虚人の星

【この小説が収録されている参考書籍】

【この小説が載っている参考書籍】

評判

虚人の星の評価:

4.24/5点 レビュー 17件。 B ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.24pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全22件 21〜22 2/2ページ
No.2
(4pt)

2つの日本に宿る多くの日本人、しかして、進撃の巨人達に虚人のままでどう対処していくのか?

本書は、読み始めは多少戸惑うかもしれない。安倍総理をモデルにした世襲政治家にして圧倒的な権力を手にした松平総理と、父とも母とも縁薄い人生から外交官にして中国のスパイとなる青年・星新一。二人の共通点は、解離性人格障害つまりは多重人格者。この二人の内心つまりは彼らの中の人格同士の言論思想が交互に示される。
この構図は、松平総理からは、現在の安倍政治を突き動かすものが何か?そして何が何故に危ういのかという島田雅彦らしい解釈が描かれ、レインボーマンと称される星の7つの人格からは、日本人の典型的な思想類型が示されている。つまりは、島田雅彦流の政治と思想を小説に託したということで、このストーリーテリングは、他の左派文学者のこの手の本がもはや単なる「安倍を許さない」のルサンチマンだけになっていることと比べれば余程にマシだ、というか島田好きでなくても、結構楽しめる。

本作は、一種のユートピア小説になっているので、島田の思想への賛否はいったん忘れて、政治に関心のない方こそ、島田流の見立てから今の政治を考える第一歩になったらよいと思う。実際、松平総理サイドで描かれるリアルポリティクスまた星新一サイドで描かれる中国スパイ網は、これまたなかなかの出来であって、下手な政治学者や官僚くずれの新書よりよほど考えの足しになる。

これは、私個人の考えだが、政治を考えることは、目先の賛成反対を叫ぶことではなく、賛成と反対のはざまで、両方を観ながら自分の進む道を考えて、そこに一番近い政党や政治家を選ぶことなのではないだろうか、このアプローチこそが本作のメインストリームにもなっているわけだし。しかしまぁ、こういう小説仕立ての問題・議論提起が、右派のみならず、左派からも顧みられないとは、やさしいサヨクもいないということなのだろうか・・・(サヨクの反対本が馬鹿みたいに賛否のレビューがついているのに対して、本作の関心の薄さ・・・)
虚人の星 Amazon書評・レビュー: 虚人の星より
406219743X
No.1
(5pt)

複雑な伏線の向こうに見える「希望」

最後の方に出てくる、「どんな奴も、二度狂えばまともになる」という言葉が、しみじみと感じられる。 国家、政治、陰謀、虚偽、真実。 複雑な伏線とその「解決」。 作家の壮大なほら話に映った「現実」を、私たちは生きている。 入り組んだ万華鏡の中に、どうやら愛が仄見える。 そこに希望がある。 島田雅彦氏でなければ書けない小説であろう。
虚人の星 Amazon書評・レビュー: 虚人の星より
406219743X