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個人的な体験の評価:
4.38/5点 レビュー 39件。 B ランク
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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小説の詳細ページを閲覧すると、ここに履歴が表示されます。最近閲覧した小説詳細ページへ簡単に戻る事が出来ます。
子供の誕生後もまるで他人事、それどころか双頭の怪物呼ばわりしてこの障碍児の早世すら希求しちゃう始末。
とここまでは、当初の無責任ぶりからすれば決して不自然ではないし、障碍児を持つ親が決して持ちえない考えとまでは言い切れまい。
その後憂える産後の奥さんまでほったらかして女友達宅で淫蕩の限りを尽くし、もう彼が犯罪でも犯さなければ辻褄が合わないだろうという段階にまでエスカレートするのだが、結末は皆様ご存じの通り。
この結末自体に異論はない、というかあのまま坦々と物語が進行していたら、何とも後味の悪い悲惨な結末ということで、別の意味で文学史に残ってしまったかも知れない。
問題は、あの真逆の結末への変換プロセスが、ほんのわずかな、それも 訳もなく急に気が変わった という程度の描写だけで済まされていること。
本来であれば、もう少し紙面を費やして、あの結末に至るまでの話を盛る必要があっただろうし、またそうしなければそれまでの内容との矛盾は解消されないだろう。
どうもこの著者の作中人物って、何の前触れもなく、それも今までと全く相反する重大決断を平然とやらかす傾向があり、今回も唐突な変節ぶりに開いた口が塞がらなかった。
主人公が長年、バード(鳥)とあだ名されているくらいなので、身勝手で刹那的なのはある程度理解できるが、しかし同じ人間がこんなに簡単かつ瞬時に変節できるものなのか・・・少なくとも私には無理です。
うろ覚えだが、著者は、結末を決めてから筆を進めるという手法に懐疑的だったようなので、こういう内容になるのはむしろ自然な流れとも言えなくもないが、一方で矛盾や伏線未回収といった傷が残るのは如何ともしがたい。
例によって、微に入り細をうがった描写と豊饒な修辞が冴えわたり、こういう作風が好みの方にはたまらない作品なのでしょう。
しかし個人的には、映像だったら超絶スローモーション確定の詳細描写と、一つの情景に複数の修辞を重ねる手法には食傷してしまったし、また赤ん坊に対する「茹でたエビ(カニ?)のように赤い」といった形容には、首をかしげてしまった。
エログロ描写は本書にもふんだんに詰め込まれ、お取り込み中に女友達の肩を噛みしめて流血させるなど、読者が怖気立つような描写が当たり前のように披露されている。
もっと唖然とするのは嘔吐シーン。
女友達の家で1回、予備校の講義中にもう1回!・・・しかも予備校生の面前で大々的にやらかしたうえ、その結果物を、憧れのアフリカ大陸になぞって事細かに描写するに至っては、もうアッパレという他ない。
これが当時最先端の描写ということならば、それはそれで芸術的と見做されたのでしょうが、嘔吐の精密描写、しかもそれが複数回に渡ってお披露目されるなど前代未聞なため、面食らってしまった。
以前本書と類似した代表作の一つを読んだが、何でもカンでもごった煮の鍋料理みたいな、味も方向性も定まらぬ作風でしっくりこなかったこともあり、今回は仕切り直しの意味も込めて挑戦しました。
本書の方がテーマも釈然としているし、心理描写も秀逸で好感が持てました。
まあ最終的に、私の拙い感性ではこの偉大な作家の本質は理解不能、と判明しましたが、奇抜な描写や修辞を含め、他の作家なら批判を恐れて忌避するような深刻なテーマに取り組んだ意気込みは、素直に評価したい。