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ある詩人への挽歌



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ある詩人への挽歌の評価: 4.78/5点 レビュー 9件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.78pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全9件 1~9 1/1ページ
No.9:
(5pt)

面白い

前半はやや冗長的かなって感じ、帯の煽りに騙されたのかなと思いつつ読みすすめましたが、
ページが進むにつれドンドン面白くなっていきます。さすが江戸川乱歩だと思います。
ある詩人への挽歌 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:ある詩人への挽歌 (創元推理文庫)より
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No.8:
(5pt)

ゴシックミステリの傑作

スコットランドの古城を舞台にしたゴシックミステリの古典的傑作―。持ってまわった語り口や、ペダンチックな引用や比喩などが、いくぶん読みづらさを感じさせはする。ただ、それが舞台となる古城の重厚・堅牢な威容と、その城壁に暗い蔓草の繁盛のように張りついた、城主たちの卑俗で猥雑な息づかいが充満する、独特のエキセントリックな作品世界をしっかりと屹立させてもいる。またタイトルにつながる詩の朗唱が、物語の底流につねに波をうっているような書きっぷりも、ミステリアスな雰囲気や文学的な匂香をかもして、巧みな効果をあげている。

吝嗇で嫌われ者の地主が、不可解な転落死を遂げるまでの前半は、いくぶん退屈さを感じさせもするが、その後は、淀んだ血と情念の物語を絡ませた謎解きが、二転三転四転と、何層ものスリルと意外性を重ねて展開し、飽きさせない面白さがある。ライトノベル的な文章や人物造形に、奇想天外なトンデモ・トリック配した近年の国産ミステリを嗜好されるムキには、取っつきにくくもあり、物足りなさも感じるかも知れないが、ヴァン・ダインやディクスン・カーなどの古典ミステリを愛読される方には、味わい深く楽しめる傑作ではないかと思う。
ある詩人への挽歌 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:ある詩人への挽歌 (創元推理文庫)より
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No.7:
(5pt)

書かれて大分たつけど今読んでも面白い推理小説

スコットランドの領地で領主が墜死し様々な憶測が流れるが・・・というお話。

はっきり言って推理小説としてはありきたりな作品でなくもないというのが読了後の感想でした。謎やその解決、キャラクター造形等、最近の進化した推理小説を読んでいると、些か軽く見えてしまうのも事実。本書のようなものが書き継がれて現代の最先端のミステリへの道程を作ったことを念頭に置けばその歴史的価値は重いと思いますが、今、2010年代に読んで面白いかどうかは評価が別れるのではないかと思いました。

ただ、この当時のこの地域の庶民の暮らしぶり、ものの考え方、時代風俗等は今読むと結構新鮮で資料的価値が高いのではないかとも思いました。そういう部分に感心を持って読めばこれはこれで十分面白かったです(著者は最初に書いた時こういう風に読まれるとは想定していなかったでしょうが)。

それとシリーズキャラクターのアップルビイの出番が少なくて多少がっかりしました。叙述が色々な登場人物が入れ替わり立ち替わりで証言していくスタイルなのでいたしかたないですが。出来ればもうちょっと活躍してもらいたかったですね。

著者のイネスは推理小説について、軽く提供され軽く読まれるべきもの、と定義していたそうですが、確かに本書を読んでそういう印像を受けました。読んだ人の人生を変えたり、社会を改善したり、歴史を塗り替えるような要素が殆どなく、ただ読んで面白いかつまらないかだけに特化した推理小説。これこそ王道だと思いました。世界ベスト10級の作品ではないと思いますが、それなりに面白い作品だと思います。

上記は以前、前の訳で読んだ際の感想ですが、今回新訳で読み直しても同じ様な感想を持ちました。ただ、前に読んだ際は気付かなかった部分も多く、ミステリとしての楽しみが結構濃いので、前に読んだ時よりも面白かったので、☆の数を増やしました。

また、読んだ時期がちょうど12月の年末の頃で、本書の舞台設定と同期していたので、感慨が増しました(これは偶然ですが)。

マイケル・イネスは本職の方ではシェイクスピアの研究者だったそうですが、探偵小説に関しては、上記の通り軽く提供され軽く読まれるべきもの、と定義していたそうで、日本の評論家でシェイクスピアに詳しかった吉田健一も、文学は真面目に接するものではない、学問ではないから勉強に使わない様に、と評論で書いておりましたが、この小説も悠揚迫らざる、のんびりとした語り口、陰惨な事件を扱いながらも不快にならない点で、軽く読めて良かったです。因みに吉田健一はイネスの「海から来た男」というサスペンスを翻訳しております。

書かれてから大部たちますが、今読んでも十分面白い推理小説。是非ご一読を。
ある詩人への挽歌 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:ある詩人への挽歌 (創元推理文庫)より
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No.6:
(5pt)

読み応えというか、読みにくいというか

読み終えるのに同じくらい長さのほかの小説に比べて、倍以上の時間がかかったような気がします。
田舎の噂話みたいな話を延々と読むことになる第一部から始まり、都会から来た青年が語る田舎の奇人たち・・・と物語は進んでいきます。
どんな状況で事件が起きたかを語るまでが長いと思う一方で、捜査がさくさく進みすぎるような印象を持ちますが、一皮剥くと、退屈な前半に伏線が隠されていたり、さくさく進む推理が意外にも迷走したりと、なかなか単純な読みを許してくれません。
正直なところ、せっかく作者が仕掛けたのに、読み落とした伏線や、気づかなかったほのめかしがたくさんあったと思います。
例えてみれば、険しい山を登るように読み解く難しさはありますが、登れば登ったなりの充実感や満足感を味わえるのも確かだと思います。
アクロバティックな論理があるわけではありませんが、物語を読み解く楽しさを味わいたいミステリ好きなら読んで損はないと思います。
ある詩人への挽歌 (現代教養文庫―ミステリ・ボックス)Amazon書評・レビュー:ある詩人への挽歌 (現代教養文庫―ミステリ・ボックス)より
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No.5:
(4pt)

最後のツメが...

教養文庫がこういった推理小説を出版していたことが少し
意外でした。江戸川乱歩がベスト5にあげたとのことですが
それほどすごい小説とは正直感じられませんでした。
第2部の青年の手紙記録はイキイキとした文章で面白く感じ
ましたが、最終の推理のツメが何かモタモタした印象で、私
にはシックリしませんでした。
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No.4:
(4pt)

推理小説として大傑作とは思えないけれど味わい深い小説とは思いました。

スコットランドの領地で領主が墜死し様々な憶測が流れるが・・・というお話。
はっきり言って推理小説としてはありきたりな作品でなくもないというのが読了後の感想でした。謎やその解決、キャラクター造形等、最近の進化した推理小説を読んでいると、些か軽く見えてしまうのも事実。本書のようなものが書き継がれて現代の最先端のミステリへの道程を作ったことを念頭に置けばその歴史的価値は重いと思いますが、今、2010年代に読んで面白いかどうかは評価が別れるのではないかと思いました。
ただ、この当時のこの地域の庶民の暮らしぶり、ものの考え方、時代風俗等は今読むと結構新鮮で資料的価値が高いのではないかとも思いました。そういう部分に感心を持って読めばこれはこれで十分面白かったです(著者は最初に書いた時こういう風に読まれるとは想定していなかったでしょうが)。
それとシリーズキャラクターのアップルビイの出番が少なくて多少がっかりしました。叙述が色々な登場人物が入れ替わり立ち替わりで証言していくスタイルなのでいたしかたないですが。出来ればもうちょっと活躍してもらいたかったですね。
著者のイネスは推理小説について、軽く提供され軽く読まれるべきもの、と定義していたそうですが、確かに本書を読んでそういう印像を受けました。読んだ人の人生を変えたり、社会を改善したり、歴史を塗り替えるような要素が殆どなく、ただ読んで面白いかつまらないかだけに特化した推理小説。これこそ王道だと思いました。世界ベスト10級の作品ではないと思いますが、それなりに面白い作品だと思います。
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No.3:
(5pt)

絶品!

村の長老格である靴直しの老人の手記から始まる本編は、その語り口と重厚さからブロンテの「嵐が丘」を彷彿させる。

内容もひたすら重苦しさと恐怖に満ちているのであるが、ゴシックサスペンス風と表現してしまうのは軽すぎで、引用も非常に難解で文学作品を読んでいるような感じがあるので、重厚な犯罪文学という感じが適切でしょうか。

トリックの派手さはないが、話を二転・三転させながら終始緊迫して終局へたどり着く筋の運び方は怖くもあり、犯人の意外性も見事。

テンポのいい現代物が好きな方にはあまりおすすめできないが、重厚な古典的推理小説が好きという方には自信をもっておすすめできます。
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4390130390
No.2:
(5pt)

乱歩が選ぶ1935年以後の世界ミステリ第5位

スコットランドの片田舎キンケイグ村にあるエルカニー城。そこの城主
ラナルド・ガスリーは、そのエキセントリックな言動により、村人から
常軌を逸した狂人と看做されていた。

そんなガスリーが、夜中に塔の胸壁から墜死してしまう。

事件の直前、ガスリーが後見人となっている娘と交際中の青年が
ガスリーと口論をしていたことから、その青年が容疑者となるが、
現場の状況や目撃者の証言から、自殺、他殺、事故死のいずれ
であるかはっきりとしない。

家庭事情や本人の性格についての議論や死因の推理によって、様々な仮説が
示された後、真相が導き出されるのだが、それはじつに驚くべきものだった……。

本作は七部に分かれ、複数の登場人物たちの手記
や手紙などのテキストによって、構成されています。

事件が起きるまでが長く、序盤は正直ダレるのですが、
事件の捜査が始まると、俄然、惹きこまれていきます。

特に、終盤のどんでん返しのつるべ打ちが圧巻。単純だと思っていた墜死事件が、
じつは周到に構築された多層構造を内包していたことには、感嘆させられました。
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No.1:
(5pt)

ミステリとしての鮮やかさに驚かされました。

イネスの第3長編です。前作「ハムレット復讐せよ」でイネスは退屈で読みにくいという印象を抱いた人にはお勧めしたい作品です。推理小説としてとても上手く出来ている上、前作のように登場人物が多すぎたり、無駄な部分が多く冗長になるようなこともない、簡潔で面白い仕上がりとなっています。
 トリックや真相はいかにも乱歩好みという感じで、さして独創的で度肝を抜くようなところはないものの、謎の提出と推理がとてもテンポ良くかつ鮮やかで、最後まで驚かせてくれます。さほど重くはないものの、読み応えがあり、ブレイクの作品に似た味わいもあり、海外新本格派らしい作品です。
 この作品は全七部に分かれていて、語り手がそれぞれ違うのですが、一人目と二人目では狂人と呼ばれるガスリーの言動や事件前の出来事を中心に語られていて、これは本格ではなくいわゆる犯罪小説かと思わされましたが、三人目の語り手の鮮やかな推理と真相に驚き満足し、これで終わりかと思えば浮上した疑問とアプルビイの更なる真相究明が始まり、まるで退屈しませんでした。この小説をつくるジグソー・パズルは次々と最後まで図柄を変えてくれるのです。派手ではありませんが、推理小説としてとても良く出来た読みやすい作品でした。
ある詩人への挽歌 (現代教養文庫―ミステリ・ボックス)Amazon書評・レビュー:ある詩人への挽歌 (現代教養文庫―ミステリ・ボックス)より
4390130390

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