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群狼の舞 満州国演義 三
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群狼の舞 満州国演義 三の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.59pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全17件 1~17 1/1ページ
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第1巻は物語の導入部としてまずまずでしたが、第2巻は資料に振り回されて、少々塗り絵を見ている様な感じがし、退屈感を覚えました。要するに資料を基に物語が展開されておらず、説明臭くなってしまっていたのです。この調子で行くのか、と心配しましたが、この第3巻は資料を上手く駆使して単なる説明にならず、登場人物が描写されており、物語の展開が上手く流れています。小説はこうでなくてはいけません。満州侵略という戦争状態が舞台ですから、遠慮なく人が殺されますし、主人公である兄弟達の周囲も時には残酷な状態になり、人が死にます。又、第1巻の冒頭で会津戦争の場面が描かれています。どうしてか、と思っていましたが、この巻のP191で四郎に銃殺された特高刑事の奥山が「あ、会津若松で」という科白と共に絶命します。どうも、伏線が引かれた様で、今後が楽しみです。 それにしても、作者が資料をよく読み込み、なんとか物語の中に組み込もうとしている執筆姿勢は賞賛出来ます。おかげで、満州事変から満州国成立の謀略の過程が、歴史書以上によくわかりました。しかし、実在した様々な人物が登場したものです。ただ「~じゃなかった」というくだけた口調の文章は、どうもこの作者の性格からくるものらしく、それだけが違和感を感じます。加えて登場人物が最初はフルネームで紹介されるのですが、主人公の太郎・二郎・三郎・四郎は兎も角、他の人物もすぐに下の名前だけで描かれるのは、誰だったっけ?と前の見返すことがしばしばなのは、自分だけでしょうか?そういう風に描く理由もはっきりとわかりません。どうもこの文体は作者独特のものらしく、それが個性あるものなのか、ある種の悪文なのか、最終巻を読むまでは判断が出来ません。 | ||||
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第1巻は物語の導入部としてまずまずでしたが、第2巻は資料に振り回されて、少々塗り絵を見ている様な感じがし、退屈感を覚えました。要するに資料を基に物語が展開されておらず、説明臭くなってしまっていたのです。この調子で行くのか、と心配しましたが、この第3巻は資料を上手く駆使して単なる説明にならず、登場人物が描写されており、物語の展開が上手く流れています。小説はこうでなくてはいけません。満州侵略という戦争状態が舞台ですから、遠慮なく人が殺されますし、主人公である兄弟達の周囲も時には残酷な状態になり、人が死にます。 それにしても、作者が資料をよく読み込み、なんとか物語の中に組み込もうとしている執筆姿勢は賞賛出来ます。おかげで、満州事変から満州国成立の謀略の過程が、歴史書以上によくわかりました。しかし、実在した様々な人物が登場したものです。ただ「~じゃなかった」というくだけた口調の文章は、どうもこの作者の性格からくるものらしく、それだけが違和感を感じます。加えて登場人物が最初はフルネームで紹介されるのですが、主人公の太郎・二郎・三郎・四郎は兎も角、他の人物もすぐに下の名前だけで描かれるのは、誰だったっけ?と前の見返すことがしばしばなのは、自分だけでしょうか?そういう風に描く理由もはっきりとわかりません。どうもこの文体は作者独特のものらしく、それが個性あるものなのか、ある種の悪文なのか、最終巻を読むまでは判断が出来ません。 | ||||
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満州国建国から始まる。だが、そこに当時多くの日本人が感じたであろう喝采や熱狂、 理想などはほどんど描かれない。影の部分のみ描かれていく。 主人公の4兄弟。太郎は、外務官僚で、関東軍のやり方を苦々しく思っていながら 結果、新国家建設を前向きに考えるようになる。次男、次郎は仲間を失い、 傍観者ではないが、その空間に漂う人となる。三男、三郎は理想に燃える憲兵隊として 描かれているが、作者が描きたいのは、対する質の悪い軍人たちであろう。 四男、四郎は、ナイーブな学生の性質のまま、その空間に流される人として 描かれる。 また、四兄弟を通して、当時の中国や朝鮮側の国家意識の低さや、日本人同様、暴力を 行使する人の残念ぶりも描かれている。あと、ソ連、共産党の幻想、介入、日本の軍の強さ、 虐殺、強奪など。 自らを上に置いて、指導してやる体で、日本の不況を脱するために満州国を建設したものの こんどは、その満州国を維持するために、戦線を拡大させていたく過程の端緒がこの巻では 描かれている。 当時の空間、事象を生きれば、当然、その瞬間、よろこび喝采した人も多かった だろうが、そのようは人のいたよ程度の描き方だ。描く価値はなかったのだろうか。 死ぬことがわかってる役者が、途中、ずっと死ぬ演技をしてるかのように 全編、残念な結末になります感がある。まだ、3巻目、4巻目を読むのがつらいなぁ。 | ||||
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包装は完全に包装されており、本も問題なく綺麗でした。 | ||||
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一巻毎の感想を述べても仕方が無い、全巻黙して読破すれば至福の読書体験。 | ||||
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第三巻がカバーしているのは、昭和7年の満州国建国から、国際連盟の脱退、熱河作戦(華北熱河省の満州国への編入を目的とする)の終了した昭和8年当たりの時代だろう。そして、満州北部への武装移民の送り込みも重要なテーマとなっている。満州事変の切っ掛けとなった柳条湖事件、日中戦争の切っ掛けとなる盧溝橋事件等が関東軍の謀略に始まったことは知っていたが、熱河作戦の切っ掛けも、万里の長城の東端の山海関での日本軍の挑発に始まり、その狙いが良質な阿片産地の獲得にあったことは初めて知った。四人の兄弟に関して言えば、三郎の結婚、巻末での太郎の長男の病死等があるが、中心は、四郎を巡る展開だろう。骨休みに上京し、自宅を訪れた彼は、忘れることのなかった義母の眞沙子と特高の奥山貞雄の情交を目撃する。奥山を殺害し、特務機関員の間垣徳蔵は又従兄弟だと聞き出す。暫く後で、新妻を伴って自宅を訪れた三郎は腐乱した眞沙子の自殺体と遺書を見つける。満州に戻った傷心の四郎に、間垣は北満のチャムスに出来る武装移民の弥栄(いやさか)村への入植(ロシア語通訳として)を勧め、四郎はこれに応じる。 また面白かったのは、憲兵中尉としての三郎の役回りである。占領地での軍の規律の弛緩(婦女暴行等)を恐れる上層部の意向を反映して、取り締まりに奔走する。憲兵は靖国に祀られることはないという話は初耳だった。日本軍による強姦事件の頻発を抑えるために、熱河省の首都の承徳に500名の慰安婦を送り込む要請が軍からあり、太郎の勤める奉天総領事館も大変だったろうという挿話も挿まれている。作者はフィクションは無いというのだから、これも事実なのだろう。未だに尾を引いている従軍慰安婦問題がどういう背景で出て来たかを知ることが出来る。敷島四兄弟は明らかに満州建国を推進する側に立っているが、その大義(五族協和)を傷つける様な振る舞いに抗議する勇気を持ち合わている。彼等の行く先々(北はハイラルやチャムスから南は山海関まで)を地図で追い、年表を照合しながら読み進めることによって、知識の空白を埋めることが出来た。 | ||||
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軍部の横暴に立腹する外務官僚の長男は、徐々に時代の空気に絡め取られて「(満州国という)国家を創造することは男の最高の浪漫」とうい熱狂に身をおくようになり、馬賊の次男は「血は日本人でも、こころには国籍なんかどこにもない。」と言い放つ。正義感の強い三男は憲兵隊員として忠実に任務を果たしてゆく。大人になりきる前にさまざまな経験をしてしまった四男は、自分の意思とはなんら関係なく、大人たちに利用されるだけの存在となってしまった。 さてこの四兄弟がいつ、どこで運命の交差を迎えるのか、たいへん楽しみな展開となりつつある。最後の船戸文学、残りは6冊だけになりました・・・。 | ||||
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敷島四兄弟それぞれの動静と苦悩や韜晦などが綾を成して描かれる第3巻。第1・2巻では関東軍や満州建国に対し批判的であった敷島太郎が建国の実務にのめり込んでいく一方で(例えば173~5頁や235~6頁、240頁)、バリバリの軍人であった敷島三郎が逆に(?)軍隊を怜悧に醒めた目で見つめ、ある種の正義を体現していくさま、その運命の皮肉というか逆転のさまが印象的であった。あと、一回その躰を心ゆくまで味わってみたいと思わせた淫婦 敷島真沙子(太郎の嫁である桂子の実姉)の自裁は、物語的には勿体無い感じがした。 「陸相に荒木貞夫中将が座ってから帝国陸軍も海軍もなべて皇軍と言いはじめたでしょう、国家の軍隊ではなく天皇の軍隊だということを強調するように。これは私見ですが、荒木陸相は何となく昭和維新を唱える連中と同じような臭いを漂わせているように感じられてなりません」(18頁、) 「荒木貞夫が陸相に就任してから帝国陸海軍をなべて皇軍と称するようになっただけじゃない、日本も大日本帝国ではなく皇国と呼びはじめた」(181頁)。 「居間の硝子戸は開け放たれている。長椅子に白い開襟シャツと鼠色のズボン姿の男が座っていた。その膝のうえに浴衣の女が腰を下ろしている。男は女を抱き、口を吸っていた。その手が浴衣の袵(おくみ)のあいだから食みだした豊かな乳房を揉みしだいている。帯はいまにもほどけそうだった。浴衣の裾が割れ、そこから右の太股が覗いている。男と女がだれなのかはすぐにわかった。真沙子と特高刑事の奥山貞雄が居間で抱き合っていた。・・・ 真沙子の乳房を揉んでいた貞雄の左手がそこを離れ、それが太股に移った。浴衣がさらにめくれた。貞雄の左手が太股からずりあがるようにして臀部に向かおうとした。焦らすように真沙子の右手が貞雄の手を掴んでその動きを制した。それとともに重なりあっていた唇が離れた。真沙子が首を左右に振った。拗ねて甘える仕草だった。貞雄の手が浴衣のなかから引き抜かれ、ほどけ掛かっている帯にまわった。それとともに真沙子の顔が庭のほうに向いた。こっちと視線が合ったのはそのときだ。真沙子の眼が大きく瞠かれた」(252~3頁)。 「貞雄は真沙子の熟れた肉をものにするためにこのじぶんを上海に送りだしたのか?」(266頁) 「どうなんだい、真沙子の体は?」「最高だ、たまらねえ。おまえが溺れたのもよくわかるぜ。あれほど抱き心地のいい女はめったにいねえ ・・・ そのとき真沙子の体からはむんむんするような牝の臭いがしてた。たまらなくなっておれは押し倒した。真沙子はほとんど抵抗しなかったぜ。それからだよ。おれも女房子供がある身なんでな、毎日ってわけにはいかねえが、週に一度は抱いてる」(268頁) 「特高刑事・奥山貞雄を殺したことには何の悔いもない。だが、その膝のうえでの真沙子の媚態はいまも瞼から消えてなかった」(320頁) 「この伸びやかな四肢はじぶんだけのものなのだ。弾力に溢れた乳房も」(336頁)。 「どの新聞も満州事変のときに鼓舞する記事を掲載して部数をぐんと伸ばした。熱河侵攻を側面から支援してさらに読者を獲得したいという欲求に充ち溢れていた」(452頁)。 「その点、天津は歴史があります。すでに何でも揃ってる。このわたしを見てください。毎晩が極楽ですよ。十九歳のぴちぴちした女を抱いたまま眠るんですよ。・・・ すべすべした肌、弾力のある乳房。それが一番です。別れた女房とは五年以上も同衾したことがなかったが、いまは毎晩それに触れながらぐっすり眠れる」(538頁)。 「奉天に戻って来てから一晩も欠かさず奈津を抱いた。健やかに伸びた肢体、吸いつくような肌」(561頁)。 「フランス軍の諺を聞いたことがある」「どんな諺です?」「尉官時代は大親友、佐官時代は競争相手、将官時代は不倶戴天の敵」(562頁) それにしても、3名では少ないし(物語が痩せる)、5名では多い(話が散漫になる虞がある)感じもするし、この「4兄弟」という設定は絶妙。彼らの間をいわば取り持つかの動きを見せる間垣徳蔵や香月(こうづき)信彦など脇役陣のキャラや動きも秀逸。 | ||||
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「国家を創りあげるのは男の最高の浪漫だ」。満州経営に情熱を注ぐ太郎の変心と、貧窮の突破口を期待する日本国民の熱狂と軍への期待。一方で「五族協和」の現場での形骸に歯がみする三郎。太郎の子、明満の死が今後を象徴。 | ||||
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父子2代にわたり奉天と瀋陽で日本の仕事に長期従事していました。父は記者だった関係で、軍関係者から馬賊まで知り合いも多く、幼かった私に満蒙の夢を語ってくれました。不動産事業に関わる形で、子であつた私が偶然にも瀋陽に行くことになり、父の話に出てきた場所などを確認することができました。そしてこの本に巡り会えました。船戸先生の描く満州は、小説というよりもドキュメントだと思っており、痛快、感動につきます。瀋陽に駐在時代に読めなかったのが悔やまれます。全巻読破したいシリーズです。 | ||||
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満州での日本人4兄弟の活躍 毎回あっという間に読破してしまいます。 満州での関東軍のやり方も興味深く読んでいます。 次が楽しみで待ち遠しいです。 | ||||
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登場人物は歴史上の人物ではなく、名もなき一般人。彼らが時流に翻弄されていく姿が心を惹きつける。 | ||||
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「国家を創りあげるのは男の最高の浪漫だ」 本巻では実に5回も、同様の台詞が現れる。 実は、ゲーテの『ファウスト』には、これと全く同じ一節はない。 (文脈を無視して近似する文を挙げるとすれば「これが青年最高の責務だ。己が造るまでは、世界も無かったのだ」(森鴎外訳)くらいか) もちろん、この部分は船戸の直接引用ではなく、「登場人物の香月の記憶によるもの」だから、目くじらを立てるには当たらない。 留意すべきは、この命題に疑念を抱かず、突き動かされていく香月であり、太郎である。そしてその危険性は誰にとっても無縁のものではないはずだ。 本巻、とうとう満州国という新国家が創られた。暴力と謀略とともに。 この巻ではもう一つ、「臨陣格殺」という忌まわしい文句も繰り返される。 人は、自分の望みを映す言葉を他人に借り、やがては己の信条とするのだろうか。 3巻にして早くも、何人かの主要登場人物があっけなく退場してゆく。嵐の予兆か。 解説は北方謙三。船戸との熱い談義を振り返る。この臨場感が素晴らしかった。 次巻刊行まで少し間が空き、待ち遠しい。 | ||||
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いよいよ、物語の中盤、4兄弟の運命は、いかに、じっくり読ます。 | ||||
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帯に大書された「国家を創りあげるのは男の最高の浪漫だ」はゲーテの『ファウスト』の言葉。長男太郎は時代に流され変身、次郎は次々と殺害と救済を繰り返し、三郎は軍規に忠実なあまり戦功を求める将校等からの怨嗟を浴び、四郎は遂に特高刑事殺害に至る。同時に東京霊験坂の家に起きた悲劇と太郎の家庭にも悲運が襲う。 満州国建国が引き起こした抗日運動の数が凄い。東北抗日義勇軍は実は日本の秘密工作員が頭目となったものだが、それ以外に鉄血救国軍(兵匪)、大刀会や紅槍会(宗匪)、抗日救国義勇軍や東北反帝同盟(鮮匪)、愛国義人団など。 戦前の新聞界の動きも興味深い。「わずか20万の発行部数だった読売新聞は柳条溝事件を持ちあげて対支強硬論を唱えることによって部数を伸ばし、いまや大新聞となった。東京日日新聞は・・・東京朝日新聞も・・・」p248。 熱河侵攻作戦後に「娘子軍を送れ」と奉天総領事館に通電した関東軍作戦参謀遠藤三郎とは、後に護憲運動と反戦運動と日中友好運動に献身した遠藤陸軍中将の若き日の所業。戦争は誰にとっても残酷である。 第一巻のレビューでも触れたが「会津若松」で何が起きたのか、再度短く言及されて疑問は増幅していく。 一点疑問は「コミンテルンから運ばれている武器」の一部に「突撃銃」が挙げられているが当時この概念はまだ存在しないので、自動小銃と混同したのではないか(p108)。 | ||||
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著者の作品はだいたい読んで来ました。この作品もおもしろいと思うので読むのが楽しみです。 | ||||
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満州国建国へ。満州でやりすぎて国際社会からますます浮いて行く大日本帝国。帝国陸軍から「皇軍」へ。日本は国を挙げて満州への期待が膨らみ、覆水盆に返らない状態へ。 敷島家の四者四様の満州が面白いです。 | ||||
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