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(短編集)
隠し剣孤影抄
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隠し剣孤影抄の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.53pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全51件 41~51 3/3ページ
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一撃必殺の技。ただひとりに伝承され、それを受け継ぐ剣客8人。そうした秘剣の 継承者でありながら、彼等はほとんどが下級武士で不遇のうちにある。そんな彼ら が時に運命に、時に己の心の弱さに翻弄され、その剣を抜く。 彼らの行動とその行く末に、彼らの武士の意地、義を重んじる心、事を前にした 潔さといった、『武士の生き様』が真っ直ぐに描かれており、どことなく憧れとも 郷愁とも似た想いを感じられるような、味わい深い短編8作が収められている。 個人的には、 ・必死剣鳥刺し ・悲運剣芦刈り ・宿命剣鬼走り に感銘を受けた。この世界観は作者独特の境地だろう。時代小説ファンなら思わず 唸る作品だと思う。 | ||||
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小説としての完成度は、全体的には『隠し剣秋風抄』の方が高いとみますが、悲話の多い本書も、忘れがたい名編ぞろいの作品集でした。特に、巻末の中編である「宿命剣鬼走り」は、森鴎外の「阿部一族」を思わせる滅びの美学に満ちた佳品で、読後しばしの間立ち上がることができませんでした。とにかく一読をお薦めします。 | ||||
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初出はオール読物の昭和51年10月から昭和53年3月。単行本は昭和56年1月。 何しろ『隠し剣』シリーズはホント面白い。出てくる主人公がみんな個性的だ。続巻の『隠し剣秋風抄』では最後に藤沢周平自身があとがきを書いていて、3ヶ月毎にやってくる締め切りが楽しめた、と書いている。なかなか無い感想だ。 印象に残ったのがまず『女人剣さざ波』。夫の替わりに果たし合いに行く妻という設定が凄いな。そしてラストの『宿命剣鬼走り』だ。山田洋次に二番目に映画化された『隠し剣鬼ノ爪』は面白かったが最高ではなかった。映画化するなら絶対『宿命剣鬼走り』だと思う。これは実に良くできている。是非とも次の作品として山田洋次に映画にして欲しい。期待しています。 | ||||
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藤沢作品のよさはまず安心感。まず、はずれがない。 そして読後感のよさ。 うーんとうなったり、やられたと思ったり。 そして、短編での藤沢作品のよさは最後の一文にある。 一編一編余韻に浸れるすばらしい一文がそこにはある。 個人的には、女人剣さざ波を南海キャンディーズの静ちゃん主演で映画化もありかなと思う。 | ||||
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分限のなかで与えられた運命を淡々と生きていく。必殺剣はそうした運命にささやかな抗い、揺らぎをもたらすものである。藤沢周平のカタルシスは大上段なものではなく、ほんのささやかで、時には青白い情念の昇華として書き表されていく。下級武士の生活を描いた時代劇物は、藤沢以前にはそれほど描かれることのなかったといわれる。封建身分で「最上位」といえども、鴻毛の如く軽く扱われる彼らの「分」を、大儀を上から振りかざすことなく描くのが特徴的。 | ||||
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8つの物語でそれぞれの秘剣を操るのは、日頃は影も薄い冴えない下級武士。とても秘剣の伝承者とは思えないような男達がお家の一大事、お上の命を受けやむを得ず隠剣を使う。それも一瞬のうちに。その剣のために命を落とす者もいる。 なにゆえ、この男達は貧しい暮らしの中で秘剣のことをひた隠し、毎日額に汗し泥にまみれ、手のひらのような小さい幸せの中に生きながら、ひとたび命を受ければ、その全てを捨ててまで剣を使うのか。日頃思い描く武士や侍とは少しちがう男達である。しかし、いずれの使い手もまちがいなく男の生き様である。 この作品は、これまでの藤沢周平の作品の中では、こころなしか主人公の周囲の女達の恋慕や情、欲といったものが色濃く描かれている。それが余計に男たちの潔さを引き立てている。 藤沢周平の描く時代劇は、無情さと切なさの中に不思議とさわやかな清涼感がある。 | ||||
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藤沢周平ファンとしては、たそがれ清兵衛に続き、鬼の爪が映画化されるのは嬉しい限りです。 本シリーズは主人公、またはそれに準じる者が秘剣を持っており、それを人生の節目で使います。しかしながら、その響きとは異なり、秘剣を使うことは必ずしも華々しいものではなありません。やむにやまれず使うこともあるし、最後に一矢報いるために使うなど。 主人公が派手な人間ではなく、地味な人が多く、剣が強いというのもそれほど大したメリットではないような社会で生きています。個人的には必死剣鳥刺し 女人剣さざ波の二つが非常に好きです。 | ||||
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大好きな藤沢さんの、時代小説短編集。 各編に「秘剣」とされる剣技名のタイトルをあてていて、それぞれの主人公にぴったりとはまっています。 共感できるのは、主人公たちが皆、サムライ然としているわけでなく、普通の男に見えるところかもしれない。臆病でだらしなく、浮気者で偏屈。昔伝授された秘剣を忘れ去ってしまった者だっている。だけど、ここぞというときの、彼らの行動やキラリと光る剣裁きに、スカッとしたここちよい風を感じる。 どんなに時が経っても、なにかの事情で落ちぶれていても、かつて秘剣を学び使いこなした彼らが、ひとつの信念をつらぬき、それぞれの敵を倒していくストーリーは時代小説好きでなくとも楽しめます。 | ||||
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隠し剣シリーズは、藤沢周平さんの代表作ですね。 どの主人公も、華やかな強い剣客というよりも、何処か影を持ち、ごく普通の生活を営みながらも、人知れず、秘伝の隠し剣を継承していて、それを人知れず花咲かせる。 強さをあまりひけらかしたりしない、日本人の美意識がここにはあるように思う。本当の強さ、かっこよさというのは、こういう秘めたる力であるように思う。藤沢さんの描く、日本人の美意識には、いつも心動かされます。 映画「隠し剣 鬼の爪」も本当に楽しみ!! | ||||
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短編集です。必殺の剣技を持ちながらも、それを使う機会に恵まれないまま、あるものは孤独に、あるものは貧困に喘ぎながら生活している。しかし、いざ決闘となればその剣は冴え渡り、死闘を制してまた日常に戻っていく。 普段は苦しく生きながらも、いざというときに能力を開花させる、この独特の美学が素晴らしいですね。死闘のシーンの素晴らしさもさることながら、様々な苦しさを抱える日常生活の描写が、何ともいえず共感を呼びます。そのあざやかなコントラストが、この短編集を名作にしているのでしょう。 孤高に生きる武士の魂を、そこはかとなく感じさせてくれる静かな名作たちです。 | ||||
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なるほど、うまいものだ。と、当たり前のことを思わされる。 一見臆病者風だったり、妻の方が強かったり、と、ありがちに思える設定でありながら、みな新鮮だ。 それぞれ、主人公は、他者の知らぬ秘伝の技を身につけている。だからといって剣豪もの、というわけではない。どちらかといえば人情ものだ。 何と言っても書名がいい。 作者が考えたのか、編集者が考えたのか知らないが、「秘剣」や「秘伝」などと言わず「隠し剣」というのがいい。 また、「孤影抄」というのも雰囲気が出ている。 およそ3ヶ月に一作のペースで執筆する力量には驚くばかりだ。 | ||||
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