浮世の画家

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浮世の画家の評価:

3.98/5点 レビュー 56件。 D ランク

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Amazonレビュー一覧

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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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全167件 121〜140 7/9ページ
No.47
(4pt)

『日の名残』とも重なる主題が、第二次世界大戦後の日本を舞台に展開されている。

人生の終わり近くに至って、自分の生き方(の少なくとも一部)が間違っていた(ようだ)と気づかされた老人が過去を振り返るという構造は『日の名残』と重なる(執筆されたのは本作が先だが)。
 主人公Ono(訳では「小野」)の述懐はしばしば脇道に逸れ行きつ戻りつするし(作為的なものだろう)、しかもその回想に偏りや偽りがあることは容易に想像できるから「行間を読む」作業が必要になる。そういう点で謎解きに似たスリルがある。
 ただ、舞台が第二次世界大戦後の日本ということもあって、つい「文化人の戦争責任」といった言葉が脳裏をかすめて『日の名残』のように物語を純粋に味わうことができなかった。
浮世の画家 Amazon書評・レビュー: 浮世の画家より
4120016471
No.46
(4pt)

『日の名残』とも重なる主題が、第二次世界大戦後の日本を舞台に展開されている。

人生の終わり近くに至って、自分の生き方(の少なくとも一部)が間違っていた(ようだ)と気づかされた老人が過去を振り返るという構造は『日の名残』と重なる(執筆されたのは本作が先だが)。
 主人公Ono(訳では「小野」)の述懐はしばしば脇道に逸れ行きつ戻りつするし(作為的なものだろう)、しかもその回想に偏りや偽りがあることは容易に想像できるから「行間を読む」作業が必要になる。そういう点で謎解きに似たスリルがある。
 ただ、舞台が第二次世界大戦後の日本ということもあって、つい「文化人の戦争責任」といった言葉が脳裏をかすめて『日の名残』のように物語を純粋に味わうことができなかった。
浮世の画家 (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 浮世の画家 (ハヤカワepi文庫)より
4151200398
No.45
(5pt)

戦争責任への沈思

戦争責任の複雑な難問を追求した傑作。不思議な静謐さと相俟って深く心に沁み入ってくる。
浮世の画家 (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 浮世の画家 (中公文庫)より
412201896X
No.44
(5pt)

戦争責任への沈思

戦争責任の複雑な難問を追求した傑作。不思議な静謐さと相俟って深く心に沁み入ってくる。
浮世の画家 Amazon書評・レビュー: 浮世の画家より
4120016471
No.43
(5pt)

戦争責任への沈思

戦争責任の複雑な難問を追求した傑作。不思議な静謐さと相俟って深く心に沁み入ってくる。
浮世の画家 (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 浮世の画家 (ハヤカワepi文庫)より
4151200398
No.42
(3pt)

やや読むのに苦労した

「日の名残り」に、魅了され、次に手にした。読み進めるのに大変苦労して、われながら驚いた。
英国が舞台の小説で英国人が英語をしゃべっている場面を翻訳日本語で読む時全く気にならな
かったことが、日本が舞台のこれを読む時にはどうしてこうなってしまうのだろう。どこかしらで
ひっかかり、そうしようと思わなくても頭の中で作業が勝手に始まってしまう感じだった。すな
わち、この日本語訳からすると、もとの英語表現はこうだろう、英語でこう言っているからには
さらにそのもと(?)は日本人としてはこう言ったのだろう、A→ A’→A”・・・というような類推
作業。たとえば「おまえの言っている意味がわからない」とか。 
 と言って、これをはじめから日本語で書かれた小説にみえるように訳してしまっては、つまり全
く違和感をなくしてしまっては、意味が無いのだろうと思う。
 英語で読むのがよいのではないか。訳文がよくないとかそういうことを言っているのではない。
浮世の画家 (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 浮世の画家 (中公文庫)より
412201896X
No.41
(3pt)

やや読むのに苦労した

「日の名残り」に、魅了され、次に手にした。読み進めるのに大変苦労して、われながら驚いた。
英国が舞台の小説で英国人が英語をしゃべっている場面を翻訳日本語で読む時全く気にならな
かったことが、日本が舞台のこれを読む時にはどうしてこうなってしまうのだろう。どこかしらで
ひっかかり、そうしようと思わなくても頭の中で作業が勝手に始まってしまう感じだった。すな
わち、この日本語訳からすると、もとの英語表現はこうだろう、英語でこう言っているからには
さらにそのもと(?)は日本人としてはこう言ったのだろう、A→ A’→A”・・・というような類推
作業。たとえば「おまえの言っている意味がわからない」とか。 
 と言って、これをはじめから日本語で書かれた小説にみえるように訳してしまっては、つまり全
く違和感をなくしてしまっては、意味が無いのだろうと思う。
 英語で読むのがよいのではないか。訳文がよくないとかそういうことを言っているのではない。
浮世の画家 Amazon書評・レビュー: 浮世の画家より
4120016471
No.40
(3pt)

やや読むのに苦労した

「日の名残り」に、魅了され、次に手にした。読み進めるのに大変苦労して、われながら驚いた。
英国が舞台の小説で英国人が英語をしゃべっている場面を翻訳日本語で読む時全く気にならな
かったことが、日本が舞台のこれを読む時にはどうしてこうなってしまうのだろう。どこかしらで
ひっかかり、そうしようと思わなくても頭の中で作業が勝手に始まってしまう感じだった。すな
わち、この日本語訳からすると、もとの英語表現はこうだろう、英語でこう言っているからには
さらにそのもと(?)は日本人としてはこう言ったのだろう、A→ A’→A”・・・というような類推
作業。たとえば「おまえの言っている意味がわからない」とか。 
 と言って、これをはじめから日本語で書かれた小説にみえるように訳してしまっては、つまり全
く違和感をなくしてしまっては、意味が無いのだろうと思う。
 英語で読むのがよいのではないか。訳文がよくないとかそういうことを言っているのではない。
浮世の画家 (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 浮世の画家 (ハヤカワepi文庫)より
4151200398
No.39
(4pt)

戦時中の精神風土が日本人にもたらした苦悩

主人公の小野は戦前に活躍し、第一線を退いた画家である。
はじめは小野が成人君子のように思えるが、一人称での話が進むにつれ俗っぽさが感じられるようになる。
末娘の縁談が破断になったのは自分の過去のせいではないかと考えるが、その過去は明らかにされずに話は進んでいく。
また小野の言動により、同僚が窮地に陥った事件についても、薄々承知しているらしいのだが、その事件も後半まで明らかにされない。
自分にとって不利なことは明らかにしない語り口が、小野の人間性に、決定的ではないにしろ、不誠実なものを感じさせるのである。
小野は、日本が戦争に突き進む中、戦意を高揚させる絵を描いて、政府や軍部の支持を得、画家としての名声を勝ちとっいた。
そうした絵を書き始めたことで、恩師や同僚が離れていき、彼らは落ちぶれていった。
おのは、戦争を引き起こしたという反省から、戦後に自ら命を絶った政治家や軍人と同じ罪があるとは考えていない。
己の生き様を否定したくないという心境で暮らしている。
戦前から戦時中にかけてのいびつな精神風土のなかで、己の進むべき芸術家の道つまり「浮世の画家」としての生き方を捨てたことに、いくばくかの違和感を抱きながら今を生きているのだった。
それは、確固たる意志をもって戦争に対峙したごく一部の人々以外の大方の日本人が、多かれ少なかれ抱いた違和感なのだろう。
この違和感こそが著者が描こうとしたものである。
浮世の画家 (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 浮世の画家 (中公文庫)より
412201896X
No.38
(4pt)

戦時中の精神風土が日本人にもたらした苦悩

主人公の小野は戦前に活躍し、第一線を退いた画家である。
はじめは小野が成人君子のように思えるが、一人称での話が進むにつれ俗っぽさが感じられるようになる。
末娘の縁談が破断になったのは自分の過去のせいではないかと考えるが、その過去は明らかにされずに話は進んでいく。
また小野の言動により、同僚が窮地に陥った事件についても、薄々承知しているらしいのだが、その事件も後半まで明らかにされない。
自分にとって不利なことは明らかにしない語り口が、小野の人間性に、決定的ではないにしろ、不誠実なものを感じさせるのである。
小野は、日本が戦争に突き進む中、戦意を高揚させる絵を描いて、政府や軍部の支持を得、画家としての名声を勝ちとっいた。
そうした絵を書き始めたことで、恩師や同僚が離れていき、彼らは落ちぶれていった。
おのは、戦争を引き起こしたという反省から、戦後に自ら命を絶った政治家や軍人と同じ罪があるとは考えていない。
己の生き様を否定したくないという心境で暮らしている。
戦前から戦時中にかけてのいびつな精神風土のなかで、己の進むべき芸術家の道つまり「浮世の画家」としての生き方を捨てたことに、いくばくかの違和感を抱きながら今を生きているのだった。
それは、確固たる意志をもって戦争に対峙したごく一部の人々以外の大方の日本人が、多かれ少なかれ抱いた違和感なのだろう。
この違和感こそが著者が描こうとしたものである。
浮世の画家 Amazon書評・レビュー: 浮世の画家より
4120016471
No.37
(4pt)

戦時中の精神風土が日本人にもたらした苦悩

主人公の小野は戦前に活躍し、第一線を退いた画家である。
はじめは小野が成人君子のように思えるが、一人称での話が進むにつれ俗っぽさが感じられるようになる。
末娘の縁談が破断になったのは自分の過去のせいではないかと考えるが、その過去は明らかにされずに話は進んでいく。
また小野の言動により、同僚が窮地に陥った事件についても、薄々承知しているらしいのだが、その事件も後半まで明らかにされない。
自分にとって不利なことは明らかにしない語り口が、小野の人間性に、決定的ではないにしろ、不誠実なものを感じさせるのである。
小野は、日本が戦争に突き進む中、戦意を高揚させる絵を描いて、政府や軍部の支持を得、画家としての名声を勝ちとっいた。
そうした絵を書き始めたことで、恩師や同僚が離れていき、彼らは落ちぶれていった。
おのは、戦争を引き起こしたという反省から、戦後に自ら命を絶った政治家や軍人と同じ罪があるとは考えていない。
己の生き様を否定したくないという心境で暮らしている。
戦前から戦時中にかけてのいびつな精神風土のなかで、己の進むべき芸術家の道つまり「浮世の画家」としての生き方を捨てたことに、いくばくかの違和感を抱きながら今を生きているのだった。
それは、確固たる意志をもって戦争に対峙したごく一部の人々以外の大方の日本人が、多かれ少なかれ抱いた違和感なのだろう。
この違和感こそが著者が描こうとしたものである。
浮世の画家 (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 浮世の画家 (ハヤカワepi文庫)より
4151200398
No.36
(2pt)

何度も挫折しそうに・・・。

何だか重大そうに、語り手がエピソードを語るんですが、実際読んでみると大げさな気がします。

史実をよく調べて書いたのかが常に気になっていました。 孫と怪獣映画を観にいく場面があったんですが第二次大戦後数年で、

怪獣映画とか作れたのかとか、日本の標準的な家庭に比べて食事中の会話が多いなとか微妙な違和感を感じ、しっくりこなかったです。
浮世の画家 (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 浮世の画家 (中公文庫)より
412201896X
No.35
(2pt)

何度も挫折しそうに・・・。

何だか重大そうに、語り手がエピソードを語るんですが、実際読んでみると大げさな気がします。

史実をよく調べて書いたのかが常に気になっていました。 孫と怪獣映画を観にいく場面があったんですが第二次大戦後数年で、

怪獣映画とか作れたのかとか、日本の標準的な家庭に比べて食事中の会話が多いなとか微妙な違和感を感じ、しっくりこなかったです。
浮世の画家 Amazon書評・レビュー: 浮世の画家より
4120016471
No.34
(2pt)

何度も挫折しそうに・・・。

何だか重大そうに、語り手がエピソードを語るんですが、実際読んでみると大げさな気がします。

史実をよく調べて書いたのかが常に気になっていました。 孫と怪獣映画を観にいく場面があったんですが第二次大戦後数年で、

怪獣映画とか作れたのかとか、日本の標準的な家庭に比べて食事中の会話が多いなとか微妙な違和感を感じ、しっくりこなかったです。
浮世の画家 (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 浮世の画家 (ハヤカワepi文庫)より
4151200398
No.33
(3pt)

元画家の葛藤

戦時中は、戦争を礼賛し、日本精神を鼓舞する作風で広く知られていましたが、
戦後は世間から身を隠すように暮らしている元画家小野氏の物語です。
小野氏の独白という形で物語は進行します。

剪定した庭木を、自分はよくできたつもりが、
娘から見ると不恰好なものでしかないというエピソードに触れたあたりから
主人公の独善的で自己を正当化する態度が、
独白の裏に隠れているような気がしました。
少し老いも混ざっているように感じられました。

しかし、次女の縁談が結婚寸前で破談になってしまった理由が、
もしかしたら自分の過去に問題があるのではないのだろうかと考えはじめたとき、
自己呵責が始まります。
(何が問題であったのかは、はっきり明かされません。) 

さらに、やっと整った次女のお見合いの席で、
「戦時中の自分の行為に対しては責任を感じている」と明言し、
新しいものの考え方にも理解を示します。

作者は、小野氏の独善を暴きながらも、
自己呵責、その克服に暖かい視線を注ぎます。
後悔の念にさいなまれて自殺する人たちに理解を示しながら、
一方で、自己正当化しなければ生きていけない人間に対する深い哀感を表現します。

ただ、エピソード、過去の回想シーンなどを点在させる仕掛けが、少々うるさく、
読者の想像にゆだねられている部分も、何かすっきりしないような気もいたしました。
自身の独解力不足も否めませんが。
浮世の画家 (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 浮世の画家 (中公文庫)より
412201896X
No.32
(3pt)

元画家の葛藤

戦時中は、戦争を礼賛し、日本精神を鼓舞する作風で広く知られていましたが、
戦後は世間から身を隠すように暮らしている元画家小野氏の物語です。
小野氏の独白という形で物語は進行します。

剪定した庭木を、自分はよくできたつもりが、
娘から見ると不恰好なものでしかないというエピソードに触れたあたりから
主人公の独善的で自己を正当化する態度が、
独白の裏に隠れているような気がしました。
少し老いも混ざっているように感じられました。

しかし、次女の縁談が結婚寸前で破談になってしまった理由が、
もしかしたら自分の過去に問題があるのではないのだろうかと考えはじめたとき、
自己呵責が始まります。
(何が問題であったのかは、はっきり明かされません。) 

さらに、やっと整った次女のお見合いの席で、
「戦時中の自分の行為に対しては責任を感じている」と明言し、
新しいものの考え方にも理解を示します。

作者は、小野氏の独善を暴きながらも、
自己呵責、その克服に暖かい視線を注ぎます。
後悔の念にさいなまれて自殺する人たちに理解を示しながら、
一方で、自己正当化しなければ生きていけない人間に対する深い哀感を表現します。

ただ、エピソード、過去の回想シーンなどを点在させる仕掛けが、少々うるさく、
読者の想像にゆだねられている部分も、何かすっきりしないような気もいたしました。
自身の独解力不足も否めませんが。
浮世の画家 Amazon書評・レビュー: 浮世の画家より
4120016471
No.31
(3pt)

元画家の葛藤

戦時中は、戦争を礼賛し、日本精神を鼓舞する作風で広く知られていましたが、
戦後は世間から身を隠すように暮らしている元画家小野氏の物語です。
小野氏の独白という形で物語は進行します。

剪定した庭木を、自分はよくできたつもりが、
娘から見ると不恰好なものでしかないというエピソードに触れたあたりから
主人公の独善的で自己を正当化する態度が、
独白の裏に隠れているような気がしました。
少し老いも混ざっているように感じられました。

しかし、次女の縁談が結婚寸前で破談になってしまった理由が、
もしかしたら自分の過去に問題があるのではないのだろうかと考えはじめたとき、
自己呵責が始まります。
(何が問題であったのかは、はっきり明かされません。) 

さらに、やっと整った次女のお見合いの席で、
「戦時中の自分の行為に対しては責任を感じている」と明言し、
新しいものの考え方にも理解を示します。

作者は、小野氏の独善を暴きながらも、
自己呵責、その克服に暖かい視線を注ぎます。
後悔の念にさいなまれて自殺する人たちに理解を示しながら、
一方で、自己正当化しなければ生きていけない人間に対する深い哀感を表現します。

ただ、エピソード、過去の回想シーンなどを点在させる仕掛けが、少々うるさく、
読者の想像にゆだねられている部分も、何かすっきりしないような気もいたしました。
自身の独解力不足も否めませんが。
浮世の画家 (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 浮世の画家 (ハヤカワepi文庫)より
4151200398
No.30
(5pt)

2011年の6月に

なにもかも変わってしまった,そしてなにも変わらなかったと記憶される時の変わり目があるということを私たちはこの3月に経験しました。この小説は戦争が終わり,その虚脱が薄らいだ頃の老画家と家族の物語です。現在の置かれている状況と似通ったところが多い時代を扱っていて,その心の動きが対岸のものと感じられず,大変切実でした。
名声を得ていた画家の引退後の暮らしがモノローグで綴られます。彼はどのようにしてその立つ場所へ導かれたのか,なにを大切にしたかったのかが明かされてゆく構成はイシグロの自家薬籠中のもの,ぐいぐいと緊迫感の中で引っ張られました。

読後,以下は蛇足なのですが,現在「×××村」の住民と非難されている人たちも, 「先生、ぼくの良心は、ぼくがいつまでも〈浮世の研究者〉でいることを許さないのです」との決意の中に村に向かったのかもしれないなぁと思わざるを得ませんでした。本当に蛇足でごめんなさい。
浮世の画家 (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 浮世の画家 (中公文庫)より
412201896X
No.29
(5pt)

2011年の6月に

なにもかも変わってしまった,そしてなにも変わらなかったと記憶される時の変わり目があるということを私たちはこの3月に経験しました。この小説は戦争が終わり,その虚脱が薄らいだ頃の老画家と家族の物語です。現在の置かれている状況と似通ったところが多い時代を扱っていて,その心の動きが対岸のものと感じられず,大変切実でした。
名声を得ていた画家の引退後の暮らしがモノローグで綴られます。彼はどのようにしてその立つ場所へ導かれたのか,なにを大切にしたかったのかが明かされてゆく構成はイシグロの自家薬籠中のもの,ぐいぐいと緊迫感の中で引っ張られました。

読後,以下は蛇足なのですが,現在「×××村」の住民と非難されている人たちも, 「先生、ぼくの良心は、ぼくがいつまでも〈浮世の研究者〉でいることを許さないのです」との決意の中に村に向かったのかもしれないなぁと思わざるを得ませんでした。本当に蛇足でごめんなさい。
浮世の画家 Amazon書評・レビュー: 浮世の画家より
4120016471
No.28
(5pt)

2011年の6月に

なにもかも変わってしまった,そしてなにも変わらなかったと記憶される時の変わり目があるということを私たちはこの3月に経験しました。この小説は戦争が終わり,その虚脱が薄らいだ頃の老画家と家族の物語です。現在の置かれている状況と似通ったところが多い時代を扱っていて,その心の動きが対岸のものと感じられず,大変切実でした。
名声を得ていた画家の引退後の暮らしがモノローグで綴られます。彼はどのようにしてその立つ場所へ導かれたのか,なにを大切にしたかったのかが明かされてゆく構成はイシグロの自家薬籠中のもの,ぐいぐいと緊迫感の中で引っ張られました。

読後,以下は蛇足なのですが,現在「×××村」の住民と非難されている人たちも, 「先生、ぼくの良心は、ぼくがいつまでも〈浮世の研究者〉でいることを許さないのです」との決意の中に村に向かったのかもしれないなぁと思わざるを得ませんでした。本当に蛇足でごめんなさい。
浮世の画家 (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 浮世の画家 (ハヤカワepi文庫)より
4151200398