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(短編集)
名探偵 木更津悠也
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名探偵 木更津悠也の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.74pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全19件 1~19 1/1ページ
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本作は麻耶雄嵩的には一見「まとも」な作品群と言えます。 逆に言えば本作が書かれた2004年までの麻耶雄嵩作品が異常なのですが、奇抜さや独創性が前面に出ており、地に足がついていなかったようにも見えます。もちろんこの時期の作品は、若い頃にしか書けない作品で、大好きですが、本作は少し毛色が違います。 個人的に一番のお気に入りは一作目の「白幽霊」。図式がとにかく美しい。脳天に突き抜けるような美しさ。 何も考えずに本作を読むと確かに「地味な凡作の極み」なのですが、本作が犯人当てだった場合に真実に辿り着ける読者は何%いるでしょうか? ここまで精緻で、ロジックが美しい本格ミステリは滅多に出逢えませんし、自分が好きな短編本格ミステリベスト10には入るように思います。 逆に本作を「凡作」と感じてしまうようだと、なかなか厳しいかもしれません。 1990-2000年代の麻耶雄嵩の評価は、「デビュー作が人気だが、それ以外は一部のファンにカルト的な人気があるだけの無冠のマイナー作家」という認識でした。 「鴉」が本格ミステリベスト10で1位に輝いたりもしましたが、綾辻行人崩れのような作風で、今から読み返すとあまり「麻耶雄嵩的」ではなく、迷走していたようにも見えます。 それが一気にメジャーになったのが、2010-2015年の「貴族探偵」「隻眼の少女」「メルカトルかく語りき」「さよなら神様」などの麻耶雄嵩の全盛期であり、本格ミステリの権化のような精緻なロジックと、本格ミステリに対する麻耶雄嵩独特の問題意識・新規性が結びついた傑作群で、数々の賞を総なめにしました。 そういう歴史から見ると、2000年代はまさに麻耶雄嵩が羽化するための過渡期でした。 この「名探偵木更津悠也」は麻耶雄嵩が本格ミステリ的なロジック、作り込みに正面から取り組みだして、作品のクオリティを1段階引き上げた、基礎体力をつけることに一役買った作品のように思っています。 この作品なくしては後の作品群は産まれなかったと思います。 確かに全体的に「地味」ではありますが、麻耶雄嵩のターニングポイントとして非常に重要な作品であり、派手さはないものの、個人的には大好きな短編がぎっちり詰まった宝箱のような作品です。 | ||||
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メタフィクショナルな探偵を何人も創り出している作家麻耶雄嵩の連作短編集。 麻耶雄嵩作品はアンチミステリと言われるものだったが、もはやその枠を越えミステリの可能性を押し広げている前衛的と言って良いような作品が多いが、そんな中にあって貴重な正統派(より)の名探偵であり、デビュー作「翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件」にも登場した木更津悠也が主人公となっている。変化球のアイデアに目がいきがちだが麻耶雄嵩は明らかにパズラーのロジックも得意としており、だから変化球でメタな探偵でも、どっちらけになるような(それもそれでありだが)オチにならず、理路整然としたパズラーの本格ミステリとして成立している。そこで木更津悠也のこの作品は、飛び道具は抑えめで純粋な推理小説を前面に押し出した形になっている。「名探偵 木更津悠也」というど直球なタイトルにもそれが表れているように思える。 とはいえ、世界観や登場人物のやり取りの面白さはいつも通りで、一癖ある手掛かりだが何となれば読者でも解けそうに思えるのが推理小説の名を冠するに相応しいものとなっている。真相にも一捻り加わって好みがでるかもしれないが、自分の中では再読に耐えるほど面白かった。 | ||||
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名探偵のミステリにおいて謎を解決する装置という役割を突き詰めて書かれたのが『貴族探偵』なら本書は名スタイルというか美学がなければ名探偵ではないという逆の方向性のアプローチ。 推理力で遥かに勝るのは助手の香月だが探偵たるのは木更津で「木更津はかっこいいなあ」と思っている所が人間力を発揮して演出したり調整したりストイックさだったり。そういう所をみたい助手の介入で事件を解決する木更津との関係が味わい深く好きです。 収録作では「禁区」が特に良かったと思います。 | ||||
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翼ある闇にて登場した"名探偵"木更津悠也が活躍する短編集。読んでいて楽しめたが個人的に短編の質は「メルカトルかく語りき」や「メルカトルと美袋のための殺人」より劣る。 | ||||
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翼ある闇を読んだとき探偵ではなく助手役が事件の真相を暴くという新鮮さに感動しました 本書はそれに近く助手役が探偵役をそれとなく誘導し事件を解決させるという作風です しかし助手は探偵役を見下しているというわけではなく探偵として尊敬し助手役として甘んじる絶妙な関係 短編4作品すべて犯人の心理や行動によって事件が不可解なものになっているのでとても出来のいい作品ではないかと思います | ||||
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麻耶氏の作品は講談社か新潮から出ているのが殆どだが、本作は氏としては珍しい光文社からのリリースで、もともとはカッパノベルスの一冊としてリリースされている。 オッサンの読み捨てミステリーのイメージが強いカッパからの麻耶氏が出していたというのがかなり意外だが、そのせいもあって、麻耶としてはかなりまともな普通の推理短編小説となっている。癖の強い変則作品ばかりの氏としては全く癖のない万人向け推理作品とあって、逆に麻耶全作品中もっとも異色な作品と言えるかもしれない。 幽霊目撃談をモチーフにして4つの事件が展開する。さすがにカッパノベルスでメルカルトル鮎では受け入れられないと判断したのか、デビュー作で同じく探偵役だった木更津と香月のコンビが活躍し、全てオーソドックスな論理的解決が導かれる。麻耶氏だとその後の常識外の落ちが定番だが、本作にはない。あくまで普通の推理小説としての定番的要素を狙った麻耶氏の推理作家としての職人性が堪能できる作品である。最初の麻耶入門には最適だろう。他はこのような作風じゃないけど。 | ||||
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◆「交換殺人」 平山勝は、酒場で会った見ず知らずの男と交換殺人の約束をしてしまったという。 酔いが醒めた平山は、約束を守る気はなくなったのだが、 数日後、彼が殺すはずだった男が、何者かに撲殺され……。 本作では二件の殺人事件が発生し、それらと 交換殺人が、どう結びつくかが焦点となります。 また、読者の注意力を試すかのように間違い探し テイストの大胆な伏線の提示がなされています。 ◆「時間外返却」 鉄道展望ビデオに、ほんの一瞬、映っていた女の映像。 地元のオカルト好きが集まり、問題の場所を訪れてみると、 一年前に行方不明になっていた女子大生の死体を発見する。 被害者は失踪した日に、ビデオを借りていたのだが、 なぜかそのビデオは失踪後に時間外返却されていた。 そして、そのビデオのテープには被害者の血痕が残されていて……。 死体発見現場に遺されていた被害者の遺留品から、 殺害現場を特定していくロジックは、なかなか秀逸。 ですが、そうした殺人事件そのものの推理のほかに、本書全体を貫くテーマである、 名探偵へのワトソン役による愛ゆえの(?)干渉の極めつけが、本作で行われます。 「真相」に気づいた木更津と、香月の関係が、 今後どうなっていくのか、気になるところです。 ◆「白幽霊」 ◆「禁区」 | ||||
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2004年にカッパ・ノベルスとして出たものの文庫化。 京都の住宅街に出没する白い幽霊を軸に、4つの事件が語られている。 4篇の出来はそれなり。面白かったのは「交換殺人」。いろいろバリエーションのあるテーマだが、ひとひねりあるプロットで楽しめた。 「白幽霊」もまあまあ。犯行の構図が巧みにズラしてあり、それに気が付くと一挙に事件が解決して爽快。 しかしながら、本書を特徴づけているのは、物語全体に巧妙な仕掛けがある点。やな感じのトリックだが、これはこれで面白い。私は気に入った。メタ・ミステリとしては、成功している部類ではないか。 通読して、全体のトリックに気付いて、再読する。二度楽しめる本であった。 | ||||
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2004年にカッパ・ノベルスとして出たものの文庫化。 京都の住宅街に出没する白い幽霊を軸に、4つの事件が語られている。 4篇の出来はそれなり。面白かったのは「交換殺人」。いろいろバリエーションのあるテーマだが、ひとひねりあるプロットで楽しめた。 「白幽霊」もまあまあ。犯行の構図が巧みにズラしてあり、それに気が付くと一挙に事件が解決して爽快。 しかしながら、本書を特徴づけているのは、物語全体に巧妙な仕掛けがある点。やな感じのトリックだが、これはこれで面白い。私は気に入った。メタ・ミステリとしては、成功している部類ではないか。 通読して、全体のトリックに気付いて、再読する。二度楽しめる本であった。 | ||||
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「夏と冬の奏鳴曲」、「鴉」などの衝撃作で読者を驚かせる作者が、ある構想を持って読者に送る連作短編集。探偵役を務めるのは木更津、ワトソン役は香月。各作品は"白幽霊"という共通のモチーフを持つものの、内容的には独立している。 「白幽霊」は平凡なお屋敷もの。「禁区」は高校生の情痴殺人もの。「交換殺人」は無茶な交換殺人計画。「時間外返却」はこれまた情痴殺人もの。いずれの作品も目新しい趣向やトリックはなく、凡庸の極み。 だが、全編を通じて作者はある試みをしているのだ。読んで行くと自然に分かるのだが、作者はミステリのある可能性を拡げようと苦心しているのである。だが、ミステリは読んで詰まらなければそれまでで、本作ではその試みは完全に失敗していると思う。作者の手前勝手な試みではなく、読者を楽しませる作品の提供を第一に考えて欲しい。 | ||||
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「夏と冬の奏鳴曲」、「鴉」などの衝撃作で読者を驚かせる作者が、ある構想を持って読者に送る連作短編集。探偵役を務めるのは木更津、ワトソン役は香月。各作品は"白幽霊"という共通のモチーフを持つものの、内容的には独立している。 「白幽霊」は平凡なお屋敷もの。「禁区」は高校生の情痴殺人もの。「交換殺人」は無茶な交換殺人計画。「時間外返却」はこれまた情痴殺人もの。いずれの作品も目新しい趣向やトリックはなく、凡庸の極み。 だが、全編を通じて作者はある試みをしているのだ。読んで行くと自然に分かるのだが、作者はミステリのある可能性を拡げようと苦心しているのである。だが、ミステリは読んで詰まらなければそれまでで、本作ではその試みは完全に失敗していると思う。作者の手前勝手な試みではなく、読者を楽しませる作品の提供を第一に考えて欲しい。 | ||||
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白幽霊というのがキーワードとなった短編4編の連作ミステリ。 出張時のサラリーマンが、新幹線の中で気軽に読めるような正統派で軽い内容のミステリだ。 麻耶氏特有の通常のミステリの枠にとらわれない(或いは破壊するような)「驚愕のエンディング」「破綻スレスレ」「もうダメ………」というカタルシスを味わいたい方には、やや物足りなく、肩すかしだと思う。 名探偵木更津とワトソン役の香月の関係は、氏のデビュー作を読めば判ることだが、凄いのは香月である。一般的なミステリでは、ワトソン役というのは、ボケ役に徹し、読者への解説者・仲介者という役割であるが、本書の香月は、探偵をさりげなく操っている、という趣向が面白い。 ファンデーションに対する第二ファンデーションのようなものだ。 | ||||
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白幽霊というのがキーワードとなった短編4編の連作ミステリ。 出張時のサラリーマンが、新幹線の中で気軽に読めるような正統派で軽い内容のミステリだ。 麻耶氏特有の通常のミステリの枠にとらわれない(或いは破壊するような)「驚愕のエンディング」「破綻スレスレ」「もうダメ………」というカタルシスを味わいたい方には、やや物足りなく、肩すかしだと思う。 名探偵木更津とワトソン役の香月の関係は、氏のデビュー作を読めば判ることだが、凄いのは香月である。一般的なミステリでは、ワトソン役というのは、ボケ役に徹し、読者への解説者・仲介者という役割であるが、本書の香月は、探偵をさりげなく操っている、という趣向が面白い。 ファンデーションに対する第二ファンデーションのようなものだ。 | ||||
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麻耶雄嵩が普通の推理小説家に見える、何かの間違いか、と思った。 しかし、よくよく考えると、香月と木更津の関係性が、一般的なホームズとワトソンではない。ワトソンが、努力した結果ワトソンでいられている。 何やら、東野圭吾の「名探偵の掟」にも似た、本格推理の境界をさまよっている作品だと思う。 結局、アンチ本格推理なのか? 麻耶雄嵩の作品の中で、一番一般受けしそうな連作だと思った。 | ||||
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麻耶雄嵩が普通の推理小説家に見える、何かの間違いか、と思った。 しかし、よくよく考えると、香月と木更津の関係性が、一般的なホームズとワトソンではない。ワトソンが、努力した結果ワトソンでいられている。 何やら、東野圭吾の「名探偵の掟」にも似た、本格推理の境界をさまよっている作品だと思う。 結局、アンチ本格推理なのか? 麻耶雄嵩の作品の中で、一番一般受けしそうな連作だと思った。 | ||||
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謎解きそのものより、探偵役とワトソン役のねじれた関係が面白くてたまりません。 | ||||
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白幽霊なる幽霊が出ると噂の町。本書は同じ町の、白幽霊をテーマにした(連作?)短編集です。登場人物は白幽霊の噂をしたり、目撃したりするわりには、真相には全然絡んでこず、その存在の検証は未解決のまま。後に白幽霊VS木更津の長編が描かれる伏線なのでしょうか…?4作の短篇は、どれも手堅い本格探偵小説でありながら、生半可なミステリファンでは読み解けないくらい深い企みが盛り込まれているようで、ミステリに造詣が深いほど楽しめる作品だと感じます。 | ||||
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麻耶氏の作品は、ミステリ好きでかなり推理マニアな読者をも(だからこそか?)、あっと驚かせるような意外な展開に発展していくものが多いのだが、今回の作品は意外にもオーソドックスだなと思った。しかし、読み進めていく内に、それが作者の策略ではないか?と思うようになった。探偵とその助手的役割を果たす人物との微妙な関係などは、なかなか一筋縄ではいかない。麻耶作品が初めてな方には、オーソドックスな探偵小説とも読めるのだが、「翼ある闇」などを読んでいる旧来からの麻耶ファンには、その複雑さはより一層はっきりと分かることだろう。もちろん、本作だけ読んでも一向に差し支えはないのだが、「翼ある闇」等を読むとより一層感慨深いものがあると思うので、麻耶作品に初めて触れる方には、この作品を読んでからか、もしくは読む前にでも既刊の作品を一読される事をお薦めする。 | ||||
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書き下ろしはないものの「ジャーロ」など他に収録された探偵・木更津物をまとめた一冊。ある一つのテーマを中心にしながら、4つの事件、それぞれ館・学園・交換殺人・失踪物、とバランスよくまとめられている。世間的には学園物(そうとは言い切れないが)である「禁区」の評判が高い。 | ||||
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