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もっと遠くへ行こう。



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【この小説が収録されている参考書籍】
もっと遠くへ行こう。 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

もっと遠くへ行こう。の評価: 3.50/5点 レビュー 4件。 -ランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.50pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全4件 1~4 1/1ページ
No.4:
(4pt)

謎だらけの世界で奇妙な人間関係の機微に引き込まれていく(ネタバレなし)

田舎暮らしをしている夫婦の元へ見知らぬ男が訪ねて来て、「あなたは宇宙への
移住者に選ばれました!」と夫に告げる。スタンリイ・エリンやリチャード・マ
シスンを読んでいた頃の懐かしくも謎めいた感覚が蘇ってくるような導入部です。

ここから先、登場人物は基本的に夫婦と謎の男だけ、場所も夫婦の家をほとんど
離れることなく、小さな世界で物語が進んでいきます。自分の知らない所で何か
が起きている?膨らんでいく疑心暗鬼と焦燥…不穏な空気が強く印象に残ります。

SF的な設定でありミステリ的な書き方の小説ですが、そういう方向性での楽しさ
を期待すると肩透かしになるかもしれません。プロットに目新しさはありません
し、結末も恐らく誰もが想像する通りで、あっと驚くような内容ではないのです。

では一体なにが面白い小説なのか?これを一口で説明するのは難しいです。訳者
あとがきにもありますが、広く解釈出来てしまう内容なので、なんじゃこりゃ?
で終わる人もいれば、私みたいに考えさせられてしまう人も出てくるでしょう。

個人的には出合えて良かったと感じる一冊なのですが、明らかに読者を選ぶ作風
で、誰にでもお薦め出来るタイプの本ではありません。気になる方はまずサンプ
ルを眺めてみて、ピンとこないようならそこで止めておくのもアリだと思います。
もっと遠くへ行こう。 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:もっと遠くへ行こう。 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4151842020
No.3:
(3pt)

それなりに。

映画版もあまり楽しめなかったですが、原作も原作でそれほど楽しめず。自己存在への疑問とか、変わりたくない欲求とか、こういうSFモノにありそうなものが入っていて特にコメントも何もないかなあと思ってしまった。映画版はこれを2時間延々と続けるのでよりつらかったです。でも、『もう終わりにしよう』が好きな気持ちは変わらないし、次の作品も気になってます!
もっと遠くへ行こう。 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:もっと遠くへ行こう。 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4151842020
No.2:
(3pt)

文体と雰囲気はめちゃくちゃ好き

前作のもう終わりにしようを映画でみて好きな雰囲気だったので次は原作を読んでみました。やっぱり雰囲気が好きでスラスラ読めました。オチは早めに予測できます。他作品で結構見るオチです。大オチはむしろおまけで男女の心理であったり人間の繊細な部分を描くのが本題なのでしょうね。大どんでん返し系を期待するひとにはオススメできません。
もっと遠くへ行こう。 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:もっと遠くへ行こう。 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4151842020
No.1:
(4pt)

ヘンが本当の"female"に戻った時に。

「もう終わりにしよう。」(2020/7月)以来になります。
 イアン・リードの新しい翻訳「もっと遠くへ行こう。 "Foe"」(早川書房)を読み終えました。
 「到着」、「占拠」、「出発」と三章に分かれた構成ですが、「もう終わりにしよう。」以上にその物語の深さが増しているように思えます。
 キャノーラ畑以外に何もない、住む人も見当たらない場所。近未来なのかどうか?しかしながら、寂れた農場、或る昆虫、養鶏場と続くと現在の米国の田舎の風景のようでもあったりして。そして、唐突にジュニアとヘンという夫婦の前にテランスという男が現れます。彼はジュニアに向かって「あなたは抽選により〈インストレーション〉の候補者として選ばれました」と告げます。ジュニアは宇宙において実験的なプロジェクトに参加?し、その間ヘンはひとりでこの場所に残されることになるらしい。SF?、ミステリ?、不条理劇?まあ、物語のジャンル分けは常に無意味です。
 途中までは支配、被支配に頭がいってしまい、1960年代後半のジョゼフ・ロージーが監督した映画を想起したりもしましたが、違っていました。私の見込みなど当たったためしはありません(笑)。"はなれわざ"が炸裂しますが、そのことが再読を促す結果に結びつくかもしれません。
 知っていながら知りたくなかったこと。妻は、名前ヘンリエッタからヘンと呼ばれていますが、(原文を参照していないことを前提に)"Hen"と綴られているならば、"female"を表すことになり、物語全体が男性、女性によって営まれる関係性のナーダに覆われているように思えて、しかしそれを夫婦愛の中の虚無と表してしまうとそれもまた虚しいことになるのでしょう。
 それでも、どこにでもあるような場所で質素に暮らすことの中にきっと愛はあるのかもしれません。ヘンが本当の"female"に戻った時に。
もっと遠くへ行こう。 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:もっと遠くへ行こう。 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4151842020

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