(短編集)

黒い画集

評判

黒い画集の評価:

4.27/5点 レビュー 79件。 B ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.27pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全106件 41〜60 3/6ページ
No.66
(5pt)

やっぱり松本清張

直ぐに読みたい本がみつかって、本屋さんと同じ状態の本が届く。とても便利。黒いシリーズ面白かったです。
黒い画集 (カッパ・ノベルス) Amazon書評・レビュー: 黒い画集 (カッパ・ノベルス)より
4334030068
No.65
(5pt)

やっぱり松本清張

直ぐに読みたい本がみつかって、本屋さんと同じ状態の本が届く。とても便利。黒いシリーズ面白かったです。
黒い画集 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 黒い画集 (新潮文庫)より
4101109192
No.64
(4pt)

人間の色と欲

先ごろNHKで放映された松本清張ドラマ『黒い画集~証言』を見て、そういえばこの原作を買ったまま未読であることを思い出した。読んでみると、『証言』は文庫にして23ページの短編である。ドラマでは不倫関係の男女を男性同士の設定に変えるなど、大幅な改変が加えられていることを知った。

本書にはそのほか計7作の短編・中編が収められている。なかでも有名なのは、映画化もされた『天城越え』だろう。これも41ページの比較的短い作品だが、作品の舞台が放つ叙情性、酌婦と少年という登場人物の造形などに魅力があり、人気が高い。わたしは映画を観ていないので、新鮮に読むことができた。

巻頭の『遭難』は山岳ミステリともいうべき趣、『寒流』は経済小説のような復讐譚。『紐』は保険金がらみの謎を、『坂道の家』は愛憎劇のサスペンスを描きながら、人間の色と欲を浮き彫りにする。短編の『凶器』はロアルド・ダールの『おとなしい凶器』のアイデアを、清張ワールドに見事に変換している。

それにしてもすごいなと思うのは、どの作品も過去に何度もドラマ化や映画化がされていることだ。『証言』『寒流』『紐』『坂道の家』は、どれもそれぞれ6回映像化されている! 日本人は本当に松本清張が好きなんだなあと思う(かく言うわたし自身もそうだが)。ちなみに本書の諸作はすべて昭和30年代の小説である。
黒い画集 (カッパ・ノベルス) Amazon書評・レビュー: 黒い画集 (カッパ・ノベルス)より
4334030068
No.63
(4pt)

人間の色と欲

先ごろNHKで放映された松本清張ドラマ『黒い画集~証言』を見て、そういえばこの原作を買ったまま未読であることを思い出した。読んでみると、『証言』は文庫にして23ページの短編である。ドラマでは不倫関係の男女を男性同士の設定に変えるなど、大幅な改変が加えられていることを知った。

本書にはそのほか計7作の短編・中編が収められている。なかでも有名なのは、映画化もされた『天城越え』だろう。これも41ページの比較的短い作品だが、作品の舞台が放つ叙情性、酌婦と少年という登場人物の造形などに魅力があり、人気が高い。わたしは映画を観ていないので、新鮮に読むことができた。

巻頭の『遭難』は山岳ミステリともいうべき趣、『寒流』は経済小説のような復讐譚。『紐』は保険金がらみの謎を、『坂道の家』は愛憎劇のサスペンスを描きながら、人間の色と欲を浮き彫りにする。短編の『凶器』はロアルド・ダールの『おとなしい凶器』のアイデアを、清張ワールドに見事に変換している。

それにしてもすごいなと思うのは、どの作品も過去に何度もドラマ化や映画化がされていることだ。『証言』『寒流』『紐』『坂道の家』は、どれもそれぞれ6回映像化されている! 日本人は本当に松本清張が好きなんだなあと思う(かく言うわたし自身もそうだが)。ちなみに本書の諸作はすべて昭和30年代の小説である。
黒い画集 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 黒い画集 (新潮文庫)より
4101109192
No.62
(4pt)

原作の勝ち

「証言」。原作は、やはりテレビドラマより良かった。
黒い画集 (カッパ・ノベルス) Amazon書評・レビュー: 黒い画集 (カッパ・ノベルス)より
4334030068
No.61
(4pt)

原作の勝ち

「証言」。原作は、やはりテレビドラマより良かった。
黒い画集 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 黒い画集 (新潮文庫)より
4101109192
No.60
(5pt)

すみません。

先般、出品者の方を間違えてコメントしてしまいました。『黒い画集』良い状態でした。旧装丁版だったのが嬉しかったです。失礼しました。
黒い画集 (カッパ・ノベルス) Amazon書評・レビュー: 黒い画集 (カッパ・ノベルス)より
4334030068
No.59
(5pt)

すみません。

先般、出品者の方を間違えてコメントしてしまいました。『黒い画集』良い状態でした。旧装丁版だったのが嬉しかったです。失礼しました。
黒い画集 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 黒い画集 (新潮文庫)より
4101109192
No.58
(5pt)

88歳も読んで喜ぶ!

母(88歳)が推理小説が読みたいと申しましたので選んだのですが、熱中して読んだと言っておりました。
ありがとうございました。
黒い画集 (カッパ・ノベルス) Amazon書評・レビュー: 黒い画集 (カッパ・ノベルス)より
4334030068
No.57
(5pt)

88歳も読んで喜ぶ!

母(88歳)が推理小説が読みたいと申しましたので選んだのですが、熱中して読んだと言っておりました。
ありがとうございました。
黒い画集 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 黒い画集 (新潮文庫)より
4101109192
No.56
(4pt)

2時間ドラマ?でも面白い!

2作品が収録されています。どちらもテンポよく進むので一気に読めます。内容に深さはありませんが、まあ楽しめる作品です。
事故―別冊黒い画集〈1〉 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 事故―別冊黒い画集〈1〉 (文春文庫)より
4167697106
No.55
(4pt)

2時間ドラマ?でも面白い!

2作品が収録されています。どちらもテンポよく進むので一気に読めます。内容に深さはありませんが、まあ楽しめる作品です。
事故 (文春文庫―別冊黒い画集) Amazon書評・レビュー: 事故 (文春文庫―別冊黒い画集)より
4167106108
No.54
(4pt)

清張らしいアイコンもいいのだろうけれど、人物に個性のある作品に惹かれます

みうらじゅんさんの松本清張ファンムック「清張地獄八景」のおかげで、未読だった松本清張を読み始めました。といってもまだ短編集を3冊のみの読了です。

上述のムックでみうらさんはこの作品集からは「証言」と有名な「天城越え」を推していましたが、私はむしろ中編といえる「遭難」「寒流」が印象に残っています。

私が読んだ他の作品ではたいてい--時代性もあるのか--男性は「そこそこ裕福で、さらに功成り名遂げたい中年」女性はもっと単純に「若い美女」といった、その人物の個性よりは立場のアイコンとしての位置付けがなされているようで、いわばどの作品の人物も他作品と入れ替え可能なように見えます。

みうらじゅんさんは、そのアイコンとして一般化できる部分を「清張地獄」「清張スイッチ」のように呼び論じていらっしゃったのですが、私としては、その部分にあまり魅力を感じません。むしろその特徴は弱いけれど、キャラクターに個性が見られ、ストーリー展開もスリリングなこれら2作品が、他の作品でも顕著にわかる文章のうまさと相まって読み応えがあるものと思えたのです。

特に「遭難」に登場する松本高校(旧制なのかな?)山岳部出身の男性の造形は、日本の作品よりもアメリカのミステリなどに出てきそうな雰囲気を持ち、映像が目に浮かぶようで非常に印象に残っています。

それでも私としては未読の短編もまだ山ほどあるし、長編は手付かずなので、まだしばらくは松本清張を楽しめそうです。
黒い画集 (カッパ・ノベルス) Amazon書評・レビュー: 黒い画集 (カッパ・ノベルス)より
4334030068
No.53
(4pt)

清張らしいアイコンもいいのだろうけれど、人物に個性のある作品に惹かれます

みうらじゅんさんの松本清張ファンムック「清張地獄八景」のおかげで、未読だった松本清張を読み始めました。といってもまだ短編集を3冊のみの読了です。

上述のムックでみうらさんはこの作品集からは「証言」と有名な「天城越え」を推していましたが、私はむしろ中編といえる「遭難」「寒流」が印象に残っています。

私が読んだ他の作品ではたいてい--時代性もあるのか--男性は「そこそこ裕福で、さらに功成り名遂げたい中年」女性はもっと単純に「若い美女」といった、その人物の個性よりは立場のアイコンとしての位置付けがなされているようで、いわばどの作品の人物も他作品と入れ替え可能なように見えます。

みうらじゅんさんは、そのアイコンとして一般化できる部分を「清張地獄」「清張スイッチ」のように呼び論じていらっしゃったのですが、私としては、その部分にあまり魅力を感じません。むしろその特徴は弱いけれど、キャラクターに個性が見られ、ストーリー展開もスリリングなこれら2作品が、他の作品でも顕著にわかる文章のうまさと相まって読み応えがあるものと思えたのです。

特に「遭難」に登場する松本高校(旧制なのかな?)山岳部出身の男性の造形は、日本の作品よりもアメリカのミステリなどに出てきそうな雰囲気を持ち、映像が目に浮かぶようで非常に印象に残っています。

それでも私としては未読の短編もまだ山ほどあるし、長編は手付かずなので、まだしばらくは松本清張を楽しめそうです。
黒い画集 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 黒い画集 (新潮文庫)より
4101109192
No.52
(5pt)

明治以降最高の作家。昭和の奇跡的巨人。

松本清張の実力が発揮された作品集です、同じアイディア持ったとしても、余人に書ける小説ではありません。
黒い画集 (カッパ・ノベルス) Amazon書評・レビュー: 黒い画集 (カッパ・ノベルス)より
4334030068
No.51
(5pt)

明治以降最高の作家。昭和の奇跡的巨人。

松本清張の実力が発揮された作品集です、同じアイディア持ったとしても、余人に書ける小説ではありません。
黒い画集 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 黒い画集 (新潮文庫)より
4101109192
No.50
(5pt)

映画からの

田中裕子主演版の天城越えを観て、小説が読みたくなって購入しました。始め、タイトル天城越えで検索しても出ませんでした。よくよく調べてみると、黒い画集と言う名の短編集に入ってる事が分かりました。
映画を観てからですので、当然ストーリーは知ってます。しかし、それが故に映像と活字の対比が面白かったです。
黒い画集 (カッパ・ノベルス) Amazon書評・レビュー: 黒い画集 (カッパ・ノベルス)より
4334030068
No.49
(5pt)

映画からの

田中裕子主演版の天城越えを観て、小説が読みたくなって購入しました。始め、タイトル天城越えで検索しても出ませんでした。よくよく調べてみると、黒い画集と言う名の短編集に入ってる事が分かりました。
映画を観てからですので、当然ストーリーは知ってます。しかし、それが故に映像と活字の対比が面白かったです。
黒い画集 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 黒い画集 (新潮文庫)より
4101109192
No.48
(5pt)

清張の中短篇集の中では最高傑作だと思う

短篇集といいながら、下記のように、長いもので文庫本190ページもある。中短篇集と呼ぶべきだと思う。
しかも、全7作中、100ページ以上の中編がじつに4作もある。なおハートマークを付けた作品は不倫がドラマの原動力となっている作品。

・遭難・・・・・・・・・・130ページ♥
・証言・・・・・・・・・・・23ページ♥
・天城越え・・・・・・・・・41ページ
・寒流・・・・・・・・・・146ページ♥
・凶器・・・・・・・・・・・46ページ
・紐・・・・・・・・・・・138ページ♥
・坂道の家・・・・・・・・190ページ♥

「遭難」は、ちょっとした山岳冒険小説の味わいが良かった。後半、山で遭難した岩瀬の実の姉から江田の会社に電話がかかって来るところからは、ミステリーっぽくなってゆき文字どおりハラハラドキドキのし通しだった。江田、浦橋、岩瀬の同僚三人で鹿島槍に登り、けっきょく天候悪化で遭難し、岩瀬が死亡するのだが、その岩瀬の姉からの電話である。
そして、その姉のいとこに当たる登山経験者の槇田と江田が、遭難した時と同じルートをたどって鹿島槍に登り始めて後のスリリングな展開は松本清張一流のもの。遭難時の殺人トリックも巧妙極まりない。他のレビュアーさんも絶賛しておられたが、私もこの作品が大好きである。

「証言」は、石野という男(課長)が、愛人との関係を知られたくないばっかりに、あえて偽証し続けるという内容。これも読みごたえがあった。最後のどんでん返しが非常に面白い。

「天城越え」は映画版をDVDで観たことがあったので、大まかなスジは知っていたが、正直のところ、小説の方が格段に面白かった。ただし、映画の方も原作のスジをかなり忠実になぞっている。
それでも小説が面白く感じられたのは作者松本清張の文章の力によるところが大きいが、もうひとつ、家出少年が天城の山で遭遇した女、大塚ハナと流れ者の土工との性交の描写が、小説では映画ほど露骨ではなく、暗示するにとどめていたところがすごく良かったためである。
映画の方はポルノ映画並みに露骨すぎて気持ち悪かった。だって土工が不潔極まりない男なんだもの。

「寒流」は146ページの中編で読み応えかあった。大手銀行の支店長沖野と前川奈美、そして桑山常務の3人を中心にしてドラマが動いていくのだが、3人が演じる狐とタヌキの化かし合いがとても面白かった。
既婚者なのに若い美女、前川奈美と浮気をし、彼女との結婚まで考えている沖野も悪いし、奈美も打算的な女だし、さらに女グセの悪い桑山常務も悪いのだが、やはり最大の悪人は桑山である。
秘密探偵と総会屋を使って、沖野が、「桑山の奈美に対する不正融資」をあばこうとするのに対抗して、次から次へと繰り出す桑山の反撃のすさまじさには舌を巻いた。
まさかの暴力団まで出てきた所では、そのすさまじい筆力に圧倒され、「松本清張は天才ではないか」とさえ思った。

「凶器」は一転して46ページの短篇だが、これはこれで非常に面白かった。犯行の決め手となる凶器をどうしても見つけることができなかった多島田刑事をはじめとする警察だが、3年の歳月が流れたあとに偶然の事から多島田は事件の凶器が何であったかに気づく。ちょっとした「ひらめき」である。

「紐」138ページは、殺人事件の真相が最後まで分からないハラハラドキドキ感がハンパなくてすごくよかった。
東京で一旗あげようと出てきた夫が多摩川の河原において何者かの手で殺される。他殺に間違いないのに、もっとも怪しいと思われた妻のアリバイが完璧 (完璧すぎ?) なのである。警察が降参して迷宮入りになった事件を、夫に多額の保険金が掛けられていたことから保険会社の一社員である戸田正太が調査することとなる。そして戸田の卓抜な推理と地道な聞き込みで真相解明に一気に肉薄してゆくというもの。ただし真相は戸田の推理さえも超えていた・・・。

「坂道の家」190ページ。これは読みながら谷崎潤一郎の『痴人の愛』を連想せずにはいられなかった。この中短篇集の中では最長の作品だが、読み応えの方も中短篇集中一番だった。
ページをめくるのがもどかしいくらいののめり込みようで、もちろん最後まで一気読み。
仕事一筋で40代半ばまで来た小間物店の堅物主人・寺島吉太郎が、ふとしたきっかけから杉田りえ子という若い女にのめり込み身を持ち崩して行くという、いわばよくあるパターンのドラマである。
それにもかかわらず、引き込まれるようにして読みふけったのは、ひとえに松本清張のストーリーテリングの絶妙さ以外の何ものでもない。最後、寺島は殺されてしまうのだが、その殺人トリックが巧妙としか言いようのないもので、しょうじき非常に驚いた。
黒い画集 (カッパ・ノベルス) Amazon書評・レビュー: 黒い画集 (カッパ・ノベルス)より
4334030068
No.47
(5pt)

清張の中短篇集の中では最高傑作だと思う

短篇集といいながら、下記のように、長いもので文庫本190ページもある。中短篇集と呼ぶべきだと思う。
しかも、全7作中、100ページ以上の中編がじつに4作もある。なおハートマークを付けた作品は不倫がドラマの原動力となっている作品。

・遭難・・・・・・・・・・130ページ♥
・証言・・・・・・・・・・・23ページ♥
・天城越え・・・・・・・・・41ページ
・寒流・・・・・・・・・・146ページ♥
・凶器・・・・・・・・・・・46ページ
・紐・・・・・・・・・・・138ページ♥
・坂道の家・・・・・・・・190ページ♥

「遭難」は、ちょっとした山岳冒険小説の味わいが良かった。後半、山で遭難した岩瀬の実の姉から江田の会社に電話がかかって来るところからは、ミステリーっぽくなってゆき文字どおりハラハラドキドキのし通しだった。江田、浦橋、岩瀬の同僚三人で鹿島槍に登り、けっきょく天候悪化で遭難し、岩瀬が死亡するのだが、その岩瀬の姉からの電話である。
そして、その姉のいとこに当たる登山経験者の槇田と江田が、遭難した時と同じルートをたどって鹿島槍に登り始めて後のスリリングな展開は松本清張一流のもの。遭難時の殺人トリックも巧妙極まりない。他のレビュアーさんも絶賛しておられたが、私もこの作品が大好きである。

「証言」は、石野という男(課長)が、愛人との関係を知られたくないばっかりに、あえて偽証し続けるという内容。これも読みごたえがあった。最後のどんでん返しが非常に面白い。

「天城越え」は映画版をDVDで観たことがあったので、大まかなスジは知っていたが、正直のところ、小説の方が格段に面白かった。ただし、映画の方も原作のスジをかなり忠実になぞっている。
それでも小説が面白く感じられたのは作者松本清張の文章の力によるところが大きいが、もうひとつ、家出少年が天城の山で遭遇した女、大塚ハナと流れ者の土工との性交の描写が、小説では映画ほど露骨ではなく、暗示するにとどめていたところがすごく良かったためである。
映画の方はポルノ映画並みに露骨すぎて気持ち悪かった。だって土工が不潔極まりない男なんだもの。

「寒流」は146ページの中編で読み応えかあった。大手銀行の支店長沖野と前川奈美、そして桑山常務の3人を中心にしてドラマが動いていくのだが、3人が演じる狐とタヌキの化かし合いがとても面白かった。
既婚者なのに若い美女、前川奈美と浮気をし、彼女との結婚まで考えている沖野も悪いし、奈美も打算的な女だし、さらに女グセの悪い桑山常務も悪いのだが、やはり最大の悪人は桑山である。
秘密探偵と総会屋を使って、沖野が、「桑山の奈美に対する不正融資」をあばこうとするのに対抗して、次から次へと繰り出す桑山の反撃のすさまじさには舌を巻いた。
まさかの暴力団まで出てきた所では、そのすさまじい筆力に圧倒され、「松本清張は天才ではないか」とさえ思った。

「凶器」は一転して46ページの短篇だが、これはこれで非常に面白かった。犯行の決め手となる凶器をどうしても見つけることができなかった多島田刑事をはじめとする警察だが、3年の歳月が流れたあとに偶然の事から多島田は事件の凶器が何であったかに気づく。ちょっとした「ひらめき」である。

「紐」138ページは、殺人事件の真相が最後まで分からないハラハラドキドキ感がハンパなくてすごくよかった。
東京で一旗あげようと出てきた夫が多摩川の河原において何者かの手で殺される。他殺に間違いないのに、もっとも怪しいと思われた妻のアリバイが完璧 (完璧すぎ?) なのである。警察が降参して迷宮入りになった事件を、夫に多額の保険金が掛けられていたことから保険会社の一社員である戸田正太が調査することとなる。そして戸田の卓抜な推理と地道な聞き込みで真相解明に一気に肉薄してゆくというもの。ただし真相は戸田の推理さえも超えていた・・・。

「坂道の家」190ページ。これは読みながら谷崎潤一郎の『痴人の愛』を連想せずにはいられなかった。この中短篇集の中では最長の作品だが、読み応えの方も中短篇集中一番だった。
ページをめくるのがもどかしいくらいののめり込みようで、もちろん最後まで一気読み。
仕事一筋で40代半ばまで来た小間物店の堅物主人・寺島吉太郎が、ふとしたきっかけから杉田りえ子という若い女にのめり込み身を持ち崩して行くという、いわばよくあるパターンのドラマである。
それにもかかわらず、引き込まれるようにして読みふけったのは、ひとえに松本清張のストーリーテリングの絶妙さ以外の何ものでもない。最後、寺島は殺されてしまうのだが、その殺人トリックが巧妙としか言いようのないもので、しょうじき非常に驚いた。
黒い画集 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 黒い画集 (新潮文庫)より
4101109192