黒き荒野の果て

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評判

黒き荒野の果ての評価:

3.86/5点 レビュー 21件。 C ランク

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平均点3.86pt

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全21件 21〜21 2/2ページ
No.1
(5pt)

暴力装置としてのボーレガードの愛車「ダスター」

デニス・ルヘインの「ザ・ドロップ」を想起しながら読み始めましたが、違っていました。典型的なアメリカン・クライム・ノヴェルでありながら、新しい。
 「黒き荒野の果て "Blacktop Wasteland"」(S・A コスビー ハーパーBOOKS)を読み終えました。舞台は、ヴァージニア、ノース・キャロライナ。
 かつて強盗団のドライヴァーだった男、ボーレガードは家族のために堅気として自動車工場を経営していますが、ライヴァル工場の台頭もあって生活に困窮します。そして、かつての稼業へと舞い戻る以外に道がなくなります。
 炸裂するカー・アクション。カー・チェイス。中盤の、かつてこれほどのカー・シーンはなかったのでは?と思えるほどエキサイティングで、切れ味のいいアクション後から、前半の背景説明が次第に刈り取られていって、危険で、ヴァイオレントで、行き先の読み難いストーリーが展開されていきます。当然の如くスリラーですから、これ以上の「黒き荒野の果て」を説明することはできません。
 主人公・ボーレガードには、父親アンソニーの「悪党」としての血が流れていますが、映像記憶能力を持ったタフな男でありながら、家族への愛を真っ先に考えるような一人の父親でもあります。それは、決してアンソニーのような父親であってはならないという「生き方」に従っているのでしょう。
 登場人物たちも丁寧に描かれています。子供達を愛し、ボーレガードを愛し、しかしながら妻・キアの力をもってしても「悪党」としての血脈を止めることが叶いません。
 もう一人の主役は、ボーレガードの愛車「ダスター」と言えるでしょう。姿を消した父親の遺産でもある「ダスター」は父親の象徴でもあり、足を洗った後に確立した己がアイデンティティそのものでもあります。よって、それはこだわりと偏りと囚われの象徴でもあり、たとえ絶望が待っているとしても、手離すことができません。
「男はどっちかだ。スクラップ置場を経営するか、街を走りまわるか。同時に二種類の獣にはなれない」(p.129)
 夥しい数のヘアピン・カーブをクリアしながら、その究極の二元論の果てに辿り着いた先には、何が待っているのか?
 そう、「男の弱みを知っているのは、ベッドをともにした女性だけ」(p.315)なのかもしれません(笑)。
 キャデラックを始め、多くのアメリカン・ヴィンテージが登場し、そのエンジン・オイルの匂いと香りに「車」を愛する男たちが酩酊しながら読み進めることは間違いありません。
黒き荒野の果て (ハーパーBOOKS) Amazon書評・レビュー: 黒き荒野の果て (ハーパーBOOKS)より
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