天才画の女

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天才画の女の評価:

3.86/5点 レビュー 21件。 B ランク

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全53件 41〜53 3/3ページ
No.13
(5pt)

清張作品の隠喩

当然のことではあるが、清張の小説にはいつでも主人公となった人物の実在のモデルがいる。しかし、それ以前にその人物の出身地などの背景となる情報は隠され架空のものが使われる。美術史や絵画といった世界を商売として扱う世界の裏社会を述べていく小説である以上、これも当然であろう。いわゆる絵が売れるというのは、正統的な美学上の準理論的な世界、つまり美術史家や絵画の評論家と、どういう関係にあるのかという問題がある。それと商売の関係はもっと複雑になる。一見、メディア(新聞、テレビ等)を介した視聴率みたいな、いかさま状の情報のやりとりが本書では理解できるが、それだけで俗にいう天才的画家が世に出でいくわけではない。そこには真実もあるということを隠喩で示したのが、本書だと思う。その隠喩の中味は何かと言えば、清張による巧妙な実在のモデルの隠蔽が、それを示しているに違いない。たとえばこの天才画の女の出身地が福島県真野町という架空の土地になっている。しかし、真野町の周囲の土地の説明が本物の地名や地理にもとずいていることから、真野町とは同じ福島県の三春町であることがわかる。三春町と言えば、昭和から平成にかけて日本の絵画や文化を一手に取り仕切る日本芸術振興会の理事・國分正明の名を連想するのは私だけではないだろう。文部省の著名な芸術官僚(こんな職業は清張の考案と言っていい)と天才的な女画家の出身地をなぜ清張は同じにしたのか?三春町の名まで隠すといった信じられないほどの清張の神経質さの理由はどこにあるのか?その意味は、岡倉天心や森鴎外、中江兆民のスタンスを美学の立場から心得ていて、彼らに関する著書をもつ清張であるからこそ効果的な手法なのである。清張はまた高階秀爾などにも批判的であるが、経歴や背景をすりかえて本書に彼らは登場しているのだ。美術評論家や美術史家と世間で呼ばれる人々である。もちろん本書を読んでいる読者はそんなことは全く知らない。それでもこの小説を読んだすべての読者の潜在意識に訴えることとなる。真に心に語りかける本書のような作品には、清張独特の隠喩が秘められている。素封家ということから私は分野も傾向も違うが草間弥生などを想像したが、これは的はずれだろう。結局、清張の作戦にのせられて本書の実在のモデル(隠喩としての)が誰なのかわからなかった。多分、特定のモデルは存在しないのだろう。こういう傾向の女画家ということだろう。ところで、本書に限らないが、本当に優れた本というのは、このように隠喩の網の目のような構造をもっているものである。その意味で少し手前味噌だが、清張自身の使用した隠喩が豊富に使われた「宇宙に開かれた光の劇場」上野和男・著をお勧めする。清張の隠喩はオランダの画家・フェルメールにも通用することがわかるだろう。
天才画の女 Amazon書評・レビュー: 天才画の女より
4103204087
No.12
(5pt)

清張作品の隠喩

当然のことではあるが、清張の小説にはいつでも主人公となった人物の実在のモデルがいる。しかし、それ以前にその人物の出身地などの背景となる情報は隠され架空のものが使われる。美術史や絵画といった世界を商売として扱う世界の裏社会を述べていく小説である以上、これも当然であろう。いわゆる絵が売れるというのは、正統的な美学上の準理論的な世界、つまり美術史家や絵画の評論家と、どういう関係にあるのかという問題がある。それと商売の関係はもっと複雑になる。一見、メディア(新聞、テレビ等)を介した視聴率みたいな、いかさま状の情報のやりとりが本書では理解できるが、それだけで俗にいう天才的画家が世に出でいくわけではない。そこには真実もあるということを隠喩で示したのが、本書だと思う。その隠喩の中味は何かと言えば、清張による巧妙な実在のモデルの隠蔽が、それを示しているに違いない。たとえばこの天才画の女の出身地が福島県真野町という架空の土地になっている。しかし、真野町の周囲の土地の説明が本物の地名や地理にもとずいていることから、真野町とは同じ福島県の三春町であることがわかる。三春町と言えば、昭和から平成にかけて日本の絵画や文化を一手に取り仕切る日本芸術振興会の理事・國分正明の名を連想するのは私だけではないだろう。文部省の著名な芸術官僚(こんな職業は清張の考案と言っていい)と天才的な女画家の出身地をなぜ清張は同じにしたのか?三春町の名まで隠すといった信じられないほどの清張の神経質さの理由はどこにあるのか?その意味は、岡倉天心や森鴎外、中江兆民のスタンスを美学の立場から心得ていて、彼らに関する著書をもつ清張であるからこそ効果的な手法なのである。清張はまた高階秀爾などにも批判的であるが、経歴や背景をすりかえて本書に彼らは登場しているのだ。美術評論家や美術史家と世間で呼ばれる人々である。もちろん本書を読んでいる読者はそんなことは全く知らない。それでもこの小説を読んだすべての読者の潜在意識に訴えることとなる。真に心に語りかける本書のような作品には、清張独特の隠喩が秘められている。素封家ということから私は分野も傾向も違うが草間弥生などを想像したが、これは的はずれだろう。結局、清張の作戦にのせられて本書の実在のモデル(隠喩としての)が誰なのかわからなかった。多分、特定のモデルは存在しないのだろう。こういう傾向の女画家ということだろう。ところで、本書に限らないが、本当に優れた本というのは、このように隠喩の網の目のような構造をもっているものである。その意味で少し手前味噌だが、清張自身の使用した隠喩が豊富に使われた「宇宙に開かれた光の劇場」上野和男・著をお勧めする。清張の隠喩はオランダの画家・フェルメールにも通用することがわかるだろう。
天才画の女 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 天才画の女 (新潮文庫)より
4101109508
No.11
(2pt)

竜頭蛇尾

かつて竹下景子主演でドラマ化されたことがある。その時も感じたが、竜頭蛇尾な作品である。途中でネタそのものは割れるし、あとはただ大したことのない展開を見せるだけで、まあ先にドラマを観てしまったせいもあろうが、それをのけても結末に向けてさしたるクライマックスはない。
天才画の女 (1979年) Amazon書評・レビュー: 天才画の女 (1979年)より
B000J8IRU8
No.10
(2pt)

竜頭蛇尾

かつて竹下景子主演でドラマ化されたことがある。その時も感じたが、竜頭蛇尾な作品である。途中でネタそのものは割れるし、あとはただ大したことのない展開を見せるだけで、まあ先にドラマを観てしまったせいもあろうが、それをのけても結末に向けてさしたるクライマックスはない。
天才画の女 Amazon書評・レビュー: 天才画の女より
4103204087
No.9
(2pt)

竜頭蛇尾

かつて竹下景子主演でドラマ化されたことがある。その時も感じたが、竜頭蛇尾な作品である。途中でネタそのものは割れるし、あとはただ大したことのない展開を見せるだけで、まあ先にドラマを観てしまったせいもあろうが、それをのけても結末に向けてさしたるクライマックスはない。
天才画の女 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 天才画の女 (新潮文庫)より
4101109508
No.8
(3pt)

結末に新たなおもしろみ?

「人はパンのみにて生くるにあらず」とは聖書の言葉だが、ではなんで生きるのだろうか?
それは好奇心に違いない。

光彩堂のオーナー中久保は、上顧客の寺村が気に入った無名画家を全面的にバックアップして売り出そうとする。
中久保がその無名画家降田良子にあった印象は、「無愛想」だった。
一流の画廊の主人が訪ねてきたのに、絵をほしいといっているのに、その無名画家はさほど喜ぶことはないのだった。

ということで、ぼくはこの無名画家の謎を中久保が明らかにしていくのかと思っていたら、新たな展開を見せ、その競合店である叢芸洞の支配人小池がその無名作家の謎を解いていくのだ。

動機は好奇心だ。
競合店が力を入れている無名作家だからといって、ここまで探ることもないだろうと思うのだが、それがちっと不自然でない。

松本清張の文章力なのかも知れないが、読んでいくウチに、「人間で好奇心が生命力の源なんだ」と思いつつ、最後まで読んでしまった。

結末は、新たなおもしろみ?(展開??)がある。
最近は松本清張と三島由紀夫を読もうと思っていたのだが、当分は松本清張ばかり読んでいくような気持ちにさせる本だ。
天才画の女 (1979年) Amazon書評・レビュー: 天才画の女 (1979年)より
B000J8IRU8
No.7
(3pt)

結末に新たなおもしろみ?

「人はパンのみにて生くるにあらず」とは聖書の言葉だが、ではなんで生きるのだろうか?
それは好奇心に違いない。
光彩堂のオーナー中久保は、上顧客の寺村が気に入った無名画家を全面的にバックアップして売り出そうとする。
中久保がその無名画家降田良子にあった印象は、「無愛想」だった。
一流の画廊の主人が訪ねてきたのに、絵をほしいといっているのに、その無名画家はさほど喜ぶことはないのだった。
ということで、ぼくはこの無名画家の謎を中久保が明らかにしていくのかと思っていたら、新たな展開を見せ、その競合店である叢芸洞の支配人小池がその無名作家の謎を解いていくのだ。
動機は好奇心だ。
競合店が力を入れている無名作家だからといって、ここまで探ることもないだろうと思うのだが、それがちっと不自然でない。
松本清張の文章力なのかも知れないが、読んでいくウチに、「人間で好奇心が生命力の源なんだ」と思いつつ、最後まで読んでしまった。
結末は、新たなおもしろみ?(展開??)がある。
最近は松本清張と三島由紀夫を読もうと思っていたのだが、当分は松本清張ばかり読んでいくような気持ちにさせる本だ。
天才画の女 Amazon書評・レビュー: 天才画の女より
4103204087
No.6
(3pt)

結末に新たなおもしろみ?

「人はパンのみにて生くるにあらず」とは聖書の言葉だが、ではなんで生きるのだろうか?
それは好奇心に違いない。
光彩堂のオーナー中久保は、上顧客の寺村が気に入った無名画家を全面的にバックアップして売り出そうとする。
中久保がその無名画家降田良子にあった印象は、「無愛想」だった。
一流の画廊の主人が訪ねてきたのに、絵をほしいといっているのに、その無名画家はさほど喜ぶことはないのだった。
ということで、ぼくはこの無名画家の謎を中久保が明らかにしていくのかと思っていたら、新たな展開を見せ、その競合店である叢芸洞の支配人小池がその無名作家の謎を解いていくのだ。
動機は好奇心だ。
競合店が力を入れている無名作家だからといって、ここまで探ることもないだろうと思うのだが、それがちっと不自然でない。
松本清張の文章力なのかも知れないが、読んでいくウチに、「人間で好奇心が生命力の源なんだ」と思いつつ、最後まで読んでしまった。
結末は、新たなおもしろみ?(展開??)がある。
最近は松本清張と三島由紀夫を読もうと思っていたのだが、当分は松本清張ばかり読んでいくような気持ちにさせる本だ。
天才画の女 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 天才画の女 (新潮文庫)より
4101109508
No.5
(5pt)

清張お得意の絵画ミステリー

松本清張は絵画に関する推理小説をいくつか書いているが、本作品はその中の長編に属するものである。もっとも、長編とは言っても300頁程なので、読みやすい長さであると言える。
 本作品の内容をかいつまんで言えば、ある新人女性画家の絵画作成の秘密をめぐって、ある画廊支配人が推理を働かせていくというものになっている。あとは文庫の裏表紙にある説明を参考にしていただきたい。
 この作品の評価であるが、清張らしく画商の業界内部の事情を細かく描きつつ、サスペンスの筋の運びも最後まで緊張感を落とさない優れた作品であると言ってよい。また、本作品においては殺人事件などの犯罪が発生するわけではなく、推理小説ファンでなくても十分に楽しめる娯楽小説ともいえるのではないだろうか。
天才画の女 (1979年) Amazon書評・レビュー: 天才画の女 (1979年)より
B000J8IRU8
No.4
(5pt)

絵画ミステリー

松本清張は絵画に関する推理小説をいくつか書いているが、本作品はその中の長編に属するものである。もっとも、長編とは言っても300頁程なので、読みやすい長さであると言える。
 本作品の内容をかいつまんで言えば、ある新人女性画家の絵画作成の秘密をめぐって、ある画廊支配人が推理を働かせていくというものになっている。あとは文庫の裏表紙にある説明を参考にしていただきたい。
 この作品の評価であるが、清張らしく画商の業界内部の事情を細かく描きつつ、サスペンスの筋の運びも最後まで緊張感を落とさない優れた作品であると言ってよい。また、本作品においては殺人事件などの犯罪が発生するわけではなく、推理小説ファンでなくても十分に楽しめる娯楽小説ともいえるのではないだろうか。
天才画の女 (1979年) Amazon書評・レビュー: 天才画の女 (1979年)より
B000J8IRU8
No.3
(5pt)

清張お得意の絵画ミステリー

 松本清張は絵画に関する推理小説をいくつか書いているが、本作品はその中の長編に属するものである。もっとも、長編とは言っても300頁程なので、読みやすい長さであると言える。 本作品の内容をかいつまんで言えば、ある新人女性画家の絵画作成の秘密をめぐって、ある画廊支配人が推理を働かせていくというものになっている。あとは文庫の裏表紙にある説明を参考にしていただきたい。 この作品の評価であるが、清張らしく画商の業界内部の事情を細かく描きつつ、サスペンスの筋の運びも最後まで緊張感を落とさない優れた作品であると言ってよい。また、本作品においては殺人事件などの犯罪が発生するわけではなく、推理小説ファンでなくても十分に楽しめる娯楽小説ともいえるのではないだろうか。
天才画の女 Amazon書評・レビュー: 天才画の女より
4103204087
No.2
(5pt)

絵画ミステリー

 松本清張は絵画に関する推理小説をいくつか書いているが、本作品はその中の長編に属するものである。もっとも、長編とは言っても300頁程なので、読みやすい長さであると言える。 本作品の内容をかいつまんで言えば、ある新人女性画家の絵画作成の秘密をめぐって、ある画廊支配人が推理を働かせていくというものになっている。あとは文庫の裏表紙にある説明を参考にしていただきたい。 この作品の評価であるが、清張らしく画商の業界内部の事情を細かく描きつつ、サスペンスの筋の運びも最後まで緊張感を落とさない優れた作品であると言ってよい。また、本作品においては殺人事件などの犯罪が発生するわけではなく、推理小説ファンでなくても十分に楽しめる娯楽小説ともいえるのではないだろうか。
天才画の女 Amazon書評・レビュー: 天才画の女より
4103204087
No.1
(5pt)

絵画ミステリー

 松本清張は絵画に関する推理小説をいくつか書いているが、本作品はその中の長編に属するものである。もっとも、長編とは言っても300頁程なので、読みやすい長さであると言える。 本作品の内容をかいつまんで言えば、ある新人女性画家の絵画作成の秘密をめぐって、ある画廊支配人が推理を働かせていくというものになっている。あとは文庫の裏表紙にある説明を参考にしていただきたい。 この作品の評価であるが、清張らしく画商の業界内部の事情を細かく描きつつ、サスペンスの筋の運びも最後まで緊張感を落とさない優れた作品であると言ってよい。また、本作品においては殺人事件などの犯罪が発生するわけではなく、推理小説ファンでなくても十分に楽しめる娯楽小説ともいえるのではないだろうか。
天才画の女 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 天才画の女 (新潮文庫)より
4101109508