月の満ち欠け
評判
月の満ち欠けの評価:
3.43/5点 レビュー 238件。 A ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全152件 81〜100 5/8ページ
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月の満ち欠けの評価:
3.43/5点 レビュー 238件。 A ランク
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【以下ネタバレ】
正木は瑠璃を愛していないわけではなかった。はたから見ればよくある夫婦のすれ違い、それがお互いの人生に及ぼす無力感から、この2人は不倫に走ったのだと、ここまではとても読ませる描写でした。佐藤正午さんの小説でいつも食い足りなく感じていたのは、プロットの緻密さにキャラクター描写の豊かさが追いついていないという点だったり、大人の(社会を生きる)男の痛みが描ききれていないという印象でしたが、この正木という男からは、社会に揉まれる人間の痛みが感じられ、夫婦がすれ違っていくという事が孕む「仕方なさ」(どんなに誠実な人間であれそれは不可避である)が滲み出ていました。
きっと瑠璃も正木を愛していないわけではなかったのに、三角を愛してしまったのでしょう。
そうであるならば、転生を経て再び巡り会った正木にたいして瑠璃は、死ぬ前に言えなかった何かしらの本音をぶつけるべきだと思う。「転生」という話の仕掛けが見たいのではなく、死に別れた夫婦が傷つけ合ったり赦し合う様を見たい。昔の旦那であるにも関わらず瑠璃の行動は自己中心的に過ぎるように思われるし、そうしか出来ないわだかまりを抱え続けている女なのだとしたらその心の襞をもっと細やかに描くべき。結末として3回目の瑠璃の死因が「カーチェイスの末の事故死」というのでは、瑠璃も正木もアタマが悪すぎます。そもそも、瑠璃の母が通報するのは分かるとして、その後どのような経緯で東名高速上で警察が正木たちを発見してカーチェイスに至ったのか、という突っ込み所が発生してしまいます。
さて、瑠璃というキャラクターについては話の中心に置かれた元父親小山内との会話にも違和感があります。彼女は三角との恋愛成就のために転生した。それは良いとしても、瑠璃にとって小山内は父親であるのだから、若くして死んでしまった後悔の念などはないのだろうか?何世代ものかけがえのない家族を得ながらも、不倫を成就する背中を父親に押させるようなヒロイン像には残念ながらなっていないような気がします。親子の絆というものにももっと目配せがされるべきでした。
三角との恋愛における瑠璃は非常に魅力的な女性と読めるだけに、この辺りの後半になっての息切れは致命的に感動を削いでしまうように感じました。
小山内の気持ちとかも、結構複雑な境遇にいる人なので無言で語らせようとするのではなく、もっと細かく描写するべきではという気がしました。