シブミ
評判
シブミの評価:
3.89/5点 レビュー 38件。 D ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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本作品の執筆時は東西冷戦が時代背景としてあり、その中で日本は経済成長を謳歌していたころだと思います。その時代において、本書では日本が敗戦を経てテロ戦争後のイラクと同様の蹂躙を受けたことを、日本人ではない作者が嘆いていることは驚くべきことです。終戦後アメリカは日本にアメリカ的な正義、価値観、倫理観を移植され日本の文化を、教育を通して捨てさせることに成功しました。アメリカにとってそれは国民洗脳の大いなる成功例であるといえるでしょう。
そのことを執筆時に的確に指摘し日本文化の喪失を、ニコライ・ヘルを通じて嘆いていますが、当時それを自覚していた日本人が何人いたでしょうか。ニコライ・ヘルは日本文化と精神をシブミと総称して愛していましたが、これは現在私たちが持っている、文化、精神とは異なっている部分があります。それは作者の日本観への考察が不足しているのではなく、敗戦を通して日本人が変わってしまい、それ以前の日本には敬意を表しているものの、戦後の日本人はアメリカ人に蹂躙され自ら文化を放棄した日本人に対する大いなる批判が込められているように思います。
作中、作者はアメリカ的価値観を徹底的に否定しています。40年前これを読んだ日本人は意味が分からなかったのではないのでしょうか。作者はアメリカ人を、文化を持たない卑しい商人として描き、雑種で民族ですらない。ヨーロッパで生きていくことのできなくなった屑が集まってできた国だと表現しています。また、民主主義と資本主義を他国に押し付け、市場に変えてしまうことを善(正義)と考え、嬉々として実行している点を批判していますが、911以降イスラム圏にしてきた文化的蹂躙を経て初めて得心できるという意味で思想書としても読むことができます。