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4.00/5点 レビュー 21件。 B ランク

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Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全50件 21〜40 2/3ページ
No.30
(4pt)

少女を守りながら残されたいくばくかの生を引き伸ばす男の姿が胸を打ちます。

1968年11月に享年67歳で謎の死を遂げて後に評価され始めた女流SF作家カヴァンが死の前年に発表して絶賛された伝説的名作が23年振りに改訳の上で復刊されました。本書は人類の終焉テーマに少女を追い続ける男の姿を絡ませた歴史的なSF長編小説です。地球全土を襲った異常気象による寒波の中、男は少女を追い続ける。何故か男を毛嫌いして逃げる少女。やがて某独裁国家を支配する強大な権力を持つ〈長官〉に捕えられ庇護を受ける少女を追って行く男だったが・・・。
本書の読み所は、男が追跡の途上で立ち寄る町や村の人々が危機的状況が進むにつれて人間性を喪失して行き躁鬱状態を繰り返す姿の描写、男がスパイ小説さながらに方々で危機を乗り越えて生き延び続ける強靭な生命力、そして男が妄念のように唯少女を救う事のみを生きる目的にして彷徨う姿にあるでしょう。男が望むのは性的な物では全くありませんし、恋愛対象ではなく大人と子供のような関係で、ひたすら守ってあげたいという渇望である事が純粋な感動を呼びます。個人の力では最早如何ともし難い運命を受け入れて、守るべき存在と共にいられる幸福を味わいながら、残されたいくばくかの生を引き伸ばす男の姿が胸を打ちます。唯、難を言えば男が少女に対して異常な程の思い入れを抱くに至った背景が最後まで明かされない所、物語の展開が大きな変化に乏しく面白味に欠ける点、人類の叡智や底力の頑張りが見られない所です(これは作品の性格上、止むを得ませんが)。細かい部分で物足りなさもありますが、構成がシンプルで理解し易く執筆された時代の息吹が感じられ、時を超えて読み継がれる普遍的な作品である事に疑いはありません。尚、巻末に著者の真価を認めたSF作家ブライアン・オールディス氏の懇切丁寧な解説文がついていて感動的です。最後に著者の作風の全貌を知る為に、他の傾向の作品群も多く読んで見たいと思いました。
氷 (ちくま文庫) Amazon書評・レビュー: 氷 (ちくま文庫)より
4480432507
No.29
(4pt)

少女を守りながら残されたいくばくかの生を引き伸ばす男の姿が胸を打ちます。

1968年11月に享年67歳で謎の死を遂げて後に評価され始めた女流SF作家カヴァンが死の前年に発表して絶賛された伝説的名作が23年振りに改訳の上で復刊されました。本書は人類の終焉テーマに少女を追い続ける男の姿を絡ませた歴史的なSF長編小説です。地球全土を襲った異常気象による寒波の中、男は少女を追い続ける。何故か男を毛嫌いして逃げる少女。やがて某独裁国家を支配する強大な権力を持つ〈長官〉に捕えられ庇護を受ける少女を追って行く男だったが・・・。
本書の読み所は、男が追跡の途上で立ち寄る町や村の人々が危機的状況が進むにつれて人間性を喪失して行き躁鬱状態を繰り返す姿の描写、男がスパイ小説さながらに方々で危機を乗り越えて生き延び続ける強靭な生命力、そして男が妄念のように唯少女を救う事のみを生きる目的にして彷徨う姿にあるでしょう。男が望むのは性的な物では全くありませんし、恋愛対象ではなく大人と子供のような関係で、ひたすら守ってあげたいという渇望である事が純粋な感動を呼びます。個人の力では最早如何ともし難い運命を受け入れて、守るべき存在と共にいられる幸福を味わいながら、残されたいくばくかの生を引き伸ばす男の姿が胸を打ちます。唯、難を言えば男が少女に対して異常な程の思い入れを抱くに至った背景が最後まで明かされない所、物語の展開が大きな変化に乏しく面白味に欠ける点、人類の叡智や底力の頑張りが見られない所です(これは作品の性格上、止むを得ませんが)。細かい部分で物足りなさもありますが、構成がシンプルで理解し易く執筆された時代の息吹が感じられ、時を超えて読み継がれる普遍的な作品である事に疑いはありません。尚、巻末に著者の真価を認めたSF作家ブライアン・オールディス氏の懇切丁寧な解説文がついていて感動的です。最後に著者の作風の全貌を知る為に、他の傾向の作品群も多く読んで見たいと思いました。
氷 Amazon書評・レビュー: より
4862381006
No.28
(4pt)

作者が感じる<現実>の"不確実性"、それに対する"不安"・"孤立感"、<現実>による自身の世界の"浸食"などの作者の思惟(畏れ)をそのまま読者に投げ出している凄みのある作品

スリップストリーム (=slipstream、元々、乱流に係わる航空用語だが、文学のジャンルを越えた一種の幻想小説を指す様に転じられた由)文学の傑作という事で手に採ったが、確かに、読者は作者の奔流に置き去りにされてしまう感がある。「氷」という表題が示す通り、ある「氷河期」を描いているのだが、「氷河期」に際しての終末論などを描いたSFとは程遠い。時代や舞台の説明は皆無、「氷河期」に際しての人間模様を描こうとした訳ではない事は、主な登場人物が主人公(?)の男(恐らく諜報部員)、その男が探す少女及び長官の3人に限られている事から明白(名前は一切出て来ない)。また、通常の文章の中に、男の記憶のフラッシュ・バックが"境目なく"挿入される(私は初め戸惑った)など、時系列も作者の思いのまま。

物語としての起承転結も全くなく、通常の小説としてはプロットが破綻している(例えば、男が少女を探している本当の理由さえ説明されない、男が数々の危険を殆ど偶然で乗り越えるetc.)様に見えるが、ここがスリップストリーム文学と称される所以なのだろう。作者が感じる<現実>の"不確実性"、それに対する"不安"・"孤立感"、<現実>による自身の世界の"浸食"などの作者の思惟(畏れ)をそのまま読者に投げ出しているという印象を受けた。確かに凄みのある作品である。また、上で「起承転結がない」、と書いたが、本作は男が迷いながら少女を探し続ける"迷宮"の物語であって、カフカ「城」に似た読後感を持った。このように、全体としては茫洋とした幻想小説・不条理小説の体裁でありながら、渡航手続き等の細かいエピソードはかなり具体的に書き込んでいる辺りの妙なアンバランス感が凄みを増しているという印象を受けた。

スリップストリーム文学という言葉は本作の序文で初めて知ったが、今まで読んだ事のない作風で、その真価を知るには実際に読んで頂くしかない。作者は唯一無二のスリップストリーム文学作家の由なので、興味のある方には是非手に採って頂きたい。
氷 (1985年) (サンリオSF文庫) Amazon書評・レビュー: 氷 (1985年) (サンリオSF文庫)より
B000J6WP2G
No.27
(4pt)

作者が感じる<現実>の"不確実性"、それに対する"不安"・"孤立感"、<現実>による自身の世界の"浸食"などの作者の思惟(畏れ)をそのまま読者に投げ出している凄みのある作品

スリップストリーム (=slipstream、元々、乱流に係わる航空用語だが、文学のジャンルを越えた一種の幻想小説を指す様に転じられた由)文学の傑作という事で手に採ったが、確かに、読者は作者の奔流に置き去りにされてしまう感がある。「氷」という表題が示す通り、ある「氷河期」を描いているのだが、「氷河期」に際しての終末論などを描いたSFとは程遠い。時代や舞台の説明は皆無、「氷河期」に際しての人間模様を描こうとした訳ではない事は、主な登場人物が主人公(?)の男(恐らく諜報部員)、その男が探す少女及び長官の3人に限られている事から明白(名前は一切出て来ない)。また、通常の文章の中に、男の記憶のフラッシュ・バックが"境目なく"挿入される(私は初め戸惑った)など、時系列も作者の思いのまま。

物語としての起承転結も全くなく、通常の小説としてはプロットが破綻している(例えば、男が少女を探している本当の理由さえ説明されない、男が数々の危険を殆ど偶然で乗り越えるetc.)様に見えるが、ここがスリップストリーム文学と称される所以なのだろう。作者が感じる<現実>の"不確実性"、それに対する"不安"・"孤立感"、<現実>による自身の世界の"浸食"などの作者の思惟(畏れ)をそのまま読者に投げ出しているという印象を受けた。確かに凄みのある作品である。また、上で「起承転結がない」、と書いたが、本作は男が迷いながら少女を探し続ける"迷宮"の物語であって、カフカ「城」に似た読後感を持った。このように、全体としては茫洋とした幻想小説・不条理小説の体裁でありながら、渡航手続き等の細かいエピソードはかなり具体的に書き込んでいる辺りの妙なアンバランス感が凄みを増しているという印象を受けた。

スリップストリーム文学という言葉は本作の序文で初めて知ったが、今まで読んだ事のない作風で、その真価を知るには実際に読んで頂くしかない。作者は唯一無二のスリップストリーム文学作家の由なので、興味のある方には是非手に採って頂きたい。
氷 (ちくま文庫) Amazon書評・レビュー: 氷 (ちくま文庫)より
4480432507
No.26
(4pt)

作者が感じる<現実>の"不確実性"、それに対する"不安"・"孤立感"、<現実>による自身の世界の"浸食"などの作者の思惟(畏れ)をそのまま読者に投げ出している凄みのある作品

スリップストリーム (=slipstream、元々、乱流に係わる航空用語だが、文学のジャンルを越えた一種の幻想小説を指す様に転じられた由)文学の傑作という事で手に採ったが、確かに、読者は作者の奔流に置き去りにされてしまう感がある。「氷」という表題が示す通り、ある「氷河期」を描いているのだが、「氷河期」に際しての終末論などを描いたSFとは程遠い。時代や舞台の説明は皆無、「氷河期」に際しての人間模様を描こうとした訳ではない事は、主な登場人物が主人公(?)の男(恐らく諜報部員)、その男が探す少女及び長官の3人に限られている事から明白(名前は一切出て来ない)。また、通常の文章の中に、男の記憶のフラッシュ・バックが"境目なく"挿入される(私は初め戸惑った)など、時系列も作者の思いのまま。

物語としての起承転結も全くなく、通常の小説としてはプロットが破綻している(例えば、男が少女を探している本当の理由さえ説明されない、男が数々の危険を殆ど偶然で乗り越えるetc.)様に見えるが、ここがスリップストリーム文学と称される所以なのだろう。作者が感じる<現実>の"不確実性"、それに対する"不安"・"孤立感"、<現実>による自身の世界の"浸食"などの作者の思惟(畏れ)をそのまま読者に投げ出しているという印象を受けた。確かに凄みのある作品である。また、上で「起承転結がない」、と書いたが、本作は男が迷いながら少女を探し続ける"迷宮"の物語であって、カフカ「城」に似た読後感を持った。このように、全体としては茫洋とした幻想小説・不条理小説の体裁でありながら、渡航手続き等の細かいエピソードはかなり具体的に書き込んでいる辺りの妙なアンバランス感が凄みを増しているという印象を受けた。

スリップストリーム文学という言葉は本作の序文で初めて知ったが、今まで読んだ事のない作風で、その真価を知るには実際に読んで頂くしかない。作者は唯一無二のスリップストリーム文学作家の由なので、興味のある方には是非手に採って頂きたい。
氷 Amazon書評・レビュー: より
4862381006
No.25
(3pt)

おしまいの物語

作品の出来不出来に関わらず、期待していたものとあまりに違っているので、どうしても「気に入った」と言う☆四つ以上の評価はできないものがあって、この作品はその一つになりそうだ。
だって、「気に入って」ないもの!
そもそも、私はこの作品に終末の世界の侘しさや切なさを期待していたのだが、そんなものは欠片も感じなかった。
と言うのもここで描かれる世界は既に終わっているからだ。
守られるべき人間的な温かさと言うものが、この世界、と言うか物語に完全に欠落しているので、「終わっちゃえばいいんじゃないの。」と言う投げやりな感想が出てしまう。
この世界の何処を見ても略奪と凌辱ばかりで、愛など一つも見当たらない。
唯一主人公は、愛によって突き動かされているが、その愛があまりに偏執的で身勝手であるため全く感情移入できない。
主人公とアルビノの「少女」の間に何があったかは他のレビューでも意見が分かれる所らしいが、これ単に「僕が守ってあげるよ」とか言って近づいて性的暴行加えたんだろう。最後まで至ったかは知らないが。
純粋な思いで少女を追いかけてる人が「彼女を殺して良いのは私だけ」なんて言う訳ないし。
正直終末の世界そのものよりも主人公の方がよほどおぞましい。
そんな主人公から少女が逃げるのは当たり前だし、彼女を追いかける主人公に対して「会えると良いね!」などと思う人はまあ、おるまい。
作者はカフカの不条理文学に強く影響を受けたらしい。
確かにまあそんな感じだが、カフカは理解できた私も、これは駄目だった。
異常性愛者が世界の終末そっちのけで自分がかつて暴行した少女を追い求める話など、共感しろと言う方が無茶だ。
この世界を覆って行く氷に関して、科学的な説明が一切なされてないが、それは恐らく氷が我々の未来の先にある、確実な破滅を意味しているからなのだろう。温暖化問題とかあまり一般的な時代ではなかったそうだし、文字通りの科学的な意味での氷ではない、と言うのはあまりに露骨なのでメタファーと呼ぶのも躊躇われる。
ただ、文句ばかり書き連ねたが、終盤の壮絶なる終末のヴィジョンは、大変美しく見事であった。凍えるような寒さと切なさと絶望が伝わって来て、こればっかりは小説と言う媒体でしか体験できないものだ。
その点決して駄作ではないと言う事は分かるのだが、如何せん主人公がな・・。ちょっと怖すぎ。
もっと純粋な意味で少女を助けようとしていたら、あるいはそう私が解釈出来ていたら、作品の評価は180度変わっていたかもしれない。しかし、「愛情をこめて腕を折るのはこの私でなければならない」なんておぞましい台詞吐く主人公を好意的には解釈できない。
氷 (1985年) (サンリオSF文庫) Amazon書評・レビュー: 氷 (1985年) (サンリオSF文庫)より
B000J6WP2G
No.24
(3pt)

おしまいの物語

作品の出来不出来に関わらず、期待していたものとあまりに違っているので、どうしても「気に入った」と言う☆四つ以上の評価はできないものがあって、この作品はその一つになりそうだ。
だって、「気に入って」ないもの!
そもそも、私はこの作品に終末の世界の侘しさや切なさを期待していたのだが、そんなものは欠片も感じなかった。
と言うのもここで描かれる世界は既に終わっているからだ。
守られるべき人間的な温かさと言うものが、この世界、と言うか物語に完全に欠落しているので、「終わっちゃえばいいんじゃないの。」と言う投げやりな感想が出てしまう。
この世界の何処を見ても略奪と凌辱ばかりで、愛など一つも見当たらない。
唯一主人公は、愛によって突き動かされているが、その愛があまりに偏執的で身勝手であるため全く感情移入できない。
主人公とアルビノの「少女」の間に何があったかは他のレビューでも意見が分かれる所らしいが、これ単に「僕が守ってあげるよ」とか言って近づいて性的暴行加えたんだろう。最後まで至ったかは知らないが。
純粋な思いで少女を追いかけてる人が「彼女を殺して良いのは私だけ」なんて言う訳ないし。
正直終末の世界そのものよりも主人公の方がよほどおぞましい。
そんな主人公から少女が逃げるのは当たり前だし、彼女を追いかける主人公に対して「会えると良いね!」などと思う人はまあ、おるまい。
作者はカフカの不条理文学に強く影響を受けたらしい。
確かにまあそんな感じだが、カフカは理解できた私も、これは駄目だった。
異常性愛者が世界の終末そっちのけで自分がかつて暴行した少女を追い求める話など、共感しろと言う方が無茶だ。
この世界を覆って行く氷に関して、科学的な説明が一切なされてないが、それは恐らく氷が我々の未来の先にある、確実な破滅を意味しているからなのだろう。温暖化問題とかあまり一般的な時代ではなかったそうだし、文字通りの科学的な意味での氷ではない、と言うのはあまりに露骨なのでメタファーと呼ぶのも躊躇われる。
ただ、文句ばかり書き連ねたが、終盤の壮絶なる終末のヴィジョンは、大変美しく見事であった。凍えるような寒さと切なさと絶望が伝わって来て、こればっかりは小説と言う媒体でしか体験できないものだ。
その点決して駄作ではないと言う事は分かるのだが、如何せん主人公がな・・。ちょっと怖すぎ。
もっと純粋な意味で少女を助けようとしていたら、あるいはそう私が解釈出来ていたら、作品の評価は180度変わっていたかもしれない。しかし、「愛情をこめて腕を折るのはこの私でなければならない」なんておぞましい台詞吐く主人公を好意的には解釈できない。
氷 (ちくま文庫) Amazon書評・レビュー: 氷 (ちくま文庫)より
4480432507
No.23
(3pt)

おしまいの物語

作品の出来不出来に関わらず、期待していたものとあまりに違っているので、どうしても「気に入った」と言う☆四つ以上の評価はできないものがあって、この作品はその一つになりそうだ。
だって、「気に入って」ないもの!
そもそも、私はこの作品に終末の世界の侘しさや切なさを期待していたのだが、そんなものは欠片も感じなかった。
と言うのもここで描かれる世界は既に終わっているからだ。
守られるべき人間的な温かさと言うものが、この世界、と言うか物語に完全に欠落しているので、「終わっちゃえばいいんじゃないの。」と言う投げやりな感想が出てしまう。
この世界の何処を見ても略奪と凌辱ばかりで、愛など一つも見当たらない。
唯一主人公は、愛によって突き動かされているが、その愛があまりに偏執的で身勝手であるため全く感情移入できない。
主人公とアルビノの「少女」の間に何があったかは他のレビューでも意見が分かれる所らしいが、これ単に「僕が守ってあげるよ」とか言って近づいて性的暴行加えたんだろう。最後まで至ったかは知らないが。
純粋な思いで少女を追いかけてる人が「彼女を殺して良いのは私だけ」なんて言う訳ないし。
正直終末の世界そのものよりも主人公の方がよほどおぞましい。
そんな主人公から少女が逃げるのは当たり前だし、彼女を追いかける主人公に対して「会えると良いね!」などと思う人はまあ、おるまい。
作者はカフカの不条理文学に強く影響を受けたらしい。
確かにまあそんな感じだが、カフカは理解できた私も、これは駄目だった。
異常性愛者が世界の終末そっちのけで自分がかつて暴行した少女を追い求める話など、共感しろと言う方が無茶だ。
この世界を覆って行く氷に関して、科学的な説明が一切なされてないが、それは恐らく氷が我々の未来の先にある、確実な破滅を意味しているからなのだろう。温暖化問題とかあまり一般的な時代ではなかったそうだし、文字通りの科学的な意味での氷ではない、と言うのはあまりに露骨なのでメタファーと呼ぶのも躊躇われる。
ただ、文句ばかり書き連ねたが、終盤の壮絶なる終末のヴィジョンは、大変美しく見事であった。凍えるような寒さと切なさと絶望が伝わって来て、こればっかりは小説と言う媒体でしか体験できないものだ。
その点決して駄作ではないと言う事は分かるのだが、如何せん主人公がな・・。ちょっと怖すぎ。
もっと純粋な意味で少女を助けようとしていたら、あるいはそう私が解釈出来ていたら、作品の評価は180度変わっていたかもしれない。しかし、「愛情をこめて腕を折るのはこの私でなければならない」なんておぞましい台詞吐く主人公を好意的には解釈できない。
氷 Amazon書評・レビュー: より
4862381006
No.22
(5pt)

崩壊していくさまが切実でした。

なんていうか、変な本でした。
唐突におかしなものが入り込んできて、真剣に書いているのかウケを狙っているのかわからない。
けれど、なにもかもが氷に覆われて崩壊していく様子は美しく、切実で、
主人公もヒロインもライバルのような人物も、誰も彼もが決して良い人ではなくて、むしろダメな人物なのですが、
善人ではない分だけどこか安心感のうちに読めました。
余談かもしれませんが、読んでいて何度も、自分は今もしかしてカフカの小説を読んでいるのではないだろうか、と思いました。
スリップ・ストリーム小説、おかしな小説が好きな人におすすめです。
氷 (ちくま文庫) Amazon書評・レビュー: 氷 (ちくま文庫)より
4480432507
No.21
(5pt)

崩壊していくさまが切実でした。

なんていうか、変な本でした。
唐突におかしなものが入り込んできて、真剣に書いているのかウケを狙っているのかわからない。
けれど、なにもかもが氷に覆われて崩壊していく様子は美しく、切実で、
主人公もヒロインもライバルのような人物も、誰も彼もが決して良い人ではなくて、むしろダメな人物なのですが、
善人ではない分だけどこか安心感のうちに読めました。
余談かもしれませんが、読んでいて何度も、自分は今もしかしてカフカの小説を読んでいるのではないだろうか、と思いました。
スリップ・ストリーム小説、おかしな小説が好きな人におすすめです。
氷 Amazon書評・レビュー: より
4862381006
No.20
(5pt)

崩壊していくさまが切実でした。

なんていうか、変な本でした。 唐突におかしなものが入り込んできて、真剣に書いているのかウケを狙っているのかわからない。 けれど、なにもかもが氷に覆われて崩壊していく様子は美しく、切実で、 主人公もヒロインもライバルのような人物も、誰も彼もが決して良い人ではなくて、むしろダメな人物なのですが、 善人ではない分だけどこか安心感のうちに読めました。 余談かもしれませんが、読んでいて何度も、自分は今もしかしてカフカの小説を読んでいるのではないだろうか、と思いました。 スリップ・ストリーム小説、おかしな小説が好きな人におすすめです。
氷 (ちくま文庫) Amazon書評・レビュー: 氷 (ちくま文庫)より
4480432507
No.19
(5pt)

感じる力を与えてくれて、ありがとう

一番初めに読んだカヴァンが「氷」で最近読み終わった本が「氷」。初体験は情報もなく、こちらも若いためか、余り惹かれない。その後、幾つかを読んで、面白さは感じるものの理解……というか、腑に落ちるところまで行けずに終わる。失敗したセックスのようだ。そして年月が流れる。今思えば、「愛の渇き」に明らかなように「氷」の少女はカヴァン自身だ。だから視点中心人物に惑わされずに少女の物語として読めばすっきりするし、見通しも良い。けれども、この終わり方から直線的に連想される未来は暗い。氷の侵食の話ではなく、少女の自立だ。「私」=ヘロインに取り込まれて終わってしまう。それはまたカヴァンの意志でもないだろう。だからわたしは願う。「私」が手に入れた拳銃により「私」が「少女」に撃たれることを……。そんな「私」の死こそ、物語の救いに違いない。
氷 (1985年) (サンリオSF文庫) Amazon書評・レビュー: 氷 (1985年) (サンリオSF文庫)より
B000J6WP2G
No.18
(5pt)

感じる力を与えてくれて、ありがとう

一番初めに読んだカヴァンが「氷」で最近読み終わった本が「氷」。初体験は情報もなく、こちらも若いためか、余り惹かれない。その後、幾つかを読んで、面白さは感じるものの理解……というか、腑に落ちるところまで行けずに終わる。失敗したセックスのようだ。そして年月が流れる。今思えば、「愛の渇き」に明らかなように「氷」の少女はカヴァン自身だ。だから視点中心人物に惑わされずに少女の物語として読めばすっきりするし、見通しも良い。けれども、この終わり方から直線的に連想される未来は暗い。氷の侵食の話ではなく、少女の自立だ。「私」=ヘロインに取り込まれて終わってしまう。それはまたカヴァンの意志でもないだろう。だからわたしは願う。「私」が手に入れた拳銃により「私」が「少女」に撃たれることを……。そんな「私」の死こそ、物語の救いに違いない。
氷 Amazon書評・レビュー: より
4862381006
No.17
(5pt)

感じる力を与えてくれて、ありがとう

一番初めに読んだカヴァンが「氷」で最近読み終わった本が「氷」。初体験は情報もなく、こちらも若いためか、余り惹かれない。その後、幾つかを読んで、面白さは感じるものの理解……というか、腑に落ちるところまで行けずに終わる。失敗したセックスのようだ。そして年月が流れる。今思えば、「愛の渇き」に明らかなように「氷」の少女はカヴァン自身だ。だから視点中心人物に惑わされずに少女の物語として読めばすっきりするし、見通しも良い。けれども、この終わり方から直線的に連想される未来は暗い。氷の侵食の話ではなく、少女の自立だ。「私」=ヘロインに取り込まれて終わってしまう。それはまたカヴァンの意志でもないだろう。だからわたしは願う。「私」が手に入れた拳銃により「私」が「少女」に撃たれることを……。そんな「私」の死こそ、物語の救いに違いない。
氷 (ちくま文庫) Amazon書評・レビュー: 氷 (ちくま文庫)より
4480432507
No.16
(1pt)

理解に苦しむ。

短い節で、ドンドン場面が変わっていく。
主となる登場人物は「私」「少女」「長官」だけ。
名前も無い、時代設定も無い、国の名前も無い。
少女をひたすら追い求め流離う「私」が、さらに「氷」に追いつめられていきます。

薬に侵された作者がイメージする世界に、「小説」のプロットは有りません。
起承転結が有りません。イメージだけです。だから読んだ人は面食らう。
これは一体全体何なんだと。それは読了後も変わりません。

それは「皆勤の徒」ような脳髄を抉られるような衝撃的な「なんなんだ!これ!」
とはまったく違います。ただただ、不思議で終わります。

後書まで入れて274頁で900円はチト高すぎるねぇ。
氷 Amazon書評・レビュー: より
4862381006
No.15
(1pt)

スリップストリーム文学の金字塔的不思議本

短い節で、ドンドン場面が変わっていく。
主となる登場人物は「私」「少女」「長官」だけ。
名前も無い、時代設定も無い、国の名前も無い。
少女をひたすら追い求め流離う私が、さらに「氷」に追いつめられていきます。

ヤクに侵された作者がイメージする世界に、「小説」のプロットは有りません。
起承転結が有りません。イメージだけです。
だから読んだ人は面食らう。これは一体全体何なんだと。
それは読了後も変わりません。

でもね、「皆勤の徒」ような脳髄を抉られるような衝撃的な「なんなんだ!これ!」
とはまったく違います。ただただ、不思議で終わります。

後書まで入れて274頁で900円はチト高すぎますぜ。
氷 (ちくま文庫) Amazon書評・レビュー: 氷 (ちくま文庫)より
4480432507
No.14
(4pt)

近くの書店で

面白い小説は無いかと近くの書店を探しまわっていた。
本を探すときは感性がフルに働く。自分の全てを出し切る。
それで見つけた本がこれだった。はっきりとして、単純な情景描写、速い展開、
しっかりとした順序と後味、わからなくても大丈夫という安心感。
ただ読めば面白い、頭を使わず感覚的に読める小説。
氷 Amazon書評・レビュー: より
4862381006
No.13
(4pt)

近くの書店で

面白い小説は無いかと近くの書店を探しまわっていた。
本を探すときは感性がフルに働く。自分の全てを出し切る。
それで見つけた本がこれだった。はっきりとして、単純な情景描写、速い展開、
しっかりとした順序と後味、わからなくても大丈夫という安心感。
ただ読めば面白い、頭を使わず感覚的に読める小説。
氷 (ちくま文庫) Amazon書評・レビュー: 氷 (ちくま文庫)より
4480432507
No.12
(5pt)

侵食する氷に仮託される不安と孤独のオブセッション

原題 Ice (原著刊行1967年)
2008年にバジリコから刊行された単行本の文庫化復刊。版権の問題によりサンリオSF文庫版と単行本版に付されていたブライアン・オールディスの序文がクリストファー・プリーストによるものに差し替えられている。

世界を侵食し覆い尽くす禍々しくも美しい氷のイメージに圧倒される。それはまるで我々が決して逃れることの出来ない人生における不安と絶望の結晶の様だ。そして偏執的なまでに語り手の男に追い求められ、長官と呼ばれる独裁者に幽閉される少女の宿命に、蹂躙され汚される絶対的な無垢の存在を見る。勿論これは評者個人の一面的な見方に過ぎないが、本書の透徹された幻想の純度の高さと力強さは全ての読者が様々な感情を仮託する事を許す揺るぎなさを持っている。男と少女の逃避行の果てに訪れる美しくも悲痛で冷酷な結末はその象徴だ。

スリップストリーム文学の流れに本書を位置付けた卓抜した序文、実作者らしい示唆に富む川上弘美氏の解説を含め、素晴らしい復刊であり、スリリングで稀有な読書体験を約束してくれる一冊だ。
氷 Amazon書評・レビュー: より
4862381006
No.11
(5pt)

侵食する氷に仮託される不安と孤独のオブセッション

原題 Ice (原著刊行1967年)
2008年にバジリコから刊行された単行本の文庫化復刊。版権の問題によりサンリオSF文庫版と単行本版に付されていたブライアン・オールディスの序文がクリストファー・プリーストによるものに差し替えられている。

世界を侵食し覆い尽くす禍々しくも美しい氷のイメージに圧倒される。それはまるで我々が決して逃れることの出来ない人生における不安と絶望の結晶の様だ。そして偏執的なまでに語り手の男に追い求められ、長官と呼ばれる独裁者に幽閉される少女の宿命に、蹂躙され汚される絶対的な無垢の存在を見る。勿論これは評者個人の一面的な見方に過ぎないが、本書の透徹された幻想の純度の高さと力強さは全ての読者が様々な感情を仮託する事を許す揺るぎなさを持っている。男と少女の逃避行の果てに訪れる美しくも悲痛で冷酷な結末はその象徴だ。

スリップストリーム文学の流れに本書を位置付けた卓抜した序文、実作者らしい示唆に富む川上弘美氏の解説を含め、素晴らしい復刊であり、スリリングで稀有な読書体験を約束してくれる一冊だ。
氷 (ちくま文庫) Amazon書評・レビュー: 氷 (ちくま文庫)より
4480432507