夏の名残りの薔薇
評判
夏の名残りの薔薇の評価:
3.17/5点 レビュー 18件。 D ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全12件 1〜12 1/1ページ
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夏の名残りの薔薇の評価:
3.17/5点 レビュー 18件。 D ランク
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まず導入部分に心奪われます。山裾に広がる見事な紅葉の森。その色彩の鮮やかさ。そこから一転、夜中に降り積もった雪で一面真っ白になった山頂のクラシックホテルはまさに”雪に閉ざされた山荘”となり、強風にあおられる窓がじわじわと不穏な恐怖感をかきたてます。
資産家の沢渡家が貸切にしたそのホテルで、どこか常軌を逸したような変わった3姉妹が毎年開く豪華なパーティ。
彼女たちが毎晩ディナーの席で披露する奇怪な話はどこか残酷童話を思わせ、そこだけでまるで怪奇小説のように鬼気迫ります。
招待客は誰もが一癖ありそうな人物ばかりで、親族の御曹司に嫁いだ美貌の桜子と近親相姦の関係にあるその弟。一見おっとりした桜子の夫や、もう1人の桜子の愛人、情緒不安定な女優とそのマネージャー、なぜ招待されているのかよくわからない大学教授などなど、そしてすでに故人ながらいまだ強い影響力を感じさせる沢渡家の祖父の影・・。彼らが交わす当たり障りのない上品な会話が、余計にこれから起きる惨劇を予感させぞくぞくします。
映画化されたらなかなか密度の高い作品になると思うのですが、読みながらどの俳優さんが役にふさわしいかあれこれ考えてしまいました。
1章目で殺された人物が第2章では当たり前のように生きていて、事件はなかったことになっているということが何度も繰り返されます。本当に殺人事件は起きたのか、それとも・・?真相は最後まで明らかにならないため、とりあえずすべてを頭において保留の状態で読み続けなければなりません。
この間を雰囲気に酔いしれて楽しめるか、それともただ忍耐だけでいらいらするか、このあたりで好き嫌いが分かれると思います。はっきりした現実的な話が好きな人や、本格ミステリつまり”犯罪がおき犯人がいてそれがちゃんとあばかれる”話を期待する人は好きになれないかもしれません。
映画化されて有名になった「夜のピクニック」や「蜜蜂と遠雷」など健全で”まとも”な作品でファンになった方は、その延長でこのようなお話を読むとびっくりするかも。が、恩田さん本来の個性はむしろこちらの方でしょう。
ネタばれするのであまり書けませんが、最後のシーンであの人物とあの人物がなぜ一緒に旅立っていくのかが理解できませんでした。過去、記憶、妄想、願望などが渾然一体となって描かれ、ここは映画になぞらえてあるのだと思いますが・・。ここを省けば星5つです。恩田さん作品の中でもベスト5に入るものすごく好きな雰囲気でした。
杉江松恋氏による恩田陸作品についての解説がとても的を得ていると思います。また、そのあとの恩田さん本人へのインタビューも、子供の時からの読書歴や作品のバックグラウンドを知る上でとても参考になります。