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温室デイズ



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【この小説が収録されている参考書籍】
温室デイズ
温室デイズ (角川文庫)

温室デイズの評価: 3.82/5点 レビュー 34件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.82pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全22件 1~20 1/2ページ
12>>
No.22:
(4pt)

最後の2行、、

「学校まで一緒に行こうよ」
私は瞬の横に駆け寄った。

これでいい、辛い物語がホッコリとした。

さすがや、
瀬尾まいこはん、

この爺を泣かせ負って。
温室デイズ (角川文庫)Amazon書評・レビュー:温室デイズ (角川文庫)より
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No.21:
(5pt)

カタルシスはない方が良い。

私が中学生、小学生だった頃は、こうしたイジメは無かった。
イジメはいくらでもあったけど、皆で寄ってたかって、それも長期間で、というのは存在しなかったように思う。
いじめられっ子はいたけど、カウンター勢力はすぐ出来て、助けたり遊んだり気を使ったりした。
クラスの大半がいじめても、数人は堂々と助けていた。
そして助ける人間に対してイジメの刃が向くことは無かった。
次第に虐める側が少なくなり、助ける・気を使う側の方が大勢を占めるようになる。
思えば牧歌的な時代だったのだろう。

小学校3~4年の時、体のデカイ男子が思い切り暴れていた。
誰彼なくイジメ倒すので、それに辟易した私はクラス中を味方につけ、土曜日の放課後、そのイジメっ子を階段の踊り場に呼び出しリンチした。
集団リンチ。
こいつさえおとなしくさせれば、クラスは平穏になって普通の小学生ライフが楽しめる。
まあ楽しくはなかったが・・・。
最初は4~5人の、腕に自信のある男子がいじめっ子をとっちめる役。
1:40人なので、イジメっ子は戦意なんて始めから喪失している。
かなり可哀想なところまで殴る蹴るをして、頃合いを見て、特に女子が「そろそろやめてあげなよー!」と言い始める。
私が最後まで実行犯。羽交い締めにされて事は終わった。
その日以降、彼は完全に大人しくなった。
そしてその時の事を話題にする生徒もほとんどいなかった。
もちろんそれ以上、そのイジメっ子を虐めることは誰一人しなかった・・・。
今にして思えば、きっとそのイジメっ子は家庭内で問題を抱えていたのだろうと想像する。
しかし子供時代の私達はそこまで思いを馳せることは出来なかった。
全く可哀想なことをしてしまったと今でも時々思い出す。

でも、ここで言いたいのは、この小説の子どもたちは人を味方につけるのが全く出来ない。
味方になってくれる人を突き放すことまでする。
どうしてだろう?
なんで一人で戦おうとするのか?
親に言うのが恥ずかしいなら先生。
先生が動かなかったら友だち。
友達が駄目なら先輩や近所のお姉さんとか、誰か真剣に聞いてくれる人っているでしょ、と思う。
実際この小説内でも、誰かの味方になってあげたい、クラスを良くしたいって思う生徒がいる。
でも、そんな彼らも孤独に問題を解決しようと頑張る。

不器用だ。
あまりに不器用。
つまんない所で意地っ張り。
思春期手前ってこんなにアタマ悪いのかな。
もっと考えろよ。
解決策をいくつか発想して上から順番に試してみろよ。

でもね、主人公の最後の行為は、こうした私の小賢しい考えを吹き飛ばして魂の行動となった。

みちるも優子もとっても尊い面を持っている。
頭が下がるし、不器用に戦っている(=何らかの行為に出ている)子どもたちを皆応援したい気持ちになる。

でもリアルな現場では誰もこういうふうに戦ってないの?
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No.20:
(5pt)

心が痛くて暖かくて

学生時代が辛かった人に読んでほしい1冊。
心が痛くなるけど同時に温まります。
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No.19:
(5pt)

話を聞くことの大切さ

この物語は、はじめから終わり
まで、ほとんど大きな変化はない。
物語が中盤、ハッピーエンドに向かう
ような展開になっても、
ハッピーエンドにはならない。

小さな変化はたくさんあっても、
劇的な変化はない。
それが妙にリアリティがあっていい
のだと思う。

この物語では「相手の話を聞く」
ことの大切さが語られている。

聞き手は話し手に質問し、
話し手の話を淡々と聞く。
アドバイスは決してしない。

こうすればいい、
ああすればいいとは言わない。
答えを導き出すのは聞き手
ではなく、
話し手が自分で考え、
見つけ出すことができるよう、
徐々に徐々に根気よく話を聞く。

コミュニケーションで大切なのは、
話し上手ではなく聞き上手であると
よく言われる。

私は話をすることが好きで、
人の話を聞くことが苦手だ。
たまに悩みを相談されると、
つい、こうするべきとかああするべき
と言ってしまう。

でも、この物語を読んで、
無性に誰かの話を聞きたくなった。
話を聞くだけで、誰かの気持ちが
楽になったり、少しでも元気がでるの
なら、こんなに嬉しい事はない。
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No.18:
(4pt)

考えさせられます

荒れている中学校を舞台に2人の主人公、みちると優子が自分なりの方法でいじめに立ち向かっていく作品です。(おっと!名脇役の斉藤君を忘れるところでした)

私の学校でもいじめがありました。社会にはどこでもいじめはあると思います。大事なことはそれに流されないことです。2人の主人公からそれを学びました。みちるは精神力の強さで、優子は色気(?)で、斉藤君は人心掌握術で、とそれぞれの武器を生かして戦っていく姿は、社会を生き抜く現代人の姿に似ています。

どこに居てもいじめを初めとする色々な困難があると思います。そんなときは自分の武器を最大限生かして戦っていくんだ、ということを学びました。
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No.17:
(5pt)

恐ろしい日本の教育現場の現実と向き合う本。きついが、救いも。

中学は、社会に出る前の「温室」と言いながら、あまりに恐ろしいいじめと荒廃の現実に息を呑む。自分の子供がこんなところに行っていたら、いじめた子供を殴りに行くか、すぐに自分の子供をもっといい学校へ転校させるだろう。やはり公立中にはやらず、私立にしようか、と思う。

しかし、やはり、逃げるだけでは社会は良くならない。この学校の現実は、北朝鮮か、戦前の日本社会みたいで、窒息してしまいそうだが、日本の現実でもあるのだ。少しで良いから、皆が努力することなしに、この社会は良くならない。それをこの本で再度学んだ。

主人公の女子生徒二人(とサポーターの教師見習い)が、いじめと暴力に会いながらも、自分なりの方法で、学校を変えようと努力する姿が、清々しく、美しい。
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No.16:
(4pt)

奇跡ではなくても。

本の紹介には「2人の少女が起こした小さな奇跡」とありますが、それを期待して読むと外れかもしれません。
 荒廃した中学校で奇跡なんて簡単には起きない。
 でも、(2人の少女だけでなく)みんながそれぞれのやり方で少しずつ「温室」という現実に向かおうとする、その必死さに切なくなりました。

 暖かい親子関係や恋人たち、飄々として爽やかな高校生などが出てこないので、ほかの瀬尾作品と少しテイストが違います。
 ですが、結末にものすごいカタルシスを置くのではなく、結末に向かう過程が丁寧に描かれているのは同じ。
 その過程に心を揺さぶられる思いでした。
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No.15:
(4pt)

学生時代の甘酸っぱい記憶がよみがえる

”本当にありそうで、ないこと”

それが優れた本、と教えられたことがある。
まさに、そのお手本のような本だ。

どこにでもある
学校の風景に見える。

でも、
きっとないんだろうなと思える。

その境界線を
バランスよく行き来している。

学生時代の甘酸っぱい思い出たちが、
走馬灯のように、駆け巡ってしまった。

『温室デイズ』
温まるのは読者の心にちがいない。
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No.14:
(4pt)

いろいろと考えさせられる・・・

崩れ始めたクラスの兆しを敏感に感じ取り、
何とかしようとして行動に出たみちるは、
それまで友達も多く好かれていたにも関わらず、
一気にクラスのいじめられっ子になってしまい、
そんなみちるを見ていられなかった親友の優子は、
教室に入れなくなってしまう・・・。

主人公でもあり、
いじめ、登校拒否、学級崩壊等の当事者でもある、
中学3年生のみちると優子、ふたりの視点から
「崩壊していく中学校での生活」が描かれています。

みちるは、崩壊したクラスで、
一方、優子は別室登校や「学びの部屋」、「カウンセリング・ルーム」で、
ふたりは別々の場で過ごしながら、互いを支えとしながらも、
お互いを頼らずそれぞれのやり方で学校を元に戻そうとします。

現在、学校に来られなくなった生徒には、
同情や優しさ、義務や立場から、
色々な救いの手が差し伸べられやすい、らしい。
でも、ラクチンで居心地の良い状態なわけではない。

学校に登校しながら苦しんでいる生徒には、
厳しい言葉はとんでも、なかなか救いの手は届かない・・・。
でも、それでも学校は生徒を守ってくれる「温室」!?

「ひとりになりたくてなるのと、ひとりにされるのとはわけが違う」
「パシリになるのと、パシらされるのは根本的に違う」
そんな言葉たちが印象に残る、
いろいろと考えさせられた1冊です。
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No.13:
(5pt)

いじめに負けない強い気持ち

いじめにあっても学校に行くことをやめず耐えていたみちる、学校には行かず学びの部屋という公民館に通いながらカウンセリングを受け始めた優子、形は違えど二人とも学校をなんとかしたいと思いつつ懸命に頑張っている姿に胸を打たれた。みちるはいじめが父親に知られることを何よりも恐れていたが、父親は涙を流してみちるの味方になった。ただ、父親が口出ししても結局学校は変わらないから、やっぱり自分が頑張らないといけない。それでも、父親が味方でいてくれる限りは心強いと感じる。だからこそいじめにも耐えられる。そんなみちるの想いが強く伝わってきた。
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No.12:
(4pt)

温室のような学校に生きる中学生の日々・・とは思えない

荒れた中学で何とか日々をしのいでゆく中学生たち。徒党を組むいじめグループ、いじめを受ける子、傍観するサイレントマジョリティー、腕っ節の強い不良グループ。
主な登場人物はあまり豊かでない父娘家庭の中森みちる、裕福な家庭で美人に生まれついた前川優子、中森の幼なじみで不良になったヤクザの息子伊佐瞬、使い走りの役を上手に演じる斉藤、教師見習いの吉川。
いじめを受けてる子を庇うとその子がいじめを受けるという陰湿な閉鎖社会。とても温室とは思えない。
教師たちも1人で解決できなければ団結して生徒たちに安心して勉強できる環境を与えようという気が無い。
現実世界でも、自殺者がでて遺書が出てきてはじめて、校長が神妙な面持ちでいじめに気づかなかったなどと言い訳するのを何度もニュースでみて軽侮を感じたものです。
瀬尾まいこさんは現職の中学校教師ですから教室の実態を見ていて、この本を書いたのでしょう。
今の中学ってこんなに陰湿で卑劣なのですか。藤原正彦が「国家の品格」で「卑怯なことをしてはならない」って書いてたのに同感です。
今の中学生って見栄えもよくて生き方のスタイルももっとスマートと思っていたのに。
いろんなところで相談してもうまくいかなかったら、弁護士のところに行って相談して卑劣、無責任な人々と戦いましょうね。
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No.11:
(4pt)

対照的な強さ。

「みちる」の視点と「優子」の視点から描かれていて、一方から他方はすごく「強い」存在に見えるのだけど、自分自身のことは「もっと強くならなきゃ」って思ってる二人。
対照的な優しさに包まれて育った二人の、
対照的な強さが印象的。

厳しく、頑固な存在として描かれていた満の父の別の一面をみちるが目の当たりにする場面にホロっときました。

みちるも優子もこの先の高校生活、社会の中で、色んな人の色んな面を見ていくのでしょう。
自分自身の中の色んな面を見ていくのでしょう。
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No.10:
(4pt)

難しくて深い

この作品を読みながら、ふと考えたこと。

学校に来られなくなった生徒には、同情や優しさや、義務や立場から、色々な手が差し伸べられる。大体において。

しかし、学校に登校しながらはみ出している、はみ出しかけている生徒には、厳しい言葉が飛ぶ。もっと頑張れ、何故きちんと出来ないのか云々。

作中にも同じようなことが書かれていたけれど。

この違いは、何に根ざしているのだろう。

どちらも一人の人間なのに。

ある教師が言っていた。

「学校が立ち直ったのは、教師の力じゃない。荒れている先輩達の姿を見て、同級生の姿を見て、これではいけない、と大多数の生徒が思ったこと。それが始まりだった。それから何年もかけて、今の落ちついた我が校がある」と。

「学校」という名の集団は、本当に「温室」なのだろうか。確かに「学生」という身分で守られていることは、大人のそれよりも遥かに多い。その意味では「温室」かもしれない。

それでも、殆どの中学生達は頑張っているのだ。家庭、友達、学校、恋愛、自らの思いと環境の中で、もがいてあがいて、本にはそうと気づいていなくても、必死に。彼も、彼女も。

何をどう見つめていけばいいのか。

この作品に、明確な答えはない。読むのにもそう時間はかからない。

だからこそ、読み手の思考を求めるいい作品だと思う。

現役の教師が書いているということがまた、問題提起のような気がしないでもない。
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No.9:
(5pt)

負けてもいい、諦めてはいけない。

この話は瀬尾作品の中で1番重かった。最初は重いけど最後は暖かいという作品が多いがこれは違った。
みちるや斉藤君のような人は「温室」での生き方をどこかでわかっている。優子や瞬はどんどん流され、落ちていってしまう。優子と瞬の会話はどこかに寂しさがあった。
いじめられる人、いじめる人、登校拒否児、不良…何かに流されている、落ちていこうとしている。誰かに止めてほしい、すくいあげてほしいと心の底で思っているかもしれない。だから周りの人間は気付いてほしい、見離しちゃいけない、諦めてはいけない。
負けてもいい、決して諦めてはいけない。
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No.8:
(4pt)

中学生という身分

中学生という身分が守っていることが実はたくさんあって、それは外にでてみないとわからないことだと思う。そのなかでダルダルで生きるか、中学生として生きるか、逃げ出すか、無難に生きるかなど、その守られる範囲のなかでも選ぶのは中学生自身。みちるの中学生活、優子の中学生活、斉藤の中学生活、結果がつらいものであれ、中学生とういう生活のなかにも生き様みたいなものを見た気がしました。

 気づかない程度でもきっと何かが何かに少しずつでも、影響しあっているんだと思います。
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No.7:
(4pt)

このタイトルは日本の教育に対する皮肉です(笑)

「温室」とはよく言ったものです。

日本の学校は「めんどくさい」「いや」という甘えが通用する。
保健室や特別室がそれを許している。
どうして逃げ場を用意してあげるのだろう?

この根本的な甘やかしが、
今の日本の若者の現状をうみだしてはいないだろうか?

みちる、優子、斉藤それぞれの「自分を守る方法」。
誰も教師を当てにしてない。

この「温室」は教師にとっても言えること。
問題の解決で終わらなかったところに
現役教師、日本の教育のあり方への大きな課題が託されている。

現役教師がこのテーマを書いた。
名の知れた教育者ではなく、若い一教師が。
この勇気と意味を考えたら、
気軽に読み流すことはできません。
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No.6:
(5pt)

胸に突き刺さる

課題図書にもなってる本です。荒れるクラスをどうにかしたくて、声を上げたためにイジメに遭う子と、その親友優子は、それをどうにもできずに、教室に入れなくなる...
凄くリアルでした。大抵の場合、こういう本って甘甘で終わるじゃないですか、金八みたいな感じで。円満に解決して仲良くなって終わる。でもこれは、リアルで、円満解決はありませんでした。私も中学のとき、クラスが荒れるばかりで、イジメられた教師が怪我しながら三人ほど辞めて行ったりしたことがありました。思わずそれを思いだしました。それほどにこの本はリアルでした、まるでドキュメントのようで。私はあの時、イジメとかが嫌で声を上げませんでしたが、これを読んで少し後悔しました。みんながこれを読んで、クラスを良くしようと決心できればいいなと思います。クラスが荒れてたりして、困っている人や、毎日つまらないと思ってる人に読んで欲しいです。
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No.5:
(4pt)

温室で守られているものは…

小学校で学級崩壊を経験したみちる、いじめに遭い転校していった親友優子を助けられなかった後悔から再びその轍を踏むまいと決めたのだが…。落書き、タバコ、禁止されているはずの自転車登校…中学3年生のみちるの前で、少しずつ、少しずつ学校が壊れていく…

 こわい!学校はこうも壊れていくのか…。

今までの瀬尾まいこさんのじんわりあったかい感じを期待して読んだら、のっけから潰されてしまいます。親友を助けられなかったという苦い後悔、また崩壊の構図の愚かさを知っているからこそ逃げずに立ち向かうみちる、転校、保健室登校、フリースクールを転々としていく優子。しかし温室の中で守られているのは2人ではなく、教育を受ける権利の名のもとに何をやっても許され、守られている現実なのかもしれないと思いました。

 中学生は本当に生きにくい世の中になってきていると端で見ていても強く思います。でももがき苦しんでも強く生き抜いてほしい、大人も逃げないでちゃんと向き合ってほしい。そんなメッセージが聞こえてきました。
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No.4:
(5pt)

大人にも読んで欲しい

小学校時代「いじめ」を主導したことへの罪滅ぼしなのか、

中学では「いじめを止める側」になり自らを傷つけられることに

身をまかせた主人公みちる…。いじめた側の謝罪や和解で

ハッピーエンドかと思いきや、謝罪も和解もなくただ中学生活が

卒業式と共に終わり、そこで「いじめ」と訣別というあっけない

エンディングにとてもリアルを感じてしまった。

 子どもを持つ親として仲睦まじいと思っていた我が子のクラスにも

大人の目が届かない場所には「権力」があり、自分が好まなくとも

「いじめ」の輪に関わらなければならない子どもたちや、不器用さや

正義感のために傷つけられてしまう子どもたちがいることを知って

しまった今、主人公みちるが卒業式までの日々を「あと少しで(いじめ

が)終わるんだ」と思いながら戦い続けた姿を大人にも知って欲しいと

思う。

 現役の教師でもある瀬尾さんはこの作品を世に出してしまったことで

苦境に立たされていないだろうか…と妙な心配をしてしまう一方で、

この作品が世に出たことで苦しんでいる子どもたちの心が救わるのでは

ないか…と希望を抱くことができた読後だった。

もし、自分のお子さんがみちるのように「いじめ」と戦っていたり、

もう一人の主人公優子のように登校できない状況にある親御さんが

いたら是非よんでほしい作品である。
温室デイズ (角川文庫)Amazon書評・レビュー:温室デイズ (角川文庫)より
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No.3:
(5pt)

胸にこたえる

とてもリアルです。人の心の動きも、崩れてゆくさまも。

ひとことで簡単に感想の言える本ではなく、読む人それぞれによって様々な思いを持って読めると思います。とても重く苦しくて目を背けたくなるようなことでも、この筆者が描くと、静かにまっすぐに目をそらさずに読もうという気になります。ヒステリックに学校や教師を無能や悪者扱いしたり、荒れる子を単純に切り捨てたりするのでもなく、単純に何かを、誰かをこうだと決めつけて、悪にしたり正義にしたりするのでなく、筆者のまなざしは冷静に公平で。それでいて、考えさせられずにはいられない。

自分はどう戦うのか?なにができるのか?
温室デイズ (角川文庫)Amazon書評・レビュー:温室デイズ (角川文庫)より
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