浮世の画家

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評判

浮世の画家の評価:

3.98/5点 レビュー 56件。 D ランク

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平均点3.98pt

Amazonレビュー一覧

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全167件 161〜167 9/9ページ
No.7
(5pt)

名作です

ほんっとうまい。「陽の名残り」でもそうだったが、信用ならざる語り手なんですよね、これも。時代を回顧する形式なんですが、この作品でも主人公がとにかく自分を弁護しまくるんです。自分を正当化しまくって、でも語り口がうまいもんですからああそうなのか、と思っちゃうんですが、そこでもう一度主人公を疑ってほしい。

 事実も何も本当は違うかもしれなくて、たんなる思いこみかもしれない。字面をそのまま取ればいい話だなあとじーんと来るんですが、そうじゃなくて、妄想電波小説みたいに読んだほうがおもしろいんです。自分の語りとまわりの人間の行動の齟齬があちこちに見られて、それが美しい語りのなかにあるどこか不気味な雰囲気となって、読み手を不安にさせる。

 本当にすごい作家だ。
浮世の画家 (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 浮世の画家 (ハヤカワepi文庫)より
4151200398
No.6
(4pt)

イシグロの長編第二作

日系英国人作家、カズオ・イシグロの長編第二作である。

イシグロ本人も認めているが、本作と

『遠い山なみの光』『日の名残り』は同じトーンで貫かれている。

長編第一作「遠い山なみの光」に比べると

同じく日本を舞台にしたというエキゾチックさはさておき

登場人物の内面という意味では更に深化/進化した作品である。

本作は前作と同じく回想を語るという形式で物語が進んでいくが、

大きく違うのは、その語りが記憶の不確かさによって

曖昧になっているのではなく、敢えて改竄された疑いを

読者が常に抱いておかなければいけないという点である。

一方的な回想によって記録/歴史が造られてしまう怖さと

そこまでしなければ生きることがかなわぬ人の哀しさと

一筋縄には読み解けぬ知的刺激に満ちた「文学」である。
浮世の画家 (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 浮世の画家 (中公文庫)より
412201896X
No.5
(4pt)

イシグロの長編第二作

日系英国人作家、カズオ・イシグロの長編第二作である。

イシグロ本人も認めているが、本作と

『遠い山なみの光』『日の名残り』は同じトーンで貫かれている。

長編第一作「遠い山なみの光」に比べると

同じく日本を舞台にしたというエキゾチックさはさておき

登場人物の内面という意味では更に深化/進化した作品である。

本作は前作と同じく回想を語るという形式で物語が進んでいくが、

大きく違うのは、その語りが記憶の不確かさによって

曖昧になっているのではなく、敢えて改竄された疑いを

読者が常に抱いておかなければいけないという点である。

一方的な回想によって記録/歴史が造られてしまう怖さと

そこまでしなければ生きることがかなわぬ人の哀しさと

一筋縄には読み解けぬ知的刺激に満ちた「文学」である。
浮世の画家 Amazon書評・レビュー: 浮世の画家より
4120016471
No.4
(4pt)

イシグロの長編第二作

日系英国人作家、カズオ・イシグロの長編第二作である。

イシグロ本人も認めているが、本作と

『遠い山なみの光』『日の名残り』は同じトーンで貫かれている。

長編第一作「遠い山なみの光」に比べると

同じく日本を舞台にしたというエキゾチックさはさておき

登場人物の内面という意味では更に深化/進化した作品である。

本作は前作と同じく回想を語るという形式で物語が進んでいくが、

大きく違うのは、その語りが記憶の不確かさによって

曖昧になっているのではなく、敢えて改竄された疑いを

読者が常に抱いておかなければいけないという点である。

一方的な回想によって記録/歴史が造られてしまう怖さと

そこまでしなければ生きることがかなわぬ人の哀しさと

一筋縄には読み解けぬ知的刺激に満ちた「文学」である。
浮世の画家 (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 浮世の画家 (ハヤカワepi文庫)より
4151200398
No.3
(3pt)

語り手を信頼して良いか、という読みの可能性

~様々な面で評価、批評することが出来る作品ですが、今回は時系列の配列に特に注意を払って、ストーリーテラーを信頼できるか、ということを考えました.
主人公である私の過去への遡行と現在の事件と、割と最近(数日前だったり、数年前だったり)といった事件が錯綜して語られます.そして、それぞれの区分がきわめて不明瞭(そういうテクニックで描いて~~います)なので、読み手は『いつの話なのか』ということに注意を払って読む必要があるかもしれません.
自分について起こったこと、あるいは考えたことであっても自分が最もよい解釈者であるとは言えません.例えば都合の良いように解釈したり、悪いことを忘れようと努めたりするからです.
たとえば本作の主人公は名のある画家でありながら戦争犯罪者~~的に祖国の戦争意識を高める作品を描いたと過去を持っています.そして、冷静にそれと対峙するという姿勢を言明しながらそれから逃避しようとしているので、私たち読者には額面通りにかれの言説を受容することはあらかじめ拒まれています.
また、もう一つ例を挙げれば、主人公は功名心や名誉、名声と言ったものに自分は興味を持たないと再三繰り返してい~~ますが、その話題を繰り返し登場させ、自らの傷跡を慰撫するような姿勢も見せています.
読者は主人公の老齢についても意識を払う必要性があります.既に老年に入った彼の語りがどこまで信用できるのか、そのことを念頭において読んでみると、物語を語るということのグロテスクさが全景に現れます.後半に決定打が打たれますが、そこは読んだ時のお楽しみ~~にしてください.記憶とは、いったい何でしょう.人間は語ることにおいて大変エゴセントリックであるといえるかもしれません。~
浮世の画家 (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 浮世の画家 (中公文庫)より
412201896X
No.2
(3pt)

語り手を信頼して良いか、という読みの可能性

~様々な面で評価、批評することが出来る作品ですが、今回は時系列の配列に特に注意を払って、ストーリーテラーを信頼できるか、ということを考えました.
主人公である私の過去への遡行と現在の事件と、割と最近(数日前だったり、数年前だったり)といった事件が錯綜して語られます.そして、それぞれの区分がきわめて不明瞭(そういうテクニックで描いて~~います)なので、読み手は『いつの話なのか』ということに注意を払って読む必要があるかもしれません.
自分について起こったこと、あるいは考えたことであっても自分が最もよい解釈者であるとは言えません.例えば都合の良いように解釈したり、悪いことを忘れようと努めたりするからです.
たとえば本作の主人公は名のある画家でありながら戦争犯罪者~~的に祖国の戦争意識を高める作品を描いたと過去を持っています.そして、冷静にそれと対峙するという姿勢を言明しながらそれから逃避しようとしているので、私たち読者には額面通りにかれの言説を受容することはあらかじめ拒まれています.
また、もう一つ例を挙げれば、主人公は功名心や名誉、名声と言ったものに自分は興味を持たないと再三繰り返してい~~ますが、その話題を繰り返し登場させ、自らの傷跡を慰撫するような姿勢も見せています.
読者は主人公の老齢についても意識を払う必要性があります.既に老年に入った彼の語りがどこまで信用できるのか、そのことを念頭において読んでみると、物語を語るということのグロテスクさが全景に現れます.後半に決定打が打たれますが、そこは読んだ時のお楽しみ~~にしてください.記憶とは、いったい何でしょう.人間は語ることにおいて大変エゴセントリックであるといえるかもしれません。~
浮世の画家 Amazon書評・レビュー: 浮世の画家より
4120016471
No.1
(3pt)

語り手を信頼して良いか、という読みの可能性

~様々な面で評価、批評することが出来る作品ですが、今回は時系列の配列に特に注意を払って、ストーリーテラーを信頼できるか、ということを考えました.
主人公である私の過去への遡行と現在の事件と、割と最近(数日前だったり、数年前だったり)といった事件が錯綜して語られます.そして、それぞれの区分がきわめて不明瞭(そういうテクニックで描いて~~います)なので、読み手は『いつの話なのか』ということに注意を払って読む必要があるかもしれません.
自分について起こったこと、あるいは考えたことであっても自分が最もよい解釈者であるとは言えません.例えば都合の良いように解釈したり、悪いことを忘れようと努めたりするからです.
たとえば本作の主人公は名のある画家でありながら戦争犯罪者~~的に祖国の戦争意識を高める作品を描いたと過去を持っています.そして、冷静にそれと対峙するという姿勢を言明しながらそれから逃避しようとしているので、私たち読者には額面通りにかれの言説を受容することはあらかじめ拒まれています.
また、もう一つ例を挙げれば、主人公は功名心や名誉、名声と言ったものに自分は興味を持たないと再三繰り返してい~~ますが、その話題を繰り返し登場させ、自らの傷跡を慰撫するような姿勢も見せています.
読者は主人公の老齢についても意識を払う必要性があります.既に老年に入った彼の語りがどこまで信用できるのか、そのことを念頭において読んでみると、物語を語るということのグロテスクさが全景に現れます.後半に決定打が打たれますが、そこは読んだ時のお楽しみ~~にしてください.記憶とは、いったい何でしょう.人間は語ることにおいて大変エゴセントリックであるといえるかもしれません。~
浮世の画家 (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 浮世の画家 (ハヤカワepi文庫)より
4151200398