ユービック

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評判

ユービックの評価:

4.46/5点 レビュー 50件。 B ランク

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平均点4.46pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全99件 41〜60 3/5ページ
No.59
(5pt)

凄まじいSF

『マイノリティ・リポート』(映画)が大好きで、その原作者のSF‥ということで手に取りましたが、期待をはるかに上回りました。

中盤からの怒涛の世界崩壊が圧巻で、映画を超える没入度を味あわせてくれます。

誰が死んでいて、誰が生きているのか?「犯人」(がいるとすれば)は何者なのか?

現実と非現実が入り乱れ、説明し難い現象が連続する中で、混乱し、傷付き、立ち向かう主人公の感情が、紙面から流れ込んでくるようです。

しかし、決して不条理のみで終わる話ではなく、一つの「解」が提示され、意表をつく視界が開けます。そして最後の最後で...何はともあれオススメです。
ユービック (ハヤカワ文庫 SF 314) Amazon書評・レビュー: ユービック (ハヤカワ文庫 SF 314)より
4150103143
No.58
(3pt)

これって、本当に面白い?

PKD総選挙で、堂々の第一位!っていうことのようだけど、SF物語としてはどうなん?って感じがしないでもない。前半三分の一くらいまで、つまり、ランシターが爆風と共に去りぬ!っていうとこまでは、翻訳の古くさも手伝って、2018年の新春に読むにあたっては、めっちゃ&むっちゃきっしょい!きっしょい!

 オリジナルのリリースが1969年で、物語の舞台設定が1992年ということだけど、この時代設定を見る限り、まあね、2018年に読む者からすればそうかもしんないけど、少しばかり、PKD先生は想像力が乏しいなあ!って感じなんだな。

 で、この辛気臭い日本語翻訳。山形あたりの新訳を期待したいもんだな。
ユービック (ハヤカワ文庫 SF 314) Amazon書評・レビュー: ユービック (ハヤカワ文庫 SF 314)より
4150103143
No.57
(5pt)

巨匠ディック屈指の傑作です

一読、いかにもディックらしい現実崩壊と、生と死や現実と仮想、時間と空間等の境界問題(?)を遺憾なく追求した、巨匠屈指の傑作です。

異能プロダクションの総帥ホリス率いる超能力者軍団vsグレン・ランシター率いる反超能力者(不活性者)軍団の戦いに終始するのかと思いきや、100ページ(全体の約3分の1)を過ぎたところから急転直下の展開が始まります。
ランシター&ジョー・チップ率いる反超能力者軍団が、超能力者軍団の集結しているという月に到着早々、超能力者側の仕掛けた爆弾でメンバー11人の約半数が失われる。
瀕死の重傷を負ったボスのランシターを何とか宇宙船内の冷凍保存ケースに入れて、ジョー・チップ以下生き残りのメンバーたちはからくも地球へ帰還。それからあとがディック一流の怒涛の展開です。

このあと、読み進むにつれて、時間はどんどん退行するわ、生き残ったメンバーたちが次々と謎の死をとげるわ、そんな現実崩壊しまくった世界の中で、月での爆発で結局死んだはずのグレン・ランシターが、要所要所で、ジョー・チップらに、この狂った世界から脱出するための貴重なメッセージを送り込んでくる。
別のサイトのレビュアーさんが、いみじくも書かれていた「ジェットコースターさながらの展開」に、読んでいるほうは、「な、何なんだこの世界は?!」と、思わず叫びたくなる。

ここまで荒唐無稽な展開だと、普通だったら、「この作品はストーリーが完全に破たんしている」と思ってしかるべきで、じっさい私も、ディックファンであるにもかかわらず、正直ディックの正気を疑ったんですが、終りのほうまで行くと、ちゃんと整合性が取れている。
最後まで読んで、私は思わず唸ってしまいました。やはりフィリップ・K・ディックって天才なんですね。

「アンドロイドは電気羊の・・」や「火星のタイムスリップ」「流れよわが涙と警察官・・」「高い城の男」「虚空の眼」「偶然世界」「宇宙の操り人形」「死の迷路」「ドクター・ブラッドマネー」「ヴァリス」三部作などを読んで、ディックの斬新なアイデアと哲学、ぶっ飛んだストーリー展開には慣れているつもりだった私ですが、「ユービック」は、ある意味これまで読んだ全ての作品を越えて、神がかり的なディックワールドでした。

最初の方の展開がゆるくて、今まで「ユービック」を敬遠していた私ですが、早川書房さんのディック総選挙で、なんとあの何度も映画化された傑作「アンドロイドは電気羊の・・」を押さえて第1位に輝いたので、初めて最後まで読んだ次第です。
ディックは「アンドロイドは電気羊の・・」を書いた翌年に「ユービック」を書いているようで、この時期の彼は創作の絶頂期だったことが伺われます。
ユービック (1978年) (ハヤカワ文庫―SF) Amazon書評・レビュー: ユービック (1978年) (ハヤカワ文庫―SF)より
B000J8LL0Q
No.56
(5pt)

巨匠ディック屈指の傑作です

一読、いかにもディックらしい現実崩壊と、生と死や現実と仮想、時間と空間等の境界問題(?)を遺憾なく追求した、巨匠屈指の傑作です。

異能プロダクションの総帥ホリス率いる超能力者軍団vsグレン・ランシター率いる反超能力者(不活性者)軍団の戦いに終始するのかと思いきや、100ページ(全体の約3分の1)を過ぎたところから急転直下の展開が始まります。
ランシター&ジョー・チップ率いる反超能力者軍団が、超能力者軍団の集結しているという月に到着早々、超能力者側の仕掛けた爆弾でメンバー11人の約半数が失われる。
瀕死の重傷を負ったボスのランシターを何とか宇宙船内の冷凍保存ケースに入れて、ジョー・チップ以下生き残りのメンバーたちはからくも地球へ帰還。それからあとがディック一流の怒涛の展開です。

このあと、読み進むにつれて、時間はどんどん退行するわ、生き残ったメンバーたちが次々と謎の死をとげるわ、そんな現実崩壊しまくった世界の中で、月での爆発で結局死んだはずのグレン・ランシターが、要所要所で、ジョー・チップらに、この狂った世界から脱出するための貴重なメッセージを送り込んでくる。
別のサイトのレビュアーさんが、いみじくも書かれていた「ジェットコースターさながらの展開」に、読んでいるほうは、「な、何なんだこの世界は?!」と、思わず叫びたくなる。

ここまで荒唐無稽な展開だと、普通だったら、「この作品はストーリーが完全に破たんしている」と思ってしかるべきで、じっさい私も、ディックファンであるにもかかわらず、正直ディックの正気を疑ったんですが、終りのほうまで行くと、ちゃんと整合性が取れている。
最後まで読んで、私は思わず唸ってしまいました。やはりフィリップ・K・ディックって天才なんですね。

「アンドロイドは電気羊の・・」や「火星のタイムスリップ」「流れよわが涙と警察官・・」「高い城の男」「虚空の眼」「偶然世界」「宇宙の操り人形」「死の迷路」「ドクター・ブラッドマネー」「ヴァリス」三部作などを読んで、ディックの斬新なアイデアと哲学、ぶっ飛んだストーリー展開には慣れているつもりだった私ですが、「ユービック」は、ある意味これまで読んだ全ての作品を越えて、神がかり的なディックワールドでした。

最初の方の展開がゆるくて、今まで「ユービック」を敬遠していた私ですが、早川書房さんのディック総選挙で、なんとあの何度も映画化された傑作「アンドロイドは電気羊の・・」を押さえて第1位に輝いたので、初めて最後まで読んだ次第です。
ディックは「アンドロイドは電気羊の・・」を書いた翌年に「ユービック」を書いているようで、この時期の彼は創作の絶頂期だったことが伺われます。
ユービック (ハヤカワ文庫 SF 314) Amazon書評・レビュー: ユービック (ハヤカワ文庫 SF 314)より
4150103143
No.55
(3pt)

期待が大きかった分、普通でしょうか

本に巻かれた帯によれば、SFマガジンが2014年10月号に掲載したPKD総選挙において、巨匠フィリップ K ディックの作品中、堂々の第1位に選ばれた傑作であるということで、ディックの作品を久しぶりに購入しました。確かに面白いには面白いですが、期待が大きかった分、普通ですかね。ストーリー的には、ランシターの役回りとか、もっとドンデン返しを期待しましたが、裏切られました。同様に、とても小悪魔的で魅力的な美女(美少女?)キャラであるパット・コンリーの役回りにも大いに期待しましたが、こちらも裏切られました。わざと読者の期待を裏切っているのかもしれませんが、あまり裏切られてばかりだと、興醒めです。一方で、バタバタとキャラクターがいなくなっていきますので、最後の黒幕の選択肢はドンドン限られていき、黒幕の正体を含めた最後の展開は、直前のところでなんとなく読めてしまいました。
それなりに面白く、3日間程度で読み終えてしまいましたが、20年前に読んだ「高い城の男」、「流れよ我が涙、と警官は言った」の方が読み応えがあったと思いますし、のめり込めたと思います。
ユービック (ハヤカワ文庫 SF 314) Amazon書評・レビュー: ユービック (ハヤカワ文庫 SF 314)より
4150103143
No.54
(3pt)

期待が大きかった分、普通でしょうか

本に巻かれた帯によれば、SFマガジンが2014年10月号に掲載したPKD総選挙において、巨匠フィリップ K ディックの作品中、堂々の第1位に選ばれた傑作であるということで、ディックの作品を久しぶりに購入しました。確かに面白いには面白いですが、期待が大きかった分、普通ですかね。ストーリー的には、ランシターの役回りとか、もっとドンデン返しを期待しましたが、裏切られました。同様に、とても小悪魔的で魅力的な美女(美少女?)キャラであるパット・コンリーの役回りにも大いに期待しましたが、こちらも裏切られました。わざと読者の期待を裏切っているのかもしれませんが、あまり裏切られてばかりだと、興醒めです。一方で、バタバタとキャラクターがいなくなっていきますので、最後の黒幕の選択肢はドンドン限られていき、黒幕の正体を含めた最後の展開は、直前のところでなんとなく読めてしまいました。
それなりに面白く、3日間程度で読み終えてしまいましたが、20年前に読んだ「高い城の男」、「流れよ我が涙、と警官は言った」の方が読み応えがあったと思いますし、のめり込めたと思います。
ユービック (1978年) (ハヤカワ文庫―SF) Amazon書評・レビュー: ユービック (1978年) (ハヤカワ文庫―SF)より
B000J8LL0Q
No.53
(4pt)

変な小説

超能力者たちのバトルが始まると思いきや別の方向に行ったまま帰ってこないという変な話です
訳者あとがきでは「山田風太郎の集団忍者小説を連想させたのもつかの間・・・」みたいに書いてありますが
向こうの国でも同じように「超能力チームバトルが始まると思ったのに・・・」みたいなリアクション取るんでしょうか
ちょっと気になります
ユービック (1978年) (ハヤカワ文庫―SF) Amazon書評・レビュー: ユービック (1978年) (ハヤカワ文庫―SF)より
B000J8LL0Q
No.52
(4pt)

変な小説

超能力者たちのバトルが始まると思いきや別の方向に行ったまま帰ってこないという変な話です
訳者あとがきでは「山田風太郎の集団忍者小説を連想させたのもつかの間・・・」みたいに書いてありますが
向こうの国でも同じように「超能力チームバトルが始まると思ったのに・・・」みたいなリアクション取るんでしょうか
ちょっと気になります
ユービック (ハヤカワ文庫 SF 314) Amazon書評・レビュー: ユービック (ハヤカワ文庫 SF 314)より
4150103143
No.51
(4pt)

変な小説

超能力者たちのバトルが始まると思いきや別の方向に行ったまま帰ってこないという変な話です 訳者あとがきでは「山田風太郎の集団忍者小説を連想させたのもつかの間・・・」みたいに書いてありますが 向こうの国でも同じように「超能力チームバトルが始まると思ったのに・・・」みたいなリアクション取るんでしょうか ちょっと気になります
ユービック (1978年) (ハヤカワ文庫―SF) Amazon書評・レビュー: ユービック (1978年) (ハヤカワ文庫―SF)より
B000J8LL0Q
No.50
(4pt)

変な小説

超能力者たちのバトルが始まると思いきや別の方向に行ったまま帰ってこないという変な話です 訳者あとがきでは「山田風太郎の集団忍者小説を連想させたのもつかの間・・・」みたいに書いてありますが 向こうの国でも同じように「超能力チームバトルが始まると思ったのに・・・」みたいなリアクション取るんでしょうか ちょっと気になります
ユービック (ハヤカワ文庫 SF 314) Amazon書評・レビュー: ユービック (ハヤカワ文庫 SF 314)より
4150103143
No.49
(5pt)

少し翻訳が古臭いけれど、紛れも無い傑作

ブラックユーモアの効いた、また同時にポップな印象すら感じる傑作だと思う。
物語は滑稽ですらあるけれど、ディック特有の安っぽいSF的道具立てと世界観が素晴らしく、そしてそれ以上に物語そのものが抜群に面白い。
ほとんど漫画的なまでに描かれる超能力者たちをとりまく金や出世や嫉妬の悩みに満ちたチープな未来世界や、日常に侵入し始めた不可解な物理法則が作り出す時間や老化現象の奇怪さ、そして「ユービック」を売り込むための滑稽なほどの出来の悪いコマーシャルやコピー。
「火星のタイムスリップ」やこの「ユービック」はいろんな意味で、ディックのブラックなユーモア感覚が存分に楽しめる遊園地のような作品だと思う。

最近、英語の原作も読んで気がついたが、浅倉久志さんの翻訳は平易で読みやすく素晴らしいものの、さすがに1970年代の翻訳ということもあって、少し不必要に訳しすぎていたり不自然な部分も見受けられないわけではない(今の時代ならカタカナで通じてしまうような)。作中の時間逆行の部分ではその古臭さがハマっていい味を出しているのだが、同時にSFらしいスタイリッシュさを消している部分もあって、新しい翻訳で読んでみたい気もする。
ユービック (1978年) (ハヤカワ文庫―SF) Amazon書評・レビュー: ユービック (1978年) (ハヤカワ文庫―SF)より
B000J8LL0Q
No.48
(5pt)

ばっちり

小説は面白くて、楽しめれば、星5つでしょう。理屈は他の方に任せて、兎に角、次の本を読みたくなる。月並みですが、傑作と思います。
ユービック (1978年) (ハヤカワ文庫―SF) Amazon書評・レビュー: ユービック (1978年) (ハヤカワ文庫―SF)より
B000J8LL0Q
No.47
(5pt)

昔はレムが書いたら傑作になってたのに、と思ってました

今は、正反対の評価です。日常生活の中に、突然、裂け目が出来る感覚を、軽いタッチで見事に表現しています。生きることは、少しずつ死ぬことだ、と言う真理をガキだったわたしに強く印象づけました。レムなら哲学論で台無しにしてたでしょうね… 深読みしたくなるほど、表面上はストレートなSF傑作です。
ユービック (1978年) (ハヤカワ文庫―SF) Amazon書評・レビュー: ユービック (1978年) (ハヤカワ文庫―SF)より
B000J8LL0Q
No.46
(5pt)

境界の曖昧さを恐怖で描く物語

冷凍保存された「半生状態」の死者と交信することのできる世界。
物語は、超能力者集団を率いるホリス異能プロダクションと、 異能現象を中和させることのできる不活性者集団を率いるランシター合作社の対立で始まる。
ある日、 ランシター合作社の経営責任者であるグレン・ランシターのもとに、自社に潜む超能力者を一掃してくれという依頼が入る。大規模な案件であるため、グレン・ランシターは右腕のジョー・チップに不活性者を選抜を託す。そして、厳選された不活性者11人、ジョー・チップ、グレン・ランシターの一行は依頼の地「ルナ」へ旅立ち、そこで依頼主であるスタントン・ミックに出会う。
しかし、その現場からは、超能力者の存在を表す磁場が検出されない。するとその直後、スタントン・ミックと思われたその「自爆型のヒューマノイド爆弾」が炸裂。
そう、これは有能な不活性者を一掃しようとした、ホリスの罠だったのである。
この爆発でグレン・ランシターは絶命の危機にさらされるが、不活性者およびジョー・チップの懸命の逃走劇の末、冷凍保存で一命を取り留めたまま地球へと帰還することとなった。
「半生状態」になったグレン・ランシターであったが、ジョー・チップが何度も交信を試すものの、なぜか繋がることができない。ランシター合作社の経営を引き継ぐ立場にあったジョー・チップは途方に暮れることになるが、『異変』はここから始まる。
通貨価値の崩壊、すさまじい速度で進む物質の劣化、時間(あるいは時代)の退行、そして不活性者の変死...。
異変にまみれた奇妙な世界で、ジョー・チップは何を見ることになるのか。そしてタイトルでもある『ユービック』の正体とは!?

フィリップ・K・ディックの真髄である「境界のあいまいさ」が、これでもかとばかりに描写された作品です。「生と死の境界」「現実と仮想の境界」「退行と進行の境界」「虚構と事実の境界」...。私たちの実生活においても、一体どれだけのモノを『実体』として受け止めているのだろうか、と考えさせられる内容でした。目の前のモノを『実体』として手にしたいとき、私たちにも『ユービック』が必要になるのかもしれません。
ユービック (1978年) (ハヤカワ文庫―SF) Amazon書評・レビュー: ユービック (1978年) (ハヤカワ文庫―SF)より
B000J8LL0Q
No.45
(5pt)

『ヴァリス』を読むと『ユービック』がわかる

『ユービック』は一言でいえば「時間」をテーマにした小説である。

しかし、アシモフ以来のタイムトラベルものとは全く異なる。従前のタイムトラベルものは、あくまで常識的に理解されている直線的な時間観を前提にして、その中で未来へ行き、あるいは過去に遡ることをテーマにしていた。

これに対して『ユービック』のテーマは「偽の、あるいは、見せかけのタイムトラベル」である。

ネタバレになるので詳細は伏せるが、物語の後半で明らかになるのは、「時間の後退」だと思われていたものは「後退」ではなく、実は「停止」にすぎなかった、という事態だ。

『ユービック』を読み解くヒントは、ディックの別の小説『ヴァリス』にある。もちろん『ヴァリス』のほうが後に書かれた小説だ。だが『ユービック』や『高い城の男』その他の作品群でディックが考え抜いてきたテーマが一つに結実したのが『ヴァリス』なのだ。だから『ヴァリス』を読んでから『ユービック』を読み返すと、ディックの狙いがよくわかる。

『ヴァリス』の中で主人公ホースラヴァー・ファットは、グノーシス主義的な自分の「秘密経典書」の「釈義3」に「彼は時間が経過したと思えるように事物の見かけを変える」と記している。また、『ヴァリス』では、「実際の時間はキリスト紀元七〇年、イェルサレムの神殿の破壊とともに停止した」ということになっている。

『ユービック』でこれに相当するのはいうまでもなく、月世界でランシター合作社の一行を突然の爆発が襲うシーンである。これ以後、『ユービック』の物語世界は、『ヴァリス』流に言えば<帝国>の演出した「黒き鉄の牢獄」の時代、すなわち、時間軸が存在しなくなったにもかかわらず、あたかもそれが存在しているかのように事物の見かけが変えられていく時代へと移行するのである。

『ユービック』の世界では、録音テープのように順行、逆行しかない直線的な時間軸が否定される。むしろ、「時間は存在しない」(これは、『ヴァリス』の中でホースラヴァー・ファットが主治医のストーン博士に向けて語る世界解釈。)。

時間が存在しなくなった(停止した)世界のなかに、その世界の外部から、あたかも「神の遍在」(Ubiquity)のごとく、断片的にメッセージが挿入される。それが『ユービック』の世界観だ。グノーシス主義的にいえば、混沌の神ヤルダバオトによって作り出された世界に、真の唯一者の表れと見えるものが断片的に顕現するような世界観だ。

『ユービック』を最初に読んだときは、ふわふわと謎に包まれたような読後感が残った。ちょっと世界観が破綻しているのじゃないかとすら思った。しかし、二度三度と読むと、この小説が細部まで計算しつくされて書かれていることが分かる。ディックは(後に『ヴァリス』に結実する)確固たる世界観をもってこの小説を描いているのだ。

ぜひ、繰り返し読んでほしい。
ユービック (1978年) (ハヤカワ文庫―SF) Amazon書評・レビュー: ユービック (1978年) (ハヤカワ文庫―SF)より
B000J8LL0Q
No.44
(5pt)

期待通り

観終わって晴れ晴れとした気分なることが、黒沢明の映画の目指す方向で、
エンターテインメントすべてにとって正しいことだと思いますが、
ディックだけはそれとは真逆のものを求めてしまいます。
読み終わってどれほど憂鬱な気分にさせてもらえるかを期待しているんですが、
これは期待どおりの素晴らしい作品でした。
ユービック (1978年) (ハヤカワ文庫―SF) Amazon書評・レビュー: ユービック (1978年) (ハヤカワ文庫―SF)より
B000J8LL0Q
No.43
(5pt)

現実?

「ユービック」は最初から最後まで面白いです。
出だしを設定や登場人物の個性で掴み、中盤から後半まで怒涛の現実崩壊が続きます。

この世界は何なのか?
自分は何なのか?
……?

是非読んでみて下さい。オススメです。
ユービック (1978年) (ハヤカワ文庫―SF) Amazon書評・レビュー: ユービック (1978年) (ハヤカワ文庫―SF)より
B000J8LL0Q
No.42
(5pt)

最も優れたSFのひとつ

史上最も優れたSFは?と自問自答するとき、ディレイニーの「エンパイア・スター」とこの「ユービック」が何故か浮かんでくる。
ディックで一番好きだったり感動したりした訳でもないんだが、作品自体に力があるんだな、きっと。誰が書いたかに関係なく(ディックのファンじゃなくていい)、オススメです。
ユービック (1978年) (ハヤカワ文庫―SF) Amazon書評・レビュー: ユービック (1978年) (ハヤカワ文庫―SF)より
B000J8LL0Q
No.41
(5pt)

高校生のころ夢中でした

ディックの書いた小説がとにかく好きでした。世界が、人物がなにかの妄想に取りつかれていたり、実際に何かに支配されていたりしているもので、この世界から「逃避」したかったぼくは特に好きでしたね。
この「ユービック」はSFかもしれませんが、もしかしたらSFではないかも。SF的ですが、本来の意味のサイエンス・フィクションじゃないのでは。

どちらにせよ一種のミステリのようで面白い。これをディックの一番にしているかたもいるかも。とにかくおすすめ。
ユービック (1978年) (ハヤカワ文庫―SF) Amazon書評・レビュー: ユービック (1978年) (ハヤカワ文庫―SF)より
B000J8LL0Q
No.40
(4pt)

よくわからなかった結末を考えると(ネタばれ)

最初に読み終えたときには物語の途中で放り出されたようで意味がわからなかった。「え、前提条件はわかったけど、話はこれからでしょ?」という感想をぬぐえなかった。私が理解できなかったのかと思い、諸々の感想を読み漁ってみたのだけれど、どうもほかの読者的には間違ってはいない、よい結末らしい。私は白黒決着がつかない結末は許容できない性質のようで、頭が固いのだろうと思う。

 ユービックにまつわる物語は、前提条件として、死者(半生者)と生者の会話からスタートする。これが基本である。物語の中では、有る事件をきっかけにして、いかに死者を半生者として対話できるように持っていくか、であったのに、気がつけば半生者と生者の立場が逆転していた。そのどんでん返しがミソで、私にもそれは分かる。そのあたりは実に面白く読めた。

 時間の退行現象は、半生者の世界で起こる事で、主人公のジョー・チップのいる側が半生者サイドであり、ユービックがそこで絶大なる効果をふるうことがはっきりする、そのあたりで物語は終わる。おそらくジョー・チップはその世界で生き抜いていくことが暗示されるくだりだ。

 そして最後に付け加えられたのが、もう一方の世界、どんでん返しの結果、生者の世界とされたランシターの世界でも、異常な現象がみられ、どうやら生者の世界ではないらしいと分かる。つまりそれはどういうことなのか?、このあとどうなるのか?、それは暗示されない。

 この作品の本質はどうやら、異世界観にあり、「自分が所属していると思っている世界が実は異世界かもしれない」という特有の違和感がベースになって書かれているのだと理解した。だからつまり、決着は重要ではなく、どんでん返しにより場面転換がなされることで世界を認識する力が揺らぐ効果、考えさせる効果が主軸となった小説なんだ、というのが私の解釈だ。これは誤っているかもしれない。

 しかし私の世界認識はあまり揺らがなかったのか、「で次は?」になってしまった。小説としては対決なり決着なりをつけなければ終わりが美しくないと感じてしまう。読者が放り出された感じがして仕方がない。これは私が知的でなかったり、感性が足りていないのだろうか?、と不安になる。

 パメラという能力者の存在も実に中途半端だ。単なるやられ役だとするのは違和感がある。そもそも、彼女は自身の能力がこの状況を作り出したと考えていたのではなかったか? 作中では全く語られていない私の推論だが、ジョー・チップが半生者である世界と、ランスターが半生者である世界、2つの世界にパメラの能力によって分離されたのだ。そしてパメラ自身が死者(半生者)であるが故に、彼女の能力を行使すると、ジョー・チップとランシターの本来は並行する、2つの半生者の世界が結びつきを持つようになったのだ。それなら色々な物事の筋が通るように思える。

 パメラが世界を飛び移った際、それは生者と半生者の境を飛びこえるものだった。だからこそ、よりグチャグチャとした混乱状態が呈される事になったのではないだろうか。またそうでなければ、パメラの存在は作品の中に必要ではない。作者的にはそこは作品の本質でなく、あえて触れなかった部分なのかもしれない。

 私個人としては「感じ取れ」と言われてもえらく説明不足に感じてしまった。金の大切さというのも、硬貨の肖像という形で頻繁に硬貨を登場させたかっただけにしか感じられない。かなり面白く読めたものの、今一つ割り切れなさの残る作品だった。高評価の方には、頭の固い私のような人間にも分かるよう、作品の魅力を教えていただければと思う。
ユービック (1978年) (ハヤカワ文庫―SF) Amazon書評・レビュー: ユービック (1978年) (ハヤカワ文庫―SF)より
B000J8LL0Q