(短編集)

いまさら翼といわれても

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評判

いまさら翼といわれてもの評価:

4.38/5点 レビュー 155件。 A ランク

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平均点4.38pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全209件 101〜120 6/11ページ
No.109
(5pt)

『翼をさずける』現時点におけるシリーズ最大の転換点が描かれる

本棚に並べたときの美しさかつ収納スペースの問題から小説は文庫本になってから読むことに
しているため、前作『ふたりの距離の概算』文庫版から七年、『小説野性時代』ほかへの掲載
そして単行本刊行から待ちに待ち続け、約二年半を経てようやく刊行された本作を手に入れる。

『箱の中の欠落』
六月。生徒会長選挙で投票総数が有権者数を上回る水増しが発覚する。総務委員会副委員長と
して投票に立ち会っていた里志は夜中に奉太郎を呼び出し事情を話すも、「やらなくてもいい
ことならやらない」という奉太郎のポリシーにより一度は断られるが、一年の選挙管理委員に
責任をなすりつけた選挙管理委員会委員長の言動が気に入らないという点で意見が一致し、
道すがらのラーメン屋で一転して推察を繰り広げることに――という話。序盤に何気なく提示
された情報がきっかけとなって解答を導き出すことになるのだが、罪をなすりつけられた
一年の選挙管理委員や真犯人の具体的な情報が言及されていないのは、この話で最も重要なのは
フーダニットではなくハウダニットであるということを呈示している。
また、話の本筋とは少し外れるが、ふたりの会話の内容から、奉太郎がえるに対して
社会的階級の違いをまざまざと感じされられていることに言及しており、おそらくこれが何か
の伏線になっていることを予感させる。

『鏡には映らない』
日曜日。Gペンを買いに街に出た摩耶花は鏑矢中学時代の同級生と偶然再会する。
ふとしたきっかけで折木奉太郎の名前が出たとき、嫌悪感を隠そうとしなかった彼女の表情に
摩耶花は中学三年の頃の話を思い出す。
卒業制作で大きな鏡のフレームを作ることになった三年生。フレームを細かく分割し、
各グループでひとつのパーツを彫刻刀で彫り、再びそれを組み合わせることになっていたが、
締め切りギリギリに奉太郎が提出したのは明らかに手抜きをしたであろう代物だった。
いざフレームを組み上げると、場所ごとに出来の善し悪しがばらけていたことに一度は
安心した摩耶花だったが、デザインを担当した鷹栖亜美の態度が急変したことから奉太郎は
その責任を一身に背負うスケープゴートにされてしまう。だが、えるの叔父のメッセージを
汲み取り、未完の映画を完成させ、なんだかんだ言って真面目に文集を仕上げた奉太郎と
フレームに手を抜いた当時の奉太郎が一致せず、何か別の理由があるのではないかと考え
奉太郎に色々尋ねるが適当にはぐらかされてしまう。そこで摩耶花は自分で調査を
始めるのだが――という話。
確か小説野性時代掲載時は、摩耶花が奉太郎と里志の目の前で真相を突き付けるのではなく、
摩耶花が奉太郎に謝ることで真相にたどり着いたことを悟った奉太郎が摩耶花に軽く手を
挙げるという終わり方だったと記憶している。
『クドリャフカの順番』以来である摩耶花視点で描かれており、本シリーズでは初めて
奉太郎以外が探偵役を務めている。また、なぜこのシリーズの当初で摩耶花が奉太郎に
対しあまり良くない感情を抱いていたのかという理由が分かる。

『連峰は晴れているか』
部室の窓の外に飛ぶ一機のヘリコプターを見た奉太郎が、中学時代の教師・小木が授業中、
同じく部室の窓の外に飛ぶ一機のヘリコプターを見て「ヘリが好きなんだ」と言っていた
ことを思い出すが、里志の「編隊を組む自衛隊のヘリには興味を持たなかった」という言葉に、
小木は本当にヘリコプターが好きだったのだろうか、そして雷が多い地域ではないにも
かかわらず「雷に三度打たれた」という小木のエピソードに疑問を抱いた奉太郎はその
真相を調べることに……が簡単なあらすじ。
小説野性時代に掲載されたあと単行本化されることなくアニメーション化され、
さらにコミカライズ化されたのちようやく単行本化されるという、順番が前後してしまった
珍しい経緯があるエピソードであり、本巻唯一のアニメーション化されているエピソードでもある。
この出来事から数年の時を経て、仲間が遭難する中、気丈にも授業を執り行い、あまつさえ
自身の動揺を悟られまいとヘリコプターに興味があるふりまでした小木の思いを知るとともに、
物事の表面だけを見てすべてを断じるべきではない(これを奉太郎は『無神経』と表現した)と
いうことを読者に突き付けている。

『わたしたちの伝説の一冊』
文化祭の一件(参照:クドリャフカの順番)から漫画研究会は、『読む派』と『描く派』に分裂し、
もはや関係の修復は不可能な状態になっていた。そんな折、摩耶花は『描く派』の浅沼から
部費を流用して同人誌を作り、漫画研究会は漫画を描くところだということを明らかにしようと
持ちかけられる。この企てには田井、西山、針ヶ谷も参加することになっていたが部長の湯原が
引退し、パワーバランスが崩壊するとともに『読む派』の羽仁が新部長に就任、追い詰められた
田井がすべてを吐いてしまったため、摩耶花と浅沼は吊し上げられ、同人誌を完成させたら
『読む派』は退部して新しい部活を立ち上げる、逆なら『描く派』が退部させられるという
条件を呑まされてしまう。そんな中、摩耶花がしたためていたネームを描いたノートが
盗まれてしまい――というストーリー。
純粋に漫画を描きたかっただけだったのが、いつの間にか『読む派』を追い出すことが
目的となってしまったことを通じ、実は本作には「現状維持バイアスにかまけてレベルの低い
ところに居続けると時間や才能を奪われる」という教訓が含まれていることが分かる。
また、実は摩耶花が隠れて努力をして、その結果が少しずつ出つつあるとともに、かつて対立
していた河内亜也子(作中作『ボディトーク』の作者)と「互恵関係」になったのはある意味
救いなのかも知れない。

『長い休日』
日曜日。珍しく体調が良い奉太郎は午後から散歩がてら自宅から適度な距離に位置する
荒楠神社に向かうと、境内で偶然十文字かほと出会い、「えるもいる」と言われるがままに
詰所内にあるかほの部屋に連れて行かれ、えると会う。かほが買い物に行っている間、
えると一緒に神社の清掃をすることになった奉太郎はえるから「やらなくていいことなら、
やらない。やらなければいけないことなら手短に」という考えに至ったのかという質問を
受ける。そこで奉太郎は小学生の時のある出来事を話し始める――というのが序盤の
ストーリー。
小学生の頃の話であるため、周囲から都合の良い存在として使われる程度で済んでは
いるが、実は『氷菓』において周囲によって名目上のリーダーに仕立て上げられ、
スケープゴートにされた関谷純の姿がオーバーラップする。つまり奉太郎は
『省エネ主義』というよりも、他者に自分のリソースを使われることに対し癪に
触ったということになる。

『いまさら翼といわれても』
二年の夏休み初日。摩耶花から奉太郎のもとにえるの居場所を尋ねる電話がかかってくる。
今日市民文化会館で開催される市の合唱祭に参加予定、しかもソロパートがあるえるが
バスで文化会館に到着してからの行方が分からなくなってしまったという。
奉太郎は文化会館に向かうとともに、えるがどこに行ってしまったのか、そしてその理由を
探るべく、考えを巡らせる――というおはなし。
本作を読み終えることで『いまさら翼といわれても』が何を意味しているのかが分かるだけ
でなく、彼女の中で信じ、受け入れていたものが崩壊してしまったというシリーズの重大な
転換点であろう展開から、個人的にはおそらく次に描かれるであろう長編は千反田家の謎と、
えるに『翼』が与えられた理由について迫る話になると勝手に睨んでいる。
いまさら翼といわれても (角川文庫) Amazon書評・レビュー: いまさら翼といわれても (角川文庫)より
4041081645
No.108
(3pt)

瑞々しい青春の自意識

このシリーズはミステリーというより青春小説です
高校生の成長や変化をゆったりとしたペースで追っていくので、この短編集だけでは魅力を味わうことはできません。
日常におけるささやかな疑問とその推理という要素にはたいした娯楽性はないのですが、そのささやかな回り道の過程や終着にパッと現れる高校生の心の機微は素晴らしいなと思います

表題作「いまさら翼といわれても」は期待外れでした。過去作「遠まわりする雛」で出た結論が今度は前提がひっくりかえってしまって振り出しに戻されたみたいな形で終わります
「遠まわりする雛」では主人公の心境の変化が述べられることで最大のカタルシスがありました。それと比べるとだいぶ見劣りしてしまいます
短編集の最後の収録作品にメインストーリーを扱った小品をいれるという手法は「遠まわりする雛」「いまさら翼といわれても」に共通しています。でも前者はカタルシスがあり後者には投げ出された感覚があります。刊行ペースのゆったりとしているシリーズならば、状況の変化のその先までしっかり読ませてほしかったですね
ネタバレになるので詳しくは説明しませんが、読んだ方はこの繰り返し感をわかってもらえると思います(良し悪しは個々の感想として)

収録作のひとつ「わたしたちの伝説の一冊」について
私も部活で似たような経験があります
「自分には才能があり志があるから、他の者に足を引っ張られている場合ではない」
この登場人物と似たようなことをいう人には実際に何人か出会いました
そう言って漫研を去っていった彼らは皆その後大成していません
プロになるような才能の持ち主はそれくらいのことものともせずに黙々と描いていました
その尊大さこそ青春の瑞々しい自意識であり、このシリーズのテーマからすると正しいのかもしれません
伊原のキャラクター的にはあの誘いには乗らずに部に留まって別の道をいってほしかったな。これも成長と変化ということでしょうか
P223で「浅沼さんと漫画の話をしたことはことはない」とありますが、P165では伊原が彼女に漫画のアドバイスを送っています。この矛盾は致命的なミスです。ストーリーのための憎まれ役にされた浅沼さんが哀れでなりません。彼女に人間的欠点があったにせよです
古典部シリーズはいじめとか人間の負の部分がよく出てきますけど、その語り口は、そういう至らない部分も含めて人間さというような寛容ではなく、辛辣というか見下したような視点を感じます
個人的にはどこか引っかかりを覚える要素なんですが、これも語りの主体が高校生自身と考えれば青春小説らしいのかもしれません
良くも悪くも青春くさい小説です
いまさら翼といわれても Amazon書評・レビュー: いまさら翼といわれてもより
4041047617
No.107
(4pt)

古典部メンバーたちがそれぞれ転機をむかえるシリーズ第6作

本書は〈古典部〉シリーズ第6作で、6つの短編で構成されています。各作品内の時期は、折木 奉太郎、千反田 える、福部 里志、伊原 摩耶花、と古典部メンバーの4人が2年に進級して以降、おそらくは1学期内にあたります(「連峰は晴れているか」以外)。

・「箱の中の欠落」(6月)
・「鏡には映らない」(おそらく第5作『二人の距離の概算』(5月末)以降)
・「連峰は晴れているか」(時期不明)
・「わたしたちの伝説の一冊」(5月中旬)
・「長い休日」(2年進級以降という以外不明)
・「いまさら翼と言われても」(夏休みの数日前から夏休み初日)

「箱の中の欠落」は本書のなかで一番「ミステリ」しています。一見するとドライな奉太郎と里志の関係はたがいに尊重しあっているからこそ、というのがうかがえる1篇でした。

「鏡には映らない」「わたしたちの伝説の一冊」の2篇の語り手は、いつもの奉太郎ではなく、摩耶花。安楽椅子探偵型の奉太郎よりも一般人の感性をもち、好奇心と行動力と執念をそなえた彼女は、ハードボイル型探偵のように当たって砕けろの精神で謎を追います。「鏡には映らない」では奉太郎に対する誤解をとき、「わたしたちの伝説の一冊」では第3作『クドリャフカの順番』における漫画研究会の内部抗争に決着をつけることになります。

「連峰は晴れているか」「長い休日」の2篇は、えるが奉太郎について理解を深めていく物語。とくに「長い休日」では、「やらなくてもいいことなら、やらない」という奉太郎のモットーの由来が明かされます。そして彼のそんな「長い休み」を終わらせたのは…。奉太郎とえるがお互いを意識し合う様子がうかがえて、ほほえましい1篇でした。

「いまさら翼と言われても」では、優等生えるの謎の失踪が描かれます。奉太郎をかりたてるのは、やはり彼女の存在。事件をとおして奉太郎は、えるが抱える責任と覚悟の重さ、それゆえの苦しみの大きさを知っていきます。本書のなかではもっとも苦みがある1篇でした。

全篇をとおして、シリーズいつものことながら、嫉妬、焦燥、葛藤、逡巡、不安など青春時代ならではの自意識のゆらぎがうまくとらえられています。2年に進級したことで、進路にまつわる話もからんできました。終わり方がけっこう引きずるものだったので、読了したそばから早く続きが読みたくなります。
そろそろシリーズも半ばあたりまで過ぎたでしょうか。この先どんどんと、卒業を見すえる古典部メンバーたちの内面が掘り下げられる比重が増していくと思われますが、できるだけ彼らには苦みのある結末が訪れないようにと願うばかりです。
いまさら翼といわれても Amazon書評・レビュー: いまさら翼といわれてもより
4041047617
No.106
(3pt)

瑞々しい青春の自意識

このシリーズはミステリーというより青春小説です
高校生の成長や変化をゆったりとしたペースで追っていくので、この短編集だけでは魅力を味わうことはできません。
日常におけるささやかな疑問とその推理という要素にはたいした娯楽性はないのですが、そのささやかな回り道の過程や終着にパッと現れる高校生の心の機微は素晴らしいなと思います

表題作「いまさら翼といわれても」は期待外れでした。過去作「遠まわりする雛」で出た結論が今度は前提がひっくりかえってしまって振り出しに戻されたみたいな形で終わります
「遠まわりする雛」では主人公の心境の変化が述べられることで最大のカタルシスがありました。それと比べるとだいぶ見劣りしてしまいます
短編集の最後の収録作品にメインストーリーを扱った小品をいれるという手法は「遠まわりする雛」「いまさら翼といわれても」に共通しています。でも前者はカタルシスがあり後者には投げ出された感覚があります。刊行ペースのゆったりとしているシリーズならば、状況の変化のその先までしっかり読ませてほしかったですね
ネタバレになるので詳しくは説明しませんが、読んだ方はこの繰り返し感をわかってもらえると思います(良し悪しは個々の感想として)

収録作のひとつ「わたしたちの伝説の一冊」について
私も部活で似たような経験があります
「自分には才能があり志があるから、他の者に足を引っ張られている場合ではない」
この登場人物と似たようなことをいう人には実際に何人か出会いました
そう言って漫研を去っていった彼らは皆その後大成していません
プロになるような才能の持ち主はそれくらいのことものともせずに黙々と描いていました
その尊大さこそ青春の瑞々しい自意識であり、このシリーズのテーマからすると正しいのかもしれません
伊原のキャラクター的にはあの誘いには乗らずに部に留まって別の道をいってほしかったな。これも成長と変化ということでしょうか
P223で「浅沼さんと漫画の話をしたことはことはない」とありますが、P165では伊原が彼女に漫画のアドバイスを送っています。この矛盾は致命的なミスです。ストーリーのための憎まれ役にされた浅沼さんが哀れでなりません。彼女に人間的欠点があったにせよです
古典部シリーズはいじめとか人間の負の部分がよく出てきますけど、その語り口は、そういう至らない部分も含めて人間さというような寛容ではなく、辛辣というか見下したような視点を感じます
個人的にはどこか引っかかりを覚える要素なんですが、これも語りの主体が高校生自身と考えれば青春小説らしいのかもしれません
良くも悪くも青春くさい小説です
いまさら翼といわれても (角川文庫) Amazon書評・レビュー: いまさら翼といわれても (角川文庫)より
4041081645
No.105
(4pt)

古典部メンバーたちがそれぞれ転機をむかえるシリーズ第6作

本書は〈古典部〉シリーズ第6作で、6つの短編で構成されています。各作品内の時期は、折木 奉太郎、千反田 える、福部 里志、伊原 摩耶花、と古典部メンバーの4人が2年に進級して以降、おそらくは1学期内にあたります(「連峰は晴れているか」以外)。

・「箱の中の欠落」(6月)
・「鏡には映らない」(おそらく第5作『二人の距離の概算』(5月末)以降)
・「連峰は晴れているか」(時期不明)
・「わたしたちの伝説の一冊」(5月中旬)
・「長い休日」(2年進級以降という以外不明)
・「いまさら翼と言われても」(夏休みの数日前から夏休み初日)

「箱の中の欠落」は本書のなかで一番「ミステリ」しています。一見するとドライな奉太郎と里志の関係はたがいに尊重しあっているからこそ、というのがうかがえる1篇でした。

「鏡には映らない」「わたしたちの伝説の一冊」の2篇の語り手は、いつもの奉太郎ではなく、摩耶花。安楽椅子探偵型の奉太郎よりも一般人の感性をもち、好奇心と行動力と執念をそなえた彼女は、ハードボイル型探偵のように当たって砕けろの精神で謎を追います。「鏡には映らない」では奉太郎に対する誤解をとき、「わたしたちの伝説の一冊」では第3作『クドリャフカの順番』における漫画研究会の内部抗争に決着をつけることになります。

「連峰は晴れているか」「長い休日」の2篇は、えるが奉太郎について理解を深めていく物語。とくに「長い休日」では、「やらなくてもいいことなら、やらない」という奉太郎のモットーの由来が明かされます。そして彼のそんな「長い休み」を終わらせたのは…。奉太郎とえるがお互いを意識し合う様子がうかがえて、ほほえましい1篇でした。

「いまさら翼と言われても」では、優等生えるの謎の失踪が描かれます。奉太郎をかりたてるのは、やはり彼女の存在。事件をとおして奉太郎は、えるが抱える責任と覚悟の重さ、それゆえの苦しみの大きさを知っていきます。本書のなかではもっとも苦みがある1篇でした。

全篇をとおして、シリーズいつものことながら、嫉妬、焦燥、葛藤、逡巡、不安など青春時代ならではの自意識のゆらぎがうまくとらえられています。2年に進級したことで、進路にまつわる話もからんできました。終わり方がけっこう引きずるものだったので、読了したそばから早く続きが読みたくなります。
そろそろシリーズも半ばあたりまで過ぎたでしょうか。この先どんどんと、卒業を見すえる古典部メンバーたちの内面が掘り下げられる比重が増していくと思われますが、できるだけ彼らには苦みのある結末が訪れないようにと願うばかりです。
いまさら翼といわれても (角川文庫) Amazon書評・レビュー: いまさら翼といわれても (角川文庫)より
4041081645
No.104
(5pt)

ミステリー小説であると同時に、苦々しさのある青春小説

2年生になった古典部員それぞれの変化、成長が見て取れる短編集。
いつもどおりミステリーとしても面白いが、それ以上に丁寧に描かれている登場人物の心情や葛藤が素晴らしい。
単純な正義感や知的好奇心で謎を解くミステリーとは違い、謎を解く理由や動機に人間味と面白味がある。
古典部シリーズファンなら絶対に読んだ方がいい一冊。
いまさら翼といわれても Amazon書評・レビュー: いまさら翼といわれてもより
4041047617
No.103
(5pt)

ラスト2編が白眉で古典部シリーズファンなら必読

これは明らかに古典部シリーズを読んで来た読者のみが対象で、この作品だけで読んでも面白さは感じられないに違いない。が、古典部シリーズを読んで来た読者にとっては、主要メンバー4人の少々不思議な関係の謎の一端が明かされる、読み甲斐のある作品群だ。とりわけラストの表題作とその前に置かれた「長い休日」が白眉。奉太郎が姉に言われた「きっと誰かが、あんたの休日を終わらせるはずだから」。それに続いて千反田えるの苦しみを推理してえるに迫る奉太郎。奉太郎が、女の影響で成長する様が見事に表されており、ストンと腑に落ちた。
 ラスト2編を読むだけでも十分満足のいく作品群だったと思う。古典部シリーズファンなら必読だ。
いまさら翼といわれても Amazon書評・レビュー: いまさら翼といわれてもより
4041047617
No.102
(5pt)

ミステリー小説であると同時に、苦々しさのある青春小説

2年生になった古典部員それぞれの変化、成長が見て取れる。
いつもどおりミステリーとしても面白いが、それ以上に丁寧に描かれている登場人物の心情や葛藤が素晴らしい。
単純な正義感や知的好奇心で謎を解くミステリーとは違い、謎を解く理由、動機に人間味と面白味がある。
古典部シリーズファンなら絶対に読んだ方がいい一冊。
いまさら翼といわれても (角川文庫) Amazon書評・レビュー: いまさら翼といわれても (角川文庫)より
4041081645
No.101
(5pt)

4章目「わたしたちの伝説の一冊」感想

ネタバレあります

謎になっていた伊原摩耶花が漫研を退部する部分が描かれたストーリー。
ギクシャクが更に酷くなって辞めたんだろう程度に思っていた自分が浅はかだった。いつもの推理要素は非常に少ない話だが、そんな事どーでも良くなるくらい深く染み込む内容だった。最後は柄にもなく泣いた。
アニメ版で河内先輩の事を人間性的に嫌いなタイプだと思っていたが、今回の話を読んで見方が180度変わった。と言うか、今でも学園祭時点の河内先輩と出会えば、この人嫌いなタイプだと感じるだろう。ただ、学園祭当時から見え隠れしていた彼女の努力と悲痛。そう言った経験の中から、最終的に導き出される河内先輩の生き方の答えが、今回変化したことにより、嫌いな人からイキナリ大好きな人になった。
そして、そういう意味で言えば伊原に対しても、私は同じ感情を抱いていた事に気づかされた。伊原は主人公サイドなのでマイナスに描かれる事が少なく、また人間性として尊敬できる存在なので、私自身自覚できていなかった。しかし、伊原に対しても、漫画を描きたいだけだと超然的な事を思いながら、漫研を辞めるでもなく漫研を変えるでもない姿勢に擬かしさや苛立ちに近いものを感じていた。それが、今回一足先に変わった河内先輩によって、伊原も変わり、私の中でグッと好きになった。更に言えば、河内先輩を一足先に変えたのが、無自覚ながら伊原だという点にも感動した。

この「わたしたちの伝説の一冊」を読んで、今の段階で「この人嫌いなタイプだな」と思った相手が、明日もそうとは限らないんだと気付かされた。そして、伊原が河内先輩を変え、河内先輩が伊原を変えたように、自分が嫌いだった誰かを大好きな人に変えることもあるのだ。勿論、河内先輩や伊原が漫研の人達を見捨てたように、全ての人に対してそんな努力をする必要もないし、自分が好む人間が全てにおいて正しいなんて思うほど傲慢じゃない。ただ、学園祭の頃の河内先輩や伊原のように、「今の君は好きじゃない。それでも、君には何か感じる物がある。」そんな相手とは、例え苦手だと感じていても、関係を持っていくようにしたいと思う。

そして、本当に大事な事を見据え、つまらない人間関係に囚われて人生を無駄にするのは止めようと思う。
今回も素敵な話をありがとう。
いまさら翼といわれても Amazon書評・レビュー: いまさら翼といわれてもより
4041047617
No.100
(5pt)

奉太郎を掘り下げた一冊

最後まで読んでの感想ですが、この一冊は奉太郎という人物を掘り下げた一冊だと思います。
省エネ主義の奉太郎が省エネ主義をやめるためのプロローグであり、遠回りする雛からじわりじわりと進展しているえるとの関係の折り返し点だと思います。そう思うと今後の進展が気になる一冊です。
いまさら翼といわれても Amazon書評・レビュー: いまさら翼といわれてもより
4041047617
No.99
(5pt)

登場人物への理解が深まる短編集

奉太郎が省エネ主義を始めた理由についての話や、これまで単行本ではなかった摩耶花目線の話など、登場人物への理解が深まる古典部のファンは必読の短編集。
いまさら翼といわれても Amazon書評・レビュー: いまさら翼といわれてもより
4041047617
No.98
(5pt)

良い

短編集であるが、一つ一つの話がかなり良い
その後は想像にお任せします的な感じだが余韻が残る
いまさら翼といわれても (角川文庫) Amazon書評・レビュー: いまさら翼といわれても (角川文庫)より
4041081645
No.97
(5pt)

良い

短編集であるが、一つ一つの話がかなり良い
その後は想像にお任せします的な感じだが余韻が残る
いまさら翼といわれても Amazon書評・レビュー: いまさら翼といわれてもより
4041047617
No.96
(5pt)

あっさりしてて良い。

短編なのであっさりしてる。けれど、読者に色々考えさせてくれる良い本だと思いました。
いまさら翼といわれても Amazon書評・レビュー: いまさら翼といわれてもより
4041047617
No.95
(5pt)

古典部メンバーたちがそれぞれ転機をむかえるシリーズ第6作

本書は〈古典部〉シリーズ第6作で、6つの短編で構成されています。各作品内の時期は、折木 奉太郎、千反田 える、福部 里志、伊原 摩耶花、と古典部メンバーの4人が2年に進級して以降、おそらくは1学期内にあたります(「連峰は晴れているか」以外)。

・「箱の中の欠落」(6月)
・「鏡には映らない」(おそらく第5作『二人の距離の概算』(5月末)以降)
・「連峰は晴れているか」(時期不明)
・「わたしたちの伝説の一冊」(5月中旬)
・「長い休日」(2年進級以降という以外不明)
・「いまさら翼と言われても」(夏休みの数日前から夏休み初日)

「箱の中の欠落」は本書のなかで一番「ミステリ」しています。一見するとドライな奉太郎と里志の関係はたがいに尊重しあっているからこそ、というのがうかがえる1篇でした。

「鏡には映らない」「わたしたちの伝説の一冊」の2篇の語り手は、いつもの奉太郎ではなく、摩耶花。安楽椅子探偵型の奉太郎よりも一般人の感性をもち、好奇心と行動力と執念をそなえた彼女は、ハードボイル型探偵のように当たって砕けろの精神で謎を追います。「鏡には映らない」では奉太郎に対する誤解をとき、「わたしたちの伝説の一冊」では第3作『クドリャフカの順番』における漫画研究会の内部抗争に決着をつけることになります。

「連峰は晴れているか」「長い休日」の2篇は、えるが奉太郎について理解を深めていく物語。とくに「長い休日」では、「やらなくてもいいことなら、やらない」という奉太郎のモットーの由来が明かされます。そして彼のそんな「長い休み」を終わらせたのは…。奉太郎とえるがお互いを意識し合う様子がうかがえて、ほほえましい1篇でした。

「いまさら翼と言われても」では、優等生えるの謎の失踪が描かれます。奉太郎をかりたてるのは、やはり彼女の存在。事件をとおして奉太郎は、えるが抱える責任と覚悟の重さ、それゆえの苦しみの大きさを知っていきます。本書のなかではもっとも苦みがある1篇でした。

全篇をとおして、シリーズいつものことながら、嫉妬、焦燥、葛藤、逡巡、不安など青春時代ならではの自意識のゆらぎがうまくとらえられています。2年に進級したことで、進路にまつわる話もからんできました。終わり方がけっこう引きずるものだったので、読了したそばから早く続きが読みたくなります。
そろそろシリーズも半ばあたりまで過ぎたでしょうか。この先どんどんと、卒業を見すえる古典部メンバーたちの内面が掘り下げられる比重が増していくと思われますが、できるだけ彼らには苦みのある結末が訪れないようにと願うばかりです。
いまさら翼といわれても Amazon書評・レビュー: いまさら翼といわれてもより
4041047617
No.94
(4pt)

読んで損はなかった。

本書は古典部シリーズの中で一番充実した内容だったと思う。六作のうち二作は伊原視点の話だったがもう伊原を本シリーズの主人公にしても良いんじゃないかというくらいよくできていた。過去の作品も読み返したくなるのと同時に古典部の面々の個性を存分に楽しめるものとなっていた。

ただ、男子高校生の発する台詞にしてはどこかサラリーマンに近い印象を抱いた。個性は別にして物凄く意識して書かれているんだろうけど行き過ぎな気もしてくる。一話目の話もサラッと終わったのには驚いた。

だが全体的な面白さが揺らぐほどではなかった。相変わらずこんな華奢で読者の思い通りになる高校生活が送れたらどんなにいいか、と思える一冊であった。続編も期待。
いまさら翼といわれても Amazon書評・レビュー: いまさら翼といわれてもより
4041047617
No.93
(5pt)

古典部メンバーたちがそれぞれ転機をむかえるシリーズ第6作

本書は〈古典部〉シリーズ第6作で、6つの短編で構成されています。各作品内の時期は、折木 奉太郎、千反田 える、福部 里志、伊原 摩耶花、と古典部メンバーの4人が2年に進級して以降、おそらくは1学期内にあたります(「連峰は晴れているか」以外)。

・「箱の中の欠落」(6月)
・「鏡には映らない」(おそらく第5作『二人の距離の概算』(5月末)以降)
・「連峰は晴れているか」(時期不明)
・「わたしたちの伝説の一冊」(5月中旬)
・「長い休日」(2年進級以降という以外不明)
・「いまさら翼と言われても」(夏休みの数日前から夏休み初日)

「箱の中の欠落」は本書のなかで一番「ミステリ」しています。一見するとドライな奉太郎と里志の関係はたがいに尊重しあっているからこそ、というのがうかがえる1篇でした。

「鏡には映らない」「わたしたちの伝説の一冊」の2篇の語り手は、いつもの奉太郎ではなく、摩耶花。安楽椅子探偵型の奉太郎よりも一般人の感性をもち、好奇心と行動力と執念をそなえた彼女は、ハードボイル型探偵のように当たって砕けろの精神で謎を追います。「鏡には映らない」では奉太郎に対する誤解をとき、「わたしたちの伝説の一冊」では第3作『クドリャフカの順番』における漫画研究会の内部抗争に決着をつけることになります。

「連峰は晴れているか」「長い休日」の2篇は、えるが奉太郎について理解を深めていく物語。とくに「長い休日」では、「やらなくてもいいことなら、やらない」という奉太郎のモットーの由来が明かされます。そして彼のそんな「長い休み」を終わらせたのは…。奉太郎とえるがお互いを意識し合う様子がうかがえて、ほほえましい1篇でした。

「いまさら翼と言われても」では、優等生えるの謎の失踪が描かれます。奉太郎をかりたてるのは、やはり彼女の存在。事件をとおして奉太郎は、えるが抱える責任と覚悟の重さ、それゆえの苦しみの大きさを知っていきます。本書のなかではもっとも苦みがある1篇でした。

全篇をとおして、シリーズいつものことながら、嫉妬、焦燥、葛藤、逡巡、不安など青春時代ならではの自意識のゆらぎがうまくとらえられています。2年に進級したことで、進路にまつわる話もからんできました。終わり方がけっこう引きずるものだったので、読了したそばから早く続きが読みたくなります。
そろそろシリーズも半ばあたりまで過ぎたでしょうか。この先どんどんと、卒業を見すえる古典部メンバーたちの内面が掘り下げられる比重が増していくと思われますが、できるだけ彼らには苦みのある結末が訪れないようにと願うばかりです。
いまさら翼といわれても Amazon書評・レビュー: いまさら翼といわれてもより
4041047617
No.92
(5pt)

シリーズ最高傑作

個人的にシリーズで最も読み応えのあった一冊。
主人公である奉太郎という人柄の昔と変わらない根っこの部分や、成長した部分が改めてよく分かり一層好きになれました。
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4041047617
No.91
(4pt)

シリーズものなんですね

『満願』や『王とサーカス』『真実の10メートル手前 』と続けて読んでみて、どれもすごく面白かったので、ミステリの短編集ということで手に取ってみたのですが、なんとなく人物描写があっさりしていて、説明なく次々といろんな人が出てきて混乱していたら、シリーズものだということに気づきました。
3話目くらいからだいたいの人物設定が分かって来てぐんと面白くなってきました。
ミステリーというか、日常的なちょっとした謎を解いていく話で、この作品集から読み始めてももちろんいいと思うのですが、心が動かされる話も多いので、やはりある程度キャラクターをつかんでから読んだ方が楽しめるかな?、と思いました。
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4041047617
No.90
(5pt)

この本に出会えてよかった

私は、自分が何かに悩んでいたり、ストレスを感じているとき、自己中心的な考えが頭をよぎることがある。
この本を読むとなぜだろう、、
とても清々しい気分になる。
この本の中では、主人公のホータロが、省エネ主義になった経緯や、不意に家族から告げられた事柄に戸惑い、将来に不安を抱える千反田えるが描かれる。
自分が今思っている考えや、理念が何に基づくものかを今一度考えさせてくれる一冊。
これをミステリーと呼んでいいの?
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4041047617