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弥勒の月
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弥勒の月の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.09pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全32件 21~32 2/2ページ
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江戸時代、同心の木暮信次郎と岡っ引の伊佐治が 身投げ、病死、殺人事件を追う物語。 伊佐治の常識人(?)としての目線で語られる。 信次郎は頭が切れ過ぎ、世の中に不満を持つ。 その信次郎の心の中の描写に興味を覚えた。 日常生活で何かしら心に引っかかることは、 その人の心の根幹に関わっていることだと 教えてくれているような気がする。 | ||||
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小間物を扱う「遠野屋」の若おかみ、おりんが川で溺死した。自殺か他殺か、はっきりしない。それが事件の発端である。 事件を追うのは、北常町廻り同心木暮信次郎と岡っ引き伊佐治。二人は、駆けつけた遠野屋清之介の様子に尋常ならざるものを感じとる。 信次郎は言う。 <「おれは退屈してたんだ」 (略) 「親父のように生きて、死んでいくのかと思うと退屈で堪らなかったんだよ」> 路傍での父の死にざまは、信次郎の心に深く刻まれ、信次郎は、蛇のようだと評される、有能だが酷薄苛烈な同心となった。その信次郎が、なりゆきもわからぬうちに、遠野屋を評し、<「あれは、おれの獲物だ。おもしれえ狩りができるかもしれねえ」>とつぶやく。伊佐治は、そのような信次郎に、深い危惧を覚えながらも目を離すことができず、行動をともにする。 遠野屋が並み以上に商人たらんとしていることは明らかだった。闇の出自を持った武士が、商人として、人として、生き直そうとしていたのだ。 遠野屋は、遠野屋の先代とおりんに恩があると告げながら、伊佐治に言う。 <「わたしにとって、おりんは、弥勒でございました」 「弥勒……」 「そういう女でございましたよ」> 伊佐治は思う。 <おれも救われたのだ。女に救われ何十年という年月をともに生きている。おれは共に生きている、しかし、遠野屋は失った。縋った指の間から、確かに掴んだものが消えていったのだ。その焦燥、その絶望、その地獄。> 信次郎も遠野屋も、心の中に余人に窺い知れないものを抱え込む。互いに共感と反感がないまぜになって交錯する。何気ない対面が、言葉と所作のぎりぎりの対峙へと変貌する。 おりんは何故死なねばならなかったのか? 挟箱の奥深く隠された朝顔の種にはどんな意味があったのか? 遠野屋の闇の出自とは? 様々な謎が徐々に明らかになっていくにつれ、茫漠とした問いが立ちあがってくる。人が人として生きるとはどのようなことか? 人は何によって、人としての矜持を保ちうるのか? と。 | ||||
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「あさのあつこの時代小説」?などと 疑って掛かると、見事に足をすくわれる傑作。 まず特筆すべきは、キャラクター造形の鋭さと深さ。 屈託を抱えた男たちの姿をこの上なく魅力的に描いている。 もちろん時代物としての背景や 捕物帳としての魅力も十分。 | ||||
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タイトルにひかれ、あさのあつこさんの時代小説というのに興味をもった。その興味は間違いなかった。 主人公の信次郎がとても新鮮だった。切れすぎる頭脳をもてあましながらも事件解決にその頭脳を駆使し冷静で鋭い判断を下す有能な同心であるのに、世をすねたような時には残虐的とも言える冷たい言動をとってばかりいる。 そうかといえば、奥深くにはほんの一瞬もかい間見せないが正義感と人情も持っていたりする。だからこそ同心稼業を続けているのであろう。 そんな信次郎と水と油、鏡の表と裏のような存在の遠野屋。複雑な過去を持ちながら、切れ者の商人として人生を生き直している最中にかけがえのないものを亡くし、どうしようもない喪失感を感じながらも表に出さず静かに這い上がろうとする。 お互いに自分を見るような、でも見たくないような決して相容れない二人。でも気にせずにはいられない。 どうにもアンバランスな主人公がとても魅力的だ。どうにも危うい二人を追わずにはいられない。 アンバランスな二人の支点のような伊佐次親分。仮に親分がいなくても、二人が実際に狂気に走ることはないだろうが、二人の引き立て役としてなくてはならいない存在であり、特に信次郎はうとましいと思いつつも苦言を呈してくれることをうれしく思っている節もある。 事件解決していきながらも、いわゆる捕り物がメインではない。人の計り知れない心の奥底を映し出す男たち苦悩と再生の物語。 決して押し付けがましくなく、静かに心を捉えて読む手を止められない。 ちなみに、続編の「夜叉桜」もタイトルや装丁が美しいだけでなく、同じく読まずにいられない作品となっている。 | ||||
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作者の名前は知っていましたが1冊もよんだ事はありませんでした。が時代小説との事だったので読んでみると とにかく面白かったです。いっきに読みなんと続編続々編と読んでしまいました。 | ||||
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表紙の装丁が気に入ったので手にとりました。 泰平の時代にありあまる能力を持てあます同心、木暮信次郎と、 後ろ暗い過去を持つ、感情の発露の乏しい商人、遠野屋。 どこか欠落しているこの二人の若者を見守る伊佐治親分の視点を中心に物語は展開します。 時代ものの中では平易で読みやすい文章ですが、「同心」「手代」など、時代小説では お約束ともいえる単語にフォローがないので、初めて読む方は気になるかもしれません。 また、時代小説を耽読してる方には物足りなさがあるかもしれません。 ただ、エンターテイメントとして捉えればとても面白い小説だと思いました。 信次郎の意外な一面や、遠野屋の活躍もあるので、続編「夜叉桜」と合わせて読むのも楽しいですよ。 | ||||
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読み終えて、すぐ映画化される事を望んでしまいました。どこか世を拗ねた信次郎には、織田裕二を、そして過去の闇を抱えながらも現在を懸命に生きようとする清之介には、ぜひとも草ナギ剛を配して。考えただけでワクワクしてしまいます。実現される日が来るといいのですが・・・ | ||||
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『夜叉桜』と併せてエキサイトしました。読み終えた後はまるでエンターテイメント時代劇を堪能した気分でした。主要登場人物である信次郎=織田裕二、清之介=草ナギ剛、伊佐治=國村隼、おりん=菅野美穂、おしの=長山藍子を配したのですが、その表情まで鮮やかに目に浮かび映画化を切望してしまいました。実現される日が来ないものでしょうか・・・ | ||||
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週刊誌のレビューでいくつも大絶賛されていたので、購入。 テンポ良し、人物描写良し、ストーリーも明確(ミステリー仕立て)、かつ、練られている。 それより、テーマに共感した。岡っ引きの呟く「これが、生きるってことさ」 この本は、嫌なことがたくさんある毎日だけど、放り出すわけにはいかない現代に閉塞感を感じている人間へのバイブルだ!←言い過ぎか? 時代小説だが確かに同世代的である。 時代小説だから読まない、という人は損するかも。時代小説を読まない私ですらそう思った。 | ||||
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あさのあつこの時代劇ということで、恐る恐る手にしたのだが、なかなか面白かった。 時代ものというのは馴染みがないとまず入っていけないし、敬遠している人は多い。当時の生活が道具も暮らしも社会も、たとえば同心がなんなのかがわからなければさっぱり筋は追えないのは当然だ。 読み手の教養不足も問題だが、時代劇を発信する側の怠慢も大いにあるのではないかと、読んで感じた。 面白ければ読もうとするはず。 「弥勒の月」は正統な時代劇ファンにはなんともしがたいルール違反はいくらでもあると思うけど、そんなことは気にならずに引き込まれた。 立場が違えと同じ闇を背負っている若い同心と、謎の若旦那。 入水した若いお内儀の死の真相をめぐるふたりの対峙はミステリアスであり、どこか色っぽい。この二人にからんでくる初老の親分がまたいい味を出している。登場人物の書き分けや絡ませ方もなかなかうまいし、話の先が知りたくなる。 この色気のある若い同心と、岡引の親分さんのコンビの続編が出ればまた読むだろう。 最後があっさりとしすぎた感があるから、星は4つ。 | ||||
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もともと時代小説は好きだった。で、「バッテリー」であさのあつこに出会って「はまった」。 そういう評者としては本書を書棚に発見したときはかなり驚いた。「えっ?あさのあつこが時代小説?」 しかもかなり複雑な捕物帖(ミステリー)である。が、ご心配なく。面白いから。 ミステリなのでストーリーについては書かない。でも、読み終わったあともっと続きが読みたくなる本であることは間違いない。 | ||||
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ある日、小間物問屋の若おかみの溺死体が見つかります。 同心の信次郎は、妻の死体を見た主人・清之介が全く動揺しないことや悲しみもしないことから、清之介が事件に関わっているのではないかと思い始めます。 本所深川を舞台にして、信次郎の真実を暴く物語が始まります。 捕り物なんでしょうが、明らかになっていくのは事件の全貌だけでなく、人々の心も同じです。 そこは決して綺麗なものばかりではなく、葛藤や悲しみが溢れて、助けを求めています。 時代小説なのですが、人間は昔も今も元の部分は同じで、色々と考えさせられたり、その悲しみや痛みにも共感出来る部分もあります。 台詞もすいすい読めるし、江戸の町がすごく生き生きしていて、ぐいぐい物語りに引き込まれていきます。 悲しいお話ではあるのですが、しかし、後味はすっきり。 読み終わった後は、「また明日も頑張ろう」という気持ちにさせてくれる一冊です。 | ||||
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