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麦の滴: おれは一万石



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【この小説が収録されている参考書籍】
麦の滴-おれは一万石(4) (双葉文庫)

麦の滴: おれは一万石の評価: 3.86/5点 レビュー 7件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.86pt


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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(2pt)

時代小説・・・なのか?

主人公の井上正紀が紀州徳川家の縁者で小大名の入婿だということは史実のとおりで、良くこんな人物を探し出してきたとは思うが、なまじ史実に忠実な部分があるだけに、全体的な知識不足が目立つとしか言いようがない。

第1作のレビューに書いた点は省くが、そもそも大名家の「奥」と「表」の区別が全く理解できていないとしか思えない。
例えば幾ら夫の親友で、妻とは従姉弟同士だからといって、大名家世子の正室が夫以外の男性(井上正広)を「奥」に招き入れるなんてことは絶対に有り得ない。万一そんなことがあれば、不義密通を疑わその場で斬殺されても文句は言えない。
同じように世子の正室が「表」の役人の用部屋にのこのこ出かけて行くとか、逆に「表」の役人が「奥」の正室の部屋に入るとかいう事態も有り得ない(この場合も同室した「表」の役人は良くて切腹、悪ければその場で御手討になる)。
まぁ深川あたりの御家人という設定であれば考えられないでもないが、大名家でこれは有り得ない。

なお確かに主人公が婿入りした高岡藩井上家、下総藩井上家が何れも浜松藩井上家の分家であることも史実のとおりだが、双方とも浜松藩とは全く別の場所に存在する所謂「領外分家」なのだから、本藩内部存在する「領内分家」(加賀前田家の支藩である大聖寺藩、薩摩島津家の支藩である砂土原藩等)とは異なり、本藩の支配力は極めて微弱(或いは絶無)で、本藩の菩提寺の修復費用を強制的に分担させられたり、菩提寺修復の「奉行」に支藩の世子を指名するなんてことも有り得ない。

更に言えば、長子相続を祖法とする徳川幕府が、金集めに失敗したからなんていう(当時の武家にとっては)下らない理由で正室の子である長男に換えて妾腹の弟を跡継ぎにしたいなんて申請を認める筈はない。
そもそも世子が金集めに失敗したとしても、家臣が責任を問われるか、そうでなければ藩の最高責任者である藩主が責任を問われるだけ。
ましてや、たかが6万石程度の浜松藩風情が本藩面して、紀州徳川家と縁の深い分家の入婿を廃嫡するなんてことを企んだら、逆に浜松藩の方が取り潰されかねない。

1万石の小藩を潰さないように悪戦苦闘するというストーリー自体は面白いのだが、もう少しリアリティのある設定にしないと、「ホームドラマに丁髷つけただけ」というレベルにしかならないだろうな。

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投稿の公開名: 代言人
麦の滴-おれは一万石(4) (双葉文庫)Amazon書評・レビュー:麦の滴-おれは一万石(4) (双葉文庫)より
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