ヴァリス

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評判

ヴァリスの評価:

4.46/5点 レビュー 28件。 B ランク

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平均点4.46pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全48件 41〜48 3/3ページ
No.8
(5pt)

前衛小説なのかも

ディックの作品中一番やっかいな本だと思います。とりあえず普通の小説の常識から逸しています。
そもそもこの本は作者自身の霊的体験の小説化であり、作者が記した「釈義」が小説の後にまとめて添付してあります。
そういうわけで、小説部分も殆ど主人公による神学的思索を追ってる感があり、実際読んでてもわけがわかりません。どうやらグノーシス主義の2元論的宇宙観が、ディックの神学の基盤になってるように思われますが、普通の読者はそんな話しにはとてもつきあっていられないでしょう。
とは言え、ディックを理解したい人には絶対はずせない作品と思われます。ある意味ディックの作品中一番肝心な作品ではあると思います。
ただし、小説自体もSFではなく純文学か前衛小説だと思えば、面白いっちゃあ面白いです。(そもそもSF的ガジェットが少ない小説です。)特に1章から8章までは文体も「暗闇のスキャナー」から踏襲している独特の感じがなかなか個性的な雰囲気で良いですし、70年代のアメリカを舞台にした前衛的私小説であると捕らえたら、かなり魅力的な小説であると思います。
また一人称である「わたし=PKディック」と主人公のホースラヴァ-・ファットの関係は、小説的処理がとても面白く、はっとするような書き方をしていて、ちょっと他の小説家の作品では読めない面白さがあります。
まあ、そういうわけで「ユービック」みたいな、例の「ディック・ワールド」を楽しみたいという方には向きませんが、「ディック・ワールド」を哲学的に考察したい人や、風変わりな小説が好きだという人は何度も読み返せる作品です。そういう意味ではすごくいい本なので星5つです。もしかしたらディックの作品の中ではプロパーとは反対の意味での、「高級感」が一番ある作品かもしれません。
ヴァリス (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: ヴァリス (創元推理文庫)より
4488696058
No.7
(4pt)

。。。

今から10年くらいまえ、数ページ進んだところのある記述で「がん!」と衝撃を受けてしまい、それ以後しまいまですごく丁寧に読んだ記憶があります。
最近、くだんの部分を読み返してみましたが、「がん!」はありませんでした。いずれにせよ、熟読する時間のある方におすすめ、かな。
ヴァリス (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: ヴァリス (創元推理文庫)より
4488696058
No.6
(4pt)

バカバカしくて良い

本書中に頻出する釈義に、まともに付き合おうとすると読了に困難をきたすが、その辺とは適当に付き合いつつ読み進めると、基本的には大変バカバカしくて可笑しい作品だということがわかる。
阿部和重が「アメリカの夜」で、大量に本書からの引用をしているけど、面倒臭そうでいてストーリーはバカバカしくて面白い、という路線も引き継いでいるので、「ヴァリス」が気に入ったならば、こちらも読んでみると良いでしょう。
その他にも大きな類似点あり。
ヴァリス (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: ヴァリス (創元推理文庫)より
4488696058
No.5
(4pt)

バカバカしくて良い

本書中に頻出する釈義に、まともに付き合おうとすると読了に困難をきたすが、その辺とは適当に付き合いつつ読み進めると、基本的には大変バカバカしくて可笑しい作品だということがわかる。
阿部和重が「アメリカの夜」で、大量に本書からの引用をしているけど、面倒臭そうでいてストーリーはバカバカしくて面白い、という路線も引き継いでいるので、「ヴァリス」が気に入ったならば、こちらも読んでみると良いでしょう。
その他にも大きな類似点あり。
ヴァリス (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: ヴァリス (創元推理文庫)より
4488696058
No.4
(5pt)

ディックの集大成

やっと日本語訳が出たという感じですね。
旧訳版にあった宗教学的なキーワードに対する解説はありませんが、
その分、読みやすくはなっていると思われます。
現在、グノーシスなどについては研究書なども多く出ているので、
割愛したのは英断だと。

さて、これは話の筋たるものは少ししかなく、あとはひたすらディックの分身である
ホースラヴァーファットと友人たちの神学談義です。
ですので、つまらないと思う方は、ひたすらつまらないと思いますが、
他の作品を読んでディックはどういう考えの人だったんだろうと思われた方には、
ある種の答えをくれると思います。
ヴァリス〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF) Amazon書評・レビュー: ヴァリス〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF)より
4150119597
No.3
(5pt)

ハード・ラノベ(というのがあるとすると)の原点

小説のつくりが壊れかかっている、というか壊れてしまっているところが読みどころ。

同じようなタイプ(と私には思える)の小説で、壊れそうで壊れていないのは、中島らも『バンド・オブ・ザ・ナイト』だ。

ソフィアをいわゆる萌えキャラとして捉えてラノベとして読むのも面白い。大昔、サンリオ文庫版では、藤野一友の表紙絵と裏表紙のキャプション(佐藤守彦)に持って行かれたのだけれど、80年代は遠く過ぎ去った今なら落ち着いて読める。。

俺はどこにでもいる普通のSF作家。1974年3月にピンクの光線を浴びてから、ローマでキリスト教徒が迫害されていた時代と現代とを二重に生きるようになった。…というようなラノベ文体に翻案するとディックの日常雑記小説だとわかる。しかし、314頁に突然黄金比が小数で現れたりするので油断はできない
ヴァリス〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF) Amazon書評・レビュー: ヴァリス〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF)より
4150119597
No.2
(4pt)

21世紀型のヴァリス

短編集「変数人間」から信じられないスピードで定期的な発刊を続けているここんところのハヤカワ文庫。昔は映画公開に合わせて2年~3年ごとに短編集が1冊出ていたのに、2013年の12月から既に「ヴァリス」で4冊目。今月の10日には、新たな短編集が刊行されるんだから、アホなのか確信犯なのかわからない。もう読み飽きた短編を含め、装いを新たに新刊の香りに包まれてディックの世界を味わえるのは、とても嬉しいことなのだけど、果たしてどれだけ需要があるのだろう。まあ、ファンからしたらどうでもいいことだけど。

創元推理文庫の「ヴァリス」の難解度丸出しの版に比べると、今回の新訳はかなりくだけた訳になっていて、新しいディックファンには入りやすいのではないかと思う。
「巨大にして能動的な生ける情報システム(旧)」と「巨大活性諜報生命体システム(新)」
どっちもなんのこっちゃという感じだけど、旧訳がなんだか生きててメッチャ動き回るでっかい機械なのか?というニュアンスに比べて、新訳は生きてる大きな巨大コンピューターみたいなイメージで、なんかシュッとしてる。これも21世紀に生きている私たちだから理解できることなのであって、こんなことを "なめネコ" ブームの1981年に本にしているディックは、やっぱりブッとんでいる。

「ぼくはホースラヴァー・ファットだ。(P.13-3)」と言い切った次のセンテンスから、もうファットとフィルに分離してしまっている、この物語。村上春樹のぼくと影、カフカとカラスのような内省的な自己対話の世界が既にそこから始まっていく。そこから第8章までのめくるめく神学論と精神病の話はかなり読者を選ぶと思うが、第9章の映画『ヴァリス』から始まるハイスピードな物語を堪能するには、どうしても理解しておかねばならない知識が前半に詰め込まれているので、わたしみたいに読みながら熟睡してしまって、どこまで読んだかわからなくて、同じところを何度も読むハメになったとしても、ページは進めていくべきでしょう。

それにしても大滝版ヴァリスをまだ中坊の頃に読んで、さっぱり理解できなくて、だけど第9章からのちょっとサスペンスな感じが楽しくて、理解できないまま、また再読していたのを20年以上経って、なんだかポッと思い出してしまった。今後も「聖なる侵入」と「ティモシー・アーチャーの転生」が続けて刊行されるようなので、ハヤカワ文庫の無謀なディック推しを、わたしは諸手を挙げて支援したい。
ヴァリス〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF) Amazon書評・レビュー: ヴァリス〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF)より
4150119597
No.1
(5pt)

あたしゃ、あたしゃであるところのものじゃわ!

作者自身の神秘体験もありいの、きちがいと言われて精神病棟に放り込まれることもありいの、古代ローマと1974年のカリフォーニャの重ね合わせもありいの、リンダ・ロンシュタットのミス・アメリカもありいの、いろいろありいの。
 しかし、すべては、グロリアの自殺から始まった・・・・・・・・

 中国行のスローボートで中国へ行こうと思っても、ハルキ・ムラカミは同行してくれない。で、映画”ヴァリス"を観てからが、一気に全体像が見えてくる、で、ここまでが読者にも、グノーシスからみのキリストおたくのお付き合いも含めて、長々と辛抱が強いられるけど、ヴァリス以降はお話は一気に進む。

 「あたしはあたしであるところの者じゃ」(どっかで聞いたことがあるような、ないような、あのモーゼがヤハウェの神さんからいただいたありがたーいお言葉であるやうな・・・・なかなかのキャッチーなコピー)。二歳のソフィアにちやほやされて、ナニされて、俺たちお笑い三人組は元気になる。

 旧訳では途中で投げ出した読者がいたそうだけど、まあ、キリスト教の教義とか、グノーシスなんかが出てくるから、多神教社会に育った日本人には、確かに読むのが辛い面もある。そこを我慢して読んでいけば、これがなかなか面白い。

 ついていけないと思ったら、訳者の「解説」ネタばらしを読んでから再挑戦するのもいいかもしれない。
ヴァリス〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF) Amazon書評・レビュー: ヴァリス〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF)より
4150119597