ソラリス

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評判

ソラリスの評価:

4.32/5点 レビュー 136件。 A ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.32pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全183件 121〜140 7/10ページ
No.63
(5pt)

エンディングは断然映画よりこっち

新旧いずれかの映画をご覧になって興味を持たれた方もいらっしゃると思いますが、まったく違うエンディングで非常に静かに物語が終わります、映画の劇的な終わり方と違って物足りないと感じる方もいらっしゃると思いますが原作者のスタニスワフ レムが言いたかったことがここに凝縮されていると思います。

映画を批判するわけではなく映画は別物として観て面白いと思いましたが、個人的には原作版の静かなエンディングのほうが深く心に残っていて面白いと感じています。
ソラリス (ハヤカワ文庫SF) Amazon書評・レビュー: ソラリス (ハヤカワ文庫SF)より
4150120005
No.62
(5pt)

エンディングは断然映画よりこっち

新旧いずれかの映画をご覧になって興味を持たれた方もいらっしゃると思いますが、まったく違うエンディングで非常に静かに物語が終わります、映画の劇的な終わり方と違って物足りないと感じる方もいらっしゃると思いますが原作者のスタニスワフ レムが言いたかったことがここに凝縮されていると思います。

映画を批判するわけではなく映画は別物として観て面白いと思いましたが、個人的には原作版の静かなエンディングのほうが深く心に残っていて面白いと感じています。
ソラリス (スタニスワフ・レム コレクション) Amazon書評・レビュー: ソラリス (スタニスワフ・レム コレクション)より
4336045011
No.61
(5pt)

なぜ,レムにノーベル文学賞をやらなかった!

というのが,わたしの口癖なんだけど,これほど高度に科学と文学を融合させた小説家がいたろうか? いや,いない。
レム自身科学者だったし,レムと同レベルの科学者でSF作家という人はいると思うが,レムほどの文学性を持った人はいない。

宇宙に生物がいたとしても,人間型である可能性はほぼ無いとわたしは思う。
ここでは,惑星ソラリスの海が生物だ。 レムの作品では,宇宙の他の生物との意思疎通はできないと考える。

わたしも,人間型宇宙生物はいないと思うし,意思の疎通もやはりできないと思う。 宇宙生物はそれほど異質だと思うからだ。

レムの作品はSF好きだけでなく,全ての文学好きの人が満足できるレベルの小説ばかりだと思う。

レム全集の Kindle版 配信を,強く望む。 「天の声」「枯草熱」「リンファーテルの公式を含む短編集」などなど,全部読みたい!
英語だったら頑張って読むんだけど,ポーランド語を今から習得するのは,キツいです。 全集お願いします!
ソラリス (ハヤカワ文庫SF) Amazon書評・レビュー: ソラリス (ハヤカワ文庫SF)より
4150120005
No.60
(5pt)

なぜ,レムにノーベル文学賞をやらなかった!

というのが,わたしの口癖なんだけど,これほど高度に科学と文学を融合させた小説家がいたろうか? いや,いない。
レム自身科学者だったし,レムと同レベルの科学者でSF作家という人はいると思うが,レムほどの文学性を持った人はいない。

宇宙に生物がいたとしても,人間型である可能性はほぼ無いとわたしは思う。
ここでは,惑星ソラリスの海が生物だ。 レムの作品では,宇宙の他の生物との意思疎通はできないと考える。

わたしも,人間型宇宙生物はいないと思うし,意思の疎通もやはりできないと思う。 宇宙生物はそれほど異質だと思うからだ。

レムの作品はSF好きだけでなく,全ての文学好きの人が満足できるレベルの小説ばかりだと思う。

レム全集の Kindle版 配信を,強く望む。 「天の声」「枯草熱」「リンファーテルの公式を含む短編集」などなど,全部読みたい!
英語だったら頑張って読むんだけど,ポーランド語を今から習得するのは,キツいです。 全集お願いします!
ソラリス (スタニスワフ・レム コレクション) Amazon書評・レビュー: ソラリス (スタニスワフ・レム コレクション)より
4336045011
No.59
(5pt)

『わかりにくさ』が本質の物語

あまりSFは読まないのですが、美しい装丁とあらすじに惹かれて、一切の予備知識なしに国際線の中で一気に読みました。スッキリさせてくれない、そして悲しい、長い余韻の中で考え込んでしまう物語でした。
ソラリス研究者たちの悪戦苦闘を物語る観察や科学史がこれでもかと緻密に説明されます。思うにそれらは、ソラリスを理解しようとする人類の努力のほとんどが的外れでトンチンカンで意味を為さない事の描写です。
人類の試みがトンチンカンであるのと同様に、ソラリスから人類へのコンタクトもトンチンカンなのです。それ故に人類は混乱し恐怖し悩み苦しみ、悲劇を演じることになります。
この『人とソラリスの噛み合わなさ』こそが、レムの卓抜した想像力が提示した、実在の根本から違う者同士のコンタクトの姿なのでしょう。
ソラリスが遣わす訪問者は、親愛なる者の姿で強い執着と関心を持って人の前に現れます。ソラリスはきっとなぜ人がそれに恐怖するのかどころか、下手すれば恐怖というものすらよくわかっていない。
2周目を読むときには、1周目は不気味で仕方なかった訪問者の懊悩や感情を思いながら読むことになるでしょう。それは、1周目にはあくまで人類たる主人公の主観的視点にいた読者が、地球外生命体という全く得体の知れない絶対的他者の視点を理解しようと考え始めた第一歩なのかも知れません。
ソラリス (ハヤカワ文庫SF) Amazon書評・レビュー: ソラリス (ハヤカワ文庫SF)より
4150120005
No.58
(5pt)

『わかりにくさ』が本質の物語

あまりSFは読まないのですが、美しい装丁とあらすじに惹かれて、一切の予備知識なしに国際線の中で一気に読みました。スッキリさせてくれない、そして悲しい、長い余韻の中で考え込んでしまう物語でした。
ソラリス研究者たちの悪戦苦闘を物語る観察や科学史がこれでもかと緻密に説明されます。思うにそれらは、ソラリスを理解しようとする人類の努力のほとんどが的外れでトンチンカンで意味を為さない事の描写です。
人類の試みがトンチンカンであるのと同様に、ソラリスから人類へのコンタクトもトンチンカンなのです。それ故に人類は混乱し恐怖し悩み苦しみ、悲劇を演じることになります。
この『人とソラリスの噛み合わなさ』こそが、レムの卓抜した想像力が提示した、実在の根本から違う者同士のコンタクトの姿なのでしょう。
ソラリスが遣わす訪問者は、親愛なる者の姿で強い執着と関心を持って人の前に現れます。ソラリスはきっとなぜ人がそれに恐怖するのかどころか、下手すれば恐怖というものすらよくわかっていない。
2周目を読むときには、1周目は不気味で仕方なかった訪問者の懊悩や感情を思いながら読むことになるでしょう。それは、1周目にはあくまで人類たる主人公の主観的視点にいた読者が、地球外生命体という全く得体の知れない絶対的他者の視点を理解しようと考え始めた第一歩なのかも知れません。
ソラリス (スタニスワフ・レム コレクション) Amazon書評・レビュー: ソラリス (スタニスワフ・レム コレクション)より
4336045011
No.57
(5pt)

哲学的思考を潜在的に盛り込んだ、現在でも十分通じる、斬新なSF小説である

一読して損はないと思う
更に、スタニスワフ・レム の作品を読みたくなった
余談ですが、再訳版の「ソラリス」より、物語としては断然読みやすいと思う
ソラリスの陽のもとに (ハヤカワ文庫 SF 237) Amazon書評・レビュー: ソラリスの陽のもとに (ハヤカワ文庫 SF 237)より
4150102376
No.56
(5pt)

2つの両極端なレビューになった

異星人または異性生物体との意思疎通について、心底考えさせられる。
異星人も私たち地球人と同じ思考回路や思考形態を持つ、と前提して物語が作られることが多い。
私もそう思っていたが、テッド・チャンの『あなたの人生の物語』を読んで、あまりに無邪気だと気付かされた。
なので、パイオニア10号に載せられたメッセージ板は、異星人にとって恐らく何の意味も持たないだろう。
いや、この場合の「意味」って一体何を意味するのだろう。
ソラリスの海は生命体らしい、ということは分かるが、なぜこんなことをするのか? という問いに答えは出ない。
そもそも、地球から遠く離れたソラリスに生命体が存在する、ということ自体が、地球人に何か関係があるのか、というと、ない。
関係ないのに、しかも一方通行だと分かっていて、なぜわざわざ理解しようとしなければならないのか。
地球人には好奇心があるから?
意思疎通できる、理解できると期待するから?
そう考えると、ソラリスの海が地球人の脳内の「何かの部分をキャッチ」して、それを原子ではない粒子で形にする、というのも変だ。
キャッチするということは、疏通するということではないのか。
しかし、この考えに対しては『意思ではなく、核酸の言語によって多分子の結晶の上に書きとめられた絵を取り出したのだ』と身も蓋もない答えがちゃんと用意されている。
そして、その原子ではない粒子でできたハリーは、地球人のように思考した結果、自分の存在を無にする道を選択する。
ハリーの地球人のような思考は、ソラリスの海によって組み込まれたものだ。
これも考えれば考えるほど訳が分からなくなる。
ケルヴィンは、ソラリスの海がケルヴィンを創り出しているかのような悪夢を見るが、もしそれが本当にできあがったら、どうなるのだろう。
残念ながらそれは悪夢で終わってしまった…。
いや、こんなレビューはやめよう。
書きなおそう。
異星に行ったら、死んだはずの人が突然目の前に現れた。
かつて愛し、傷つけ、それがもとで自死してしまった人だ。
どうやらそれは、異星の生命体『ソラリスの海』が作り出したらしい。
となれば、海に何かの意図があり、それを理解したいと考えるのは当然。
そのために「ソラリス学」という学問まで作られた。
しかし、悪戦苦闘の末、「海の意図を理解することはできなかった」と悟るまでの物語、ということになるのかな。
ソラリス (ハヤカワ文庫SF) Amazon書評・レビュー: ソラリス (ハヤカワ文庫SF)より
4150120005
No.55
(5pt)

2つの両極端なレビューになった

異星人または異性生物体との意思疎通について、心底考えさせられる。
異星人も私たち地球人と同じ思考回路や思考形態を持つ、と前提して物語が作られることが多い。
私もそう思っていたが、テッド・チャンの『あなたの人生の物語』を読んで、あまりに無邪気だと気付かされた。
なので、パイオニア10号に載せられたメッセージ板は、異星人にとって恐らく何の意味も持たないだろう。
いや、この場合の「意味」って一体何を意味するのだろう。
ソラリスの海は生命体らしい、ということは分かるが、なぜこんなことをするのか? という問いに答えは出ない。
そもそも、地球から遠く離れたソラリスに生命体が存在する、ということ自体が、地球人に何か関係があるのか、というと、ない。
関係ないのに、しかも一方通行だと分かっていて、なぜわざわざ理解しようとしなければならないのか。
地球人には好奇心があるから?
意思疎通できる、理解できると期待するから?
そう考えると、ソラリスの海が地球人の脳内の「何かの部分をキャッチ」して、それを原子ではない粒子で形にする、というのも変だ。
キャッチするということは、疏通するということではないのか。
しかし、この考えに対しては『意思ではなく、核酸の言語によって多分子の結晶の上に書きとめられた絵を取り出したのだ』と身も蓋もない答えがちゃんと用意されている。
そして、その原子ではない粒子でできたハリーは、地球人のように思考した結果、自分の存在を無にする道を選択する。
ハリーの地球人のような思考は、ソラリスの海によって組み込まれたものだ。
これも考えれば考えるほど訳が分からなくなる。
ケルヴィンは、ソラリスの海がケルヴィンを創り出しているかのような悪夢を見るが、もしそれが本当にできあがったら、どうなるのだろう。
残念ながらそれは悪夢で終わってしまった…。
いや、こんなレビューはやめよう。
書きなおそう。
異星に行ったら、死んだはずの人が突然目の前に現れた。
かつて愛し、傷つけ、それがもとで自死してしまった人だ。
どうやらそれは、異星の生命体『ソラリスの海』が作り出したらしい。
となれば、海に何かの意図があり、それを理解したいと考えるのは当然。
そのために「ソラリス学」という学問まで作られた。
しかし、悪戦苦闘の末、「海の意図を理解することはできなかった」と悟るまでの物語、ということになるのかな。
ソラリス (スタニスワフ・レム コレクション) Amazon書評・レビュー: ソラリス (スタニスワフ・レム コレクション)より
4336045011
No.54
(5pt)

SFミステリースリラー

不思議な読後感の残るSFであり、ミステリーであり、怖い怖いスリラー小説である。新訳ということだけど、既訳を読んでいない私にとっては、実に読みやすい日本語ではあった。

 SFにしては、ETとのガチンコ対決もなければ、派手な立ち回りもない。実に、そう、実に哲学的なラヴ・ロマンス、ミステリー&おっそろしいまでのスリラーである。お相手は意識を持った「海」?っていうことがすでに現地ソラリスでは明々白々なことである!

 よく分からないままに話が進行する。問題点をクリアしないままに「私」と妻(?)ハリーとの切実なお話が進行する。巨大な黒人女って何だったんだろう?ベルトン博士の証言に出てきたこれまた「巨大な子供」っていうのは、何?
 何もわからない・・・・何も解決していない・・・・・

 ムンティウスの「ソラリス学入門」で勉強してみようと、大阪・中之島図書館の蔵書検索を調べてみると・・・・・・
ソラリス (ハヤカワ文庫SF) Amazon書評・レビュー: ソラリス (ハヤカワ文庫SF)より
4150120005
No.53
(5pt)

SFミステリースリラー

不思議な読後感の残るSFであり、ミステリーであり、怖い怖いスリラー小説である。新訳ということだけど、既訳を読んでいない私にとっては、実に読みやすい日本語ではあった。

 SFにしては、ETとのガチンコ対決もなければ、派手な立ち回りもない。実に、そう、実に哲学的なラヴ・ロマンス、ミステリー&おっそろしいまでのスリラーである。お相手は意識を持った「海」?っていうことがすでに現地ソラリスでは明々白々なことである!

 よく分からないままに話が進行する。問題点をクリアしないままに「私」と妻(?)ハリーとの切実なお話が進行する。巨大な黒人女って何だったんだろう?ベルトン博士の証言に出てきたこれまた「巨大な子供」っていうのは、何?
 何もわからない・・・・何も解決していない・・・・・

 ムンティウスの「ソラリス学入門」で勉強してみようと、大阪・中之島図書館の蔵書検索を調べてみると・・・・・・
ソラリス (スタニスワフ・レム コレクション) Amazon書評・レビュー: ソラリス (スタニスワフ・レム コレクション)より
4336045011
No.52
(5pt)

古典的名作の現代的意義

すでに古典的名作となっているレムの『ソラリス』
地球外生物を人類とは意思疎通を図ることの不可能な存在として描いた本作は
ファーストコンタクト物の新境地を開いた作品として、確かに古典といえるだろう。
しかし現代においてもそのSF小説としての価値は高い。
現代社会においても、しかも宇宙へ出るまでもなくこの地球上においてさえ
人類はいまだに意思の疎通を図ることができない数々の生命体に取り囲まれている。
私たちはそれらの生物と意思を通じ合うことができなくとも協調を図っていかなくてはならないのだ。
旧訳『ソラリスの陽のもとに』における評価の高さはそのままこの完全訳にも当てはまるだろう。
ソラリス (ハヤカワ文庫SF) Amazon書評・レビュー: ソラリス (ハヤカワ文庫SF)より
4150120005
No.51
(5pt)

現代の古典。でも小説としてお勧めはしない

「現代の古典」の完訳版がはやくも文庫化されたことに感謝。

翻訳はたしかにぎこちなく感じるところがある。これは訳者あとがきにあるように
意図的なものだろうと受け止めた。すらすら読みやすいラブロマンスとしてでなく
古典文学として原文に忠実に訳した結果と考えれば、許容範囲だと思う。
(ちなみに私はチェーホフ短編集の愛読者で、沼野氏の力量は常々尊敬している)

古典としての価値は★5つ。

もっとも、それと小説としての面白さは別だ。
人間形態主義を排して思考実験を突き詰めれば、こういう形もあるとは思う。
しかし、地球外理性との相互理解を排し、心の理論の類推を排し、技術水準の類似を
排し、、、という風につきつめると、結局、まったく理解を絶する謎しか残らない。
相互作用が皆無のところには何もストーリーが生まれない。
ひたすら不可解なだけ。

同じファーストコンタクト物でも、たとえばクラークの「宇宙のランデブー」はきちんと
小説作法にのっとっているから、本書にくらべて圧倒的に面白い。

総じて、SF小説の安易な定型を破壊した点には大きな意義があるらしい(だから古典)が、
破壊した先に新しい小説世界を構築できたかというと、どうだろうか?
というわけで、読んで損はないが、あまり期待しないでね、というところ。

(4月30日補足とともに一部削)

この本を「哲学的だ」といって持ち上げる評が米アマゾンなどに見られる。
しかし、それは間違っていると思う。

哲学(自然哲学)というのは、世界の謎に直面したときに、人間の理性を限界まで使って
謎を解明していこうとする営み、知的な構えを意味している。
不可解を不可解のまま放り出すのは、哲学とは正反対で、むしろオカルトという。
小説として捉えれば、結末を放り出す点で、夢オチと五十歩百歩である。

もっとも、不可解をそのまま提示する文学ジャンルもあって、それを怪談という。
本書も怪談だと捉えれば、人物描写が薄いことやストーリーがないことも納得できる。
SF怪談「宇宙耳袋」だと思えば、まあ本書もありかなと、ちょっと考え直した。
ソラリス (ハヤカワ文庫SF) Amazon書評・レビュー: ソラリス (ハヤカワ文庫SF)より
4150120005
No.50
(5pt)

古典的名作の現代的意義

すでに古典的名作となっているレムの『ソラリス』
地球外生物を人類とは意思疎通を図ることの不可能な存在として描いた本作は
ファーストコンタクト物の新境地を開いた作品として、確かに古典といえるだろう。
しかし現代においてもそのSF小説としての価値は高い。
現代社会においても、しかも宇宙へ出るまでもなくこの地球上においてさえ
人類はいまだに意思の疎通を図ることができない数々の生命体に取り囲まれている。
私たちはそれらの生物と意思を通じ合うことができなくとも協調を図っていかなくてはならないのだ。
旧訳『ソラリスの陽のもとに』における評価の高さはそのままこの完全訳にも当てはまるだろう。
ソラリス (スタニスワフ・レム コレクション) Amazon書評・レビュー: ソラリス (スタニスワフ・レム コレクション)より
4336045011
No.49
(5pt)

現代の古典。でも小説としてお勧めはしない

「現代の古典」の完訳版がはやくも文庫化されたことに感謝。

翻訳はたしかにぎこちなく感じるところがある。これは訳者あとがきにあるように
意図的なものだろうと受け止めた。すらすら読みやすいラブロマンスとしてでなく
古典文学として原文に忠実に訳した結果と考えれば、許容範囲だと思う。
(ちなみに私はチェーホフ短編集の愛読者で、沼野氏の力量は常々尊敬している)

古典としての価値は★5つ。

もっとも、それと小説としての面白さは別だ。
人間形態主義を排して思考実験を突き詰めれば、こういう形もあるとは思う。
しかし、地球外理性との相互理解を排し、心の理論の類推を排し、技術水準の類似を
排し、、、という風につきつめると、結局、まったく理解を絶する謎しか残らない。
相互作用が皆無のところには何もストーリーが生まれない。
ひたすら不可解なだけ。

同じファーストコンタクト物でも、たとえばクラークの「宇宙のランデブー」はきちんと
小説作法にのっとっているから、本書にくらべて圧倒的に面白い。

総じて、SF小説の安易な定型を破壊した点には大きな意義があるらしい(だから古典)が、
破壊した先に新しい小説世界を構築できたかというと、どうだろうか?
というわけで、読んで損はないが、あまり期待しないでね、というところ。

(4月30日補足とともに一部削)

この本を「哲学的だ」といって持ち上げる評が米アマゾンなどに見られる。
しかし、それは間違っていると思う。

哲学(自然哲学)というのは、世界の謎に直面したときに、人間の理性を限界まで使って
謎を解明していこうとする営み、知的な構えを意味している。
不可解を不可解のまま放り出すのは、哲学とは正反対で、むしろオカルトという。
小説として捉えれば、結末を放り出す点で、夢オチと五十歩百歩である。

もっとも、不可解をそのまま提示する文学ジャンルもあって、それを怪談という。
本書も怪談だと捉えれば、人物描写が薄いことやストーリーがないことも納得できる。
SF怪談「宇宙耳袋」だと思えば、まあ本書もありかなと、ちょっと考え直した。
ソラリス (スタニスワフ・レム コレクション) Amazon書評・レビュー: ソラリス (スタニスワフ・レム コレクション)より
4336045011
No.48
(5pt)

不思議な魅力を持つ名作

A.タルコフスキー監督『惑星ソラリス』(1972、ソ連)は、インテリ好みのSF映画の傑作としてよく知られている。
原作は、ポーランドの作家スタニスワフ・レムによる本書『ソラリス』(1960)。日本では飯田規和訳『ソラリスの陽
のもとに』(ハヤカワ文庫SF)が、1965年の初訳から長年読み継がれてきた。

沼野充義による新訳は、ハヤカワ文庫版ではカットされていた部分も訳出され、著者の狙いがより鮮明になった印象だ。
従来の版に親しんだ者もこの機会に再読する価値が十分にある。訳者による巻末解説も充実している。

もともと『ソラリス』は、主人公の心理学者ケルヴィンとその自殺した恋人ハリーとの再会の物語として多く語られてきた。
ソラリスの海によって、ケルヴィンへの《お客さん》としてハリーが送られてくる。そのハリーをめぐるケルヴィンの葛藤が
最大の読みどころとされてきた。心理小説としての側面に焦点が当てられてきたのである。

しかし、新訳の再読で、その読みは本来違っていることを確認した。

巻末の解説にもある通り、作者レムの狙いはソラリスという絶対的な他者とのコミュニケーションの不可能性という思弁にこそある。
つまり、SFという形式を使ってしかできない思考実験を十二分に行うことが、この小説のメインテーマなのだ。相当な紙数を
費やして描かれるソラリス学に関する描写や、第8章「怪物たち」での海の作り出す様々な模様の説明がその証拠といえる。
さらに架空の書物であるギーゼ『ソラリス研究の10年』の詳細が、著者ギーゼの性格描写とともに二十数頁にもわたって
記述されていることなどに、思弁SFとしての質がはっきり現われている(183〜206頁)。

この思弁の部分は、実のところ、十分説得的な議論を展開しているとはいえない気もする。表面的な用語の難しさのわりに、
実質的内容がないようにも感じられるのだ。しかし、にも関わらず、ある種の哲学書のもつオーラを本書も持っている。
よくわからないけど、魅力があるのだ。

そして、全体としての難解さ(とそれに伴う読みにくさ)にもかかわらず『ソラリス』は甘いラブ・ロマンスでもある。
ハードSF『ソラリス』のなかで、実はサイド・ストーリーでしかないハリーとケルヴィンの再会に、何故こんなにも魅せられるのか。
何度も繰り返されてきたこの問に、また私もとらわれる結果となった。不思議な魅力をもった名作である。
ソラリス (ハヤカワ文庫SF) Amazon書評・レビュー: ソラリス (ハヤカワ文庫SF)より
4150120005
No.47
(5pt)

不思議な魅力を持つ名作

A.タルコフスキー監督『惑星ソラリス』(1972、ソ連)は、インテリ好みのSF映画の傑作としてよく知られている。
原作は、ポーランドの作家スタニスワフ・レムによる本書『ソラリス』(1960)。日本では飯田規和訳『ソラリスの陽
のもとに』(ハヤカワ文庫SF)が、1965年の初訳から長年読み継がれてきた。

沼野充義による新訳は、ハヤカワ文庫版ではカットされていた部分も訳出され、著者の狙いがより鮮明になった印象だ。
従来の版に親しんだ者もこの機会に再読する価値が十分にある。訳者による巻末解説も充実している。

もともと『ソラリス』は、主人公の心理学者ケルヴィンとその自殺した恋人ハリーとの再会の物語として多く語られてきた。
ソラリスの海によって、ケルヴィンへの《お客さん》としてハリーが送られてくる。そのハリーをめぐるケルヴィンの葛藤が
最大の読みどころとされてきた。心理小説としての側面に焦点が当てられてきたのである。

しかし、新訳の再読で、その読みは本来違っていることを確認した。

巻末の解説にもある通り、作者レムの狙いはソラリスという絶対的な他者とのコミュニケーションの不可能性という思弁にこそある。
つまり、SFという形式を使ってしかできない思考実験を十二分に行うことが、この小説のメインテーマなのだ。相当な紙数を
費やして描かれるソラリス学に関する描写や、第8章「怪物たち」での海の作り出す様々な模様の説明がその証拠といえる。
さらに架空の書物であるギーゼ『ソラリス研究の10年』の詳細が、著者ギーゼの性格描写とともに二十数頁にもわたって
記述されていることなどに、思弁SFとしての質がはっきり現われている(183〜206頁)。

この思弁の部分は、実のところ、十分説得的な議論を展開しているとはいえない気もする。表面的な用語の難しさのわりに、
実質的内容がないようにも感じられるのだ。しかし、にも関わらず、ある種の哲学書のもつオーラを本書も持っている。
よくわからないけど、魅力があるのだ。

そして、全体としての難解さ(とそれに伴う読みにくさ)にもかかわらず『ソラリス』は甘いラブ・ロマンスでもある。
ハードSF『ソラリス』のなかで、実はサイド・ストーリーでしかないハリーとケルヴィンの再会に、何故こんなにも魅せられるのか。
何度も繰り返されてきたこの問に、また私もとらわれる結果となった。不思議な魅力をもった名作である。
ソラリス (スタニスワフ・レム コレクション) Amazon書評・レビュー: ソラリス (スタニスワフ・レム コレクション)より
4336045011
No.46
(4pt)

最初から唸らされます

静かな重みで、ジワジワ来ます。映画の惑星ソラリスは全部観ましたが、同じ内容なら、このSFのシナリオ、もう少し何とかハッピーにならないものかと・・・思わずには居られないので、まだ最初の方しか読んでいません。これから時間を置きながら、しみじみと読んでみたいと思っています。評価は本当は★5つでも不足する位だと直感的には十分思うのですが、ストーリー的に、自分が万一主役だったら耐えられないと思う点で、悩んだ末の★4つです。ゴメンナサイ。
ソラリスの陽のもとに (ハヤカワ文庫 SF 237) Amazon書評・レビュー: ソラリスの陽のもとに (ハヤカワ文庫 SF 237)より
4150102376
No.45
(5pt)

個人的に今まで読んだSFの中で一番難解な作品でした

地球外で生命体が存在するというソラリスという惑星の探査に派遣された学者が様々な体験をし・・・というお話。
この小説に関しては読んでいなくても映画化されたものを観た、或は粗筋は知っているという人が多いと思うので、作品の要諦に触れますが、人間の意識を反映する海が面積の大部分を占める惑星で人間が自分の自我と対面することで、人間とは何か、何故我々は存在しているのか、本当に存在しているのか、というアイデンティティを問うているのではないかと思いました。「我思う故に我あり」という命題がありますが、本当にそれで証明できるのか、もしかしたら全ては妄想で不確定なのではないか、と人間存在の不明瞭さを読者一人ひとりに突き付けているのではないかと思いましたが、見当違いでしょうか。そういう解釈が成り立つとすれば、後続のプリースト「魔法」やオースター「ガラスの街」等に与えた影響は大きいと思われます。サイバーパンク以降、最近のテクノ・ゴシックと呼ばれるものも「ソラリス」なくしてはなかったでしょう。あらゆる意味で源流と言える小説だと思います。
私的には今まで読んだSF小説で一番難解な小説で、ソラリスに関する探究の部分や主人公の内省部分等は数学や物理や心理学の論文を読んでいるようで些か辟易しもしましたが、自己省察に役立つ有益な読書体験でもありました。
ハリウッドで映画にした時は難しい思弁的な部分を全てとっぱらって単なるラヴス・トーリーにしたらしいですが、確かにそういう読み方も可能ですし、そういう部分が作品の多様性に寄与している部分も多々あると思いますが、なんだかねぇ〜とも思います。ピンチョンがオーウェルの「一九八四年」を悲痛な恋愛小説であるところを見逃してはならないと指摘しているのでそういう読み方もありだとは思いますが・・・。
それと今まで翻訳されていたのが、ポーランド語からロシア語に翻訳されたものを更に日本語に翻訳していた重訳だったらしいので、今回はポーランド語から直接翻訳しているということでとても嬉しかったです。重訳はあまり好きではないので。レムは全部ポーランド語からの訳で選集といわず、全集でだしてもらいたいですね。
ソラリス (ハヤカワ文庫SF) Amazon書評・レビュー: ソラリス (ハヤカワ文庫SF)より
4150120005
No.44
(5pt)

個人的に今まで読んだSFの中で一番難解な作品でした

地球外で生命体が存在するというソラリスという惑星の探査に派遣された学者が様々な体験をし・・・というお話。
この小説に関しては読んでいなくても映画化されたものを観た、或は粗筋は知っているという人が多いと思うので、作品の要諦に触れますが、人間の意識を反映する海が面積の大部分を占める惑星で人間が自分の自我と対面することで、人間とは何か、何故我々は存在しているのか、本当に存在しているのか、というアイデンティティを問うているのではないかと思いました。「我思う故に我あり」という命題がありますが、本当にそれで証明できるのか、もしかしたら全ては妄想で不確定なのではないか、と人間存在の不明瞭さを読者一人ひとりに突き付けているのではないかと思いましたが、見当違いでしょうか。そういう解釈が成り立つとすれば、後続のプリースト「魔法」やオースター「ガラスの街」等に与えた影響は大きいと思われます。サイバーパンク以降、最近のテクノ・ゴシックと呼ばれるものも「ソラリス」なくしてはなかったでしょう。あらゆる意味で源流と言える小説だと思います。
私的には今まで読んだSF小説で一番難解な小説で、ソラリスに関する探究の部分や主人公の内省部分等は数学や物理や心理学の論文を読んでいるようで些か辟易しもしましたが、自己省察に役立つ有益な読書体験でもありました。
ハリウッドで映画にした時は難しい思弁的な部分を全てとっぱらって単なるラヴス・トーリーにしたらしいですが、確かにそういう読み方も可能ですし、そういう部分が作品の多様性に寄与している部分も多々あると思いますが、なんだかねぇ〜とも思います。ピンチョンがオーウェルの「一九八四年」を悲痛な恋愛小説であるところを見逃してはならないと指摘しているのでそういう読み方もありだとは思いますが・・・。
それと今まで翻訳されていたのが、ポーランド語からロシア語に翻訳されたものを更に日本語に翻訳していた重訳だったらしいので、今回はポーランド語から直接翻訳しているということでとても嬉しかったです。重訳はあまり好きではないので。レムは全部ポーランド語からの訳で選集といわず、全集でだしてもらいたいですね。
ソラリス (スタニスワフ・レム コレクション) Amazon書評・レビュー: ソラリス (スタニスワフ・レム コレクション)より
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