野火

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野火の評価:

4.47/5点 レビュー 101件。 B ランク

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平均点4.47pt

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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全110件 41〜60 3/6ページ
No.70
(4pt)

戦争に従軍しなければ書けない描写の数々

大岡昇平氏による著作。
大岡 昇平(おおおか しょうへい、1909年(明治42年)3月6日 - 1988年(昭和63年)12月25日)は、
日本の小説家・評論家・フランス文学の翻訳家・研究者。
東京生まれ。京都帝大仏文科卒。
帝国酸素、川崎重工業などに勤務。
1944年(昭和19年)、招集されてフィリピンのミンドロ島に赴く。
翌年米軍の捕虜となり、レイテ島収容所に送られる。
1949年、戦場の経験を書いた「俘虜記」で第一回横光利一賞を受け、
これが文学的出発となる。
小説家としての活動は多岐にわたり、
代表作に「武蔵野夫人」「野火」(読売文学賞)
「花影」「レイテ島戦記」(毎日芸術大賞)などがある。
1971年、芸術院会員に選ばれたが辞退。

今年の夏、8月上旬の読売新聞に塚本晋也監督の映画の紹介と
原作の紹介がされておりそれで興味を持った。
戦争を描いた作品、ドキュメンタリーは数え切れないほどある中、
本作品は当時、実際に従軍し捕虜となり多くの戦友から話を聞いた
著者ならではのリアリティある物語だった。
普段、あまり純文学は読む機会がないのだが、本作は戦争という
極限状況の中における人間心理を見事に描いている。
(戦争に従軍しなければ書けないと思う)

1ページ目から病院から戻された主人公をぶって
説教を受ける場面からスタートするもののどうしても病院に
入れてくれないなら手榴弾で自殺するように言われる・・・
とんでもない場面から始まる。
けが人の扱いなどこの程度のものでアメリカ軍に勝てるはずなど無い。

軍から解き放たれた主人公、途中あらされていない畑を発見し
芋を食べ塩を確保しやり過ごすなど偶然にも恵まれる。
ただその中でも戦況の悪化は続く。
猿の肉だと言われ食べたものは・・・
フィリピン人の女、安田、永松・・・
しかし人間を襲い人肉として食料とした事を責める事が出来るだろうか。
法律も倫理も何もない中でそれでも主人公は自分の意思では
人間を食べなかった・・・
しかし戦後、精神病院に結果として入院し手記を書いたのは
肉体だけではなく精神にも回復し難い大きな傷を負った為であろう。
神を信じていなかった主人公だが、永松に対して怒りを代行した時は
神の意思が降りてきたと、神の怒りを代行したと。
人間というものはやはり弱い存在なのだと思う。
野火(のび) (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 野火(のび) (新潮文庫)より
4101065039
No.69
(5pt)

悲惨な内容だが、文章を読む快楽が味わえる

昔から気になっていた本ですが、初めて読んでみました。切っ掛けは塚本晋也監督の映画「野火」を見たこと。いかにも低予算映画らしいところもありますが、鮮烈な表現に強い印象を受けました。

第二次世界大戦の南方戦線における死者の多くは餓死によるものだった。武器弾薬はおろか食糧の補給もほとんど無かったからである。

主人公がそうとは知らず死んだ日本兵の肉を食べるシーンがある。生きている日本兵を「猿」と呼んで殺して喰うという兵隊も出てくる。戦後のシベリア抑留でも同様のことがあった。抑留された文化人類学者の加藤九祚氏によると、抑留から脱走しようとした二人の日本兵が、食べ物に困ったら喰ってしまおうと、同僚の中で一番気の弱い人を強引に仲間に入れて連れていき、実際に喰ってしまったという。極限まで追い込まれると人間が何をするのか、怖いものがある。

気になるのは「危険が到来せずその予感だけしかない場合、内攻する自己保存の本能は、人間を必要以上にエゴイストにする」というような表現。分かりにくい人間考察がストーリーテリングの中に潜んでいる。

「私の生命の維持が、私の属し、そのため私が生命を提供している国家から保証される限度は、この六本の芋に尽きていた」という文も気になる。何度も読み直し、やっとその意味を理解しました。まるで数式のよう。

この様に、硬くてこなれない文章が縦横に展開され、しかも表現されている世界は人間の極限そのもの。しかし、矛盾するようだが、それでもなおかつ、この作品からは文章を読む快楽が感じられる。芳醇なコーヒーの味わいがする。

ただ、最後の野火についての長い説明については、正直無くても良かったなぁ、退屈だったなぁと思いました。
野火(のび) (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 野火(のび) (新潮文庫)より
4101065039
No.68
(4pt)

簡潔な文体に驚き

戦後間もない時に書かれた書籍、という認識で読んだ。私の読書量など微々たるものだが驚いた。三島由紀夫の「金閣寺」にも驚いたが、くどくど書く文体が普通だと思っていた。わざと難解に書いてるのじゃないか、と思わせるノーベル賞作家もいた。簡潔で分かりやすいもの、中身のある物を作家は書くこと。 伯父がフィリピンで生死を彷徨いやっと帰還した。我々の世代は、戦争の話を聞くことも聞かせられることも無かった。もっと聴いておけばよかった、とも思わない。戦争はヒトラー、広島・長崎で分かろう。右翼政治家(保守ではない)など日本には要らない。票になるからやってるのだろうが。
野火(のび) (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 野火(のび) (新潮文庫)より
4101065039
No.67
(5pt)

「戦争」の狂気性、残虐性

おおよそのストー^リーを知っていたせいか、読んだ積りになっていました。
しかし、読み始めると読んでいないことを実感しました。

物語は、作者の戦争体験から書かれたもので、その文章は迫真のもので、読んでいる方もフィリピンの戦場を彷徨っているような気にさせられます。
作品は、帰国した田村が精神病院に入院し、医者の勧めで書かれた設定になっています。
それにしても、敗戦間近で敗走に敗走を続ける日本兵のあり様が、実にリアルです。
その中で、田村は「野火」を見、「十字架」を見ます。
それは、追い詰められれば追い詰められるほど、人間が「哲学的」になって行くということでしょうか。
「生きる」ことの意味を問いただし、「死」を目前にして、時には「生」に固執し、時には死んでもいいと考えます。
そんな時、突発的な事件が起こり、フィリピン女性を射殺してしまいます。
このことが後々の彼の行動を既定してゆきます。
そして、「人食」という問題に突き当たり、それを行っていた永松を殺してしまいます。
そうしたことから、「生」あるものを食することに拒絶反応を示し、拒食症に陥ります。

この究極の状況に置かれた時、人はどう考えどう行動するかということ、そして「生きる」とはどういうことなのかなど、いろんなことを考えさせられる一冊です。
同時に、「戦争」の狂気性、残虐性などを強く認識させられました。
野火(のび) (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 野火(のび) (新潮文庫)より
4101065039
No.66
(4pt)

戦争文学の傑作です

戦時下、日々、死と隣り合わせの中で生きて行くとはこういうことなのかと、考えさせられました。また、極限状態で自分だったらどうしたか、自問自答してしまいました。
野火(のび) (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 野火(のび) (新潮文庫)より
4101065039
No.65
(5pt)

戦争の残酷を改めて知った

物資の補給も十分にない太平洋戦争に召集され死んでいった兵士の無念さを思うと......
野火(のび) (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 野火(のび) (新潮文庫)より
4101065039
No.64
(5pt)

65歳京都

自然描写の美しい言葉に、日本語の素晴らしさを思いました。
もう小説など読まない日々でしたが、テレビなどでは味わえない感動を久しぶりに
感じました。
死と隣り合わせになると、こんなに自由になれる世界を悟りと言うのでしょうか。
野火(のび) (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 野火(のび) (新潮文庫)より
4101065039
No.63
(3pt)

難解な哲学的作品

自己の戦場体験を基にしたノンフィクション的作品かと思っていたのですが、読んでみると難解で哲学的な純文学作品でした。純文学的な多彩な比喩表現や心象描写が多いので戦場の迫力はあまり伝わってこない気がしました。本書のキーワードはタイトルの野火と神であると思います。野火については冒頭と最後に細かく描写してあり、何かを象徴しているのだと思いますがよくわかりませんでした。そして、十字架を目指して村の教会に入り込み、「デ・プロフンディス」という言葉を聞くシーンも最重要なところだと思いますが、この意味もわかりませんでした。そして最後は「神に栄あれ」という言葉で終わります。わからない気分で読み終えましたが、読み返してみようという魅力も感じませんでした。
野火(のび) (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 野火(のび) (新潮文庫)より
4101065039
No.62
(5pt)

せっちゃん

戦争の醜さを表現した素晴らしい小説だと思います。
この本を読んで映画を見る気になりました。
野火(のび) (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 野火(のび) (新潮文庫)より
4101065039
No.61
(5pt)

『ビルマの竪琴』→『アーロン収容所』に続いて読むといいでしょう。映画(旧バージョン)とは違います。

昨今の日本では、わかりやすいとか簡単にという言葉が横行し、深くものを考えない傾向が高まっています。
池上彰さんが受けるのはこうした時代ならではの流れですが、わかりやすい話が正しいのかといえば、本当にそうなのか疑問です。わかりやすい話には裏がある。何か重要なことを省いたうえで成り立っている可能性が高い、世の中のムードや空気がこうだからといったものに乗っかっているからこそ分かりやすいわけです。したがって、本当の姿なのかどうか疑問です。
少しこの小説でも読んで、歴史を、物を深く問うたらどうでしょうか。それだけのきっかけになります。この本は広く読まれているようですが、さすがは日本人ですね。分かりやすいとは無縁のこうした作品にも取り組む人々がいるのです。

ビルマの竪琴、アーロン収容所に続いて(順番は何でもいいですが)読むべき戦争作品の傑作です。

野火は映画で最初見ましたが、映画と原作とでは全然違いますね。
映画では俺の肉を食べてもいいと言った兵士から逃げるだけのシーンがありましたが、原作では彼の死体としっかり向き合っての自己内対話が続いています。
映画の限界がありますが、映画には戦場の孤独が描かれていないように思います。それを描くのは地味すぎるし、見せ場がなく面白くないのでしょう。この森の中でさまよう孤独なボロボロの兵士の自問自答こそがこの小説の秀逸な点です。

作者が本当に描きたかったのは死闘ですらない、何と戦っているのかも分からなくなって、何を見ているのかもわからない、自分の時間も地理もわからなくなっている、そのうえで食べ物だけを求めているのに人の肉は食えないと精神的にもがき苦しみ、民間人の女を殺した後にその贖罪意識を背負う彷徨う兵士の姿だったのでしょう。人間の極限を描き、極限から生まれた思考を浮かび上がらせるのが目的だったのでしょう。

「・・・「野火」の主人公が置かれている状況では、他人の存在も主人公を彼一人の世界に益々追いやるばかりである。その時何が起こるか。それが「野火」で行われている実験である」(解説 吉田健一氏)

他者との関係のみならず、そこには生と死の問題や宗教も入っています。その宗教(ここでは十字架に象徴されるキリスト教)すら戦争と飢餓に苦しむ男の前には何ら無力なのです。むしろ十字架こそが敵の象徴であり、命の危険信号です。

さすがに映画ではセリフ無しはあり得ないのですが、この小説はセリフ無しでの進行が長いです。というのはこの小説は、戦争が終わった後、東京郊外の精神病院の一室で書かれた回想なのです。ですから、目的が自分自身の姿を赤裸々に解放することであり、必ずしも他者とのかかわりあいの中で進行していくわけではないので、セリフ無しが続くのです。ところどころで他者とのやり取りであるセリフが出てくるのですが、少ない分そのセリフは非常に重くなっています。

以下は独語ですが特に印象的な言です。

「私は彼らを少しも憎んではいなかったが、私の属する国が彼等の属する国と戦っている以上、我々の間には、十字架を含めて、何の人間関係もあり得なかった。我々はいわば物質的な危機の状態にあった。十字架という万国的愛の象徴も、敵に所有されているかぎり、ただ危険の象徴に過ぎない。」

ここには戦争という状況における真の意味での深刻さが描かれています。結局何もすがるものはないという、孤独。むき出しの個人。

今の日本は孤立している人はたくさんいますが、孤独な人は少ないのかもしれません。その孤独の価値について教えてくれるのがこの書であり、おそらくその孤独を経なければ、生きる意味も、自己も露わにはならないのかもしれません。
野火(のび) (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 野火(のび) (新潮文庫)より
4101065039
No.60
(5pt)

戦争ドキュメンタリーの名作。

極限状態の人間が生々しく描かれており、戦争を知らない世代が読むべきドキュメンタリーの名作です。贅沢な生活に慣れた人にオススメの一冊。
野火(のび) (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 野火(のび) (新潮文庫)より
4101065039
No.59
(5pt)

戦争の生々しさ

学生時代に、学校の図書室にポツンと置いてあったのを見つけ、手に取りました。表紙の写真、そしてタイトルに怖いと思ったのを覚えてます。笑
人間は、人間を食べない。この本に出会うまでの常識でした。でも、この人と同じように島で置き去りにされ、飢えたら?なぜか、戦争で殺し合いをするより、人間を食べる方が悪いことのように感じます。どちらも、主人公のような兵士は生きるために、という目的に違いはないのですが、、、
野火(のび) (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 野火(のび) (新潮文庫)より
4101065039
No.58
(5pt)

素晴らしすぎて言葉が出ない(笑) もっと有名になれ(笑) これからも期待!

素晴らしすぎて言葉が出ない(笑)
もっと有名になれ(笑)
これからも期待!
野火(のび) (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 野火(のび) (新潮文庫)より
4101065039
No.57
(1pt)

良くない

村上春樹のような比喩表現が嫌いなので、この本は苦痛になった。
野火(のび) (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 野火(のび) (新潮文庫)より
4101065039
No.56
(5pt)

実に深い

洋書をもっと揃えてほしい。ほしい本が少なすぎる。せめてランキングに入ってる本は入れてほしい
野火(のび) (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 野火(のび) (新潮文庫)より
4101065039
No.55
(5pt)

戦争文学の代表的作品

私の好きな歌手の愛読書ということで、大岡昇平氏の本を初めて読ませていただきました。戦争が題材ということで覚悟して読み始めましたが、人食いなどがリアルに書かれていて、とても衝撃的でした。戦争文学の代表的作品として、これからも語り継ぐべき作品だと思います。
野火(のび) (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 野火(のび) (新潮文庫)より
4101065039
No.54
(5pt)

人肉の是非

日本への帰国者のほとんどが人肉を口にしていたという。 彼らは社会にも家族にも絶対秘密にして口封じをして一生涯を閉じた。 著者はその人肉の実態を小説形式で精緻に描く。 敗残兵が手りゅう弾による自爆を選ばず生き残る選択をする。 最大の難敵は敵兵ではなく飢餓である。 そのために同僚を撃ち殺し猿の肉として食する。 人間ではなく猿だからとの自己暗示で彼の贖罪意識は救われる。 人肉を食しなければ餓死する状況で、人肉で生き延びた人を責められるのか。 法律は平時のもので戦時には適用外である。 殺人が正当化される状況で敵兵の肉を食べるのは不道徳か。 また同僚の死体を食べのは不謹慎か。 問題なのは同僚を殺して食することである。 戦時においても殺人罪が適用されるのではないか。 著者によれば人肉は美味しかったという。 同僚で殺し合いをする前に原住民や敵兵を襲って殺して食することはなかったのか。 極限の飢餓の中で人肉で生き延びるのが正義か、人肉を食しないで餓死するのが正義か。 著者は前者が正義とする。 人肉は戦争では避けて通れない道である。 誰もがその議論を忌避するが広範な討論が必要である。
野火(のび) (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 野火(のび) (新潮文庫)より
4101065039
No.53
(3pt)

衝撃的な戦争作品

衝撃的な戦争作品。ではあるが、表現が難しく、テーマも重く、心理状態に共感できず、あっという間に読み終わりました。

病気が理由で隊を外れ、一人孤独で退却し、行く先々で、飢えに耐え、恐怖で現地人も殺し、終いには、同胞も殺すという戦争中の極限状態の精神は想像を絶するんだろうとは思いました。
野火(のび) (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 野火(のび) (新潮文庫)より
4101065039
No.52
(4pt)

リアルです。

ラジオ放送でこの作品を映画化した監督のお話を聞き、読んでみたくなって注文しました。戦場というものがいかに過酷であるか、改めて感じさせられた一作でした。
野火(のび) (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 野火(のび) (新潮文庫)より
4101065039
No.51
(4pt)

観念的な部分も含め読みやすく、

核心部が再現不能なほどスプラッタであり、にもかかわらず復員後が描かれた塚本版の忠実さに驚く。
野火(のび) (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 野火(のび) (新潮文庫)より
4101065039