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彼女のL ~嘘つきたちの攻防戦~



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【この小説が収録されている参考書籍】
彼女のL ~嘘つきたちの攻防戦~ (ファミ通文庫)

彼女のL ~嘘つきたちの攻防戦~の評価: 4.25/5点 レビュー 12件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.25pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(2pt)

これじゃない感に満ちた小説

[登場人物紹介]
遠藤…男子高校生。”他人の嘘を見抜ける”という特異体質を持つ
川端…遠藤と親しい女子。本心だけを口にする
佐倉…学校のアイドル的女子。常日頃、嘘をつきまくっている

ある日、川端が、遠藤に相談がある、自分の友人の小林の死は自殺だといわれているが実は殺人で、犯人は佐倉だと思う、協力してくれと言って物語は始まるのである。
この人物設定で、この導入でさ、”嘘”と”真実”をめぐる駆け引き全開のミステリーを期待するなってのが無理でしょ?タイトルにも”攻防戦”ってあるんだからさ。でも全然そんな話じゃないんだもん。困っちゃうよ。

先ず、主人公の”嘘が見抜ける”という能力がわかりにくい。「ああ、これは嘘だなと感じる」くらいの描写なんだもん。序盤の女子高生の会話「可愛いじゃーん」「えー、そっちのほうが可愛いよー」主人公「あの二人の会話は全部嘘だ」…んーと、それが嘘だって自分でも解るよ?他も感情の機微に敏い人なら真偽をみわけられそうなものばかり。更にところどころで、主人公が他の登場人物の話を聞いて「彼女はこう思っているだろう」みたいな曖昧な解釈を繰り返すのがよくない。主人公は”嘘が見抜ける”のだから、全ての会話で相手の言葉の真偽を当たり前のように断定しているはずだ。作者の筆力不足によるのだろうが、このせいで”嘘が見抜ける”という設定がぼやけてしまう。
学校のアイドル・佐倉の対外的な言動が嘘だというのもありがちな話だし、主人公と2人のときだけ本音を晒すというのもありがちな話で、この辺のやり取りで”嘘が見抜ける”という主人公の能力はあまり大きい意味を成さない。ツンデレ気質の男子が「俺ってあんたみたいに誰にでも愛想振りまく女子嫌いなんだよね」と言っても似たような関係築けるだろう。つーか女子が付き合いの少ない教室の隅っこにいる男子の手作りお菓子なんて食うか?

ミステリーとしてもダメ。だって設定が次から次へと実は…と後出しで出てくるんだもん。小林の死の真相も川端との関係も犯人もそれに至る経緯も全部後出し。てか、これミステリじゃないよな。人の死をテーマにしたジュブナイル小説だよ。
会話でも主人公は誰彼構わず「俺はお前を疑っている」というスタンスでアポ無し直撃尋問。よくこれで学校で嫌われねーな笑。親が警察の人間だから相手も逆らえないのかな。

「他人の嘘を見抜けるというアドバンテージを利用する遠藤に、例えば自分は嘘を付くのが苦手だという弱点を付与」「川端の”本人にとっては本当の事=真実”しか語らないからこそ、そこに生じる”事実”との齟齬を川端本人が自覚している」「嘘を見抜くという主人公の特性を把握し、嘘のような真実と真実のような嘘、ありのままの嘘と真実を巧みに会話に織り交ぜ、主人公のアドバンテージさえ翻弄する話術をもつ佐倉」「川端と佐倉の言葉を精査し、何が嘘で本当かを分類しながら正解を導き出す遠藤」…こんな感じの高度心理戦を読みたかったんだけどねえ…。この心理戦さえ描ければ、死だの親子関係だのというセンシティヴな題材なんて持ってこなくても、単なるラブコメでも最高に面白くなるはずなんだよね。かぐや様は告らせたいが出来なかった頭脳戦をやってのけてくれれば…。ま、書ければ、の話だけどね。

あとは文章が冗長。後半で遠藤が川端に長々と真相を説明するくだりなんて読んでる読者はほとんど全容を知ってるんだから、こっちからしたら既に知ってることを繰り返すだけになるので無意味。ばっさり削ってもいい。これ以外にも無くていい描写が多いし、序盤の主人公と父親の過去の会話シーンで、父が主人公を”後ろから抱きしめた”とあり、どういう向きで会話してんのこの2人っていう。さっきも書いたけど筆力がね。

「攻防戦」ってサブタイがついてなきゃ買わなかったんだけど、これ自体が”嘘”じゃん笑。あっ、出版社の仕掛けた攻防戦に読者である自分が負けた訳か。こりゃ一本取られたね。
彼女のL ~嘘つきたちの攻防戦~ (ファミ通文庫)Amazon書評・レビュー:彼女のL ~嘘つきたちの攻防戦~ (ファミ通文庫)より
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