■スポンサードリンク
凶刃 用心棒日月抄
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
凶刃 用心棒日月抄の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.32pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全3件 1~3 1/1ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
藤沢周平の用心棒シリーズの第四巻でかつ最終作。 ちょっと前作読了から時間をおいてみたが、最終的に読了。 正直なところ、作品としてはいろいろな意味で限りなく失敗作に近いと思う。僕は藤沢のファンではないので、ファンの方には怒られてしまうが、「あばたもえくぼ」や「蓼食う虫も好き好き」との格言が当てはまる作品かな。まー、ファンにとっては作品が存在すること自体が大事なわけで、中身は二の次。僕にもその心理はよくわかる。 前作から15年経過したという設定は見事。巻末についている川本三郎氏の解説もこの作品の魅力を見事にまとめている。しかし作品の構成と展開は舞台設定の見事さには追い付かなかった。 まずplotが込み入りすぎているのだ。これは第二巻、第三巻にも当てはまるのだが、この第四巻はさらに込み入っているのだ。国元での出だしの部分はまだいいのだが、主人公が上京してからは、誰が誰と対立しているのかがよくわからないのだ。国元と江戸屋敷の対立関係が二重(三重か?)に錯綜しすぎていて、基本となる構図がよくわからなかった。注意深く読んでいると、前半からそれなりの布石やヒントが散りばめられているのだが、なかなかそれを整理しながら読み進めていくのは難儀だ。 後半ではこの錯綜した関係が一気に整理されて行くのだが、そのきっかけがいかにも安直というか偶然に依拠する部分が大きいのだ。これほどまでに偶然に依拠した展開が許されるのだろうか。結末も、その秘密は当事者の二人の胸に収められるだけということになるのだが、となるといったいここまで犠牲を生み出すほどの価値があった秘密なのだろうかという疑問すらわいてくる。 前作との継続性を出すために数人の人物が登場するのだが、彼らの本作品での役割もいかにも中途半端。最後のしめくくりもどうだろう。読者へのサーヴィスのしすぎではなかろうか。 ファンの方なら、もう一度、第一作から読み直して、別な楽しみを見出すのかもしれない。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
用心棒日月抄シリーズ前作から何年か間を置いて読みました。物語の中でも16年が過ぎ、みな変わっています。青江又八郎は腹が出た中年男に。細谷源太夫はアル中老人に。口入れ屋のおやじ吉蔵は干し柿のようなシワシワ爺さんに。細谷の、底の底まで落ちた惨めな姿が痛々しい。青江は、四六時中命を狙われる状況にありながら、逢引きは欠かしません。幕府隠密や藩の陰の者や黒幕が死闘を繰り広げるそもそもの理由については、そこまでやるほどのことか?という気がします…。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
藩内きっての剣士 青江又八郎も歳をとる。 ヒーローもまた人間、四十を越して、腹に贅肉も付いたという。 そこはリアリズムの藤沢小説。 山岡荘八や吉川英治のような通俗小説とは、ファンサービスのベクトルが異なるのだ。 どちらに優劣を付けるものではなく、目指すもの期待するものが異なるだけだけど。 佐知も四十に手が届こうとしている。 しかしながら、佐知は相も変わらず美しいままだそうだ。 美しい女が歳をとらないのもまたリアリズムなのだ。 そして細谷はすっかり老いて、この「凶刃―用心棒日月抄」では何も活躍しない。むしろ月日のたったことを強調する役回りになっている。 アル中でダメになっている。 おなじみの痛快チャンバラ小説なのだけれど、この「凶刃―用心棒日月抄」では、人の老いも描かれている。 もうあと10年ほどたって、青江又八郎と佐知が茶飲み友だちになっているところも読みたいものだ。 読めないのだけれど。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!