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橋ものがたり
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橋ものがたりの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.50pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全48件 21~40 2/3ページ
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本書巻末に収録されている藤沢周平の長女展子さんの<特別エッセイ>によれば、藤沢はこの作品で市井物のスタイルを確立できたそうだ。本書に収録されているのは10の佳品だが、藤沢の清々しい文章を読みながら心静かに至福のひとときを過ごしたい自分としては、やはり「ものがたり」は、主人公が博奕打ちなどではない堅気の職人であって、過酷な運命に耐え忍んできた幸せ薄い女性と結ばれ出直しの人生を静かに歩み出すところで終わって欲しい。 収録されている10の「ものがたり」で上記に適うのは第一話「約束」(主人公は錺師(かざりし)にお礼奉公中の通いの職人)と第十話「川霧」(主人公は蒔絵師にお礼奉公中の通いの職人)である。以下に引用するように第一話と第十話ともに二人を朝の日の光が静かに包む場面で「ものがたり」は終わる。これは偶然ではなく「日の光」を用いた作者の周到な仕掛けだろう。 第一話「狭い土間に、躍るように日の光が流れこんでくるのを眺めながら、幸助は、ここに来たのは間違っていなかった、と思った。」 第十話「言いながら、おさとはまだすすり泣いていた。橋の上には、ほかの人影は見えなかった。遠ざかる二人の背に、その日のはじめての日の光が、静かにさしかけて来た。」 | ||||
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一日の勤めを終えて眠りにつく前、枕元の藤沢周平の小編を手に取る。日本人でよかった、と思えるひとときです。 「約束」はつらい遠回りを経ながらも、再びめぐり会えた男と女の物語です。 ”狭い土間に、踊るように日の光が流れこんでくるのを眺めながら、幸助は、ここに来たのは間違っていなかった、と思った。お蝶の悲痛な泣き声が、その証しだと思った。お蝶が泣く声は、真直幸助の胸の中に流れこんでくる。幸助は自分も少し涙ぐみ、長い別れ別れの旅が、いま終わったのだ、と思った。” ここに、幸助の万感の想いが込められています。何度読み返しても、物語の中の懸命に生きて来た二人に幸せになってもらいたい、と願わずにはいられなくなります。 一日の終わりに藤沢周平を読みながら眠りにつけることは、この国に生まれた人間のささやかながら、たしかな幸せのひとつです。 | ||||
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一日の勤めを終えて眠りにつく前、枕元の藤沢周平の小編を手に取る。日本人でよかった、と思えるひとときです。 「約束」はつらい遠回りを経ながらも、再びめぐり会えた男と女の物語です。 ”狭い土間に、踊るように日の光が流れこんでくるのを眺めながら、幸助は、ここに来たのは間違っていなかった、と思った。お蝶の悲痛な泣き声が、その証しだと思った。お蝶が泣く声は、真直幸助の胸の中に流れこんでくる。幸助は自分も少し涙ぐみ、長い別れ別れの旅が、いま終わったのだ、と思った。” ここに、幸助の万感の想いが込められています。何度読み返しても、物語の中の懸命に生きて来た二人に幸せになってもらいたい、と願わずにはいられなくなります。 一日の終わりに藤沢周平を読みながら眠りにつけることは、この国に生まれた人間のささやかながら、たしかな幸せのひとつです。 | ||||
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なんか胸の奥がジーンとなる、そんな感じの良質な短編集です(。-_-。) | ||||
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橋をモチーフにして、人生の過去と現在そして未来へとのつながりがうまく描写してあると思う。 | ||||
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今まで購入した中で一番黄ばんでいてがっかりです。状態は「良」でしたが。 | ||||
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ここに入っているものはすべて好きですが、どれか1つと言われると「思い違い」です。 電車の中で最後の一節まで読み切ったとき、人前なのに泣けてしまい困りました。 もう何も形容は要りません。永遠ですね。藤沢先生・・さすがです。 | ||||
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たいへんきれいな状態で、気持ちよく読めます。読み終えたら別の作品を購入したいとおもいます。 | ||||
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好きなので悩まず購入 疲れないいい本でした。 藤沢周平の本が出たらまた購入予定です。 | ||||
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この本で電子ブックデビューしました。藤沢周平の文庫本はほぼ全冊持っていますが、短編集が特に好きなので、再読するためにあえてこの本の電子ブック版を購入したのですが、ほぼ同じ感覚で読めました。 | ||||
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最後のシーンが好きです。 恋愛ものの小説ですし、男性としても、女性としても理想の結末な気がします。 すごく通俗的な結論になっているのかもしれないけれど、よかったって思える。そんな短編集です。 藤沢周平の小説読むと癒されるのが理解できます。。 | ||||
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レビューの題名どおり、もはや何も言うことがない。 だまされたと思って一度読んでみることをお勧めする。 どの作品を読んでもいいが、できれば、最初から読んでいくといい。 最初から読んでいくと「川霧」で心がより高いところにおかれることを感じることができると思う。 あざとさなど微塵もなく、あーこういうのがいいなぁと心底思える作品集。 ところで、去年CSの時代劇専門チャンネルで昔日曜劇場で放送された「小ぬか雨」をみた。 おすみに吉永小百合、新七に三浦友和という配役で、そこそこ見ごたえはあったが、 やはり原作には及ばないものだった。 | ||||
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全体的に文章が緩くないかね。 ところどころ説明的な文章も気になる。 私には、少なくとも一気に読ませてくれる感じはない。 なんで人気があるんだろう。不思議だ。 | ||||
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以前紹介した「父・藤沢周平との暮し」で遠藤展子さんが一番おすすめと書かれていた作品。 巻末の解説で井上ひさしが、「この小説集は橋にまつわる十の短篇を集めたものですが、まずこの着眼に唸らされました」、「読み終えてしばらくは、人を信じてみようという気持になります」と書いています。 藤沢周平の本ははずかしながらこれが最初ですので、著者について何ら語ることができませんが、「橋ものがたり」を読む限り、作中の台詞を抜き出しても、著者が描く人間世界は見えてきません。物語全体をとおして流れる人間の温かみを、解説で伝えることは不可能なようです。 約束:14歳のとき引っ越しで居なくなったお蝶に、5年後のいつ何時に橋の上で会おうと伝える。 小ぬか雨:新七といった人殺しをかくまうことになるおすみ。晩い時期に、不意に訪れた恋だったが、はじめから実るあてのない恋だった。 思い違い:源作は両国橋である女とすれ違うのを楽しみにしていた。女が言ったことはうそであった。その後女と女郎屋で再開する。 赤い夕日:おもんは夫に言えない秘密を抱えていたが、くびになった店の奉公人の密告で過去に引きずりこまれてしまう。 小さな橋で:広次は家を飛び出したある日、林の端れで消えたおやじに会う。 氷雨降る:夕方に橋で出会った女は、夜十時になってもまだ橋にいた。吉兵衛は、妻や息子との確執を抱えていたが、おひさに会うことで癒された。 殺すな:謎の浪人者に吉蔵は妻の監視を頼む。善左エ門は妻殺しの過去を持っていた。 まぼろしの橋:おこうはお父ちゃんに捨てられた過去を持つ。お父ちゃんの話を持ち出した弥之助は博奕打ちだったが、「おとっつぁん」の一言に反応する。 吹く風は秋:弥平は親分をだました博奕打ちで江戸を離れていた。女郎屋でおさよに会い身の上を案ずる。 川霧:新蔵は欄干の下に倒れたおさとを助ける。飲み屋の酌取りの彼女は新蔵から離れようとするが。 | ||||
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藤沢周平さんの作品は大好き。特にこの中の作品は短編で、それぞれ味あり、感動ありで、かつ、あいま、あいまに読めるので、忙しい身には、大変よかった。 | ||||
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人間はとても弱い存在で、欲望に負けてしまったり、現実に流されて理想を失ってしまったりする。 しかしそれでも、どこかに希望はあるべきだ、それを証明するために愛する人の過ちを赦したり、愛する人を信じて自分を犠牲にしたりする。 ごく普通の、市井の人々が、「ここぞ」というときに勇気ある言葉を発するドラマの数々……。 そのきっかけはいつも、橋であり、それは、とりもなおさず、一生に一度でもいいから、「真っ正直に」突き進んでみようという決意の生まれる場所なのだ。 ここで自分に嘘をついたら、向こう岸には渡れない、、、そんな思いで、男も女も橋を渡る。 すべての物語の根底に、どんなちっぽけな人間にも、「理想」や「希望」に向かうパワーがあるべきだ、というあたたかいまなざしが感じられる短編集。 一篇、一篇、じっくりと味わって読みたい一冊。 | ||||
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江戸時代に生きる人々にとって、橋とはいったいどういう意味をもっていたのだろう。 現代の駅、と同じような気もするが、いや、やっぱりちがうなとも思う。 つまり、江戸と東京はまったくちがうのである。 なんてついつい当たり前のことを声高らかに叫んでしまったが、つまりはこんなことを藤沢さんは言いたいのではなかろうかと私は思うのだ。 ただ「橋」と一口にいってもそこには驚くほどの物語があって、たとえどんなに陳腐でもありきたりでも彼らはひとつひとつを一生懸命生きているのだ。 人間という生き物の哀しさと愛しさがわかる、そんな一冊だと思います。 | ||||
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「橋」をモチーフとして、男女の機微を中心に様々な人生の一断面を哀感込めて描いた短編集。巧みな語り口で、登場人物達の心情が読む者の胸に染み渡る。 五年振りの男女の待ち合わせの場所が"萬年橋"(「約束」)、縁談が決まった女が偶然遭った殺人者への恋を自覚する場所が"思案橋"(「小ぬか雨」)、男が方向錯誤に陥るのが"両国橋"(「思い違い」)、永遠の人と二度目の連れ歩きをする場所が"永代橋"(「赤い夕日」)、少年に大人の心が芽生える場所が"小さな橋"(「小さな橋で」)。良く考えてある。 例えば「小ぬか雨」のヒロインは道徳的に言えば不実なのだが、この構成では読者はヒロインに憐憫と同情を覚えざるを得ない。登場人物に自然に感情移入させる藤沢文学の魅力である。「氷雨降る」はその代表で、主人公の吉兵衛の境遇・心境は私自身と重なる所が多く、特に深い感慨を覚えた。「無為であっても、人は生きて行かねばならない」と言う諦観が滲み出た秀作。「殺すな」は脇役と見えた浪人の善左エ門が実は闇の過去を背負った真の主人公と言う構成が巧み。「殺すな」と言う善左エ門の言葉は重い。 男と女、過去と未来、幸福と不幸を繋ぐ「橋」をモチーフにした作者の着眼点の良さと人間観察の鋭さが光る時代小説の傑作短編集。 | ||||
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現実と未来、また過去。男と女。様々な世界をつなぐ橋。橋にまつわる短編集。どうしてこうも時代小説は僕の心を打ち続けるのであろうか。本作のどの短編も現代小説に置き換えて書き換えると、あっというまに現実感が喪失してしまうであろう。だってあり得ないもん。現代の男女ではここで表現されている人間の心の襞が現されないであろう。時代小説だから言いのである。私たちの頭の中で古きよき「江戸」の人情や優しさを「想像」して読めるからである。江戸の町人達の生き生きした姿を想像できるからである。そこに精神的に生きることを放棄した人間はいないのである。みんな必死に生きているのである。その必死さが我々が忘れた「生きること」を思い起こさせてくれるのである。だから我々は大きな感動を受けることができるのである。当然そこは藤沢周平。外れません。読むもよし、読まぬもよしだが、読まぬと大きな損失ですよ。 | ||||
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昭和55年4月にリリースされた短編集。全ての短編に『橋』が絡んでいる。『橋』は境界線としてのシンボルで、男と女。裏と表。時に霧がかかり、時に全力で、時にとぼとぼと人が行き来する。 男とおんなは自らの生を行き、交差していく。交差し、二つの生を重ねて生きる時もあれば、一度離ればなれになった二つの生は決して重ならないこともままある。一期一会があたりまえの男とおんなが『もう一度会いたい』という気持ちの熱さが溢れている。 そして逢うべきものは必ず逢う。という間章の言葉を思い出した。藤沢周平は短編も素晴らしい。 | ||||
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