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むすぶと本。 『外科室』の一途
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むすぶと本。 『外科室』の一途の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.25pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全8件 1~8 1/1ページ
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作者独特の丁寧な語り口、そして所々方言や独特な言い回しがあります。章毎のオムニバスですが、ラストの章と最初の章を結びつけて1冊に纏めてあります。主人公の彼女がもの凄く重いですが、一体どんな"原作"なのでしょうか。伏線いっぱいな1冊目です。 | ||||
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本の声を聞くことができる主人公が、図書館で起きた事件や、本の持ち主探しをする短編連続ミステリー作品。カラカラとよく冷えたグラスに入ったレモネードがすうっと透き通った苦味をくれるような爽やかな青春作品。 | ||||
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絶賛読んでます。ありがとうございます。 | ||||
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野村美月が独特のノリを持った作家である事は既存のファンであればよくご存じの事であると思う。 そのノリに合わせられるかどうかが熱烈な愛読者になれるか、「なんやこれ……」と途中で投げ出すかの境目になるかと。当然二作連発の打ち切りの後、数年間の休養期間に入った作者の新作をまだかまだかと待ち続けた既存のファンにはノリに合わせられるかどうかなんて大した問題じゃ無いと思うし、本作も迷わず買うだろうからこんなレビューなんか無視してさっさと買って読め、と言いたい。 一方、ゼロ年代後半から2010年代前半にかけて「青春系ラノベ」の宝庫だったファミ通文庫の看板作家としてラノベ界を風靡した野村美月を「今から」読もうかどうかと足踏み中の若いラノベファンにとってはどうだろう? まずはいつも通り本作の概要からご紹介しようと思う。 物語の舞台は聖条学園。言わずと知れた野村美月の出世作「文学少女」の舞台となった姫倉家の運営する名門私立高校。物語は主人公である姫倉高校の学生・榎木むすぶが駅の貸本コーナーに置かれていた「長くつ下のピッピ」の声を聴く場面から始まる。貸本としてボロボロになりながらも本来の持ち主であるハナちゃんの元に帰りたいと願う「ピッピさん」の声を聴いてしまったむすぶは現在のハナちゃんの居場所を探ろうとするが一介の高校生では重すぎるミッションにたちまち行き詰まり学園の現理事長の息子である姫倉悠斗に相談を持ち掛ける。ハナちゃんの身元を調べる代償としてむすぶは悠斗から日本史の教師・武川のセクハラ疑惑の調査を求められるが…… 読み終えて思ったのだけど確かに世界観は「文学少女」シリーズを継承しているけどノリの方は完全に「ドレ僕」の方に近いんじゃなかろうかと。いや「文学少女」でも良いのだけど本編のノリよりもコメディ全開な「挿話集」のノリに近いというのが正直な所。文系虚弱少年がトラブルに巻き込まれてはドタバタ騒ぎを繰り広げるあのノリである。まさに「ドレ僕」でありなんとなれば「アルジャン・カレール」の上巻に近い(あの作品、下巻は主役が交代しちゃうし) 今から野村美月に挑戦しようという若い人は比較的マジメな方が多いだろうからシリアス分多めな「文学少女」本編であればともかく、いきなり「ドレ僕」のノリに付き合わされたら相当に面食らうのではないかと(いや、個人的には好きなんですけどね「ドレ僕」)。というか文学少女のノリだとしても色々と素人にはきつい場面が多いかも。「羅生門」を題材にした第三章なんかは心理的な不安定さから本に取り憑かれてしまった少年の奇矯な行動に「なんやこれ……」とドン引きする人も多かろうし。野村美月先生、男子高校生の制服は勢いで剥ぎ取るのには向いてないっス……何より「証拠を突き付けるのではなく、想像する」という探偵役を受け入れられるかどうかは「文学少女」というシリーズを受け入れられるかどうかの大きな試金石になっている。 ヒロインに関して言えばむすぶのパートナーと称するべき一冊「夜長姫」に至ってはこの巻ではほとんど動かないので「え、これ何の為に出したキャラなの?」と戸惑う人が相当に多かろうかと。むすぶがトラブルに巻き込まれて本を持ち帰ってくるたびに「浮気よ。呪う呪う呪う呪う呪う呪う……」とヤンデレ化するかなり奇天烈なキャラなのだが、これがこの一巻で何らかの役割を果たすかと言えばほとんど動かないのだから些か困り物ではある。作者的には「ドレ僕」の聖羅姫をイメージしたらしいが聖羅自体は割と最初から話の流れに関わってるし。幕間で顔文字使ったりするあたりキャラ的には「心葉への恋心を拗らせ過ぎてしまった琴吹さん」みたいなものを想像してもらった方が分かりやすいだろうか? セクハラ教師の調査を進めるエピソードで登場するもう一人のヒロイン妻科さんはいきなりキッツイ一撃をお見舞いしてくれるので既存の読者にしてみれば「うむ、野村美月のヒロインと言えば打撃系だよな」と頷ける部分は多いと思うが。ちなみに式部さんはキックがメインウエポンだったが、今回のヒロイン妻科さんは右ストレートが武器らしい。 斯様に「初めての野村美月」として読むには些かキツいのである。繰り返しになってしまうが新刊を延々と待ち続けてきたファンにはこれでも良いのである。野村美月のノリを知り尽くしている人が多いのだし、「うんうん、野村美月が平常運転だな」とニヤニヤしながら読める一冊にはなっている。というか野村美月自身もそこを狙っているフシがある。 初っ端からむすぶがトラブル解決の際に頼りになる存在として姫倉悠斗を出してきた時点で「あー『文学少女』ファンへのサービスが半端ないなあ」と思わされる。登場してすぐに現在は理事長を務める母親の存在が匂わされるのだけどこれなど10年前に展開された「文学少女」をリアルタイムで読んだ人には懐かしくて仕方なかろうかと。 しかも作中で人気作家として語られるのが雀宮快斗に早川緋砂、である。これでもう既存のファンは大喜び。編集者として働き始めた遠子先輩を悩ませた問題作家二人が揃い踏みとか痛快極まりない。井上ミウを出したら露骨過ぎるけどこの二人であれば「文学少女な編集者」まで追いかけ続けた読者へのサービスとして立派に機能してしまうのである。 つらつら述べさせて頂いたけれども「素人にはお勧めできない」これが自分なりの結論である。既存のファンにはありとあらゆるサービスが施されているしノリに付いていくという点においても不安は無いので「おお、平常運転だ」とニヤニヤ笑いながら読めるのだけども数年ぶりに執筆を再開した野村美月を初めて読む方には色んな意味でハードルが高いんじゃなかろうか、という一冊に仕立てられている。執筆再開、即全力疾走は新規読者に付いてこいのはちょっと厳し過ぎるんじゃなかろうかと。あくまで既存のファンにお勧めの一冊という所ではないだろうか? | ||||
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「本の声が聞こえる」なんてオタクの極みのような榎木むすぶ君ですが、「ぼくは本の味方だ!」と言い放っちゃう、筋が一本真っ直ぐに通ったブレない漢で、かっこ良くて完全に信じられるナビゲーターです。 そして主人公は「とある本とその本が好きな人、あるいは、人達」です。 五つの作品が一話ずつ出てきて、四本は実在、一本は架空の小説。ジャンルは児童文学、ラノベ、明治・大正期の小説、海外冒険小説など多様です。 本の求めや祈りに応じて謎を解きながら、人捜し、救出、幸せの後押しなどで、むすぶ君が頑張ります。「本は裏切らない」という言葉も良いなあ。 全部違う方向の話でありながら、「同じ作品が読者それぞれに異なる無限な未来を拓く」という「本の力」を謳い上げていて、実はとても力強い作品です。この方向性は、同時発売の『むすぶと本。 『さいごの本やさん』の長い長い終わり』と共通していて、野村先生の今一番の願いなのかもしれませんね。 と、冷静ぶっていても、第一話のヒロイン、ハナちゃんに恋をしそうなことは隠せない。ハナちゃんも『ヒカルが地球にいたころ……』の式部 帆夏とか、野村先生の作品で時々見かける、屈折を隠し、切れ味良くクールにふるまいながらも、心の芯がとても温かい素敵な女の子の一人です。第一話終わり近くに入った竹岡美穂先生の手になる挿絵のハナちゃんに見入りながら、「野村先生、おかえりなさい。ありがとう」とつぶやきました。 | ||||
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今回は「本の声が聞こえる」少年が主人公の物語。そして開始時点で「恋人」の本がいるという設定になっています。 異種の肉体的には交われない「恋」と愛をどう描いていくのか?とシリーズになったときの続きが気になります。 連続した5つの短編からなるお話で、登場したキャラたちもなかなか魅力的でいいです。 「文学少女」シリーズの十数年後の時代のようで、脇役やちょっとしたことに同じ世界の延長戦と感じさせる遊びがほどこされています。ちなみに某アニメショップ特典のSSは主人公の先輩である悠人が、文学を愛する伯母さんと小さい頃に話したことを回想する話になっています。 本が語りかけるということで、一種の器物霊が存在する世界かもしれませんが、サイコメトリーのような能力で、本当に本に人格があるのではなく、読みとった情報を自分の理解しやすいように意識化している可能性もあるかとは思いました。その場合は自分の心の中にあるものとの会話ということになるでしょうから、心の掘り下げをどちらにしろ描ける作品になるだろうなと思います。 本は読み手の鏡ですし、本に本当に意識があったとして、その物語に強く感じることができるのは、それを読む人の心と向き合う話になるでしょうから。 本の話を聞くことで悩みや謎を解決するという点で、ミステリーとしてはより変化球のはなしとなっています。 話として、タイトルにも使われている「外科室」を題材にした最後の物語がかなり文学少女シリーズに似ていました。 もっとも、私はこれの結末には賛成できないのですが。その意見としては作中の人物が言及しているので、わかった上で書かれた結末なのでしょうが。 そして、ある意味潔癖なのかもしれませんが、隠しておけば綺麗で終わったものを明らかにする主人公のむすぶのありかたも少し怖いです。恋人とのありかたもそうですが、悪くいうなら「歪み」が、よくいうなら「ふつうの人間とは違う価値観」がそこにあるように思えました。 外科室に少し引きずられた考えと行動のように見えました。恋ではなくても、長く過ごすことで愛を育てるということもあるでしょうし、失恋が綺麗な思い出に変わることもあるでしょうから。 私のお気に入りとしては二話目の架空のハーレムラノベを扱った話です。 ギャグぽくみえるけど、現実的な話なんですよね、これ。 マイナーで読まれないと売れず、マトモに読んだかも怪しい人に罵倒され、星1の評価をつけられるてのは本当にありますからね。 私はなるべく愛をもって感想つけたいとは思っているけど、酷評しているときもあるから、心が痛いところです。 まああくまで私個人の感想なんで、別の人が読んだときに良い面白さがあるかもしれません。 なんだかんだで長く経験すると小説も相対的な評価になりやすく、厳しい評価になってきますし。 昔と違って、発売される本が多いから、手に取ることもないて本が本当に増えてきましたから、読まれない新作も増えました。 一冊の値段も上がり、月に本にン万円使っている私でもレーベルごとには数冊程度でコンプリートなんてほど遠いし。 少ないお小遣いの年少者にどうやって本を購入してもらうかというのは現実的な問題です。 また読んでみたら面白いのに、1巻の売上が悪いからと打ち切りとかも珍しくなく、これだと口コミで評価があがることもなく、良いものが続きも出せずに消えていくことになります。 そのへんから出版社には当たるか当たらないかの博打ではなく、もう少し時間をかけて育てる見守るということも頑張って欲しいなと思っています。 一番短くてコメディタッチだったけど、創作業界の現実という点では感じさせる話で、どこぞの「絶望した」とかいうギャグよりだけど鋭い視点をもつ作品みたいで、私の好みでした。 | ||||
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卓球場シリーズの頃から読んでいますが、文学少女を読み終えてからしばらく心惹かれる作品がなく、前作もうーんという感じで途中で買うのをやめてしまっていました。 今回は文学少女と同じく本を題材にした作品で、作風もところどころ文学少女っぽさを感じさせますね。 文学少女と同じ世界線で登場人物にもかつての血縁者が登場するので、あえてそうしてるんだと思いますが。 最初は本の声が聞こえる主人公むすぶが本の相談に乗ってあげるハートフルな作品かと思いましたが、とある作品に共感しすぎて凶行に走らんとする後輩を止めたりするサスペンス要素も入ってたりします。短編集で読みやすいところもいい。 この作者は昔から人の心の機微を描くのが上手いと思っていますが、本作はそれが色濃く表れてたと思います。 話に起伏が少なく意外なオチなどもないので人によっては淡泊に感じるかもしれませんが、ちょっとした息抜きにはいい作品だなと思いました。 | ||||
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「文学少女」シリーズや「ヒカル」のシリーズで有名な作者さんですが、この作品も当然素晴らしいです。この作者さんの本を読まないと、手に入らない感動があります。そういう作者さんはやはり少ないですが、その点僕は幸運だったと思います。少なくとも、昔ライトノベルを通ってきた人たちが手に取るべき作品です。 | ||||
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