月の満ち欠け

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月の満ち欠けの評価:

3.43/5点 レビュー 238件。 A ランク

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平均点3.43pt

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全265件 261〜265 14/14ページ
No.5
(5pt)

あなたは「生まれ変わり」を信じますか

日常会話の中で「生まれ変わり」について何気なく話題にすることは誰にでもある。
「生まれ変わったら何になりたいか」「生まれ変わったら男か女のどちらになりたいか」など大概はその場だけの他愛のない話として終わってしまう。「生まれ変わり」という現象が自分の身近なところで現実に起きたらと本気で考える者はいないだろう。

本書は我が子、愛する人が不幸にも亡くなり、その後他人として生まれ変わることによる一連の顛末を描いた小説である。生まれ変わった【彼女】は或る日高熱を発症し意識混濁状態に陥る。まもなく回復すると同時に前世の記憶を甦らせ、その信じがたい言動で周囲を戸惑わせる。【彼女】は前世で愛した人との時を超えた邂逅を一途に求め続ける。現世の両親や前世で恋人であった者は【彼女】の出現に驚愕し悩み苦しむこととなる。双方とも決して幸福にはならず、その行き着く先には・・・

参考文献として挙げられている(小説中で登場人物が読んでいる)『前世を記憶する子どもたち』を読んでみた。世界で起きた「生まれ変わり」事例が学術論文のように詳細に考察されている内容である。この文献によれば、子どもの前世の記憶は一生続くのではなく成長するにつれて消えていくという。これはある意味で現世の人間にとって救いなのではないかと思った。

「生まれ変わり」が決して他人事ではなく、自分の身の回りで本当に起こったら、それにどう対処すればよいのだろうか。本書の読了後、これまで超常的なもの、心霊的なものに無縁だと思っていた自分がいつのまにかそのような思いを持っていることに気づいたのである。
月の満ち欠け Amazon書評・レビュー: 月の満ち欠けより
4000014080
No.4
(5pt)

究極の愛の形をミステリアスに描く

「運命の人」は、出会った時に一目で「この人だ」とわかるという。そして、その人と「添い遂げたい」と強く願うのである。もし自分が先に死ぬならば「生れ変わって、ふたたび愛する人の前に現われたい」とも望むかもしれない。何度でも生れ変って愛する人の前に現われる。この輪廻回生こそ究極の愛のかたちではないか。佐藤正午の20年ぶりの書下ろし小説は、この究極の愛である「生まれ変わり」を主題にしている。

三人の男と二人の女性の30年に及ぶ物語である。二人の女性と書いたが、生まれ変わった人物を含めるとさらに多くなる。いつもの 作者らしく淡々と物語は進んでいく。感情を煽るでもなく、深刻ぶるでもなく、簡潔な事実の記述が却って読者を不安に誘う。意外な展開が続き、どこに連れていかれるのかと、思わず身構える。冷静で巧みな文章が「生れ変り」というスピリチュアルなテーマにリアリティを与えている。幾重にも張られた伏線と予想もできない展開に、私は翻弄されるままであった。そして、ラストの一行の見事さに胸が震えた。

振り返れば、佐藤正午はデビュー作の「永遠の1/2」以来、ありえないことをあたかも現実のごとく書くことで読者の心を掴んできた作家である。緻密な構成と鮮やかな人物描写、巧妙に仕掛けられた伏線、そして研ぎ澄まされた文章で、さりげない日常に潜む異常を読者の前に突きつけたのである。この作品は、「小説とは何か」を追求し続ける作者の発想と試みが結実した、ミステリーの形をとった、心揺さぶる恋愛小説である。

追記: 岩波、みすず、白水社など、硬派の出版社が出す小説はどれも面白くて質が高い。本書も例外ではなかった。
岩波文庫的 月の満ち欠け Amazon書評・レビュー: 岩波文庫的 月の満ち欠けより
4000014110
No.3
(4pt)

「どこまでもふたりで歩いたよね」

登場するのは、「瑠璃」という名の女性(たち)と複数の男たち。
、、あり得ない語が展開します。

突拍子もないほら話だとわかっているのに、
段々と実話にさえ思えてくるのは、著者の卓越したストーリーテリングと
キャラクターたちの瑞々しい存在感によるものでしょうか。

胸が裂けるような場面が随所にありますが、
特にエンディングが忘れ難いです
、、更にその先のことまでをも想像すると、、
、、人の愛の「未練」というものがあまりに切なすぎる、そんな物語でした。
岩波文庫的 月の満ち欠け Amazon書評・レビュー: 岩波文庫的 月の満ち欠けより
4000014110
No.2
(5pt)

究極の愛の形をミステリアスに描く

「運命の人」は、出会った時に一目で「この人だ」とわかるという。そして、その人と「添い遂げたい」と強く願うのである。もし自分が先に死ぬならば「生れ変わって、ふたたび愛する人の前に現われたい」とも望むかもしれない。何度でも生れ変って愛する人の前に現われる。この輪廻回生こそ究極の愛のかたちではないか。佐藤正午の20年ぶりの書下ろし小説は、この究極の愛である「生まれ変わり」を主題にしている。

東京で会社員をしている小山内堅は、仕事にも家庭にも恵まれてささやかな幸せを得ていたが、ある日の突然の事故で妻と娘を失う。14年後、故郷の青森県八戸に帰って独身でいる彼の前に娘の生れ変りだと名乗る少女が現われる。そして、亡くなった娘と妻の過去が次々に明らかになり、忘れていた奇妙な出来事が結びついて、信じられない事実が浮かび上がるのだった。

三人の男と二人の女性の30年に及ぶ物語である。二人の女性と書いたが、生まれ変わった人物を含めるとさらに多くなる。いつもの 作者らしく淡々と物語は進んでいく。感情を煽るでもなく、深刻ぶるでもなく、簡潔な事実の記述が却って読者を不安に誘う。意外な展開が続き、どこに連れていかれるのかと、思わず身構える。冷静で巧みな文章が「生れ変り」というスピリチュアルなテーマにリアリティを与えている。幾重にも張られた伏線と予想もできない展開に、私は翻弄されるままであった。そして、ラストの一行の見事さに胸が震えた。

振り返れば、佐藤正午はデビュー作の「永遠の1/2」以来、ありえないことをあたかも現実のごとく書くことで読者の心を掴んできた作家である。緻密な構成と鮮やかな人物描写、巧妙に仕掛けられた伏線、そして研ぎ澄まされた文章で、さりげない日常に潜む異常を読者の前に突きつけたのである。この作品は、「小説とは何か」を追求し続ける作者の発想と試みが結実した、ミステリーの形をとった、心揺さぶる恋愛小説である。

追記: 岩波、みすず、白水社など、硬派の出版社が出す小説はどれも面白くて質が高い。本書も例外ではなかった。
月の満ち欠け Amazon書評・レビュー: 月の満ち欠けより
4000014080
No.1
(4pt)

「どこまでもふたりで歩いたよね」

登場するのは、「瑠璃」という名の女性(たち)と複数の男たち。
、、あり得ない語が展開します。

突拍子もないほら話だとわかっているのに、
段々と実話にさえ思えてくるのは、著者の卓越したストーリーテリングと
キャラクターたちの瑞々しい存在感によるものでしょうか。

胸が裂けるような場面が随所にありますが、
特にエンディングが忘れ難いです
、、更にその先のことまでをも想像すると、、
、、人の愛の「未練」というものがあまりに切なすぎる、そんな物語でした。
月の満ち欠け Amazon書評・レビュー: 月の満ち欠けより
4000014080