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嘘ばっかり
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嘘ばっかりの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.40pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全1件 1~1 1/1ページ
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ジェフリー・アーチャーは過去に6冊の優れた短編集を上梓しており、どれもイングリッシュネス(イギリス的なるもの)を豊かに湛えて、それが巧緻な筋の運びと軽妙な語り口と相俟ってとても魅力的な作品集だった。今回もそれを期待して本書を買い求めたのだが、物語がフランス、ドイツ、イタリア、アメリカ、カナダなどの各地を舞台とする作品が目立ち、これまでと比べるとイングリッシュネスが希薄で今一つ魅力に欠けてがっかりした。 落胆の理由はイングリッシュネスの希薄さだけではない。何よりも本短編集の刊行目的が末尾収録のアーチャー次作長編"Heads You Win"の前宣伝にあるのが見え見えで、また収録されている短編はいずれも過去の水準に届かず、拙速に編まれた感が強い。特に冒頭に収録されている『最後の懺悔』なる短編は、<本件のハードカヴァー版刊行後に、ルパート・コーリィが格好の短編のアイデアを提供してくれて、それがあまりに面白かったために、十年温めてから形にするという我慢ができなかった>とのアーチャー自らのふれこみに拘わらずストーリーの展開に綻びがあり、「十年温めてから形に」すべき作品だったと思うのは小生だけではあるまい。『最後の懺悔』は、ストーリーの展開に難があるだけではない。最初のわずか7,8ページを読んだだけでも以下のように可成り雑な訳文があることに気付いた。 p.22:(大佐は)<まさか、われわれがサン・ロシェールに帰るのを見たいだけなどということはないだろうからな。>とあるが、英文テキストは“And I suspect the colonel will be only too happy to see us back in Saint Rochell.”なので、正しい訳は<われわれがサン・ロシェールに帰るのを見るのは大佐にとってこの上なく嬉しいことではないかと思う。>である。 p.23:<軍服を着ている連中ならだれだろうと相手にしてきた娼婦どもを町中引き回して顔をさらさせ、>とあるが、英文テキストは“The whores who made themselves available to anyone in uniform will have their heads shorn in public,”であり、正しい訳は<~娼婦どもは公衆の面前で坊主頭に刈って>である。 この調子ではこの種の雑な訳文が他にないという保証はなさそうだ。 | ||||
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