(短編集)

遠い唇

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評判

遠い唇の評価:

4.00/5点 レビュー 13件。 D ランク

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平均点4.00pt

Amazonレビュー一覧

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全26件 21〜26 2/2ページ
No.6
(3pt)

初めての作家の初めての作品

初めての作家の初めての作品です。ミステリーの材料を小出しにした短編集で、マジックのネタを1つ1つ披露したとうな印象です。『解釈』は毛色が違いますが、これは面白かった。
遠い唇 Amazon書評・レビュー: 遠い唇より
4041047625
No.5
(4pt)

言葉を推理する。

コーヒー欲る(ほる)。というなんとも品のいい
柳澤教授が似合いそうな言葉があるそうで、
最初の短篇の冒頭に出てくるのですが、この本の中の7篇は
それぞれ形は違えども、この言葉に繋がって来るような、
いい空気感とでも言うようなものが漂っています。

北村薫による日常生活の中で巡り逢った小さなささやかな謎。
ある話は憧れた女子の先輩が残した手紙の暗号だったり、
ある話は病院のベットで夫が妻にかけた俳句の穴埋めの謎かけ
だったりします。
小さなささやかな謎だったり、謎にさえなる前の泡のようなものだったりもするのですが、解けた後と前では当事者にとっては人生の
意味合いとでも言うようなものが随分と変わったものになりそうな
感覚を与えてくれていて、やはり些細な謎でも謎は解かれることに
意味があるのだな。と思いました。

唐突に宇宙人が走れメロスや吾輩は猫である、を読んで解釈に
苦しんだりする話が入っていたり、あとがきで名探偵の推理法と
インターネットの共通点に解説したりしてくれているところも
なかなかに興味深かったり新鮮だったりしました。(>ω<。)
すぐ読めるので大作の準備運動とかハード本のリハビリには
とてもピッタリしそうですよ。
遠い唇 Amazon書評・レビュー: 遠い唇より
4041047625
No.4
(5pt)

北村さんらしい短篇集

l此の短篇集の最初の「遠い唇」、この本の中で一番好きな短編です。
昔、憧れの人からもらった暗号。
その人は遠い昔にこの世からいなくなっているという。
何気なく暗号解きに挑んだ結果は。
あの頃には戻れない、暗号に残した彼女の心ももう尋ねることはできない。
切なさと悲しさが余韻となって心に沁みました。
誰でも過去に何かしらやり残したものや後悔があるものです。
それが自分の前に現実として現れた時、どうすることもできない思いにとらわれます。
静かな文章で暗号解きと切ない思いを融合させたこの短編は、小さな宝石のように私の心の中にずっと残っていくと思いました。
遠い唇 Amazon書評・レビュー: 遠い唇より
4041047625
No.3
(3pt)

柔らかい雰囲気が好き

北村氏のお話は、例え死人が出ようとも、ふんわりとした優しい空気感の中にある。
「ゴースト」の「相手がカメのときくらい、横になりたい」がツボにはまった。
子供心にイソップ寓話が「イマイチ納得しきれなかった」のはそういう訳だったか。と今さらながらに認識した。
中里先生の「思いがけない力が働いているようです」に脱帽。格が高い上品に接すると敬して伏し、仰ぎたくなる。
楽しみました
遠い唇 Amazon書評・レビュー: 遠い唇より
4041047625
No.2
(5pt)

「遠い唇」・・・生きてきたことの確かな手ごたえ

七つの短編を集めた、北村薫ファン待望の最新刊です。

◆「遠い唇」
 経済学部の教授・寺脇は学生時代に文学部の先輩だった長内からの古い葉書を見つけるところから物語は始まります。女性の先輩だった長内はアルファベットの暗号を綴っていました。数十年の時を超えて長内が伝えたかったこととは…。
 時が移ろい往く中で忘れていたあの人からのメッセージがふっと現れる。その不思議を前にして人は、取り戻すことのできない時間のことと、それでも生きてきたことの確かな手ごたえとを感じることができます。
 人の情と文学作品を絡めた日常の不思議を描かせたら天下一品の北村薫らしいミステリ掌編です。この七つの短編の中ではもっとも好きな一編です。

◆「しりとり」
 作家である「わたし」は編集担当者・向井美奈子に亡き夫が遺した暗号めいた俳句をみせられます。その謎を解いたときに立ち現れるのは、「それぞれに遠い日の、自分がいなくなれば消えてしまう、夢のような記憶」です。この掌編もまた、あの人と共に生きたあの時間のかけがえのない様をまざまざと感じさせてくれます。

◆「パトラッシュ」
 美術館の広報を担当する「わたし」は、出入りの運送業者だった彼と一緒に暮らしています。彼のことを「パトラッシュ」と呼ぶ理由が明かされ、やがて二人はチーム・パトラーズとなっていくまでが描かれます。ミステリの要素はほとんどありません。若い二人の同棲生活を描いた、ちょっぴり心がくすぐったくなる物語です。

◆「解釈」
 町のさびれた書店で人間の家族3人がそれぞれ手にした『吾輩は猫である』、『走れメロス』、『蛇を踏む』を、地球外生命体が脇から読んでいくというSF短編です。<夏目漱石という名がありながら「まだ名はない」と言う猫の手記>や、<駆けるメロスに伴走しながら記録を遺した超人・太宰>という摩訶不思議な存在に宇宙人は目が点になっていきます。「いずれにしても、読むというのは難しく、また面白い」ということを、風変りな設定で思い知らせてくれる佳品です。

◆「続・二銭銅貨」
 戦争末期、江戸川乱歩が「わたし」を訪ねてきます。日本の探偵推理小説の嚆矢とされる「二銭銅貨」は実は「わたし」の体験談を乱歩に伝え、彼がそれを小説化したものですが、実際の暗号はあの「南無阿弥陀仏」の文言を使ったものではなく、八卦と四象を使ったものでした。北村薫ならではの、続編ならぬ、「真正・二銭銅貨」というべき暗号判じ物です。ただし、わずか20頁ほどの短編の形に押し込めたため、せっかくの暗号もあっという間に解答が披露されてしまうので、知的興奮をゆっくり味わういとまが足りないうらみがありました。

◆「ゴースト」
 出版編集に携わる朝美は日々仕事に追われてゆっくり一息つくいとまがありません。ある日、美術評論家の中里先生に取材の約束をするものの、「思わぬ力が働いて」その約束をキャンセルせざるをえなくなります。そのキャンセルの結果、朝美の人生で謎めいた何かが新しく動き始めるかと思いきや、物語は唐突に終わってしまいます。この短編は、朝美が「自分の時間を切り取って、相手に渡す。そうしないでは、いられない」日常を思う物語でした。誰にでも覚えのある人生の苦みを、見事に切り出してみせる小説だと思いました。

◆「ビスケット」
 ミステリ作家の姫宮あゆみはさる大学でのトークショーに担ぎ出されます。対談相手はアメリカ人作家のトリリン氏。しかし氏は当日に何者かに撲殺されてしまいます。右手の指は奇妙な形に曲げられていて、氏のダイイング・メッセージとみられます。姫宮は古くからの知人である名探偵の巫(かんなぎ)弓彦に推理を依頼するという中編です。
 私は実は『』を手にしたことがないので、その登場人物である姫宮と巫のコンビの18年ぶりの登場に欣喜雀躍することができなかったのが残念です。「わたしと円紫」に17年ぶりに『』で再会できたときの喜びをこの「ビスケット」でも味わえたらよかったと悔やむ思いが残ります。
 作者が巻末で付記しているとおり、今やネット検索の登場によって名探偵の存在がかすみがちな時代となっているのかもしれません。
遠い唇 Amazon書評・レビュー: 遠い唇より
4041047625
No.1
(5pt)

「ビスケット」・・・懐かしい友達との再会

私も「冬のオペラ」を読んだ頃から、ずいぶん、歳をとりました。
でも、そんな、歳をとったことが、うれしく感じる物語でした。
若い頃の友達に再会できたような喜びを味わえ、
「名探偵・巫弓彦さんもあゆみちゃんも、いろいろなことがあったんだね」
と、ふたりの今までを称えたいです。
北村薫先生、本当にありがとう。ふたりに、また、会わせてくれて。
何より、巫弓彦さんが手にした幸せを教えてくれたことがうれしいです。
遠い唇 Amazon書評・レビュー: 遠い唇より
4041047625