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技師は数字を愛しすぎた
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技師は数字を愛しすぎたの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.88pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全8件 1~8 1/1ページ
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読み始め後、犯人はすぐに検討がつくが、読み進むにつれて読者の確信が揺らぐように展開されているのが絶妙だ。 | ||||
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私もボアロー単独作の「殺人者なき六つの殺人」との関連に気づきました。若干シチュエーションは変えているものの、プロットはまるきり同一ですね。本作のほうが後発だけあって、背景設定を綿密にしてフンタジーっぽくなるのを抑制できているように感じます。 一昨年でしたか、同じ訳者さんの新訳版が出たので、それも買いました。 | ||||
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いいね!!と致しましたが本当に欲しい物は、未入手!! ★評価は5。 | ||||
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ボワロ&ナルスジャック著、大久保和郎訳『技師は数字を愛しすぎた』(創元推理文庫)はフランスの推理小説である。パリ郊外の原子力関連施設で技師が殺害され、核燃料チューブがなくなった。この核燃料チューブは爆発と放射能汚染でパリ市の多くの部分を壊滅できるものである。ところが、犯行現場に人が出入りした形跡がない。密室ミステリーである。 第二次世界大戦の記憶も残っている1958年に出版された書籍であるが、福島第一原発事故を抱える現代日本で読めば緊迫感は一層高まる。福島第一原発事故は原子力発電の安全神話を壊滅させた。確かに原子炉が相対的に頑丈にできていることは認めてもいい。しかし、どれほど格納容器が頑丈であろうとも、外部からの電源供給がなくなれば危機的状況に陥ることが福島原発事故で判明した(林田力「福島第一原発事故で世界中に脱原発の動き」PJニュース2011年3月23日)。 いくら格納容器を頑丈にしても安全は確保できない。現在の福島原発事故でも原子炉よりも核燃料プール倒壊の危険性が注目されている。その意味で巨大な施設を破壊するというような壮大なスケールではなく、人が抱えて持ち運べるような核燃料チューブで恐怖を描く視点は興味深い。 また、『技師は数字を愛しすぎた』が放射能汚染の危険性を抽象的に描いている点も興味深い。目に見えず、臭いもない放射能の害は想像しにくい。『技師は数字を愛しすぎた』でも深刻な事態になる可能性がある状況でも、現実感の乏しい漠然とした不安になっている。福島事故後に放射能汚染に敏感になった「放射脳」と揶揄される連中にとっては『技師は数字を愛しすぎた』の登場人物の言動は鈍感に見えるだろう。 しかし、福島第一原発事故後の日本でも放射能の害をめぐって情報が錯綜した。不安ばかりが一人歩きした面もある。意図的に危険性を煽るデマゴーグに乗せられたとの反省もある。その意味で『技師は数字を愛しすぎた』で描かれた漠然とした不気味さや不安感が正味のところとなるだろう。 肝心の密室殺人であるが、ステレオタイプなミステリー観ではルール違反と受ける向きもあるかもしれない。犯行時には誰も部屋に入らず、誰も部屋から出なかった。不可能殺人であり、捜査は行き詰まる。そこで発想を転換する。誰も部屋に入らずに誰も部屋を出ない状態での殺人が不可能であるならば、その前提を疑ってみる。この発想は新鮮である。(林田力) | ||||
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『死者の中から』や『悪魔のような女』など、繊細な心理描写で、不安と恐怖のメロディーをスリリングに演奏し、蠱惑的な美酒の酩酊をあたえくれた、《サスペンス派》の名手ボワロ&ナルスジャック。ところがこの作品は、ん…、密室の謎解きを描いた《本格派》への鞍替え作品? この密室のトリックや謎解きの醍醐味が、ディクスン・カーも瞠目するようなものならいいのだが、残念ながらトリックのオリジナリティも、膝を叩くような論理や伏線の妙味もない。また、前述の代表作のような流麗なサスペンスの旋律も聞こえてこない。炭酸がぬけかけたハイボール…か。☆5つ評価はちと難しい。 軟弱な《サスペンス派》の筆で、緻密な《本格派》のコクがだせるものか! 一方、無骨な《本格派》のエキスを混ぜ込むから、繊細な《サスペンス派》の風味までこわされた! 自己主張つよく両派の視点から否定的に論評すれば、突き合わせた角の先端からカキ〜ンと☆一つ飛び出して、もの別れの低評価となるところ…。 されどこの作品、腹立たしく味覚を蹂躙するほど、マズイということもないのだ。途中で投げ出したくなることもなく、楽しく読了できるのである。☆一つはちと酷すぎる。そう、異色作…。そんな、いい表現がある。《サスペンス派》の名手が、《本格派》のテーマにも果敢に挑んだ異色作。そう言って両サイドから肯定的に歩みより、センターで☆3つ点すのが、いちばん穏当かつ妥当な評価かと小生には思えました…。 | ||||
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始まって数ページでいきなり密室殺人が起こり、一気に作品世界に引き込まれた。しかし、現場の密室状況から見て、どう考えても方法(トリック)がひとつしかなく、わかりやすすぎるのでにわかに興が冷めた。 さらに、容疑者がたった三人だけというのはいかがなものか。しかも、いかにも真犯人じゃないよ、というヤツを抜いたら、残りの二人はどっちも怪しいので、中盤で起きるさらなる密室殺人でも、まったく謎や魅力を感じなかった。これを『密室トリック』と呼んで欲しくない。 もちろん、途中でトリックと犯人がわかっても面白いミステリはきら星の如くあるが、この作品の密室トリックはいかにも古くて単純で幼稚。50年以上前の作品だからしょうがないのか?じゃあなんで今出版する?タイトルも格好いいが意味不明だった。 ここ3年くらい、毎日ミステリを読んでいるが、一向に面白い作品に出会えない。いい加減イヤになるが、活字中毒なので本を読まないと居心地が悪い。本好きだったという過去に縛られているだけだとも感じる。 今度出るカーの『皇帝のかぎ煙草入れ』の新訳が欲しかったが、この作品のせいで買う気が失せた。 このままでは、名作を4度、5度と読み返すだけの読書ライフになってしまう。(まあ別にそれでも良いかな…) | ||||
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なんといってもこのタイトルの格好よさ。あまたある創元推理文庫の屈指の名邦題。 内容もそれに負けず劣らず不可能犯罪興味の横溢した佳作。 一般にこのコンビはサスペンス物の巨匠とされているが、『呪い』の強烈な不可能犯罪的趣向などカー顔負けである。 このコンビの美点は常に強烈な謎の発端を用意するところだが、本作も魅力的な密室状況の設定が素晴らしく、ミスディレクションの手際の良さ、スリリングな展開も秀逸。 トリックの新味や論理性の巧緻さではクィーンやカーに譲るが、フランス流本格ミステリとしては最上級。 | ||||
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意味深な題名である。ボアロー&ナルスジャックのコンビはナルスジャックの味が強く出ると、オカルティズム溢れた悪夢譚になるのだが、一方ボアローの味が強く出ると論理性を前面に押し出した本格物になる。本作は後者である。ボアローはコンビを組む前、「殺人者なき六つの殺人」という密室の教科書のような作品を発表しているが、本作はそれを洗練させた趣きがある。 技師は"核燃料チューブ"に関する研究をしている。これは風呂敷を広げ過ぎだが、こうした大げさな背景を持ち出す事で動機を不明にする効果をもたらしている。そして、本書の見せ場は3回起こる密室事件である。驚く程の斬新なトリックがある訳ではないが、ストーリー展開の中にうまく溶け込んでいる。上で"洗練された"と述べた所以である。 「呪い」がナルスジャックの味が出た代表作とすれば、本作はボアローの合理性が出た代表作。 | ||||
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