日の名残り
評判
日の名残りの評価:
4.45/5点 レビュー 402件。 A ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全1,047件 181〜200 10/53ページ
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日の名残りの評価:
4.45/5点 レビュー 402件。 A ランク
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小説の詳細ページを閲覧すると、ここに履歴が表示されます。最近閲覧した小説詳細ページへ簡単に戻る事が出来ます。
主人公は、栄華を誇った前主君の過去を回顧する。
多くの方が書くとおり、本書は歴史に残る名作だと思うものの、私はこの主人公が嫌いだ。
主人公は、重要な局面では、決して主体的に考えないし、行動もしない。
自分というものを持たないまま、主君であるダーリントン卿の判断を妄信し、考えないまま老境に至ってしまった。
自分の意見を持たないだけでなく、人間としても鈍感である。
たとえば、自分に好意を持っていた女中頭に対する応対も、機械のように冷たいものであった。
内心では主君の意思決定が間違っていることや、女中頭の心情や諸事情を薄々把握してはいるものの、結局は何も言わず行動もせず、単に従うだけである。
なんと情けないというか、ロボットみたいなつまらない奴だなと読んでいて思った。
主人公は全てを見て見ぬふりをした挙句、最終的には何も残らず、後悔することになる。
ここから未来を考え創っていこうとするも、もう60歳を超えた主人公に残された時間はどう見ても少ない。
これはまさに悲劇そのものだ。
個人的には、主人公のことは、反面教師とすべきだと思う。
とはいえ私はこの小説に思いきり引き込まれた。
執事としてのプロフェッショナリズムや、貴族階級がもっていた良い意味での騎士道精神、そこに対する主人公の崇拝と疑念や葛藤をはじめとする、言葉では言い表せない素晴らしい内容がふんだんに含まれている。
このあたりは私も上手く言葉では伝えられないが。とにかく良い作品なのだ。豊饒の海を読んだときの感覚に似てるかもしれない。
また、名家の没落という点でも感じるところがあった。
私の祖母は大地主の家に生まれ、20代まではまさに本書のような家で育ったものの、第2次大戦後の農地改革や新円切り替え等で資産をほぼ全て没収され、戦後は没落していった。
当時のアルバムなどはまだ残っている。私も祖母や親族からは、戦前の栄光をよく聞く機会があった。
本書の舞台は日本ではないが、繁栄した名家が没落していく点では、私の家とも重なり、とても引き込まれるものがあった。
長々と書いたが、本書はとても良い本であることは間違いない。読んで本当に良かったと思う。