は落し物として届けられた花屋の会員カードを、ちょっとした興味から本人に届けることにした。落とし主は、高級マンションに一人で住む老人 多々良だ。多々良は、部屋一面に花々を所狭しと並べている。部屋を訪ねて以来、西脇は、心臓に問題を抱えた多々良を心配し、住まいを巡回していくようになるのだった ・・・ 三人の娘たちと遺産問題で、絶縁状態の西脇が、死して子らに残したものは何か。西脇の悲しい過去とオーバラップして、ホロリとくる。大岡裁きを彷彿させるような名品である。 その他、「又聞き」/「引き継ぎ」/「訳あり」/「締め出し」/「仕返し」の全7作品。 | ||||
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短編集といえば1.2編は手抜きのような作品があるものだが、 この本に限ってはどれも深い人間ドラマをベースにひねった話が書かれており、 百ページにもみたない作品とは思えないほどの味わいがある 特に花の話は切ないがいい話 作者のファンなら安心して買えるクオリティ | ||||
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「半落ち」などで有名なミステリー作家、横山秀夫の警察小説。 三ツ鐘の交通課で働く秋葉は、ある日、ひとつの交通事故死に出遭う。被害者は、秋葉のかつての恋人の夫。そして、秋葉は被害者の遺留品であるポケットベルに、かつての恋人がメッセージを送り続けていることを知り……。 表題作をはじめ、三ツ鐘署を舞台にした七つの短編が収められています。 いやぁ、これがじつに面白い。 どれもこれもが予想外の展開を迎え、そしてどれもこれもが見事にすっきりとした結末を迎えます。 暗いんだけどすがすがしい。 読み終わるとほっと気持ちよくなる作品ばかりなのです。 しかもまた、タイトルの付け方が素晴らしい。 「深追い」「又聞き」「引き継ぎ」「訳あり」「締め出し」「仕返し」「人ごと」。 見ただけだと「ん?」となるタイトルばかりですが、読み終わった時には「うん、これしかないよな」と思うこと間違いありません。 それくらいズバッとタイトルがハマっています。 すべて三ツ鐘署内で起こる話ですが、話同士に繋がりはまったくありません。そこがまた、警察という組織を全体として描いているように見えて、またいい。 この人の作品、初めて読みましたが、ハマりました。 他の作品も読んでみたいです。 | ||||
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横山作品は、ハズレが無い。 硬質な文章なのに、以外と読みやすい印象を持つのは さすがだと思います。 男臭さにかけては、ピカ一の作家さんです。 ハードボールドではなく、組織の中で蠢く男達の物語。 派手な殺人事件を解決するという訳ではなく、焦点は 鑑識課、泥棒刑事、少年係、会計…などの 警察組織の内部での、せめぎあいが手に取るように伝わってきます。 ●深追い ●又聞き ●引き継ぎ ●訳あり ●締め出し ●仕返し ●人事 以上の7編からなる短編集ですが、全て「三ツ鐘警察署」内部での 出来事で、主人公が変わって行きます。 5階建ての庁舎のすぐ裏側に、署長と次長の官舎があり そのまた裏手に職員用の家族官舎及び、独身寮とが併設された いわば、一種の「警察村」で起こる日々の出来事。 左遷や移動で訪れては、又移動していく管理官達や 刑事、刑事になりたいと野心を燃やす者。 親の地位が子供達の関係にも影響するという現実。 個人的には”仕返し”の終わり方が、とても良かった。 格人の心の葛藤が、とても上手く組み込まれていて感情移入がしやすく ストーリー的にも、面白い。 どんでん返し系も多く、満足の出来る1冊です。 | ||||
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横山作品は、ハズレが無い。 硬質な文章なのに、以外と読みやすい印象を持つのは さすがだと思います。 男臭さにかけては、ピカ一の作家さんです。 ハードボールドではなく、組織の中で蠢く男達の物語。 派手な殺人事件を解決するという訳ではなく、焦点は 鑑識課、泥棒刑事、少年係、会計…などの 警察組織の内部での、せめぎあいが手に取るように伝わってきます。 ●深追い ●又聞き ●引き継ぎ ●訳あり ●締め出し ●仕返し ●人事 以上の7編からなる短編集ですが、全て「三ツ鐘警察署」内部での 出来事で、主人公が変わって行きます。 5階建ての庁舎のすぐ裏側に、署長と次長の官舎があり そのまた裏手に職員用の家族官舎及び、独身寮とが併設された いわば、一種の「警察村」で起こる日々の出来事。 左遷や移動で訪れては、又移動していく管理官達や 刑事、刑事になりたいと野心を燃やす者。 親の地位が子供達の関係にも影響するという現実。 個人的には”仕返し”の終わり方が、とても良かった。 格人の心の葛藤が、とても上手く組み込まれていて感情移入がしやすく ストーリー的にも、面白い。 どんでん返し系も多く、満足の出来る1冊です。 | ||||
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この短編集が刊行されてからだいぶ経っているが、 WOWOWで映像化されるというので読んでみた。 読んで驚いた。傑作ぞろいの短編集である。 三ツ鐘署という警察署に勤務する、さまざまな警察官を主人公にした小説集だが、 どれも傑作だ。 傑作ぞろいの中でも、特によくできていると思ったのは表題作の「深追い」だ。 交通死亡事件の未亡人に気を寄せる交通課の警察官。 募る気持ちを抑えられずに、足繁く未亡人のところに通うが…。 読者は主人公の視点で、物語を追いかけてしまい、作者の術中にはまってしまう。 この作品は、警察小説だが、恋心をテーマにした小説でもある。 誰でも、恋をすると、周りが見えなくなってしまう。 自分の都合よく解釈したり、あるいは嫉妬心で周りが見えなくなって大失敗する、 そんなことを気づかせてくれる小説だ。 これと似た味わいのある小説を思い出した。 松本清張の「佐渡流人行」だ。これは時代小説なのだが、やはり同じことをテーマにしている。 おもしろいが、苦みを含んだ味わいであることも同じだ。 横山秀夫も、松本清張も、無駄のない、そぎ落とされた硬質な文章を書くのも 共通していると思う。 松本清張のミステリーの新作は読めないが、横山秀夫は読める。 これからは、期待して読もうと思う。 短編のミステリー小説は、人物の描写やキャラクター作りも大事だが、 ストーリーの運びが命だ。キャラクターだけでは短編小説はごまかすことができない。 ストーリー作りの才能、すなわちアイデアの能力が試される。 この作品で、横山秀夫は「1つの警察署」「一人として重ならない主人公」というテーマを自らに課し、 短編集を作った。そして、そのアイデアの豊富さを証明することに見事成功した。 | ||||
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以前から気にはなってましたが、警察がどーの、警察内部のなんとかがどーの。と、ちょっと堅苦しくて読みづらいかなと思ってなかなか近寄りがたかったんです。今回機会がありようやく読んでみたんですが、全然想像してた堅苦しさや気難しさはありませんでした。むしろ、おもしろくて没頭してサクサク読んじゃいました。短編集ってのも気軽に読める感じでいいですね。読んでいて、あの辻褄が合うときの爽快感がほんと気持ちよかったです。とにかくおもしろかった!今は第三の時効を読んでる最中ですが、こちらもおもしろい。またそっちでレビューしようかな。 | ||||
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男くさい男、を描かせたら右に出る者はいないのではないか。 かっこいい男ではない。 むしろ日常の中で誰もがもがく感情を抑え切れないかっこ悪い男たち。 だからこそ男くさい男がくっきりと存在する。 一番良かったのは「訳あり」 不器用にしか生きられない男は、自己保身に走りかけるが、 やはり自分以外の誰かを見捨てることはできない。 自分以外の誰かの、のために生きる切なさに男らしさの真髄を感じた。 警察というある種、息苦しい組織の中で己と向き合いながら生きる男たちの姿に せつなく、感情を揺さぶられました。 遠く忘れそうになった感覚、胸の奥をきゅっと掴まれるような作品集でした。 | ||||
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7話から成る短編集。 警察の内部で、恐らく日常的に起こるであろう出来事を、 心理描写たっぷりに描いている。 第三者的に見ると大きな事件ではなくても、 当人にとっては、人生を揺るがす大事件だったりするのだと 改めて感じさせられた。 表題作は、主人を事故で亡くした後も、主人のポケベルに メッセージを送りつづける妻の、心の闇を描いていると思った。 他の人から見れば、馬鹿げて見えるようなこと、それが 当事者には恐ろしく現実的なことだったり、巨大な恐怖へ化けていたり。 横山さんの小説は、人間の深層心理まで見えてくるからすごい! | ||||
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横山秀夫は正直、長編よりも短編、と言うか、本作品のように、何らか一つの共通の場、例えば本作では 三ツ鐘署、を舞台にした連作のような形式に、最もその真骨頂が現われるのではないだろうか。 いち警察署にも、交通係、鑑識係、少年係、あるいは会計課や次長等、様々な部所で様々な警察官、事務 官が働いている。当然同じ警察署内のことだから話は発散せず、別の話から、前の、後の話の舞台も見え 隠れする。 だから、それぞれの話は短い短編で、もちろん完結した物語だけど、一方で全体として言わば三ツ鐘警察 署物語とでも言うような構成の物語とも言えるものになっている。 とても重層的で、しかも個々は秀作の短編で構成されているので非常に読みやすくなっていて興味深い。 なお、甘いと言われるかも知れないけど、本作では、どの話も読後どこかホッとする、救われた気分にな るところが嬉しかった。 | ||||
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どんな人にも葛藤や悩みがある。 例えば、電車内で無邪気にはしゃぐ子供にも、人には想像できない葛藤や悩みがあると思う。そんな誰にでもある葛藤や悩みを描かせたら巧いのが、昔で言えば山本周五郎や松本清張ではないかと思うが、同時代で真っ先に思い浮かぶのは、本著「深追い」の横山秀夫ではないかと思う。 本著「深追い」では、地方都市のその又はずれにある”三ツ鐘署”を舞台にした連作短編小説集である。惚れ惚れするぐらいに7つの短編すべてが葛藤や悩みを”巧く”描いている。 山本周五郎・松本清張の後を継ぐのは、やっぱり、横山秀夫なんだろう(そういえば、松本清張賞を受賞している)。 | ||||
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警察官という職業の中には、色々な職務(交通事故係、鑑識係、泥棒刑事、少年係、会計課長)がある。 三ツ鐘署という警察署の裏に官舎がある職住一体の警察署に勤務するそれぞれの職務の警察官の人間ドラマを描いている短編7部作である。 推理小説ではなくヒューマンドラマ系の作品です。 テンポ良く、読みやすい小説です。 | ||||
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息詰まる緻密な心理描写が横山秀夫の特徴であり持ち味だが、この短編集でもそれはいかんなく発揮されていた。 ただ「真相」に見られたような救いのない息苦しさはなく、舌の上で苦い滋味を転がすような味わいのある作品集だった。 それは、どの作品にも、現場警察官のやるせない悲哀や苦悩を余すところなく描かれているにもかかわらず、ラストでは心の深いところで納得できるすがしさを感じることができたからだと思う。 | ||||
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「三ツ鐘警察署」を舞臺にした、連作短篇集。 横山秀夫の得意とする警察小説だ。 表題作の「深追い」以下、「又聞き」「引き繼ぎ」「譯あり」「締め出し」「仕返し」「人ごと」の計7作が收録されてゐる。 いづれの短篇も、それぞれに個性的で、美しい謎に彩られてゐる。 「深追い」:男が女に寄せる思ひ。 「又聞き」:子供の頃に經驗した事故の眞相。 「引き繼ぎ」:ユーモアを感じさせる結末。 「譯あり」:組織の中の個人のありよう。 「締め出し」:氣弱だつた少年時代との決別。 「仕返し」:父として子供に正義を教へるには。 「人ごと」:花を育てる心とは。 警察といふ特殊な組織を舞臺にしてゐるが、この作品で描かれる人間の姿は普遍的なものだ。 1つの作品を讀み了へるたびに、心の中に殘るものがある。 なかでも私が好きな作品は、表題作の「深追い」。 男とは切ないものだ。 | ||||
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どの短編をとっても、一級品。 どれも甲乙つけがたい出来である。 「真相」では、出来不出来が激しかったが、本作は短編のお手本といっていい作品ばかりである。 横山秀夫の本を手に取ったことがない方にぜひ薦めたい。 この本が出された2002年は、横山秀夫がまさに脂ののったときであろう。 こういう作者と同時代を生きている喜びをかみ締めている。 | ||||
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7編とも、作者の巧さが光る。特に印象に残ったのは、表題作の 「深追い」だった。追い詰めるつもりなどなかったのに、結果的には 追い詰めることになってしまった好意の行動。その皮肉さが何とも 言えなかった。心にやましさがあると人は判断を誤ってしまうのか。 そのほかの作品も、心理描写が見事だった。登場人物の揺れ動く内面が、 しっかりと読み手に伝わってくる。人は強くもあり、弱くもあり・・・。 切なさも感じる、読み応えのある作品だった。 | ||||
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庁舎、官舎、独身寮が郊外の同一敷地内にある為、三つ鐘村と呼ばれる鐘警察署を舞台にした七つの短編が収録されています。 スリルはありませんが、警察官の環境、苦悩を題材にしたストーリーです。 自分自身の生活に思い至るような部分もありストーリー自体が身近に感じられる題材もあります。 気軽に楽しめる一冊です。 | ||||
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警察官も一人の人間ということですね。 警察署内におけるさまざまな部署の人間の、苦悩・葛藤が見事に描かれています。 読んでいてスカッとするというよりは、ちょっと切なくなることが多いですが、 何度も読み返してじっくりと味わいたくなる連作短編集です! | ||||
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三ツ鐘警察署という同じ警察署で立場も年齢も違う7名の主人公の7つのお話。 一つひとつ味があり、面白い。ストーリー完結型ではなく、その後どうなるのか読者に想像させるというスタイルを7話とおして踏襲。独特の後味は残るが、魅力的な1冊。 | ||||
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