(短編集)

殺人出産

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評判

殺人出産の評価:

3.48/5点 レビュー 80件。 C ランク

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平均点3.48pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全79件 61〜79 4/4ページ
No.19
(5pt)

最高!!!

すごく面白くて世界観に引き込まれした!こんな設定の話し中々ないと思ういます!!
殺人出産 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 殺人出産 (講談社文庫)より
4062934779
No.18
(5pt)

最高!!!

すごく面白くて世界観に引き込まれした!こんな設定の話し中々ないと思ういます!!
殺人出産 Amazon書評・レビュー: 殺人出産より
406219046X
No.17
(4pt)

よくぞ、ここまでの設定を想像したと驚かされた。

よくぞ、ここまでの設定を想像したと驚かされた。
ただし、設定のインパクトよりは内容は踏み込めていないような気がする。

主人公のいい加減さは意外と気に入った。

その他の作品についてもキラリと光る感性というか、小説家としての可能性を感じた。
もう少しほかの作品も読んでみようと思っている。
殺人出産 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 殺人出産 (講談社文庫)より
4062934779
No.16
(5pt)

著者独自の斬新な発想に驚愕

「コンビニ人間」を読んで、著者独自の視点で描いているストーリーがとても面白く、直後に本書を読んだ経緯。

表題作の「殺人出産」は10人産んだら、1人殺せるという「殺人出産システム」により人口が維持されている未来世界を描いている。
このシステムを利用する者は「産み人」として人々から崇められるなど、著者独自の視点がここでも大いに発揮されていて、とても面白い作品であった。

また表題作の「殺人出産」のほかにも「トリプル」、「清潔な結婚」、「余命」という作品も収録されている。
中でも「トリプル」は「殺人出産」に匹敵するほど、斬新であり、こうした斬新な切り口のストーリーを創作できる著者のこれまでの人生を覗き見たい気持ちにもなった。
村田沙耶香さんは今後も要チェックだ。
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4062934779
No.15
(4pt)

常識のアンチテーゼ

出産、子供、恋愛、セックス、死。
倫理的にそうあって当然の通念に対して、一矢報いる今作品。
殺人シーンの清廉性には凄みがある。
殺人出産 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 殺人出産 (講談社文庫)より
4062934779
No.14
(4pt)

第155回芥川賞作家、村田沙耶香さんの作品が文庫化されました!私は面白く読ませてもらいました!

「コンビニ人間」で第155回芥川賞を受賞した、村田沙耶香さんの2014年単行本で出版された作品が、文庫化されました。
 「コンビニ人間」を読んで興味を持ったので、本作も購入しました。
 以下の4作品が収録されています。
 1:殺人出産   2:トリプル   3:清潔な結婚   4:余命
 1:比較的長めの短編、というより中編といったほうが良いのかな。
 以下ネタバレがありますから、未読の人は、注意して下さい!!100年後の日本を描いているようなのですが、
 そこでは、人工授精で子供を産むのが常識の世界で、セックスを伴う出産などほとんどありえない世界になっています。
 しかし、10人子供を産めば、1人殺せるという制度があり・・・究極の少子化対策ですね!・・・、 
 この制度を利用する人を「産み人」と湯んでいますが、やはり合法的に人を殺せるということで、
 この制度にチャレンジする人も結構いるようです。また、男女が不平等にならないよう、男性も人工子宮を付け、「産み人」になることが出来ます。
 本作では、「産み人」を姉にもつ、妹の視点から物語が進行します。
 村田さんは、殺人シーンを描くのが喜びなのだそうで、本作もその趣旨に沿ってかかれてのかな、と思います。
 また、現在の、晩婚、人工授精、男性の女性化、ジェンダー・フリー・・・このような風潮を風刺したかにも思えます。
 2:これも少し変わった作品です。近い将来のお話だと思いますが、その頃10代では、カップルで付き合うより、
 トリプルで付き合うのが当たり前のようになっています。
 しかし、大人は、3人で付き合うと言えば、3Pなどの乱交を想像しますから、子どもたちが、トリプルで付き合うことは厳禁です。
 いわゆるセックスをしないで、穴を責めるという描写が続きますが・・・。
 これも、大人と子供の断絶、セックスレスになつているという、若者たちへの風刺ということなのかな? 
 3:そういう意味では、本作は、まさにセックスレス時代の男女を風刺した作品といえると思います。
 クリーン・ブリードなる変な妊娠方法が出てきますが、これは村田さんの趣味!!?
 4:ショート・ショートといってもいいくらいです。
 本作は、死を扱った作品です。これも近未来という設定だと思いますが、
 この時代では、死を自分の意志で自由に決定できるのです。
 今、尊厳死、あるいは安楽死という問題で意見が大きく分かれていますが、本作はそういった風潮への批判、あるいは風刺なのかな?
 人間というものは、自分の意志で生まれてくることはできません。
 しかし、死というのは、良し悪しは別として、本来自分の意志で決定できるもので、
 そういう意味では、将来このような時代が来るのかもしれません!!
 村田さんの作品をまだほとんど読んでいませんから偉そうなことは言えませんが、
 特異なシチュエーションで生と死、、そして、セックスを軸に描き、今ある姿を批判あるいは、風刺する、そのような作家のようです。
殺人出産 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 殺人出産 (講談社文庫)より
4062934779
No.13
(5pt)

少なくとも僕には面白かったです

『コンビニ人間』を読んで興味をもって、それで読んでみました。
僕には面白かったです。芥川龍之介の『河童』が好きな人なら、読んでいて面白いのでないかと思います。
内容はグロテスクなのかな? バタイユの『眼球譚』とか読んで大丈夫な人なら大丈夫と思います。
ただ妙なことを言いますと、グロテスクなものが好きな人には、言い知れない居心地の悪さを感じるかと思いますよ。たいていグロテスクな描写のある小説って、もっと情熱的ですから。これは本当に淡々としていて熱さの欠片もないし、グロなものを書いても社会で受け入れられるようにするための工夫も何もなく、やる気なく日常を遠くのほうから眺めているような生気の無い文脈の中で、グロテスクなものが、逆に作者が淡々とした傍観者のようなスタンスなるが故に、けっこうな生々しさで展開されるので、グロテスクなものが好きな人にも苦手な人にも受け付けないような感じに書けているんじゃないかって思います。その奇妙な居心地の悪さに、逆に変な共感を覚えて引きこまれそうになる感じがあるので、そこが何とも怖いです。(うまく説明できないな。僕の文章力ではとても言いたいことが伝わらないかと思います)。
世界観は全く説得力もなく納得も出来るものではないのだけれど、僕らの生きているこの現在の社会も、予備知識の何も無い遠い星の宇宙人に語って聞かせたら、「こんな世界があるなんて信じられない。なぜなら……」と、いくらでも矛盾点を指摘出来ることでしょう。
ここまで説得力の無い世界を描けるという点が、逆の意味でリアリティだと感じます。
説得力がなくてもリアリティがなくても、現に世界がそうであるからそうというのが、僕らの社会であるように、リアリティのある説明を社会から与えられない点がリアリティなのです。何か本質からずれた説明でお茶を濁され、優等生っぽい気質の人は、社会からの説明を真に受けるかまたは渋々受け入れ、そうでない反骨精神の人はそれを受け入れないわけだけど、反骨の人も代わりに信じるべき何かってのを社会のどこかから(それが書物からであっても何でも)探すしかないので、結局その人にとっての迫真性を感じるものを希求しながら生きていくしかないわけです。
正しさは地域性や時代性によって異なるので、相対的にしか与えられないわけですが、何かしら本能と結びつくような形で、奇妙な正しさを実感してしまうことがあります。そういった本能と結びついた奇妙な正しさが、社会的な正しさとなって規則を生み出してしまうこともあるわけで、そんなことの繰り返しで正しさは流動していき、ある正しさがある種の人々にとっては苦痛で、ある種の人々にとっては救いであるという、よくあるテーマをよくあるような感じに描いただけの作品なんですが、人によっての好き嫌いがこんなにも激しいのは、文体というかこの作者のスタイルに因るところが大きかろうと思います。
どうしても我々、権威主義にどこか凝り固まっているもので、作者に飛びきり高い知性を感じたり、それをほのめかすような華美で装飾過多な文体に出会ったりしますと、書かれている内容が大変気に入らなくても、文句をいうのはどこか気がひけるものです。自分の知性の欠如故に理解できぬだけかもしれぬと怯えるわけですね。
この作者の文体って、あっさりした気取っていない文体、というのを通り越して、小学生の作文のような文体ですからね。そしてそういう文体でも作者の知性に打ちのめされるような思いがすることは稀にあるものですが、この作者は自分の知性をひけらかすような部分が本当になくて、変な言い方をすれば知性そのものを馬鹿にしているような知性とでもいうか、我々にとっての普通とか日常とか常識とか当たり前みたいなものや、逆にもっと高度とされ社会から賞賛されるような思想や知識といったものを、冷静に白い目で見ているような感じの人なんですね。いきり立って常識に反旗を翻して攻撃的な文を書く人とかいますけど、そういうのでなくて一歩遠くから力なく第三者のように観察しているような生暖かい視点。この辺がとても斬新。これだけ抑え気味に文章が書ける人なのに、社会から認めてもらいたい気持ちも無い感じの文章ってのには、そうそう出会えない気がします。そういった部分がとても気に入っております。
全然言いたいことがうまく書けないけれど、僕の素直な感想です。偉そうに聞こえたらすみませぬ。そういうつもりは無いのですが。
殺人出産 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 殺人出産 (講談社文庫)より
4062934779
No.12
(4pt)

ジョルジュ・バタイユのエロティシズムを感じました

倫理・価値観の脆弱性および流動性というテーマが性的倒錯、中でもErotophonophiliaを背景に描かれています。舞台は殺人が合法化され蝉を食べる未来の世界です。いまにも嘔吐しそうな不快感を覚えますが、「昆虫はね、縄文時代には普通に食べられてたんだよ(本文より抜粋)」、古代の祭祀で行われた人身供犠など、我々の歴史とは決して無縁ではありません。10人産んだら一人殺してもいいシステム、ここにはジョルジュ・バタイユの言う“存在の連続性”が感じられます。祭祀・供犠を彷彿とさせる純白の葬式も印象的です。最後は、ErotophonophiliaのEcstasyがかなりリアルに描かれていて、村田沙耶香さんの感性に驚きました。
著者の投げかけたテーマはナショナリズム、テロリズムが問題となっている現代において特に重要であると思いますし、我々一人ひとりが一度じっくり考えなければならないと思いますが、かなりグロテスクなので星4つとさせていただきました。
殺人出産 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 殺人出産 (講談社文庫)より
4062934779
No.11
(5pt)

斬新な設定に、一気に引き込まれました

「10人産んだら1人殺せる」 が正義であるという、
現在の常識からは考えられない設定/アイデア、素晴らしいです。
一気に引き込まれ、熱中して読んでしまいました。

この世界観を作り出した作者、素直にすごいと思います。
他の方がおっしゃるように「詰めが甘い」 部分があるのかもしれませんが、
少なくとも、私は気になりませんでした。

作者のオリジナリティーを強く感じました。
買う価値が十二分にある本だと思います。
殺人出産 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 殺人出産 (講談社文庫)より
4062934779
No.10
(4pt)

『コンビニ人間』への道の途上

表題作『殺人出産』について、前にレビューを書かれているお二方があんまりにもあんまりなので、擁護したくなって書きました。なのでそちらを先に読まれてからお読みください。あと、完全にネタバレですのでご留意ください。

お二人とも、設定に無理がある、リアリティがないから入り込めないとお考えのようです。
しかし、物語の前提となる設定についてはどんなに荒唐無稽であっても、それはその物語を語る上で必要なものなんだと思って受け入れなければ始まらないと思います。カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』の主人公たちに「なんで逃げないの?」と言うようなもので、そういう世界であることを受け入れなければ見えるものも見えないでしょう、そこはとりあえず受け入れて読んでみましょうよ、と言いたいです。ハードSFじゃあるまいし、設定のリアリティが売りの作品じゃないんですから。

で、そこをそういうものとして受け入れると何が見えてくるか。『コンビニ人間』と同じ、「当たり前ってなに?」という問いではないでしょうか。というわけで、「殺意と殺人を描く以上は、雰囲気で片づけちゃいけない」というご意見には「それが当たり前ですよね!」と返さざるを得ません。

育子が書いた作文の「100年前には殺人はまったく違う意味を持っていました。だから、100年後にはどうなっているかわからないと思います」というフレーズの、「殺人」の部分を入れ替えれば、現実に当てはまることは山ほどあるでしょう。最近話題のものであれば「天皇」とかですね。(70年ちょっと前までは神扱いだったんですって。なら70年先には奴隷扱いになってても不思議ではないのでは?)
つまり、「当たり前ってなに?」という問いを見せるために殺人という題材を使っただけで、この問い自体は普遍的なものなわけです。題材を恋愛・結婚・出産などなど人間として正しい人生、にしたものが『コンビニ人間』ですね。そちらの方が圧倒的にいい題材です。誰に取っても馴染みのあることだし、多くの人がそういうことで何か言われて「うるさいな、ほっといてくれ」と思ったことがあるでしょうから。そういう意味では『殺人出産』は、『コンビニ人間』に至るワンステップだったのかもしれませんね。

身も蓋もない例えをすれば、ラストシーンの育子は、『コンビニ人間』の白羽君(童貞)が、処女のまま中古な古倉さんとセックスをしてみたらすげえ気持ちよかった!惚れた!みたいなものでしょう。
みんな殺人したことないけど、実際やったら明らかに正しいことだとわかって、セックスは気持ちいいというのと同じくらい常識になるかもしれないよね、ということです。100年前の日本人に、100年後の天皇はもう年だから辞めたいんだけどって言うこともできないんだよって言っても、同じくらい信じなかったでしょうね(100年前にも生前退位の規定はないですが、本人が望めばできたでしょう)。

この小説のキーアイテムとして、蝿スナックがあります。流行り物であり、「当たり前」のもののひとつです。
その蝿スナック、殺人出産システムを当たり前のものとして受け入れているミサキや、死に人であることを受け入れ動揺することなく殺されたチカちゃんが食べているのは当然と言えるでしょうが、殺人出産を嫌悪するように最初は嫌がっていたはずの早紀子までが食べるようになっているのはなぜでしょうか?
結局のところ、殺人出産が正しい正しくないというのはどちらも同じ流行り物、その時々の常識に過ぎず、いずれにせよ盲目的に信じている人という点ではミサキも早紀子も同じなのです。
しかし常識や正義を疑わずにはいられない育子は蝿スナックを食べられません。そして世間の常識や正義を完全に凌駕する個人的な欲求を持つ環は、食べたいなら食べるでしょうし、食べたくないなら食べないだけでしょう。いや、元々食べたくて仕方なかった人ですかね。

しかし周りに流されて蝿スナックを食べているからといって、ダメだというわけでもないのです。この小説の中で最も無私に他者を慈しんでいるのはミサキです。蝿スナックの流行りに言い訳しながら乗る、殺人出産によって生まれてきたミサキなのです。殺したり殺されたり蝿スナックを食べたりの、わたしたちのために、祈ってくれているんですよ。

人間ってロクでもなくて、素晴らしいものだよね、という当たり前なことをも書いている小説ではないでしょうか。
殺人出産 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 殺人出産 (講談社文庫)より
4062934779
No.9
(4pt)

面白かったです

着想も良く、文章も良いです。
他の作品も読んでみようと思います。
殺人出産 Amazon書評・レビュー: 殺人出産より
406219046X
No.8
(5pt)

設定に度肝抜かれた

4作品とも面白かったし、こういった設定を思いつく作者に感心です。有り得ないようで、もしかしたらなんて思っちゃう。改めて本って面白いなぁと思いました。
殺人出産 Amazon書評・レビュー: 殺人出産より
406219046X
No.7
(4pt)

女性の感性では、近未来のSF的な設定の小説も、こんなにもさりげなく当たり前の私小説のように描かれるのかという発見ができたことが収穫

この作家は以前から、独特の切り口で作品を書いているという評判だったことと、最近純文学作家がディストピア小説を相次いで発表しているなかの一冊として「殺人出産」が紹介されていたので、興味を持って読んでみた。
期待外れだとか、こんなものだとか、いろいろとレビューが書かれていますが、どれもみななるほどと納得できるレビューだと思います。
但し、私が感じたのはまったく別のもの。
女性の視点で描くと、ディストピアの何とも言えない設定の物語が、こんなにもさりげなくあっけなく当たり前のように描かれるのだという発見が面白かった。
恐らく男性作家やSF作家などは、このような設定だと、もっと設定した世界観について詳しく伝え、読者に訴えかける内容になっていたと思う。
きっと、現代社会のなれの果ての一つのシナリオとして読んでほしいという思いや、作者の持つ価値観に基づいた社会への鋭い警鐘といった読後感をもたらす作品になるのが圧倒的多数ではなかろうか。
それほどに、近未来の社会のある一面を描いていると思う。
でも、作者はそれについて何かを訴えようとするのではなく、そのような社会になった時の一般のごくフツーの人々は、きっとこんな風になんとなく受け入れて生きて行ってしまうのだろうという、ある意味訴えるよりも恐ろしい描き方をして読者にポンと投げ出しているように思えた。
表題作以外もしかり。
現代の価値観や社会通念からどんなにかけ離れた社会が訪れようとも、市井の人々は特に大きな抵抗をすることもなく、
ただ何となく流されながら受け入れ、疑問や違和感を感じながらもそんな社会にじわじわと順応して生きていく。
結局、人ってそんなものなのだと、作者から突き付けられた気がする。
そういう意味では、この作品は恐ろしい作品だと思う。

次は、消滅世界を読んでみようと思う。
殺人出産 Amazon書評・レビュー: 殺人出産より
406219046X
No.6
(4pt)

"同調性"を疑ってみるという点において、吉村萬壱氏「ボラード病」と並んで、2014年におけるサタイア文学の秀作

表題作の他、「トリプル」、「清潔な結婚」及び「余命」の3つの掌編を伴録した中短編集。3つの掌編の意匠も、社会の常識的価値観や"同調性"を疑ってみるという、表題作の意匠とほぼ同一なので、以下では表題作に関してのみの感想を。特に、「余命」に関しては、筒井の昔の短編に同一の意匠のものがあった気がする。

「十人産んだら一人殺しても良い(むしろ、一人殺すために十人産む、と言うべきか)」事が法律で許容・奨励されている近未来世界を描いた作品で、吉村萬壱氏「ボラード病」と並んで、2014年におけるサタイア文学の代表と言える。この殺人(=出産)の決意をした人を「産み人」と呼び、被害者を「死に人」と呼び、両者共に賞賛される。人口の減少化、動機不明の殺人事件の増加、生殖と快楽との境目の無さ等の現在の社会状況を背景に、この近未来世界における"同調性"問題を扱っている点が鋭いと共に、「ポラード病」の意匠との類似性を強く感じた。本作では、人間が生来(多かれ少なかれ)持つ殺人衝動を扱っている点も特徴ではあるが。

個人的には、「3.11」以降、世論が一方的に傾く傾向にあり、日本人の付和雷同性が際立つ中で、"同調性"への懐疑の念を呈しているという意味において、意義ある作品だと思う。ただし、少なくても十年は保ち続けられる"殺意"とは何かという掘り下げが浅い点、賞賛される「死に人」のために「産み人」を志願する人が存在する理由が曖昧な点、この近未来世界に"同調"している筈のヒロインが、一人の胎児を殺した事をキッカケに「産み人」を志願する点等、全体的に作品構造に整合性がない様にも見えたが。まあ、整合性よりも風刺性を重視した結果だと思うが。一読の価値がある秀作だと思う。
殺人出産 Amazon書評・レビュー: 殺人出産より
406219046X
No.5
(4pt)

久々におもしろかった小説

なんでもかんでも読めるタイプではない自分には久々に一気に読めた
めったに小説よまない自分でも2時間ちょいで読めた

10人産めば一人殺していいという法律の中で生きる、ひと家族の物語です
あと短編2話付き、これについては漠然と終わってるので微妙でしたが、
本編はおもしろかったです
さくっと読みたい人にむいてます

短い新井素子バージョンや筒井康隆の軽いバージョン的なものが好きな人にはむいてます。
殺人出産 Amazon書評・レビュー: 殺人出産より
406219046X
No.4
(4pt)

生と死と性の在り方を問う一冊

この作家さんの作品を読むのは初めてです。タイトルのインパクトに惹かれて読みました。

全体的にどの話も平坦というか抑揚のない感じ。設定も小中高生が考えそうな陳腐なものでした。
酷評ではありません。不思議なもので、この平坦さと陳腐さがいい感じに軽そうな作品に重み(後味の悪さ)を与えています。
どの話も生や死や性の在り方について書かれており、特に表題作の「殺人出産」は生・死・性の3つのテーマを盛り込み、移り変わる社会の秩序に翻弄される人々の生き方や心情が読みやすく表現されています。
ただ、どの話も設定が違うだけで同じ話を読んでいるような感覚になりました。(そういう作風なのかもしれませんが)
殺人出産 Amazon書評・レビュー: 殺人出産より
406219046X
No.3
(5pt)

価値観が揺さぶられる作品! 読む価値あり。

「人を殺すのは悪いことだ」「男と女が一対一で付き合うのが恋愛だ」「自殺は良くないことだ」
こういった当たり前の価値観、いわゆる常識をゆさぶってくる作品です。

短編集です。タイトルの殺人出産は、「人を殺す」ことを賛美するわけではありませんが、今の世の中の問題を切々と訴えてきます。
「10人産んだら1人殺してもいい」。それを疑いもしない若い世代。私から見れば異様。しかし彼らには彼らの倫理観がある。
殺人出産の制度がない時代も、人は殺された。10人産んで1人産めば、人口は9人増える。命の価値をどうやってはかるのか?
この制度によって、生きることに価値を見出す人々。自殺は減少。しかし、人殺しを合法化するのは間違っていないか?

一度読んでみる価値はあると思います。命について考える機会になるかと。
殺人出産 Amazon書評・レビュー: 殺人出産より
406219046X
No.2
(4pt)

少子化や未婚男女の増加、医療技術の進歩など、人類が抱える問題について、現状の価値観を打ち破る作品に挑戦した短編集

少子化や未婚男女の増加、医療技術の進歩など、人類が抱える問題について、現状の価値観を打ち破る作品に挑戦した短編集。

10人産めば1人殺してもいいという表題作の殺人出産制度がもっとも印象的だった。

何を常識と考えるかは人それぞれで、ある人にとっては残酷な世界でも、別の人にとっては優しい世界になる。人を殺す代わりに新たな命を生み出すという発想は新鮮で、人間の常識や正義などの価値観を考える話になっていて楽しめた。

他の短編集も発想自体はよく考えたなと思ったが、ページ数が少ないせいもあり、ちょっと物足りなかった。「清潔な結婚」は、どのような繁殖を行うのか楽しみにしていたのだが、特に意外性もなくて拍子抜けしてしまった。
殺人出産 Amazon書評・レビュー: 殺人出産より
406219046X
No.1
(5pt)

なんて正しい世界に私たちは生きているのだろう

タイで24歳の日本人男性が代理出産で20人近くの子どもをもうけていたというニュースが物議をかもし、その後この男性が「死ぬまで毎年10人から15人の子どもをつくり続けたい」と話していたと報じられた。20歳から70歳まで生きたとして、750人の子どもが生まれる計算になる。現在日本の合計特殊出生率は1.43で今世紀半ばまでには人口が1億人を切るのは確実だ。この男の子どもはほとんどがタイから第3国に渡航しているようだが、彼がもし、人口の減りゆく日本に一人で750人もの子どもをもたらしたとしたら、国から感謝され、そのおこないは称賛されるだろうか? いまのところそうはなっていないが、彼を罰する法律もない。100年後はどうだろう? この小説は、私たちが今現在の価値観で「とんでもなく非常識」「道徳的にありえない」ようなことがすっかり日常の一部となった世界を淡々と描いている。いま私たちが住んでいるこの日本の価値基準では「事件」「犯罪」「禁忌」となることが、すっかりあたりまえになった世界がここにある。

男でも女でも、10人産めば人を1人殺してよいという制度は、「プラスマイナスで9人増える」ことの価値を、近代の道徳体系や法体系の上位にもってくるというラディカルな考え方だ。殺人者は「産み人」とたたえられ、その「産み人」に殺される「死に人」は、10人もの新たな命が生まれるための犠牲になってくれたということで感謝されながら逝く。1000年前の人間が人工授精や代理出産が珍しくもなくなり、技術的には人間のクローンさえつくれるようになった現代の世界を見たら、私たちがこの小説を読んだときのような衝撃を多かれ少なかれ感じるだろう。生きることと死ぬこと、生かすことと死ぬこと、生まれることと死ぬこと――動物社会ではそれは単なる自然の摂理だが、人間はそこに優劣や善悪を持ち込むことで社会の秩序を保ってきた。テクノロジーにより、生殖行為と性行為はすでに切り離されたが、本書の『トリプル』にあるように、恋愛と性行為も切り離され、『余命』にあるように老化と死も切り離されていったとき、これまでの社会通念はかたちを変えて行かざるを得ず、制度もそれに合わせて変わっていくのだろう。著者は「産み人」から生まれ、「産み人」となった主人公の姉、環(環という名前は、循環の環である)にこう言わせている。

「世界はいつも残酷です。残酷さの形が変わったというだけです。」

経済成長のためには人口維持は必須、若年人口が減り続けると社会保障制度が崩壊する、日本という国を消滅させてはならない――といったことが、少子化対策が必要な理由としていつもあげられる。それはそれで違和感もあるが、この小説に書かれているのは、そうした政治経済的な理屈を超えて「人口が増えていくこと」が絶対善とされ、「命を奪うものが、命造る役目を担う」ことが「人は人を殺してはならない」と同じくらいに説明不可能にして説明不必要な世界である。極端に価値観が転換した近未来の社会を、明日目が覚めたらこんな世界になっているかもしれないと思わせるようなぬるっとしたリアリズムで描ききった。本作品集には人類がこれから延々向き合っていくであろう答えのない問いの数々が高純度で詰まっている。カズオ・イシグロの『わたしを話さないで』を思い出した。
殺人出産 Amazon書評・レビュー: 殺人出産より
406219046X